税理士法人名南経営 国際部ブログ

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カテゴリ: ベトナム

 ベトナム、ホーチミンへの新規企業進出は、日本での人手不足とベトナムの
IT企業の誘致を反映したIT、オフショア開発企業が多くなっております。今回
は一定条件を満たしたソフトウェア開発企業に適用される優遇税制に関して説
明いたします。

 優遇税制の内容は、15年間の優遇税率10%および4年間の免税、9年間の50%
減税となっています。優遇税制を適用するには、前提として「ソフトウェア製
造」をしている必要があります。「ソフトウェア製造」とは、対象企業が下記
3条件を満たす場合となります。

≪1≫企業登録証明書、投資登録証明書の承認がある。

≪2≫通達09/2013/TT-BTTTTに記載のソフトウェア製品リストのうち、最低1項目
 を製造している

≪3≫下記1) 2) のいずれかに該当している
1)工程2~4のうち、一つ以上を行う場合
2)工程1または5を行う場合、工程2~4のいずれかと合わせて行う場合
3)工程6を行う場合、加えて工程1~5を全て行う場合

工程1:要件定義
工程2:分析、設計
工程3:プログラミング、コーディング
工程4:検査
工程5:完成、梱包
工程6:インストール、メンテナンス
工程7:販売 、配布

 上記条件に該当する企業はソフトウェア開発企業への優遇税制は受けられま
すが、条件を満たすか否かについては、適用前に専門家に相談することをお勧
めいたします。

 ベトナムに法人及び駐在員事務所を設立し従業員に給与を支給する場合、賃
金テーブルを作成し、管轄の社会保険機関に登録する必要があります。政令49
号(49/2013/ND-CP)の第7条には賃金テーブルについておおよそ、以下のとお
り規定しています。

・すべての給与受給者のためにつくられるものであること。
・規定されるそれぞれの給与は、担当する仕事に対するレベル及び要求される
 高い専門性により異なるものであること。ただし、給与間の金額格差は最低
 5%以上なければならないこと。
・企業は、その企業の最低賃金について、業務の複雑性、その業務に対する義
 務、必要な能力及びその業務実施に必要な経験などを考慮して決定しなけれ
 ばならないこと。
・職業訓練を受けた従業員に対する賃金は、政府が定める最低賃金を7%上回る
 必要があること。
・重労働等の環境で従事する従業員は5%、過度に重労働等の環境で従事する従
 業員に対しては7%、同等の業務を行う従業員の給与を上回る必要があること。

 賃金テーブルは、日本本社では当然に作成されているものであっても、ベト
ナムで法人を立ち上げた場合、当然、一から作成する必要があり、上記の要求
及び現地の人事事情を考慮して作成するとなると、なかなかシンドイ業務とな
ります。

 なお、2018年11月より、労働者10名未満の法人及び駐在員事務所は、賃金テ
ーブルの登録義務がなくなっています(121/2018/ND-CP)。
 しかし、登録義務がなくなっても、依然として作成義務はあります。法人等
設立後、賃金テーブルを作成されていないベトナム現地法人や駐在員事務所が
あれば、早急に作成することをお勧めいたします。

 ベトナムでは転職は一般的で1年を通じて退職する方が多くいます。今回は
退職した従業員への退職金に関してご説明いたします。

 ベトナムの労働法上、雇用者は1年以上正規雇用した被雇用者との契約を終
了する際、1年につき半月分の賃金相当の退職金を支払う義務があります(労
働法第42条)。退職金の算出のベースとなるのは、退職前6ヶ月間の平均賃金
となり、雇用契約書に記載された手当なども含まれます。なお、懲戒事由で解
雇する場合、退職金を支払う義務はありません(労働法48条)。

 ベトナムでは失業保険制度が2009年より導入され、当該失業保険制度より退
職金が給付される仕組みとなっております。2009年以降の勤務期間に対する退
職金に関しては、失業保険に加入していれば雇用者からの支払いは発生しませ
ん。ただし、2008年12月31日以前の勤務期間に対応する退職金については、雇
用者が退職金を支払う義務があります。したがって、2008年以前より雇用して
いる被雇用者が退職する場合は留意が必要となります。

 従業員の退職時には上記以外にも細かい規定がございますので、専門家に相
談することをお勧めいたします。

 付加価値税(VAT)とは、日本でいう消費税に相当する税で、モノやサービス
などに対して課税される税があります。

 日本なら、企業が大きな投資、赤字(売上少なく)になった場合や輸出取引
(売上は免税、仕入は消費税課税)によって、仮払消費税に超過があった場合
には、確定申告によって納めすぎた税額は還付してもらうことが可能です。

 ただ、ベトナムでは2016年にVAT還付は例外扱いとなり、原則、還付はされ
ない規定となっています。特に、ベトナム国内で商社が行う輸出加工型企業
(EPE)への再輸出取引-海外から仕入れ(付加価値税を負担)た商品をその
まま、EPE企業へ販売(輸出の取引扱い/付加価値税は免除)する取引―では、
付加価値税の還付がされないことで、商社のコスト上昇や、EPE企業にとって
の仕入価格が上昇するという大きな問題を抱えていました。

 それが2017年12月のDecree146にて改正をされました。非関税区域への再販
売、他国への再輸出に関連する未控除の仕入付加価値税が3億VND(約150万円)
以上である場合には還付申請が可能と規定されました。

 これにより、これまで問題となっていた上記の取引についても還付申請が可
能となり、再輸出をメインで行う商社にとっては朗報となりました。また、購
入先であるEPE企業にとっても、仕入価格の引き下げが期待できるのかもしれ
ません。

 2018年2月以降発生の取引は還付申請が可能で、それ以前分については明確
ではありませんが、恐らく還付は可能なものと推測され、当局に確認をしなが
ら手続きをすすめてゆくことになると思われます。

 ベトナムという国は、“とりあえずやってみる”という感覚としか思えない
ほど無思慮に法案を作成し、関連法案間に不整合があっても平然と施行してく
る気がしています。そして、施行後に異論が噴出すると“さっと”引っ込めて
しまう。法案にさえ納税者がチェックする自己責任?が求められているようで
あります。

 前回、駐在員の社会保険の免除対象となる要件についてお伝えしたかと思い
ますが、今回は健康保険についてお話したいと思います。

 「社会保険」と言うと、大きな意味では健康保険も含まれる場合があります
が、前回お伝えした社会保険の免除要件に該当したとしても、健康保険は免除
されません。現状では、3カ月間以上の労働契約に基づき勤務する外国人は、
健康保険に加入する必要があります。この場合、駐在員の負担は対象給与の
1.5%、会社負担は3%となります。

 実務上、労働契約書が作成されている場合は、健康保険に加入されている駐
在員の方が多いようです。現地採用の方がこれに該当します。日本の本社から
出向されている方については、労働契約書を作成していない場合もあるため、
中には健康保険に加入されていない方もいらっしゃるようです。

 健康保険に加入しても、実際に使用する機会はほとんどないといっても良い
でしょう。ベトナムの医療水準は、昨今、外国人や富裕層向けの診療所等を中
心に上がっていますが、外国人や富裕層向けの診療は、健康保険の対象でない
ことがほとんどです。その他の病院や診療所は医療水準や言語の問題もあり、
駐在員にとって利用することは難しい状況です。従って、健康保険は駐在員に
とって掛け捨てということになります。多くの駐在員は、日本で損保などが取
り扱っている海外駐在員保険に加入し、必要があれば外国人向けの診療所へ行
き、海外駐在員保険より診察料や薬代を支払うことがほとんどという状況です。

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