「中国で愛される民間芸術の極み」楊家埠の木版年画
『年画』は中国では、新しい一年を迎える春節(旧正月)において、
新年を慶び、厄を祓って、福を迎えるために、
欠かすことのできない縁起物でした。
しかし色鮮やかで賑やか、めでたい雰囲気の作品が大衆の人気を集めるにつれ、
いつしか新年ばかりでなく、結婚式、合格祝い、子供の誕生祝など、
様々な場面で使われるようになりました。
中国の色彩に乏しい大地、そして調度品もままならなかった民衆の家で、
この鮮やかな版画は圧倒的な存在感を発揮し続けてきました。
民衆から生まれた芸術ですが、伝説や縁起に裏付けられたデザイン、
鮮やかな色彩、味のある素朴な線や、プロ顔負けの線で描かれたものなど、
多岐にわたり、近年益々評価が高まりつつあります。
さて、この「楊家埠」は山東省にある、昔より版画つくりで有名な地域です。
年画は色々な地域で作られていますが、色彩、デザイン性から、
楊家埠のものが一番ではないかと思い、ここでまとめて紹介させて頂きました。
■織姫と彦星(牛郎会)
日本でも有名な七夕の一場面。
織姫と彦星がカササギの橋を渡って再会するという図案です。
http://www.enkyouhyakka.com/hanga/hanga01.htm
■子供を比べる(比娃娃)
年画もただ伝統的な図案を踏襲するだけではなく、伝統技法を使いつつも
近代風な図案を取り入れた時期がありました。
文化大革命時に、古い文化・風習が否定されたため、代わりに現代的な
モチーフの年画が作られました。
当時としては新しかったのでしょうが、40年もたつとこれはこれで伝統デザインといえます。
http://www.enkyouhyakka.com/hanga/hanga06.htm
■吉祥如意
如意とは「思うようになる」というめでたい言葉。
図案の中の鶏は、中国語での発音が「吉」と同じことから幸福の象徴とされています。
また、赤い鶏は火除けの意味があります。子供は幸福を象徴します。
http://www.enkyouhyakka.com/hanga/hanga08.htm
■門神(2枚1対)
家の中に邪悪なものを入れない「門神」の年画で、門に貼り付けるのが一般的な使い方です。
左が泰叔宝、右が尉遅恭という実在の武将です。
唐の玄宗皇帝の夢に悪霊が出て皇帝を苦しめた際に、
この両武将が枕元に立った途端、悪霊が出てこなくなったという逸話に基づく守り神です。