昨日もテレビで、風疹の大流行、先天性風疹症候群(CRS)、ワクチン不足の懸念、過去の国の無策を責める様な報道をしていました。

最初の3つについては、今までにも書いているので今回は省きますが、昨晩のニュースでNHKの女性記者が言っていた「風疹患者が1万人も出る様な先進国は日本以外にない」というのは、今まで私が散々言って来たこと(どこからか、私の予防接種外来を覗いていたのかと思いました(笑))ですが、この原因の多くは、国のワクチン行政の失敗だと思います。

でも、ワクチン行政がこんな風になってしまった責任の一端(かなりの部分)は、マスコミや、一部のワクチン反対論者にもあるのですが、当然彼らはそのことには、全く触れません(責任を回避しているのか、あまりに無知で、自分たちのして来たことの責任に気付かないのかわかりませんが)。

平成17年に、日本脳炎ワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)との関連が問題になり、積極的勧奨の差し控えの通知が出されたことがありましたが(定期接種は継続)、この時もマスコミは、日本脳炎ワクチンは危険なワクチンだという印象を植え付ける様な報道をし、日本脳炎ワクチンを受ける小児がほとんどいなくなり、そんな中、平成22年に積極的勧奨が再開されまでのおよそ5年間に、数名の小児の日本脳炎患者が発生しました(それ以前は小児の日本脳炎患者はありませんでした)。

また、昨年10月に、日本脳炎ワクチンを受けた男の子が、直後に心停止を起こして死亡する事例がありましたが、この時もマスコミは、大々的に「日本脳炎ワクチンは危険」という印象を持つような報道をし、その後、致死的不整脈が出る危険性のある、併用禁忌(同時に飲んではいけない)の2種類の薬を飲んでいたことが原因の可能性が高いという、専門家の「副反応検討部会」の結論が厚生労働省から発表されても、一切そのことは報道しませんでした。

さらにインフルエンザワクチンでは、何年か前ですが、「本当の」ワクチン、感染症の専門家である、当時、国立感染症情報センター長だった岡部信彦博士と、ワクチンやウイルスを専門に研究したことも無い様ないわゆる「ワクチン反対団体」の代表者の意見を、同じ比重で紙面に載せる新聞もあった訳で、基礎知識のない一般の人は、どちらの意見を信じたら良いのかわからなくなってしまいます(ワクチン反対団体の人たちの中に、ウイルスやワクチンの基礎的研究をやったことのある人は、まずいないと思います)から、こんな点でも、マスコミの責任は重いのです。

平時には、ワクチンの危険性(副反応)を必要以上に言い立てて、一般の人の不安を煽りたてるだけで、ワクチンの必要性、他の先進国では定期接種になっている「おたふくかぜ」や「みずぼうそう(水痘)」の定期接種化問題などには触れようともせず、こんな時だけ大騒ぎするマスコミの無責任さには呆れるほかありません。

ニュースキャスターももう少し勉強すべきですし、医学担当の記者も、今の100倍位勉強して(それでも医学部の2年生レベルにも届かないでしょうが)から報道すべきですし、最初から自分たちの言いたいことに都合の良い映像ばかり流すのではなく、本当の専門家の意見を謙虚に聞いて報道して欲しいものです。

先天性風疹症候群は、母親(妊婦さん)に風疹に対する免疫があれば起こらないわけですから、風疹ワクチンを受けなかったのは何が原因だったのか、マスコミには自分の胸に手を当てて、良く考えてもらいたいと思います。