石原壮一郎コラムニストで「大人力」をキーワードに多数の著作を持つ石原壮一郎さんに、大人の恋愛・結婚感について、「婚トレMAGAZINE」が話を聞きました。

前編からの続きです

■結婚を遠ざけるワード「私らしさ」
いいなと思う人とつき合ったけどやっぱり長続きしなかった、さりげなく相手からフェードアウトされてしまったという時に、すっぱい葡萄理論で「あんな男は最初から好きでもなんでもなかった」とか「あの男は、こういうところがいまいちだった」と相手のせいにするのは簡単です。

でもそういった楽で気持ちのいい方法ばかりをとっているとなかなかトレーニングにならないと思います。やはりトレーニングというのはある程度苦しくて辛いものですから、一番そこは触れられたくない、自分にとって痛い部分というのをグリグリほじくりだすぐらいのつもりでやらないと、何度も同じ轍を踏むことになると思います。

人間はそんなに変われないとはいいますが、例えば男性と接する時にちょっと身構えてしまうとか、ついつっかかってしまうという癖が仮にあったとして、それを「私らしさ」と思ってしまったらそこで全て止まってしまうわけです。本質的に変わることはできなくても、じゃあそういう癖をどうすればなるべくごまかせるのか、ださなくてすむかという努力をしていけばいいだけなんだと思います。

でもそれを認めるのが一番難しいことなんですよね。認めたくないばかりに「私らしさ」だとか、そういう便利な言葉にすがってしまうんだと思います。周囲はそういう人をつつくとめんどうな事になるので、基本的には何も言ってくれません。そうすると本人はますます自己肯定の技術ばかりが上手になって扱いづらい人になっていきます。

「扱いやすい」、というと単に素直で従順というイメージがあるかもしれませんが、そういうことではないと思います。この場合の扱いやすさ、扱いづらさというのは、自分の失敗や知らないこと、至らないことをちゃんと見るつもりがあるかどうかということなんです。

自分を否定されるのが怖くて、そういう気配を感じたらすぐに身を縮めたり、反撃にでたり、という人が扱いづらい人だと思います。自己イメージなり、自分がまだまだ未熟で実力も知識も足りないということがわかっているからこそそこをなるべく直視したくないのだと思います。そうすると、扱いづらい人には周囲も簡単に「それ違うんじゃないの」と、言えなくなる。でも、せっかく気づいた欠点や間違いを指摘してもらえなかったら、自分にとって非常にマイナスですよね。

扱いやすい人というのは、いろいろな人にいろいろな事を言ってもらえるので勉強したり成長したりというチャンスがどんどん増えていきます。しかし扱いづらい人は、なるべくみんなが本人が嫌がる部分に触れないようにしようとするので、自分に何が足りないのか気付くチャンスもないまま年齢ばかり重ねてしまうことになります。

※以上中編、今後アップされる後編に続きます。

■石原壮一郎さんプロフィール
コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、93年に『大人養成講座』でデビュー。以来、大人モノの元祖&本家として、雑誌、新聞、WEB、テレビ、ラジオと各方面で活躍している。『大人力検定』(文春文庫PLUS)と『大人の女力検定』(扶桑社文庫)は、ニンテンドーDSのゲームソフトにもなるなど世に「大人ブーム」を巻き起こした。『30女という病』(講談社)、『決断道』(廣済堂出版)、『大人の合コン力検定』(ソフトバンククリエイティブ)など著書多数。8月下旬に最新刊『大人の食いモン力』(扶桑社文庫)が発売! 公式HP「大人マガジン」。

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