和光大学青年心理学研究室

和光大学現代人間学部心理教育学科教授・髙坂康雅が綴る 教員生活や研究活動の日記

2013年05月

和光大学には昔から,
プロゼミ(学科によって名称は異なる)という
1年生が所属するゼミがあります。
プロゼミでは1年間で大学での学び方や,
友人・居場所づくりなど,様々な活動が行われます。
各プロゼミで何を行うかは,
少なくとも私のいる心理教育学科では自由で,
各プロゼミで,独自の活動をしています。

今年度,私もプロゼミ担当の1人で,
私のプロゼミには18人の1年生が所属しました。
私のプロゼミのテーマは,
論理的思考力を高めるです
こう書くと,「がっちりお勉強するプロゼミ」という
印象を持たれがちですが,
楽しく作業しながら思考力を高めるというスタンスなので,
パズルをやったり,ゲームをやったりしています。

この「論理的思考力を高める」というテーマは,
2年前にプロゼミを担当した時と同じなのですが,
2年前に担当した際に,ひとつの反省が残りました。
それは,いくら論理的思考力を高めても,
伝える力がないと無意味だということです
どんなに頭でしっかり考えても,
それをうまく伝える伝達力がなければ,
ただ考えただけで終わってしまう。
そこで,今回は,「論理的思考力+伝達力」という
2つの力を高めようとしています。

ところが,この“伝える”というのは実に難しい。
もちろん言葉や文字で伝えるのが基本ですが,
それ以外の伝達方法だって経験しておく必要がある。

そこで,前回のプロゼミでは,
視線伝達ゲームというゲームを
行いました。
ルールはいたって簡単。
4~5人のグループを作り,1人「親」を決めます。
「親」に10枚の絵カードから3枚好きなカードを
事前に決めてもらいます。
この際,グループの他のメンバーには
どのカードを選んだかは教えません。

カードを選んだあと,「親」と他のメンバーが
向かい合うように,テーブルをはさんで座り,
テーブルの上に,先ほどの絵カード10枚を
ランダムに並べます。
そして,「親」は“目”以外動かさずに,
他のメンバーに自分が事前に選んだ3枚のカードを
伝えるというゲームです。
しゃべることもうなずくことも,手や足を動かすこともできません。
純粋に“目”だけで伝えなければなりません。
時間は5分にしました(それ以上やると,目が乾燥して
痛くなっちゃいますから)。

さて,結果はというと,4グループが挑戦し,
2枚正解が1グループ,1枚正解が2グループ,
正解0が1グループという結果になりました。
3枚すべてを当てたグループはいませんでした。

人に目線・視線だけで何かを伝えるというのは
現実場面ではほとんどありませんが,
一方で,受け手は,相手の目線・視線から
相手がよそ見してるとか,真剣な話をしている,
怒っている,悲しんでいるなど,たくさんの情報を得ています。
今回のゲームを通して,視線だけでも多くの情報が
読み取れることに気づいてもらえると,
子どもの時から言われている“人の目を見て話す”,
“話している人の目を見る”ことの大切さを
感じてもらえるのではないでしょうか?

興味がありましたら,一度,やってみてください。

ちなみに,絵カードは,カルタとかでもかまいません。
私は100均で売っていた,「ひらがなカード」を使いました。
メモ用紙に,動物や果物の名前を
10個書くだけでも十分ですよ。

本日,和光大学大学院社会文化総合研究科の
修士論文中間発表会が行われました。

和光大学大学院は1研究科3コースが設置されており,
私は発達・教育臨床論コースに所属しております。
発達・教育臨床論コースでは,発達や教育について
専門的に学び,学校・教育・育児などの場面で
実践的な取り組みを行うことができる人の養成を
目指しています。
必要な科目を履修し単位を取得すると,
学校心理士や臨床発達心理士の受験資格も得られます
(別途実務経験が必要です)。

今日の中間発表会では,本コースから3名の
院生(2年生)が発表しました。
それぞれの研究テーマや研究手法,
進捗状況は様々ですが,参加した他の院生や
副指導教員(副査)の先生からの質問や意見もあり,
活発なやりとりが行われました。

私が(初めて)指導している院生も発表しました。
院生の成長を感じる一方,
残り約8ヶ月くらいで修論を仕上るにあたり
課題なども明確になりました。
無事に修論を書いてくれることを願っています。

和光大学大学院及び発達・教育臨床論コースについて
詳しくお知りになりたい方は,
和光大学HP内「大学院」のページ
ご覧いただければと思います。
7月と2月に入試が行われ,
6月と12月には入試相談会も行われますので,
関心のある方は,一度足を運んでみてください。

4月より開室を始めました
適応支援室「いぐお~る」。
中学2年生の男の子1人と,
中学3年生の男の子2人の3人が
通室することになり,
毎週火曜日に,和光大学に来て,
大学院生などのスタッフと活動しています。

最初は,“大学”という初めての環境と,
大学院生という普段接しない人との関わりに
緊張をみせていた通室生たちも,徐々に慣れ,
今日も楽しそうな笑い声や,
明るい話し声が廊下まで聞こえていました。
リバーシやジェンガ,ジグソーパズルなど
基本的に“遊び”が中心の活動ですが,
学校に行かず,ずっと家にこもっているよりも
外に出て,人と関わっていることは,
通室生も楽しいようです。
また,学食という大学ならではの食事形態も楽しいようで,
真剣にメニューを選んでいる姿もほほえましいです。
大学院生たちも,あまり硬くならず,
よきお兄さん・お姉さんとして接しているのも
よい雰囲気を作っています。

「いぐお~る」の始まりとしては,
まずまず順調といえるのではないでしょうか。

これからは気候もよくなりますので,
ちょっと遠めのお散歩をしたり,
野外で焼きそばなどをつくってみたりと
いくつかイベント(?)もしてみようと思っています。

一方で,勉強や学校との関わり,
3年生にとっては受験,そして心理的なケアなど,
今後どのように進めていくかを考えていかなければ
ならないこともいくつかあります。
通室生やその保護者の方からの要望も聴きながら,
取り組んで行きたいと思います。

まだ通室生を受け入れる余裕は若干ですがあります。
8月か9月には,不登校関連の講演会とあわせて
「いぐお~る」の中間活動報告会をしようと思ってます。
関心のある方は,問い合わせは随時受け付けていますし,
中間活動報告会にも足を運んでいただければと思います。

詳細が決まりましたら,またここでご報告します。

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