2016年01月27日

夏子の冒険

14371[1] 1953年制作、中村登監督の「夏子の冒険」を観ました。
 世の中や男に絶望した夏子(角梨枝子)は、北海道の函館の修道院へ入る決心をします。彼女の身を案じて母(岸輝美)、祖母(東山千栄子)、伯母(村瀬幸子)の三人もあとをついていきます。青函連絡船のなかで、夏子は一人の青年・毅(若原雅夫)と知い、彼はの恋人秋子を襲った熊を見つけて仇を打つ決心でした。夏子は彼の情熱にひかれて、修道院入りをやめて毅の熊狩りに同行することにします。
 二人が訪ねた秋子の実家大牛田十造(坂本武)の家には秋子の妹・不二子(桂木洋子)がいました。やがて支笏湖畔に熊が現われたという知らせに、毅、夏子、不二子、夏子の母、祖母、伯母までもが一緒になって出かけることになります。毅は見事に熊を仕とめて
S12077[1]、その土地で歓迎されます。そうして毅から結婚を申込まれたが、夏子は急に彼が俗っぽくなったのに興味を失って、再び修道院へはいろうと決心します。しかし不二子は、何もできないお嬢さんに毅の思いの何が分かるかと責めるのでした。改心した夏子は、数日後函館から連絡船で毅と去るのですが、複雑な思いで不二子は見送るのでした。。
 日本映画のカラー制作、第2弾。なぜか、4か所ほどフィルムが欠落しているのですが、音声は聞けるので、なんとか内容は分かります。総天然色というのが時代で、角さんや桂木さんのメイクがカラーに映えるような感じです。
 最近、再評価されている三島由紀夫が原作で、この時代でも虚無感な女性っていたのですね。そして自分のことを夏子と名前で呼ぶのも、現代では違和感ないですが、この時代は少数派だったんでしょうね。結局、そういう現実感のないお嬢さんを、生活感のある桂木さんが諭すということですが、もちろん桂木さんの言うことが正しい。三島って、観念の中で亡くなったという印象なんですが、この作品の夏子に近いヒトだったんじゃないかなぁ。
 それよりこの作品で初めて若原雅夫をかっこいいと思いました。なんか、どの作品も優男という感じだったんで。


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コメント一覧

1. Posted by Red Pine   2016年01月28日 12:42
三島由紀夫の「流行小説・風俗小説」映画化は未だ成功した試しがない。
「不道徳教育講座」にしかり「美徳のよろめき」にしかり「鏡子の家」にしかり、この「夏子の冒険」も(フイルムが欠如していて全体像がよくつかめないが)その例に漏れない。

しかし、この作品にはそれなりのセールス・ポイントがあります。

まず、その毒々しい色彩(日本映画カラー第2弾作品なのだ)。
今は昔、見せ物小屋の大看板で見た記憶の中の泥絵のよう。赤色がベタベタ、青色がヌルヌル、黄色がネットリ、まさに原色ワールド。これは必見。(ただし、視力の弱い人は余り長く続けて見ないようにしてください。網膜をやられる恐れがあります)

次に、母(岸輝美)、祖母(東山千栄子)、伯母(村瀬幸子)三女優のドタバタ喜劇が見られること。これが飯田蝶子や北林谷栄などが演じていれば、まずは失笑ものにすぎない程度だが、東山らのもともと気品ある女性が演じるからこそ、同じことをやっても面白い。

最大のポイントは角梨枝子。
女性を「色気」の観点からのみ論ずるのは、誠に不遜であるが、彼女ほど色気のある女優は希有だ。「飛ぶ鳥を落す」という表現があるが、彼女に悩まし気にウインクされれば、空中のオス鳥なら瞬時に落下してしまうであろう。
これほど色気を醸し出す女優と言えば、日本映画史上では木暮実千代、淡路恵子、清川玉枝ぐらいしか思い出せない。

ただし、夏子役としては余りにもセクシーすぎてミスキャスト。それなら(当時)夏子にぴったりの女優は? と問われれば、「久我美子」と答えましょう。

若原雅夫はふやけた悪役・須賀不二男のそっくりさんぐらいのイメージしかなかったが、ご指摘の通り、この作品では実にいい「もうけ役」となっている。

【お詫びと訂正:】
「色気のある女優と言えば~」の文章より「清川玉枝」氏を削除いたします。ここに謹んでお詫びし訂正いたします。
2. Posted by ねこむすめ   2016年01月28日 14:26
赤松さま、色気のある女優と言えば清川虹子さんでしょう(笑)。
総天然色というのもあり、あの桂木洋子さんも唇が赤く、チークも赤い。若原さんの服も黄色で、確かに目がチカチカしそうですね。でも、その割に熊はチャチかったなぁ。
カラー第1作が1951年で。この作品が53年なので、カラーというのは結構ハードルが高かったのですね。アメリカ映画なんかは、戦前からカラーだったのに、やっぱり差はあったんですね。それよりも、やはり日本映画のフィルムの保管の悪さが気になりますね。
角梨枝子さんって、何もしなくても色っぽいですね。こういう有閑お嬢さんは、そんなにミスキャストというほどでもないかなぁと。
3. Posted by わい   2016年01月28日 15:59
総天然色
【カラー】(富士フィルム)
最初の天然色映画は「カルメン故郷に帰る」でしたっけ。
私が中学生の頃でしたかリバイバル上映されてました。
[パートカラー]
いうのもありましたな。
「怪談バラバラ幽霊」(大蔵)
がそうでした。
これ、伊丹の特撮映画祭(伊丹グリーン劇場で年に4、5回、開催されてました。)で見ました。
成人映画で、そういう場面になると急にカラーに。
場内爆笑もんでした。
この伊丹グリーン映画祭、特撮映画を5、6本オールナイト上映。
壁にはウルトラQの5円ブロマイド貼ってあるわ、普段入手できないポスターなどのグッズ買えるわ。
最終回のときには入手困難なポスター、たったの500円と夢のような映画祭でした。
4. Posted by ねこむすめ   2016年01月30日 09:40
わいさま、天然色ということは、人工色があるということなんでしょうか。
パートカラーって、昔ほ邦画をみると、ときどきされていますね。いまでこそ、カラーはふつうだけれど、それがふつうになるまでには年月と手間がかかったんでしょうね。
伊丹グリーン劇場も、もうなくなったんでしょうか。伊丹は兵庫の中でも、塚口や西宮に比べて、ちょっと繁華街としては半端な位置のような気はしますね。

5. Posted by わい   2016年01月30日 13:43
伊丹グリーン/ローズはなくなったと聞いています。
最後に行った特撮上映会では「グリーンリボン賞」参加作品も上映されました。
まーっ、正視に絶えない作品もありましたね。
残りの作品はローズで上映。
そのアナウンスが
「当劇場では時間の許す限り!お客様の耐えられる限り上映いたします。」
場内大爆笑。

ローズといえば梅田ローズ。
あの手の専門劇場で有名ですが、今でもあるんでしょうか。
昔「ぴあ」や「プレイガイドジャーナル」によるとヤング薔薇族ショーなるものが行われていたとか。
6. Posted by ねこむすめ   2016年01月31日 00:44
わいさま、梅田ローズは、2011年に亡くなりました。ねこのブログでも、梅田日活劇場という記事で、取り上げています。
ねこは昔、日刊ゲンダイでそこで薔薇属のショーの記事が取り上げられているのを読んだことがあり、いつか行ってみたいなと思いましたが、根性がなくていけませんでした。女性客もいたそうなのですが。


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ねこむすめ

にゃんこと昔の日本映画が大好きな道楽者です。
にしなり在住。

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