永松 輝 建築設計 のブログ

永松輝建築設計一級建築士事務所 主宰   〒621-0854 京都府亀岡市下矢田町東法楽寺58-7

1999年。
それまで勤めていた設計事務所を辞め、四国八十八カ所、東海道五十三次、中山道六十九次を自転車で回った後に、翌年2000年にユーラシア横断の旅に出ました。
タイのバンコクを皮切りに、訪れた国は20数カ国。陸路のみでユーラシアの西の果てを目指しました。
ポルトガルのロカ岬で「ここに地終わり、海始まる」という有名なカモンイスの詩を見て旅を終えたのは、それから2年後のことでした。
帰国後、20代最後の年に独立し15年が経過。
このブログでは、その旅の様子や今行っている設計について記述していこうと思います。
永松輝建築設計一級建築士事務所
ホームページ → http://konyamachi.net/

植栽について

最近植栽について絵を書く機会がありました。
植栽は建築を考える上で重要な要素であるにもかかわらず、建物ほど突き詰めて考えることが少ないように思います。
今回は既存の建築の庭に後から植栽を植えるという計画で、建築と植栽が一体となったというものではありませんでしたが、各植栽自体の特徴をよく理解したうえでの樹種選定となっていると思います。
絵だけではよくわかりませんが、実際に工事がこれから進みますので、また完成した折に実際の写真を交え詳細に解説していきたいと思います。
 画像ブログ
庭園の植栽として木を植える場合、すごく大きく分けるとその一つに常緑樹と落葉樹というふうにわけられます。
落葉樹は字のままで冬に葉を落とす木。
常緑樹は年中青々とした葉を茂らせる木ですが、時々落ち葉の掃除がいやなので、常緑樹にしてくださいというお施主さんがいらっしゃいます。
しかし、どんな常緑樹でも新陳代謝をするので落ち葉はでます。
余談ですが、常緑樹なのに落葉するとクレームを入れられると植木屋さんが困っているというのを聞いたことがあります。
落ち葉の出ない木はありません(笑)
今回の樹種も落葉樹と常緑樹を交互に選定してあります。
絵のように横一列に並べると効果は感じられませんが、広い庭だと、見せたくない隣家との境には常緑樹を植え、手前には季節を感じられる落葉樹を植えるのが定石のようです。
そういう視点で庭園を見始めると、そのような意図で構成されている事に気が付きます。
どこかで庭をみる機会があれば、そのような視点でみてみるもの楽しさの一つかもしれません。

自邸について(8)軒の出について

自邸ですが工事も進み、だいぶ全形が見えて来ました。その中で、この建物の外観上を特徴づけている軒の出について書きます。

1階下屋
1階正面軒裏
軒裏と腕木の一部を着色しています。

 

この建物の正面の軒は写真にある通り、壁面から腕木を出して桁を受けています。

ここから、更に垂木を出しています。

このような造りをセガイ造りといいます。

漢字だと船箸判颪、もともとは船の端に横木によって張り出した部分の名前でした。

伝統的な民家などには昔から使われている技法で、亀岡の城下町にある町家の軒下にも普通に使われています。
2階屋根軒裏
2階軒裏
2階は軒天井に板を張らず木部をくるんでいます。

 

こうすることによって、より軒を深く出すことができます。

ただし、現代の一般的な住宅にはまずみられません。

昔は軒を深く出さないと壁面や建具に雨が掛かり、建物が傷んだり、壁面から雨漏りしました。

特に雨の多い日本の気候ではそれは顕著で、外国の建物に比べ日本の建物は特に軒が深く出ています。

しかし現代は壁面と建具の防水技術が進み、軒をそれほど出さなくても問題はなくなりました。

極端なところでいうと、軒の出が全くない箱のような建物も珍しくありません。

しかし、軒の出の全く無い建物に住んでみるとわかりますが、ちょっとでも雨が降っていると窓が開けられなくなります。特に初夏から梅雨にかけて、少し蒸し暑い時期に窓が開けられません。

エアコンを使うほどでもないけど、窓が開けられず暑い。やむなくエアコンを使うことになれば、環境にも良くないし、部屋の換気が窓で出来ないということ自体結構ストレスです。

また外観上も日本建築の特徴として、いかに軒を出すかというのが一つの見せ場でした。

深い軒で建物を美しく見せるようにデザインされている日本建築には不可欠な要素です。

しかし、現代の一般的な住宅では、軒を出せば出すほど屋根面積が増え金額が上がるため軒の出は控えめです。

よく出ていても90cmくらいでしょうか。

それがセガイを出すことによって、この建物では2階の軒で150cm、下屋では170cm出しています。通常で言うと考えられないくらい深い軒です。

普通の建物とはかなり雰囲気が違うと思います。

まだ足場がかかっているので、その全容は見えませんがまもなくみられるようになります。

 

自邸について(7)上棟しました

上棟正面外観

自邸ですが、去る3月1日に無事上棟しました。

当日は朝起きると雪が積もっていて作業ができるのか?と心配しましたが雪の降る中なんとか作業をしてもらい、日中は晴れ間も見えて日没前にはなんとか棟が上がりました。

寒い一日でした。

作業していただいた大工さんには感謝です。
IMAG5801IMAG5799

 

今まで、頭の中だけで絵を描いていた建物がやっと骨組みとして見えてきました。思った通りになっていると思いつつも、やはりこうなるのかと再確認できる本当にワクワクする一瞬です。

現場にいると、ここはこうなってあーなってと、これから出来てゆく屋根や壁、内装をつい想像してしまい、どれだけ現場にいても飽くことがありません。
丸太2
 

前回書いたとおり、丸太を多用していますので、丸太の木組みが立体的にみえます。自分で絵を描いていますがやはり加工は大変だったのだろうと改めて感じます。

丸太は、材料代も手間も今の一般的な木造住宅に比べると多く掛かりますが、出来上がるとその圧倒的な存在感、力強さがありますし、木の持つハリボテではない本物の持ち味が伝わってきます。

近年丸太を使うことがほとんどなくなりましたので、特にその感慨ひとしおです。

前回のブログ更新の際には、私の出身校のOBを中心に反響が大きくちょっと驚きました。それは造る側からの視点としての共感があったと思います。

ただ、昨今見慣れなくなった一般の人からするとそれがどのように捉えられるか気がかりです。

市場から消えていく最大の要因はなんといっても需要がなくなったからというものです。造る側の理論でこれはいいものだといくら言っていても、需要がなくなれば自己満足なだけです。

いままでこの仕事に携わって、その実例を他でいくつも見てきました。

特に昔気質の大工さんなんかで技術の高い人は、「これがいいんだ」と顧客が本当に必要としているニーズに目を向けずに良いと思っているものを押し付けている例がありました。高い技術がイコールお客さんが必要としているものとは限りません。

そのような事をしていると、やがて淘汰されてしまいます。

設計者の役割としては、その良さを理解してもらうためにコストに見合うだけの魅力的な造形を発信していくことでしょう。

また造る大工さんが誇りを持てるようなものでなくてもいけません。

皆さんにご披露できる日が楽しみです。

 IMAG5837

現在工事は着々と進んでいて、5月末に完成の予定です。

ただ普通の建物と違ってすんなりとは進まず、あまりにもこだわりが多すぎて、結構手間がかかっています。

また進捗状況をお知らせします。

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