上海・東京・名古屋・京都を飛び回る税理士の告白

税理士法人名南経営 近藤充 公式ブログ

5月の営業税廃止、増値税一本化に伴い、税務局の運用が少しづつ見えてきています。

今回は、これまでにご質問頂いた、仕入増値税が控除できるか否かという点の取扱について
報告したいと思います。

1、交際費の取扱
  飲食にかかる発票も、従来の営業税から増値税へ変更されました。仕入増値税が含まれて
  いることとなりますが、飲食に関する増値税は売上増値税と相殺しないこととなっています。

2、宿泊代の取扱
  会社業務で宿泊した場合の発票も、増値税へ変更されました。いわゆる「専用発票」で発行
  してもらえる場合は、会社業務という前提はありますが、宿泊に関する増値税は売上増値税と
  相殺することが可能です。

3、住居費の取扱
  駐在員の住居費を会社が負担しているケースがよくあります。この場合の発票についても、
  増値税へと変更されています。しかし、住居費とはそもそも給与扱いすべきものであり、
  住居費に関する増値税は売上増値税と相殺しないこととなっています。

上記の取扱は5月以降順次取扱が税務局から発表されています。

相殺できないものは特段問題はありませんが、上記2の専用発票という条件つきで、相殺できる
ことに留意が必要です。というのも、専用発票の発行をしてくれるホテルかどうか事前に確認
すべきことが望ましく、可能な場合でもチェックアウトの時間に対応できるかどうかも確認すべき
でしょう。さらには、専用発票の発行に際しては、「社名」「税務登記番号」「住所」「口座情報」
が必要です。事前に自社スタッフにこれらの情報を渡しておくことも必要な対応となります。

2016年6月9日に「資本項目人民元転管理政策の改革と規範化に関する通達」(汇発[2016]16号)が発表されました。ここでいう資本項目には資本金や中国国外からの借入(外債)が含まれています。この通達のポイントは下記のとおりです。

1、 外貨建資本金及び外債口座の元転が任意に行うことができるようになりました。(第2条)
 ⇒ 比率は暫定的に100%とされており、全額元転することが可能となります。従来までは、取引に応じてという  
  形が原則であり、外貨建資本金口座・外債口座の残高によって、為替差損益が毎月計上されていました。  
  但し、この制度で元転した場合、「元転支払い待ち口座」に人民元で入金されますが、再度外貨建資本金口
  座もしくは外債口座へ戻すことは出来ない点に注意が必要です。

2、 用途制限が緩和されました。(第4条)
 ⇒ 下記の規定を遵守するよう明記されています。
   1、 経営範囲以外の支出に用いてはならない
   2、 直接或いは間接に証券投資或いは銀行が元本保証しない理財商品への投資はしてはならない
   3、 非関連企業への貸付を行ってはならない
   4、 非自社不動産の建設・購入はしてはならない  
  
  上記は禁止規定であるため、上記に該当しなければ使用できることになります。したがって、関連企業への
  貸付や、借入金返済に充当することが可能となりました。

 3、 手元現金の両替は毎月20万米ドルまで(第5条)
 ⇒ 外貨建資本金口座・外債口座から直接支払う場合、元転支払い待ち口座から支払う場合、資金用途を証  
   明する書類の提出が必要です。しかし、手元現金名目であれば、資金用途を証明する提出は不要となりま
   す。ただし、毎月の上限は20万米ドルまでとなっています。

この3月に「営業税増値税改革の全面推進に関する通知」(財税[2016]36号)が出され、5月1日より従来営業税対象となっていた建設業、不動産業等の業種に対して増値税対象となることとなりました。

2012年から一部都市でスタートした営業税・増値税改革もこれで総仕上げということとなります。最近よくお問い合わせをいただくのが、これは減税になるの?それとも増税になるの?というものです。今回はこちらについて説明させて頂きます。

(基礎情報)

従来は、簡単にいうと、モノ⇒増値税対象、サービス⇒営業税対象となっていました。対象によって適用される税目が異なるという結果になります。計算方式もそれぞれで異なります。増値税は日本の消費税同様、売上に係る増値税から仕入に係る増値税を控除した金額を納税します。一方、営業税は売上に対して、一定税率を掛けて計算した金額を納税します。重要な点は、営業税は売上のみで計算され、控除されることはない、という点になります。

(改正の目的)

したがって、サービス業を中心とした営業税課税事業者は物品購入の際に仕入増値税を支払ったとしても、増値税事業者のように控除できず、結果的に税負担が重くなっているという現状がありました。今後の中国サービス業を発展させたい政府としては、サービス業の企業を制度整備によって支援する、という目的といえます。
 
(従前の状況)


 増値税税事業者

 売上増値税(売上×17%)-仕入増値税(仕入×17%)=納税額


 営業税事業者

 売上×5%(業種によって5~20%)=納税額


ポイント

 増値税事業者は仕入増値税が多く計上されれば、納税額が減少しますが、営業税事業者は仕入増値税が多く計上されても納税額は減少しません。

(今後の状況)

 原則として、上記増値税事業者の計算方式が採用される

(コメント)

今後は、サービス業においても、仕入増値税が控除できるようになるため、減税として説明されている状況です。

しかしながら、単純に減税とは言い切れない状況があり、その要因は下記2点となります。



 1、税率の引き上げ

 営業税の税率と、今回サービス業に導入された増値税の税率を比較すると下記のとおりとなります。


             営業税     増値税 
・金融保険業     5%         6%
・不動産リース    〃         11%    
・サービス業      〃          6%
・建設業        3%       11%
・土地使用権譲渡  5%       11%
・不動産販売     5%       11%

 2、仕入増値税の控除

   売上増値税の控除をすることができる仕入増値税は適正な発票に基づくものである必要があるため、
  中国ローカル企業との取引で相手から回収できない場合、あるいは、取引企業規模によっては、小規模納税人として3%の仕入増値税しか適用されない場合も想定されます。
   

 上記2点の要因によって、仕入増値税が控除できるといっても 仕入増値税の控除ができる状況にならず、結果的に税率が上昇している分だけ増税となってしまうケースが発生すると考えられます。

 したがって、今回の改正対象となる企業においては、自社の仕入のうち、適正な増値税発票がどれだけ回収できるかをきちんと確認する必要があります。従来のように売上だけでは税額が確定できないという点に留意頂くことが対応の第一歩となります。仕入の増値税発票の回収状況によっては、価格変更をしないと従前の利益を維持できない可能性があります。

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