偏向した「生徒用資料」
第二次世界大戦中の1942年ウエストバージニア州の教育委員会は、公立学校で国旗敬礼を義務付け、これに従わないものを罰するという規則を作りました。しかし、バーネット家の人々は、宗教上の理由で国旗への敬礼が聖書の禁じる偶像崇拝にあたると考え、国旗敬礼を拒みました。この結果、子どもたちは退学処分を受けました。
1943年連邦最高裁は、バーネット家の主張を認め「国旗に対する敬礼や忠誠を強要しようとする地方教育当局の行為は、自らの権限の限界を超えるものである。しかも、あらゆる公の統制から留保されるべき憲法修正第一条の目的である知性と精神の領域を侵している」として教育委員会の規制を憲法違反としました。
判決では、いかなる公務員も政治やナショナリズム、宗教、その他の意見において、何が正当であるかを決めたり、もしくはそれに関して市民が自らの信念を著作や行為によって表現するのを抑制することはできない、と述べています。
さらに判決は、「強制的に反対を除去しはじめる人々は、やがて反対者を絶滅させようとしていることに気づく。意見の強制的な統一は墓場への統一をもたらすにすぎない。」と述べています。(誤字脱字、意味のつながらない箇所は私が訂正しました)
これは、前volで報告した「国旗・国歌の授業にさいしての注意事項」と一緒に、教員に配付された生徒用資料です。
その目的はもちろん、この資料を使用して授業をするためです。
米国「国旗規則」
米国では、ウエストバージニア州が国旗敬礼を義務づけた同年、「国旗にかんする規則」を下院で採択(合衆国法典第4編第1章「旗」第1条「星条旗」)し、「忠誠の誓い」を公式な国家への宣誓と認めることを同年6月22日公式決定、公式行事の際には国旗敬礼とともに宣誓文を暗唱することとしました。
I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with liberty and justice for all.
(私はアメリカ合衆国国旗と、それが象徴する、万民のための自由と正義を備えた、神の下の分割すべからざる一国家である共和国に、忠誠を誓います)
そして、国旗敬礼の礼儀として「忠誠の誓いは合衆国国旗に顔を向け、右手を左胸の上に置き、起立して暗誦しなければならない。私服の場合は、宗教的な物を除くいかなる帽子も取り去り、左胸の上に置かれた右手で左肩の上に掲げなければならない。軍服を着ている場合は無言のまま国旗に顔を向け、軍隊式の敬礼を行う」ことが定められました。
米国では、この礼儀(厳密には法律ではないので、罰則規定はない)は現代でも大切にされ、公式行事や学校などでは今でも国旗敬礼とともに「忠誠の誓い」を暗唱しています。
このような連邦議会による「国旗敬礼」制度化の経緯があって、ウエストバージニア州の教育委員会は公立学校で義務付けました。
後に、連邦最高裁がこの規則を違憲としたのは、「宗教的理由から拒否をした子どもに(退学という)罰則を与えるという行為」が州の権限を超越したと判断されたからです。
そして、違憲の根拠のひとつとされた修正憲法第一条は、政府による国民の宗教上の行為、報道、集会などの自由を奪うような法律制定を禁止しているもので、決して国旗敬礼そのものを否定しているものではありません。
もし、この当時の最高裁が国旗敬礼そのものを違憲と判断したのならば、現代米国において国旗敬礼とともに「忠誠の誓い」をしたりはしないでしょう。
また、「宗教的な物を除くいかなる帽子も取り去り」、「起立して暗唱しなければならない」と国旗規則にあるように、宗教的理由に寛容な現代米国でも、許す範囲で国旗敬礼を国民に求めていることをこの生徒用資料は書いていません。
不都合を隠蔽した資料
今日紹介した資料は、自分たちに都合のよい部分だけを取り出し、「国旗敬礼の強制は違憲判決が出ている」という事実を強調して、「米国では国旗敬礼そのものが否定されているか」のようなイメージ操作をしているものです。
そして、国旗・国歌斉唱不起立は、日本国憲法が保障する「個人の思想・信条の自由」によって許される行為であり、生徒だけでなく何人(教員)にも不起立の自由があるというイメージを作り上げようとする資料です。
明らかに、反国旗・国歌の思想を持った教員らが作り上げた資料であることは間違いありません。(今回、教員に配付された資料の出所は判然としませんが、日本共産党のHPには同様の記事が掲載されています。)
おそらく日教組や全教(全日本教職員組合)など反日組合が教育を支配する地域では、同様の資料が出回り、授業が行われているはずです。
彼らは、全国で反日運動(闘争)を展開しますから、一地域の問題ではすみません。
もしこの資料だけで国旗・国歌について指導し、国旗敬礼に対して間違った印象を植え付けているとすれば、それは許すことのできない偏向教育以外の何物でもありません。



