★ネタバレしても観る価値のある筆者の一押し映画の分析感想文集★
 批評は原則避けて作品をよりよく理解いただけるよう書いています。
 記事を読んで興味をそそられた映画がありましたら是非ご覧下さい。
 尚、重要な部分のネタバレはせずに書いていますのでご安心下さい。

トッド・ソロンズ

【番外篇】笑わせてくれたコメディー映画(3)

『ウェルカム・ドールハウス』(95年米)に続いてトッド・ソロンズが監督した異色コメディー『ハピネス』(98年米)は、カンヌ国際映画祭で審査員賞受賞した、人間の性欲をあからさまに描写した過激な作品だ。過激と言っても、暴力的なシーンは全くなく、おもむろに描写される性交シーンも一つしかない。この作品の過激さとは、人間の性的欲求とそれに伴う恋愛感情を、見苦しさや馬鹿馬鹿しさも含めて赤裸々に描いているということ。登場人物達のそうした欲求の果てには幸せが待っているのか?こんな映画はこれまでにありそうで無かった、ソロンズ監督お得意のブラックな笑いが炸裂しているコメディー作品なのだ!

poster『ハピネス』の主要人物は、精神科医と結婚し育児に励む主婦のトリッシュ、詩人として成功しては独身貴族生活を謳歌しているヘレン、そしてフォーク・ミュージシャンを目指しながら職を転々としているジョイの三姉妹と、彼女らを取り巻く人々。トリッシュは優秀な夫を得て家庭を築いた自分こそ人生の‘勝ち組’だと自負しており、妹達を何気に見下している。芸術家肌のヘレンは、逆に普通の主婦に甘んじているトリッシュを見下しているものの、自分の私生活が空虚であることは自覚している。そんな二人が共通して見下しているのは、何をやっても続かない妹のジョイ ―― ナイーブで心優しいジョイだったが、三姉妹の中では明らかな‘負け組’。それを示すかのように、物語の冒頭で彼女は交際を断ろうと思っていた冴えない彼氏に、逆襲されてこっ酷くフラれてしまう破目に…コメディアンでもあるジョン・ロヴィッツ演じるその彼氏は禿げで太った、大概の女性には相手にされないタイプの男。彼はジョイと高級レストランで夕食を楽しんでいるが、ジョイが別れたいと切り出すと、プレゼントがあると言って彼女の名前が刻まれた金の骨董レプリカ灰皿を取り出す。交際を断るにしても、彼の真心がこもった贈り物は受け取ってあげるべきだと感じたジョイが‘ずっと大切にするわ’と言うと、男は即座にそれを彼女から引ったくり返し、‘そんな嘘をつくな!これはお前なんかにはやらない!これは俺の表面の姿でなく、心の美しさを愛してくれる女性にこそ相応しい贈り物だ!デブで、ファッション・センスがなくて、オタクだと俺のことを思ってるんだろう?俺を糞だと思ってるんだろう?でも、お前は間違っている!俺はシャンパンだ!そして糞はお前だ!お前は一生、糞のままだ!’と、ジョイに罵声の限りを浴びせる。穏便に別れ話を済ませようと思っていたジョイは放心状態に…この歯に衣を着せない冒頭シークエンスが宣言でもあるかのように、『ハピネス』はそれぞれの方法で幸せを追求する登場人物達から、残酷なまでに彼らの本音を引き出す形式で展開して行くのだ。


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Welcome to the Dollhouse / ウェルカム・ドールハウス(95年米)

DollhouseMoviePoster愛玩されないノーラの暗黒喜劇

ダサくて、ブスで、性格も…今一つ。女の子としては、ヘレン・ケラーよりも重い三重苦を背負う中学生・ドーンの平凡だけど意外に過激な日常を描いたこの映画…ドーンが最後に華麗な変身を遂げて意地悪なクラスメートや妹ばかり贔屓する両親をアッ!と言わせるだろうとの予想を見事に裏切ってくれる。人生のやりきれなさを覆す一発逆転ホームランなんて十代の若い身空では有り得ないという基盤で描かれる主人公の生活は、まさに青春残酷物語。町一番のイイ男とお近づきになれるわ、いつも苛めてくる学校の男の子に告白されるわと、最低人生から抜け出すチャンスが次から次へと訪れて、諦めることを学ぶべきお年頃であるにも関わらず、ドーンの無謀な期待は煽られまくる。ダサイようで実はイケてるんじゃないか?(その証拠に私を描いたこの作品は様々な映画祭で受賞しているし、著名な映画評論家にも高く評価されている…)そんな考えが彼女の脳裏を過ったに違いない。しかし、悲しいかなチャンスを一つもモノにできずに物語は終りを迎え、ドーンはある疑問に直面せざるを得ない。最低なのは人生?それとも、もしかして…自分?(そう、貴方です。)観る分には面白可笑しいドーンの毎日。でも、それを実際に生きねばならない彼女には生地獄。そう言えば、思春期なんてこんな程度のものだっけ?‘大人で良かった’という安堵感とスクールライフに対する暗黒のノスタルジーと共に、青春を美化してはいけないという教訓で迫る逸品。これこそが、後に『ハピネス』(98年米)等の傑作を生み出すこととなるトッド・ソロンズ監督のデビュー作である、『ウェルカム・ドールハウス』なのだ。

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