2019年01月05日

かぞくのくに

51PJnwF4pTL[1] 2011年制作、ヤン・ヨンヒ監督の「かぞくのくに」を観ました。
 主人公・リエの兄・ソンホ(井浦新)は、父親の勧めに従い、1970年代の初めに、帰国事業により北朝鮮へと渡りました。その後、ずっと別れ別れになっていたのですが脳に悪性の腫瘍を患い、病気治療のために、監視役(ヤン・イクチュン)を同行させての3ヶ月間だけの日本帰国が許されます。25年ぶりに帰ってきた兄と、日本生まれで自由に育ったリエ、そして両親との家族だんらんは、微妙な空気に包まれていたのでした。

兄のかつての級友たちは、奇跡的な再会を喜びあいます。その一方、検査結果はあまり芳しいものではなく、医者から3ヶ月という限られた期間では責任を持って治療することはできないと告げられることに。なんとか手立てはないかと奔走するリエたち。そんな中、本国から兄に、急遽次の日に帰還するよう電話がかかってきたのでした。

監督の320[1]ヤン・ヨンヒさんの体験を基にしたフィクションの作品。国家や組織に翻弄される一家を、淡々と描いています。
 あんまし国というのを信用していないし、親も自分も組織に属したことがない身にとっては、なんでそこまで振りまわされなければならないかがよく分かりません。別に属さなければ生きていけないということでもないし。
 今回、調べて分かったんですが、北朝鮮への帰国運動は、1967年に参加者が少なくなったといことで、一旦中断されていたんです。しかし、わざわざ1971年に再開されて、ソンホも行くことになるんですが、これはやはり組織がさせたことなんでしょうね。そして、実際、息子が帰国したことで、父親は組織で出世します。そのあたりのことは映画では描かれていませんが、そこが分からないと、この映画は単なる一家族の悲劇です。ねこにとっては、父親、そこまでして出世したいかとは思うのだけど。それで、結果がこれだし。
 作品としては、俳優陣が抑えた演技で、それがリアリティを醸し出しているなぁと。安藤サクラは自然体を意識しすぎてかえって、演技してる感があったんですが。やっぱり、そこがリアリズムの難しいところ。
 それになんと、第86回キネマ旬報ベストテン、日本映画第1位だそうで。確かに悪くない作品ではないけれど、第1位になるほどかなぁ。歴代の受賞作からみると、なんか、日本映画、底上げしすぎなんじゃないかな。

かぞくのくに
安藤サクラ
2014-08-27





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コメント一覧

1. Posted by Red Pine   2019年01月05日 18:20
(その一)

女流監督の梁英姫の演出の腕は確かで、呉美保監督よりも才能があると思う。
ストーリーの構成とそれぞれのエピソード(スーツケースや貯金箱の件が涙を誘う)、出演者の演技力が見事に歩調を合わせている。

韓国・北朝鮮問題をテーマにした「月はどっちに出ている」(キネ旬第一位)「血と骨」(同二位)「パッチギ!」(同一位)「GO」(同一位)などがあり、これらはいずれも高評価を受けているが、ジャッジが(個人的には)甘すぎると思う。

この映画(「かぞくのくに」)からは、小津安二郎や成瀬巳喜男作品を見終わった時のように、感に堪えない染染(しみじみ)感に胸が詰まさせらされた。

小生にはこれはキネ旬第一位のバリュー(value)は十分にあると思う作品だ。

この映画に見る人が胸を衝かれるのは、北朝鮮への帰国事業などイデオロギーを絡ましているが、それ以上に人間なら誰しも感じる「家族の姿」を映画を描いているからではないだろうか。

こういう手の、暗く思い政治的テーマの映画を避けている人も、これは本来は「家族」をテーマにした傑作なので、是非鑑賞して欲しい。

監視役(ヤン・イクチュン 小柄ながら凄みのある面構えの役者だ)がコーヒーに何杯もの砂糖を入れるシーンには苦笑い。

初めは冗談でやっていると思っていたが、平然と砂糖を惜しげもなくたっぷりと混ぜ込み、それを何食わぬ顔で美味しそうにグイッと飲み干している(北朝鮮では砂糖が不足しているのか)のには参った、参った!(名シーンなのだ)

安藤サクラも宮崎美子も村上淳も完璧に北朝鮮人役に徹していて、井浦新という俳優を知らなかったので、最初は韓国か在日の俳優かと思っていたくらいだ。
2. Posted by Red Pine   2019年01月05日 18:20
(その二)

日本人が好む言葉は「家族(かぞく)」「愛」「夢」などが常に上位に挙げられるらしい。

新年が始まり、いよいよ、追撃開始!

一方、アメリカ人が親しみを感じる文字(A~Z)のトップは、FamilyやFiendを連想させる「F」であるというようなことをどこかで読んだ。

成る程、Fで始まる単語はいい気分にさせてくれる、楽しく明るい単語が多い。

(Family, Friend,) Flower, Food, Freedom, Fun, Fancy, Fantasy, Fascination, Fortune, Future, Forever, Fairy, Fine, Farm, Fruit, Forest, Fountain, Fellow, Folk, Fiance, Fresh


しかし、小生には目を背けたくなるように不快なF単語が次々と頭に浮かび、「F」という文字は本能的に嫌悪感と拒否反応を引き起こす。

Freak, Frenzy, Fret, Fault, Famine, Fat, Formidable, Fool, Fiasco, Fart, Fear, Fanatic, Foul, Flea, Flu, Flood, Fraud, Fury, Fake, そして極め付きは「F - Cape」 という単語だ。

3. Posted by ねこむすめ   2019年01月05日 19:51
赤松さま、今年もよろしくお願いします。

なんか、段々と強引になってきましたね。
直訳すれば、Amazing Capeではないんでしょうか。うむ、ニュアンス的にamazingであってるのかな。

それにしても、最近のキネ旬1位って、どうなんでしょうかね。なんか値打ちがさがっているような。やっぱり選考するヒトがどうしても甘くなるのかなぁ。話はちょっと違うけれど、直木賞でも、在日を扱っているの作品に対してはちょっと甘い気がします。

ねこは、どうしてもイデオロギーが先行してしまうので、バイアスがかかって、家族そのものを扱った作品ととらえられないんですよね。確かに真っ白な気持ちで観たら、赤松さまのような印象を持つかもしれません。
でも家族といっても、そんな息子を人身御供するような親は、別に家族でもなんでもないような。戦争で引き裂かれたとか、どうしても抗えない理由があって、家族が困ってるんじゃなくて、自分がまいた種で何悩んでるんだろうって思うんですよね。あの息子にとって、父親は絶対だから言うことを聞いて北朝鮮に行ったんだけれど。

作品よりも、確かに登場人物の芝居は印象に残りますよね。ヤン・イクチュン扮する北朝鮮の監視人は、多分、北朝鮮ではコーヒーを飲んだことがないんだと思うんです。そんなのを飲める身分じゃないから。見栄はって飲み慣れてるようにしてるんだけれど、結局ばれてるというような。出されたもんは、全部入れて飲まなきゃいけないと思ってたんでしょうね。

あと、北朝鮮に住んでいる井浦新さんは、北朝鮮人であるんですが、安藤サクラは、日本にいる朝鮮籍なので、朝鮮人になります。確かに井浦さんは、イマドキ珍しくうまい役者だと思いました。

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ねこむすめ

にゃんこと昔の日本映画が大好きな道楽者です。
にしなり在住。

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