(平成27年7月30日 記載)

 最近、農家レストランや、農家民宿という言葉を聞きます。

 農家レストランは、文字通り農家さんが経営するレストランですが、その魅力は、農家さんがこだわって作っている野菜を、ぴったりな調理法で提供できるだけでなく、その間の輸送のコスト等が無くなるためコストが抑える事ができる、料理を通じて農産物等に興味をもってもらったり、場合によってはその地域そのものに興味をもってくれるといったことがあげられます。
 また、農家さんからしてみたら、農産物を売っていただけよりも、料理という付加価値をつけてサービスを提供できるので、農家さんの所得を増やす可能性が広がります。

 農家民宿は、農作業体験をして宿泊する施設のことです。
 農家民宿については、別の機会にお話しますが、農産物を作るだけでなく、宿泊や宿で料理を提供するなどして、付加価値をつける試みです。

 そんな試みを後押しする仕組みが、「6次産業化」です。

 農林業・漁業等の1次産業、製造業・建築業の2次産業、小売り・飲食・宿泊等サービス業である3次産業は、聞いたことあるけど・・・・という方が多いのではないでしょうか。

 1次、2次、3次、・・・もしかしてお気づきの方もいるかもしれません。


 「1+2+3=6」、あるいは、「1×2×3 =6」で、農林水産物等の生産だけでなく、加工や販売等も一緒にすることによって、農林水産物等の価値を高めて、農家さんや、漁業をしている方の所得を増加しようという試みが「6次産業化」です。

 そして、6次産業化の総合化事業の認定を受けることによって、メリットを受けることができます。

■根拠法
 地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律(平成22年法律第67号)(いわゆる「六次産業化・地産地消法」)

■総合化事業とは
 ①農林漁業経営の改善を図ることを目的として、
 ②農林水産物等の生産及びその加工又は販売を一体的に行う事業活動であって、
 ③農林水産物等の価値を高めることを目指したもの、
  とされています。

 農林水産物等とは、農林水産物及びその生産又は加工に伴い副次的に得られた物品のうち動植物に由来するもの(家畜排せつ物や間伐材など)をいいます。
 ですので、先ほどは、農家レストランの例をあげましたが、6次産業化の対象となるのは、農業だけではありません。漁業や、畜産業なども対象となります。

■総合化事業の認定のメリット
 認定を受けることによって、利用できる補助制度があります。また、認定を条件とした融資もあります。

■認定の要件
 ①【事業主体】農林業業者等が行うものであること
  個人、法人、農協や集落営農組織等の農林漁業者が組織する団体(これらが主たる構成員又は出資者となっている法人を含みます)です。
  また、例えば食品メーカー、機械メーカー、IT企業等を事業主体の取組を支援する者を促進事業者として計画に位置づけることが可能です。

 ②【事業内容】次のいずれかを行うこと
 ア)自らの生産等に係る農林水産物等をその不可欠な原材料として用いて行う新商品の開発、生産又は需要の開拓(認定を受けようとする農林漁業者等がこれまでに行ったことのない新商品の開発・生産)
 イ)自らの生産等に係る農林水産物等について行う新たな販売の方式の導入又は販売の方式の改善(認定を受けようとする農林漁業者等がこれまでに用いたことのない新たな販売方式の導入)
 ウ)ア又はイに掲げる措置を行うために必要な生産等の方式の改善

 ③【経営の改善】次の2つの指標の全てが満たされること
 ア)対象商品の指標
  農林水産物等及び新商品の売上高が5年間で5%以上増加すること
 イ)事業主体の指標
  農林漁業及び関連事業の所得が、事業開始時から終了時までに向上し、終了年度は黒字となること

 ④【計画期間】5年以内(3年〜5年が望ましい)

■総合化事業計画に係る認定申請手続
 事前相談の上、申請する農林漁業者等の主たる事務所の所在地を所管する地方農政局長宛に申請書を提出いたします。申請にあたっては、総合化事業計画を作成する必要がありますが、現在の農林漁業経営の現状を分析した上で、具体的な目標を記載することが求められます。

■総合化事業計画の認定スケジュール
 六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定は、これまで、5月、10月、2月の年3回でしたが、認定を前提とした措置の活用を迅速に行うことができるように、毎月認定を行うことになったとのことです。

 毎月末までに申請を受付、その翌月末までに認定の可否を決定するスケジュールで、新しい方式での1回目の認定は、8月末までに受け付けた申請を受付、9月末までに決定するとのことです。

■事業計画作成について
 「六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画作成のためのガイドライン」に詳細がのっています。また、「6次産業化支援策活用ガイド〜農林漁業の成長産業化に役立つ支援策を準備しています!〜」というパンフレットも作成されております。