日本から海外子会社へ出張される場合、特に短期出張の場合、出張先国で出
張者が所得税を納税することは稀ではないでしょうか。
 
 一般的に、出張先国における出張者の労働対価は、所在地国の税務関連法令
に基づき、所在地国にも課税権がある場合が多いです。例えばベトナムへ短期
出張する場合、出張者はベトナム非居住者であり、その労働対価の20%を納税
する義務があります。
 
 日本は123カ国・地域と70の租税条約を締結しており(平成30年3月1日現在)、
これら租税条約には短期滞在者免税の条項が設けられています。この条項により
多くの出張者は出張先国で納税の義務が免除されます。
(短期滞在者免税要件(日越租税条約の場合))

1.出張者の暦年のベトナム滞在期間が183日以下であること

2.出張者への報酬がベトナムの居住者でない雇用者(例:日本本社)又はこ
れに代わる者から支払われるものであること

3.出張者への報酬がベトナムにある恒久的施設又は固定的施設によって負担
されるものではないこと
 
 短期滞在者免税の適用について、出張先国によっては上述の要件を満たせば
自動的に適用されるものではなく、出張先国の税務当局へ申請し適用を認めら
れる必要があります。

 また、出張先国の税務当局に短期滞在者免税の適用を認められた場合であっ
ても、注意が必要です。

 出張先国の海外子会社が出張者のホテル代、タクシー代及び日当などを負担
した場合、当該海外子会社の支出は出張先国の税務関連法上、出張者の給与に
該当する場合があります。

 出張者の給与とみなされる場合、上述の免税の要件を満たさなくなり、後日、
出張先の税務当局より、出張者の所得税申告納税漏れ、もしくは、海外子会社
の源泉徴収漏れ等を指摘される可能性があります。