実務上、送金等の問題で、日本の出張者の立替経費を「使用料」として中国
子会社に請求するケースがあります。

 このような場合、中国子会社は「使用料」から中国企業所得税を源泉徴収し
て日本の親会社に支払います。源泉徴収された中国企業所得税は日本の親会社
において外国税額控除及びみなし外国税額控除を受けることが、一般的です。

 しかし、このような役務の提供に係る中国企業所得税は、外国税額控除が認
められない旨の指摘があります。

 その業務内容にも拠りますが、出張者の立替経費は、一般的に日中租税条約
12条の使用料の定義になじまず、役務の提供対価に該当すると思われます。

 役務の提供については、 “PEがなければ課税なし” という日中租税条約の課
税原則に基づき、中国で課税されませんので、日本の親会社側でも外国税額控
除の問題が生じないはずです。

 中国(外国)に課税権がなく、課税されるべきでない所得に課税された中国
企業所得税(外国税額)は日本の外国税額控除の対象外だというのは、税務署
側の見解のようです。

 明確な除外条文がないうえ、実際に支払ったにも関らず、外国税額控除が認
められないことに違和感を覚えるかもしれませんが、外国税額控除制度の趣旨
からやむをえないと思います。

 支払った外国税額の損金算入は実務上可能のようですが、余計なトラブルが
ないように、このような国を跨る役務の提供業務について、予め国内外の課税
関係を検討することをお勧めします。