この先未定

午後8時二人は家の和室にいた。
時計の秒針の音がうるさいくらい頭の中でなっていた。

「2メートルくらいか。」
「…」
「遺跡って掘る時大変だよな。」
「…」
「建て替えたり、工事入ったらどうなるかな?」
「…」
「私もやってた。」「?」「私も殺してた。」
「言わなかったけど、中2の夏休みうちの
親が交通事故、やったじゃん。」
「あーひき逃げのな。」
「あれ、親父さんなの。」
「!?」「どっどういうこと?」
「うちのパパ、親父さんにお金、貸してて。額は言わなかったけど。んであの日駅前で待ち合わせして親父さんの車の中で返済の件で話した帰りに…。」
俺は何も考えられずにいた。
今すぐこの穴に親父を放り投げたかった。

隣の叔父さんは、すごくいい人だった。
だった…そう、その事故でなくなっていた。


「光!……ごめん!…ごめんなさい。」
「俺、自首する。光の叔父さんのことも
こいつのこともおれがみんなやったんだ。
だからいっ今すぐに。警察、行ってくる。」
「考えた。」
「えっ?」「なにを?」
「崖がら転落させよう。」
「?」「はぁ?じゃないよ!私もあんたの親父には怨みがあったんだから!」
「だけどさ。事故なわけでさ。
まだ未成年だから。」
ガッ!
光は俺の服の左肩の生地を拳で捲り上げ
「怨み…わかる?」
「法じゃ裁きたくない感じ。
わかる?」光が変わっていくのを感じた。
恐ろしく見えた。
「だからこうなる運命。そう、運命なんだよ。あんただって私があの場にいなかったら…殺されてたか、監禁されてたか、…
私が監禁されて脅されこの町で嫌々働かされてたかも」
「んなこと考えるなよ。親父の運命…
考えたくもないな。こいつのせいで…
暗いわ。俺の人生。はぁー」
二人は大きくため息をついた。


時間が経過し埋める為の穴が4mほどになり親父を放り投げた。
凶器と一緒に埋めた。
和室は何事も無かった様に元に戻っていた。
時間は深夜4時になっていた。
「明日出るんでしょ?」
「…いやまだだ」

「顔の腫れ引いた?」
少し心配してくれていた。
「えっ?心配してくれてる!ビックリだ〜!やだ〜どうした?」
少し意地悪く言った。
光は手に持っていたCDで俺の左頬をペシッと叩いた。
「返しに来たんだよ。」
「ありがとうございました。
やっぱり私にはフガジとかジミヘン?あと〜サブライムだっけか?」
俺は頷いた。
「分からないな〜…」
「だから〜聴いても光の好きな曲じゃないって言っただろ。」
……しばらく沈黙。
「?」なんだろう。光がなにか言った
「えっ?なに?なんか言った?」
光は下向いたまま「だからさ、たまには帰ってくるんだろ?」小さくいつもより低い声で呟いた。
「どうかな。帰るとこ無いし。
ここ(家)、俺の居場所じゃないし。」
「うち!家に来ればっ。んな遠慮せずに。
飯は無料、宿代無し、美人の女将付き
最高じゃん。」光は下を向いて呟いた。
「ありがとう。」何故か俺はホットした。
「安心した。帰る場所あって。」
光はこっちを見て大きく頷きながら
「もちろん」
2人は少し見つめあってしばらくして笑いあった。
すると玄関の脇の透かしガラスから人影が現れた。
親父だ。今日は帰らないはず。
俺の見送りもしないやつだ。なんで今?
ガタガタとなにかにぶつかりながら親父は
ドアノブに手をかけた。
その瞬間、光がノブに手をかけドアがあかないように力み始めた。
「なっなにしてる?」小声で俺は光に言った。
「えっ?」
「っわかんないっ!」
お互い引っ張りあっていた。
ガタガタ古いドアが今にも壊れそうになってる。
「なんじゃぁぁこりゃ!
だれだ〜っおい!小僧っ!てめーまだおれの家にいやがんのか〜!」
「よしわかった〜大都会に行けないようにしたるわ。ひひひ」

親父はドアが壊れるほどに蹴りだした。
バキッ!

扉に穴が空き親父の足が飛び出した。
光は飛び出した足に膝を蹴られうずくまった。
「きゃー痛い痛い!」
膝に扉の破片も刺さった。
光の血が流れている。
親父も扉から足を抜きとったとき足を傷つけたらしく、足に血が流れていた。
扉が空きまず俺を見てにやけた。
「バカなやつ
義務なんだよ!てめーをそだてる。
やんなきゃ金もらえねーだろ。おわっちまったゆ。この先どーしりゃいいんだ?えっ?」
俺は恐怖に満ちていた。
「恩返しするんじゃねーのか?普通〜?
ババーの親戚に逃げやがって…くそっ」
少し正気に戻った顔をした。
足元でうずくまった光を見た。
「?」
「隣の娘?なにしてる??」
光をまじまじみている。なんかやばい。
「てめーか扉抑えていたのは?」
……「なんか、女になってんな…しらんあいだに。」「なぁー?」
俺に向かって話かけた。
「もういいだろ。光、怪我したんだ。医者つれてくよ。」
光のとなりに居る親父をどかそうと肩を触った。
「!!」
「どりゃ〜!」顔面を裏拳で強く殴られた
「さわんな!ボケ〜!」
俺はよたり、うずくまった。
「小僧ほっといて俺と遊べ!
いい脚してるな〜。」光の血だらけの脚を
親父は撫で回しながら光の髪を引っ張り顔を自分に向けさせた。
光は泣きそうになりながらも親父に睨みつけ「最低の父親だ!あたしが守るんだから!」
「へっ惚れてんのか?この馬鹿に?」
同じ血が流れてんだ。一緒だ。ほらキスさせろ!」


「!」
ドッ

俺は玄関にあった工具箱からマイナスドライバーを手にしてその手を親父の首に刺していた。
時間が止まっていた。
近所の公園からは5時を告げる音楽が流れていた。

顔の腫れも引いた二日後、荷物の整理も終わえ旅立ちを明日に控えていた。
俺には、東京へ行ってなにかをやりたいとかは何も無い。ただ何も無いこの町を出たいだけだった。俺が幼い頃母親は酒乱の親父に愛想尽かし家を出た。残された俺は幼く無力で毎日を耐えていた。
逃げる場所はカーテンに包まること。
母親の祖母が近くに居てくれたことが救いだった。
危険を感じると隣の家の人が祖母を呼び
俺を連れて行ってくれた。
隣りの家は家族三人。
娘は俺と同級生だ。あいつは何かと世話を焼いてくる口うるさいほどに。
(ピーンポーン。)
ん?誰かきた。
親父は昨日からいないみたいだ。
「はい?」
「おはよ」隣りの光(ひかり)だ。

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