2016年09月27日

憎いあンちくしょう

    1962年制作、藤原惟繕監督の「憎いあンちくしょう」を観ました。
 北大作(石原裕次郎)はマスコミの寵児で、映画出演、ラジオ、司会
ryi[1]等々フル回転。彼をしきるマネジャー兼恋人の榊典子(浅丘ルリ子)、二人は男女の関係にぎりぎりなりません。分刻みで動く生活に疑問を感じた大作の前に、番組で井川美子(芦川いづみ)の出した、「ヒューマニズムを理解できるドライバーを求む。中古車を九州まで連んでもらいたし。但し無報酬」という奇妙な三行広告がとりあげられました。美子の恋人で医師の敏夫(小池朝雄)は、九州の片田舎に住んでもう二年も離れたままでしが、今なお二人の間には純愛が続いているそうでした。大作は「僕が運びます!」と本番最中のテレビ・スタジオを飛び出すのでした。典子もスポーツ・カーで、ジープを飛ばす大作を追います。
 番組を企画した取材班らの車がそれに続いたのですが、大作の心には、美子の純愛を確かめることだけ。ジープは一路九州へ、洗川村では美子と敏夫が大作を待っていたのでした。
hqdefault[1] マルチな活躍をする大作、いまで言ったら誰だろう。一応、故・永六輔さんがモデルだそうです。いまどき「あンちくしょう」なんて、誰も言わないけれど、当時としてはかっこいい言葉だったんでしょうね。んがカタカナというのにもこだわりか。
 この当時の、ルリ子さん、一番きれかったんでしょうね、働く都会の女性、颯爽とスポーツカーに乗る姿もきまっていて、いまみてもかっこいい。
 相変わらず、小池さん目当てに観たのですが、マスコミに囲まれて困っているのが、また小芝居が効いていてよかったです。純愛ですか、ねこもあんまし信じてないけれど、芦川さんが言うと説得力はありますね。
     


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コメント一覧

1. Posted by Red Pine   2016年09月28日 10:08
(その一)
「こんな裕次郎はイヤだ!」と確かにその時そう思った。
裕次郎といえば「嵐を呼ぶ男」「俺は待ってるぜ」「風速40米」などのタフガイ・ヒーローであって欲しかった。

同年製作、同監督でも映画らしい映画の「銀座の恋の物語」の方が遙かに(by far)好きだった。

それが50年以上経って見直してみると、実に実に三つ星級、文句なし、あっぱれな蔵原惟繕の快作だったのですね。

ビートの利いたジャズ音楽、スピーディーで息を呑む展開、思わず唸り、卒倒するカメラ・アングル、山田信夫の珠玉のセリフ、二人の機関銃のような早口、「逃げる男」に「追う女」、「ヒューマニズム」という言葉がまだ日本に定着していなかった時代にそのテーマに挑戦、

いずれも金太郎飴を切ったように蔵原監督の才気が溢れる、ほとばしる、飛び散っている。

当時の技術としては仕方がなく、自動車疾走時の背景のスクリーン・プロセスが気になるところだが。

この作品は裕次郎の「青春もの」から「ムード・アクション」へのパイプ役を果たしているのではないか。

「嵐を呼ぶ男」などは今見てみると映画としては超愚作・駄作にすぎないが、「憎い~」は今なお色褪せない輝きを放つ傑作だ。

今回、見直して本当によかった。

2. Posted by Red Pine   2016年09月28日 10:09
(その二)
ルリ子のスポーツ・カー運転ルックスもよかったが、ブルマーのような下着姿(当時としては大女優がこのようなエロチックな姿態を見せるのは珍しかったのではないか)、それに男もののシャツとズボンを着た身なりはセクシーitself(そのもの)。

ルリ子も「お人形・マネキン」役から「生身の女性」への演技開眼というところだろう。

一方、我が永遠の乙女・芦川いづみはこの作品では何故か少し疲れているようですね。

小池朝雄には参ったな、あのドスのある思わせぶりな声で愛を叫ぶかと思っていたら、一言もセリフはなかった。

私的には Your Honor, Objection!
この役は小高雄二の方がよかったのでは。

「憎いあンちくしょう」は、格好いい男性を表わす流行語となりました。
当時は流行語がほとんどすべて映画から生まる時代でした。


最後に朗報。

この映画が何とFor Nothingで「にっぽん名作映画館」にて見られるのですよ。

急げ、急げ! 急がないと名作が逃げちゃうよ。

勿体ないなぁ、この映画を知らないなんて。
3. Posted by ねこむすめ   2016年09月28日 10:51
赤松さま、もう一度見返したのですね。
ねこはこういう裕次郎の方が好感持てました。「あんちくしょう」というのは、かっこいい男性を指す言葉だったのですか。やっぱり、流行り言葉というか、死語というのはおもしろいですね。言葉をはやらすために、映画会社も題名のネーミングはすごく練っていたんでしょうね。
そして、この時代はまだ、ヒューマニズムを信じようとする雰囲気がまだあったんですね。モラルハザードな現代では、どうなんでしょう。下手すると笑われそうな。でも、いまだからこそ取り上げてほしいような。
小池さんは、出番も少なくて、セリフもなかったけれど、困惑している小芝居だけでねこには充分でした。名優は、セリフなしでもいろんなことを表現できるのだなぁと。
この頃は、浅丘さんと藤原監督は付き合っていたんでしょうかね。確かに、浅丘さんと芦川さんの撮り方の扱いとか、差を感じます。ねこも、よくあえて男性用のシャツを着たりするのですが、色気はないので単なるおっさんになってしまいます。
4. Posted by さすらい日乗   2017年07月24日 20:41
5 何を隠そう、今まで見てきた内外の映画の中で、一番好きな映画です。
風俗的な斬新は、浅丘ルリ子のパンツの幅(若尾文子でも下着で幻滅しますね)を除けば、今も十分に通用します。

劇的にも大阪駅での大群衆シーンもすごく、ここでジープに乗り込んで来るのは青年座で元山岡久乃の夫・森塚敏です。ガソリンスタンドの親父で山田禅二も出ています。
日活の俳優総出演ですが、凄いのは、この傑作が通常の公開作品として作られていることです。
要は、当時の日活映画の力を感じさせられる名作だと思います。

林真理子の本を読むと、この映画の途中で、ルリ子と蔵原監督はできたそうです。ルリ子は、本当は裕次郎が好きだったのですが、終始相手にされなかったとされています。
5. Posted by ねこむすめ   2017年07月24日 23:01
さすらい日乗さま、そうですね、風俗的なだけでなく、内容も現代に十分通用する作品だと思います。
大阪駅もすっかり現在は、進化したというか東京とあんまし変わらない風景になってしまいましたが、この頃はまだ大阪という感じが景色に残っていました。
これをスクリーンで観ていたヒトたちは幸せですね。

さて、ねこも林真理子さんの本を読みましたが、ルリ子さんもあれだけの美人だから周りがほっとく訳がなく、浮名はありました。なんか、チャンユウも付き合うヒトと結婚する女性は別みたいな考え方で、実際に北原さんはよき妻でありました。ルリ子さんは、あくまで女優なヒトなのでよき妻になれないというのは正解でした。

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ねこむすめ

にゃんこと昔の日本映画が大好きな道楽者です。
にしなり在住。

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