ファーストフードも「老舗」の日本
大都会から片田舎の隅々まで、いたるところにある牛丼の「吉野家」が、昨年創業111年を記念してキャンペーンをしていました。
現代のファーストフードとも言える牛丼の「吉野家」が、111年も続いている老舗企業であることに驚きつつ、美味しさの理由が分かったような気がしました。
考えてみると私たちの周囲には、「創業○○年」とその歴史を冠する老舗がとても多くあることに気がつきます。
思いつくものを少し挙げただけでも、天正年間(1573~92年)創業のヒガシマル醤油(兵庫県)や、延宝元年(1673年)創業の三越百貨店(東京都)、宝永4年(1707年)創業の赤福(三重県)など、ご当地銘菓となるとその多くが老舗企業であるように、私たちの身近に老舗企業は今も生きています。
日本は「老舗」天国
現代も大阪に残る建設業「金剛組」は、聖徳太子の御代、敏達天皇6年(567年)、我が国初の官寺である四天王寺を建てる為に百済から渡来した工匠たちが創業しました。
「金剛組」は、四天王寺専属の宮大工集団となって、大阪冬の陣など幾多の戦火によって焼失した寺を生まれ変わらせ続け、幾多の厳しい時代を乗り越えて老舗企業として現在まで続いています。
もちろん、その古さは他の追随を許さず世界最古で、1400年以上もの間、伝統建築である寺社を建て続け、守り抜いてきた奇跡の老舗企業と言えるでしょう。
日本には創業以来200年を超える企業が3000社も残っています。
創業200年というと、同じアジアでも中国ではわずかに9社、インドは3社残るばかりで、韓国には全くありません。
我が国は、100年以上続く企業だと1万5000社もあると言われており、まさに「老舗」天国です。
日本は、皇室とともに神話の時代から2000年以上も続く世界地図上の最古の国家ですから、世界最古の企業があることも、老舗が多く残ることも決して不思議ではありません。
中国の自称「4000年の歴史」は、支配王朝が民族ごと入れ替わり、前王朝を徹底して破壊してきた断裂した歴史ですから、いくら表面上の歴史が長くても老舗企業が少ないことは当然です。
こんな所にも、私たち日本人が世界に誇れる歴史が隠れているのです。
不義にして富まず
ある老舗酒造業の家訓に「不義にして富まず」とあるように、これら老舗に共通するのは、「三方よし」という考え方です。
三方とは、「お客様」「企業」「社会(世間)」のことです。
商売は、企業だけが得をしていたのでは、ゆくゆく客が離れてしまい、一時的には儲けてもやがて潰れてしまいます。
ですから、ご先祖から受け継いできた技術で、世のためになるものを造って売ることで、何か世の中の役に立ちたい…その志こそが、日本の老舗を次世代へとつないできたと言えます。
もちろん、この「三方よし」という考え方は、世間への根強い「信頼感」が流れていればこそです。
中国のように、騙し合い、奪い合うような侵略の歴史が繰り返されてきた社会では、醸成されることがないものです。
老舗企業は、世間を信頼しているからこそ、「誠を尽くして商売をしていれば、世間は受け入れてくれる。」と正業に励み、その歴史を現在まで紡いできたのです。
現在の私たちは、日本の社会(世間)の根底に流れる「信頼感」を意識することはほとんどありません。
しかし、私たちは、我が国が悠久の歴史の中で紡いできた国民相互の「信頼感」こそ、大切にしなければなりません。
それは、世界に誇れる文化だからです。
老舗企業は、そのことを私たち国民に教えてくれています。
学校でも、「生徒同士」「教師と生徒」「教師と保護者」そして、「教師同士」の「信頼感」もがどんどん失われようとしています。
だからこそ、子どもたちに老舗企業が続いてきた意義や素晴らしさを教えたいものです。




