狩猟をテーマにしたトークイベントを開催
した。

このイベントの発端は、数多くの芸能人や
風景を撮影しカメラマンとして活躍しながら、
猟師としての活動もしている「幡野 広志
さんと、狩猟を目的に高知に移住し、猟を行
いながら猟師のHOW TOを分かりやすく書
いているサイト、「孤独のジビエ」を運営して
いる「東雲 輝之」さんがtwitter上で繰り
広げたバトル

この炎上を掘り下げる事で、狩猟業界の現状
や魅力をより沢山の人に知ってもらいたいと
いうねらいがあった。

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企画、進行は私の狩猟における師、サラリーマン猟師
彼も狩猟の魅力に取り付かれ、移住
転職までしてしまったほどの人間だ。私は運
営側だが、狩猟業界で名が通っている3人が
集まる機会という事でとても楽しみなイベン
トとして捉えていた。

ただ、かなりディープな内容なので、
「本当に人が集まるのか?」
という不安があったのも事実。

結果、30名の定員は予約段階で満席となり
当日は31名のお客さんが集まった。

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今まで、サーフィンや鎌倉野菜をテーマにし
たトークショーを実施してきたが、媒体を
使わずにここまでの反応は初めて。

狩猟が今、いかに注目されているのかが
わかる。

さて、トークショー。
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狩猟業界で名前が通っている二人の論争は、
Togetterでまとめられ10万ビューを超え、
300コメントがよせられて、話題になった。

議論のキモは「狩猟への考え方・向き合い方」
だった。幡野さんはカメラマンとして狩猟で
捕えた動物を作品としてカメラに収める。
それは、「動物は死んだ瞬間他の動物が生き
る為の食料となり、命そのものになる」それ
を、伝えたいという想いが根底にある。

それに対し、東雲さんは、狩猟というのは
人間が本能として抱いている「嗜虐的欲求 」
を満たすために適切な行為であるという持
論を持たれている。

トークショーでもお互いの持論や主張がぶつ
かり合い、最後まで二人が歩みよる事は無
かった。


 

しかし、「狩猟の魅力は?」というパートで
東雲さんが「狩猟は実際に銃を打つ以外も、
山に行くだけで沢山の楽しさがある」という
と「あー、わかる」と幡野さんがうなずく、
というシーンもあった。

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どのような思想であっても、「狩猟が好き」
という根底は同じなのだ。

ちなみに、参加者31名に何故狩猟を?という
質問を投げたところ、「食」と答えた人が多か
った。

以前サラリーマン猟師が取材を受けた際にも
狩猟の魅力は「食」だと言及している。

以下、引用。

〜狩猟の魅力ってなんですか?〜

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一言で言うと、肉が大量に手に入ることです。
肉を得ることが目的で猟師になったのですか
ら。 イノシシの肉は旬の時期であれば100
グラムで1,000円するほどの高価な肉です。
それが一度に数キロ手に入ることもあります
猟については、それこそ本一冊出来るくらい語
りつくせぬほどの魅力があるので、あえて一言
でお応えさせていただきました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回のトークショーでは、穫れたてのイノシシ
タン、アライグマの足という珍しい肉が振るま
われたが、クセも無く、食べ応えがあり、とて
も美味しかった。

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「何故狩猟をやるのか?」という質問に対し
ては、幡野さんが登山家を事例に出した上で
「わからない」と答えている。

「エベレストに登るのって、数百万というお
金がかかるんです。それに数ヶ月の日数を要
するので普通のサラリーマンでは無理。多く
の人は会社を辞めたり、フリーランスになっ
たりしながらチャレンジをするので、失うも
のも大きい。それほどまでしてリスクを背負
い、登りきったあとに何があるかというと、
「何もない」んです。それなのに何故エベレ
ストを目指すのかと理由を聞かれても「わか
らない」と答える人が多い。ただ、あえて言
葉にするなら「そこに山があるから」なんで
しょうね。

これは、海に向かうサーファーの感覚に近い。
私もサーフィンを目的に湘南に移住したが、
サーフィンの魅力を言葉にするのは難しい。
良い波にのった後に何が残るかというと、
何もない。それでも、波があがれば海に行く。

感覚的であり、本能的なものなのだ。

何かの物事に対して夢中になり、とことん
突き詰めていくとこのような感覚に陥る
ことが多いと思う。幡野さんも、東雲さんも
サラリーマン猟師さんも、狩猟に対して
本気で向き合い、追求しているからこそ
登壇し、多くの人達を惹き付ける事が出来る
のだと思う。

そして、切り離せないのは3.11 。サラリーマン
猟師も3.11でスーパーから食品が無くなり、
お金が役に立たないという状況を体験したこと
から、狩猟の世界に足を踏み入れる決意をした
そうだ。

過度な仕事に追われ、沢山のモノを所有する
生活に疑問を抱き始めた中で3.11が起こり、
働き方や生き方を再定義する人々が増えた。

「狩猟」はただ山に登れば獲物にありつける
訳ではない。罠猟では山奥で獲物の足跡から
獣道を見つけ、罠を仕掛け、毎日見回りする。
とても地味でめんどくさい事を沢山やらな
ければならない。

しかし、どんなモノでもお金さえあれば
すぐに手に入る現代社会とは対極にある世界
であるからこそ、魅力を感じ、そこに価値を
見出そうとしている人が増えているのでは
ないか。


今回のイベントでは、トークショーの後に
1時間半程の交流会を用意したのだが、
これが予想以上に盛り上がった。普通の
交流会だとお互い様子をうかがいながら
結局ご飯だけ食べて帰るというケースも
多いが、「狩猟」というちょっと異質な
キーワードで集まっているからこそ、仲間
意識がとても強いんじゃないかと感じた。

この「仲間意識の強さ」も、狩猟の魅力で
あるのは間違いない。

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時代の流れと共に注目を浴びている狩猟の
世界を体感出来るリアルな場を、これから
も提供していきたい。


〜おわりに〜

イベント終了後、スタッフと登壇者で
ラーメンを食べに行ったのだが、店を
出て帰りの道でも登壇者の二人は、
トークバトルを繰り広げていた。 

「絶対に友達にはなれない」そう言
い切る二人がなぜか清々しく映った。

そこに、仲間意識は存在しない。 

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