2005年05月17日

カンガルー国の音楽映画ふたつ

ようやく見ることができたマイルス出演作のDingo
 
と随分前に見たShine
 
どちらも豪州作品であり、音楽が題材。

で、最初はあんましそういった表面的情報以上の共通点思いつかなかったんですが、よく考えるとどちらも「音楽の残酷さ」を真正面から取り上げてることに気がついたです。

特にShineを最初に見たとき、音楽という芸術の冷酷な側面と、それゆえにその音楽なしでは生きていけない人間の存在とその運命に背筋が冷たくなったとです。

厳しい父親との葛藤、そして音楽のために心を病んでしまいながらもピアノなしでは生きていけなかったShineの主人公であり実在のピアニスト「デヴィッド・ヘルフゴット」、狂気のさたともいえる厳しい父もいわば音楽の犠牲者なわけで、そう考えるとデヴィッド・ヘルフゴットは音楽によって人生と健康を破壊され、同時に音楽によって夫人とめぐり合い、音楽によって人生を救われたとも言えるわけです。

マイルスの出演作Dingoもしかり。マイルス演じるトランペッター、「ビリー・クロス」はまんまマイルスであり、そのビリー・クロスは自分が演奏する音楽そのものからのプレッシャーによって人前で演奏することができなくなり、その彼をもう一度観衆の前に立たせた主人公の青年トランペッターもまた、ビリーの演奏を少年のときに見たことによって家族を持ちながらもいつの日かビリーのいるパリへと行くことを夢に見、経済的に苦しい生活を送りながら幼なじみの妻にもなにか後ろめたい感情をいだきながらこっそりお金を貯めている。。。

言わば両者、重い十字架を背負って生きているという残酷さ。さらにパリで一緒にクラブで演奏し、カムバックの決心をさせてくれた主人公にビリー(マイルス)は告げます。

「お前は充分うまい。だがお前が演奏するのはここじゃない。」

主人公は青年とは言え既に妻も子もある家庭もちのいい大人。ここでこう言われるのは少年向け小説の古典、ナット・ヘントフの「ジャズ・カントリー」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794912463/
で主人公の少年がプロのJazzミュージシャンにかこまれて成長をしながら大学進学を決意するというのとは意味合いが大きく異なります。

「音楽」を絶対的なものとして描き、時にはその冷酷な側面をも真正面から取上げるのはおそらくキリスト教的な世界観からのものだとは思いますが、この二つの映画がなんとなくのどかでのんきな国という印象のオーストラリアの作品だということにちょっと驚かされます。

たとえば第二次世界大戦のユダヤ迫害という重いテーマを扱ったヨーロッパ作品「戦場のピアニスト」では音楽は「癒し」みたいな役割を果たしていて、先のオーストラリアの2作品のように音楽の負の部分というのはほとんど強調されていません。

カンガルーとコアラの国もなかなかあなどれないなと思ったらあのスーパーおばか映画「ヤング・アインシュタイン」も豪州作品という事実が。わけがわかりません。
(^_^;)

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この記事へのコメント
おはようございます。
カンガルー国は映画振興に熱心なのですよ。ロケ地としても結構使われてて、マトリックス2も確か同国で撮影されたと思います。神戸に話があったようですが、高速道路の壁を白黒に塗ってくれと言われて断念したようです(笑)。dより
Posted by dawn at 2005年05月17日 09:19
>神戸に話があったようですが、高速道路の壁を白黒に塗ってくれと言われて断念したようです

なんと!( ̄□ ̄;)
やはり公団の民営化を・・・という問題でないですね。むしろマトリクスの2だったら断っといて正解という気も。第一作ならともかく(w

カンガルー野郎に「おまえんとこの国、いい映画つくるなー」と言ったら「うん。だろだろ?TwoHands見たか?」と言われました。検索したら案の定日本では劇場未公開。なんかちょっちバイオレンスらしいです。豪州映画の主流はアクション・バイオレンスものなんでしょうか?
Posted by koolpaw at 2005年05月17日 17:35