民法(債権法)改正 重要な条文・制度のランキング


 改正された民法(債権法)の条文を一日一条ずつ確認する企画「民法(債権法)改正勉強ノート」シリーズ(全317回)が、ようやく完結しました。うれしいような、寂しいような、不思議な心地です。

 目を閉じてみると、新しく生まれたルール、お別れすることになったルールが、夜空で瞬く星屑のように、浮かんでは消え、消えては浮かびます。そうでもないかも。

 2017年6月2日に公布された「民法の一部を改正する法律」によって、主に、「債権法」と呼ばれている分野の改正が行われました。世に言う債権法改正です。

(第1回~第105回)
民法改正勉強ノート目次その1
(第106回~第213回)
187民法改正勉強ノート 目次その2
(第214回~第317回)
民法改正勉強ノート目次その3

 また、2018年6月13日に成立した「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)」によって、民法上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、これに関係する規定が整備されました。これが、「成年年齢引下げ」と呼ばれる出来事です。

(関連記事)
民法4条 成年民法上の「成年」が引き下げられたら

 さらに、2018年7月13日に公布された「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」によって、「相続法」分野の改正が行われました。いわゆる相続法改正です。

(関連記事)
相続法改正勉強ノート相続法改正勉強ノート目次


 無意味な文言を削っただけの条文、平仮名を漢字にしただけの条文、学説・判例を明文化した条文など、本当に色んな条文と出会いましたが、何より胸にとどめておく必要があるのは、今までのルールを変更するもの新たなルールを創設するものですよね。

 民法(債権法)改正勉強ノートを「卒業」する記念に、この記事では、「これだけは皆様に知っておいてもらいたい!」と感じた重要なポイントを、厳選してお伝えします。

 「世の中に影響を与えそうな変更点」10選です。

 あくまでも街の弁護士の視点で、

 「これはみんなの暮らしを変えるわ」

 「今までどおりだと思ってたら困る人が出てくるわ」

というものをピックアップしていきます。

【目次】
1.重要な変更点
(1)法定利率は年3%
(2)時効-時効障害・時効期間-
(3)保証人の保護
(4)法定解除-帰責事由不要-
(5)定型約款-みなし合意-
(6)担保責任
(7)連帯債務
(8)相殺禁止-「不法行為」じゃない-
(9)錯誤取消し
(10)賃借物の滅失等-当然減額・当然終了-
2.おまけ:民法改正にまつわる雑学・小ネタ
(1)「すべて」と「全て」
(2)「預金」「貯金」「預貯金」
(3)幻に終わった条文
(4)「社会通念」
(5)「電磁的記録」
(6)「インターネット」
(7)破産法53条3項はこのままでいいのか問題


<<解説>>

1.重要な変更点


 ただ解説文を掲載してもつまらないので、卒業式っぽいノリのかけ声を併記します。

(1)法定利率は年3%


 みんなで何度も書いた、「年5分の割合による金員」!

 \\  (´0`) 年5分の割合による金員!!  (´0`) //

 今まで、私たち法律家が、飽きるほど書面に記載していた「年5分の割合による金員」という言葉は、今後、使う機会が減っていきます。

 2020年4月以降、当分の間は、民法上の「法定利率」が年3パーセントになるのです(改正後民法404条)。そして、商事法定利率(改正前商法514条)は廃止されます。

 契約の代金や賠償金などの「お金」の支払が遅れているケースで、利率について当事者の間に約束がなければ、年3パーセントの割合で、利息や遅延損害金を計上することになります。

(第53回)★★★
65民法404条(法定利率)


 賠償金を支払ってもらうときに、「中間利息の控除」というものが行われることがありますが、これも、法定利率の引き下げに伴って、計算の方法が変わります。

(第62回)★★
74民法417条の2(中間利息の控除)
(第315回)★★★
324民法722条(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)


(2)時効-時効障害・時効期間-


 ストップなのかリセットなのか混乱した、時効の中断!

 \\  (´0`) 時効の中断!!  (´0`) //

 民事法の世界でいう「時効」とは、一定の時間、ある状態が続いたことを理由に、権利の取得・消滅を認める制度です。

 時効の進行を止めることができる事由(時効障害事由)として用意されていたのが、「中断」(リセット)と、「停止」(一時的なストップ)でした。でも、意味が分かりにくいという苦情が一部から寄せられていました。

 改正後の民法では、次のように用語が変更されています。

 「中断」→「更新」 
 「停止」→「完成猶予

 今まで、債務整理事件の受任通知に、「本書は時効中断事由としての債務承認をするものではありません。」といった注意書きをする弁護士・司法書士は多かったと思います。民法改正後は、「時効更新事由としての承認をするものではありません」という記載に変える必要がありますね。

 交通事故が起きたとき、自賠責保険会社に「時効中断申請書」を提出して、承認を得るという運用がありましたが、今後は、「時効更新申請書」になるんでしょうね。

 どんなときに時効がリセット・ストップされるのかについても、かなりルールが変更されています。詳しくは、第28回以降の記事をご覧ください。

(第28回)★★★
39民法147条(裁判上の請求等)
時効の完成猶予・更新の類型

 時効に関するもう一つの大事なポイントとして、債権の消滅時効期間が変わったことが挙げられます。

 基本は、①権利を行使することができることを知った時(「主観的起算点」)から5年間、②権利を行使することができる時(「客観的起算点」)から10年間です。

(第37回)★★★
49民法166条(債権等の消滅時効)


 人の生命・身体が侵害されたケースだと、損害賠償請求権の消滅時効期間は、①主観的起算点から5年間、②’客観的起算点から20年間になります。債務不履行責任を問う場合でも同じです。

(第38回)★★★
50民法167条(生命・身体の侵害と消滅時効)
(第316回)★★★
321民法724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
(第317回)★★★
322民法724条の2
(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)



(3)保証人の保護


 いつの間にかすごい額になってた、保証人!

 \\  (´0`) 保証人!!  (´。`) //

 情報提供(民法458条の2以下)、公正証書作成(民法465条の6以下)など、保証人を保護するための制度が、色々と整備されました。

 とくに重要なのは、個人の根保証についての法改正(民法465条の2以下)だと思います。

 「保証」の中には、職場の身元保証、不動産賃貸の保証のように、保証人が支払うことになる額がはっきり決まっていないものがあります。

 こういう、「一定の範囲に属する不特定の債務」の保証をする契約を、「根保証契約」といいます。

 このたびの改正で、根保証については、重要な改正が実現されています。

 「ここまでしか責任を負いませんよ」という限界(極度額)を書面等できっちり定めておかないと、根保証契約自体が無効になる。そんなルールが、個人が根保証契約の保証人になる場合全般に広げられたのです(改正後民法465条の2)。

 しかも、極度額は、利息や遅延損害金なども含めた上限を示すものじゃないといけません。

 不動産業者さん、雇い主さん、その書式、大丈夫ですか?

(第110回)★★
124民法458条の2(履行状況に関する情報提供義務)
(第111回)★★
125民法458条の3(期限の利益喪失と情報提供義務)
(第118回)★★★
132民法465条の2(個人根保証契約の保証人の責任等)
(第122回)★★
136民法465条の6(公正証書の作成と保証の効力)


(4)法定解除-帰責事由不要-


 帰責事由を追い求めた、債務不履行解除!

 \\  (´□`) 債務不履行解除!!  (´〇`) //

 解除というのは、契約を解消する行為です。合意による場合もあれば、当事者の一方からの意思表示による場合もあります。ここで問題になっているのは、後者のほうです。

 もともと、債権者が、債務不履行を理由に契約を解除するときは、債務者の帰責事由(故意・過失など)が必要なんだという解釈が一般的でした。条文にはっきりそう書いていたわけではなかったけれども。

 民法改正後の法定解除は、帰責事由があってもなくてもOKです。とにかく債務不履行があれば、債務者に帰責事由がなくても、解除によって契約から離脱することが可能だと説明されています。

(第214回)★★★
233民法541条(催告による解除)
(第215回)★★★
234民法542条(催告によらない解除)


 解除の改革とセットで知っておいたほうがいいのが、危険負担についての法改正です。

 「とりあえず生」みたいな感じで、債務が履行できないなら「とりあえず解除」と言える時代が訪れることになったので、「危険負担」という制度は、出番が減りそうです。

(第209回)★★★
228民法534条・535条の削除
(第233回)★★★
253民法567条(目的物の滅失等についての危険の移転)


(5)定型約款-みなし合意-


 僕たち、私たちの生活に欠かせない、約款!

 \\  (´▽`) 約款!!  (´▽`) //

 今まで野放しになっていた「約款」について、幅広く法制化されることは見送られました。かなり改正審議が難航したらしいです。

 一応の妥協点としてたどり着いたのは、「定型約款」という新しい概念を生み出して、法律によるコントロールをもたらすことです(民法548条の2~548条の4)。

 「定型約款」の個別の条項が、どういうときに企業(特定の者)とお客さん(不特定多数の者)の間の合意に組み入れられるか、どういう情報提供が必要か、といった点が規律されています。

 条文の中にかっこ書がめちゃくちゃ多くて、すこぶる読みにくいですが。

(第219回)★★★
238-2民法548条の2(定型約款の合意)


(6)担保責任


 ときに仲間と意見をぶつけ合った、担保責任!

 \\  (´へ`) 担保責任!!  (´n`) //

 学者さんたちの論争の火種にも、受験生の悩みの種にもなりがちだった売買(有償契約)の担保責任が、今回の法改正で、すっきりまとめられています。

 担保責任というのは、引き渡された物や、移転された権利などがきちんとしていないときに、義務者(売主、請負人など)が負担する責任のことです。

 引き渡された目的物等が契約の内容に適合しない場合、債権者(買主、注文者など)としては、次のような権利を行使することがありえます。

①追完請求権(改正後民法562条)  (+③)
②代金減額請求権(改正後民法563条) (+③)
③債務不履行に基づく損害賠償請求権(改正後民法564条、415条)
④解除権(改正後民法564条、541条・542条) (+③)

(第228回)★★
248民法562条(買主の追完請求権)
(第229回)★★
249民法563条(買主の代金減額請求権)
(第230回)★
250民法564条(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
(第231回)★★
251民法565条(移転した権利が契約の内容に適合しない場合)
(第278回)★★
302民法636条(請負人の担保責任の制限)
(第279回)★★★
303民法637条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)


(7)連帯債務


 何度勉強してもすぐ忘れた、連帯債務!

 \\  (°0°) 連帯債務!?  (°.°) //

 「多数当事者の債権債務」っていう分野(一つの債権について、債権者又は債務者が複数居るもの)が、私はどうも苦手です。せっかく身に着けた知識が、すぐ脳内でかくれんぼを始めます。数か月前に自らアップした記事の内容でさえ、早くもうろ覚えになっています。

(第88回)★
101民法428条(不可分債権)

 この分野は、かなり大がかりな工事が行われました。「連帯債権」っていう言葉も法文上に誕生したし。

(第91回)★★
104民法432条(連帯債権者による履行の請求等)

 この記事で一つだけ再確認しておきますが、連帯債務者の一人に対する「請求」には、絶対的効力が認められません。例えば、連帯債務者の一人にだけ「請求」しても、他の連帯債務者との関係では、時効の更新・完成猶予の効力は生じないのです。なお、連帯保証人への請求も同様です。

(第96回)★★★
109民法436条(連帯債務者に対する履行の請求)
(第109回)★★
123民法458条(連帯保証人について生じた事由の効力)


 2020年4月以降は、「不真正連帯債務」という言葉も、みんなの記憶から失われていくんでしょうね。


(8)相殺禁止-「不法行為」じゃない-


 結局合意していた、損害賠償債務による相殺!

 \\  (´0`) そ、相殺!! (´0`) //

 「相殺」というのは、二人がお互いに同種の目的を有する債務(主に金銭債務)を負っている場合に、どちらかが「相殺します」という意思表示をすることで、各債務が対等額で消滅するという制度です(民法505条)。

 改正前の民法では、不法行為によって生じた債務をもって、債務者のほうから相殺の意思表示をすることが禁じられていました(改正前民法509条)。

 この禁止の対象が、ちょっと変わりました。

 相殺禁止の対象になる損害賠償の債務は、

 ①悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務

 ②人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務

の二つになりました(改正後民法509条1号・2号)。

 どこが変わったのかというと、第一に、債務不履行が手札に加えられたという点です。いや、手札から脱け落ちたというべきか。

 債務不履行(労働災害、医療事故など)によって人の生命又は身体を侵害した加害者が、自らの負う損害賠償債務を相殺に供することも、禁じられることになったのです。

 で、第二のポイントとして、改正後は、不法行為であっても、相殺が禁じられないゾーンが生まれました。

 「悪意」(害意)がなくて、人の生命・身体も害していない場合は、相殺禁止の対象ではなくなります。

 例えば、お互いに「物損」しか被っていない交通事故だと、相殺の意思表示がビシバシ飛び交う、殺伐とした時代がやってきてもおかしくありません。

(第169回)★★★
185民法509条(不法行為等と相殺の禁止)


(9)錯誤取消し


 テストの常連だった、錯誤無効!

 \\  (´o`) 錯誤無効!!  (´0`) //

 もはや四文字熟語に近い響きを有していた「錯誤無効」。

 意思表示をするにあたって、重要な点で誤解、勘違いがあれば、意思表示の効力が否定されるというのが、錯誤のお話です。

 2020年4月以降は、「錯誤取消し」に変わります。語呂が悪く感じますね。

 また、今まで「動機の錯誤」と呼ばれていた事象が錯誤の一類型として明文化されたので、錯誤は、民法典において、「意思の不存在」には分類されなくなっています。

(第6回)★★★
016民法95条(錯誤)
(番外編)★★
117電子消費者契約法
(第10回)★
020民法101条(代理行為の瑕疵)


(10)賃借物の滅失等-当然減額・当然終了-


 失ってみて、その大切さを実感した、賃借物!

 \\ ( ´_ゝ`) 賃借物!! (´;。;`)  //

 度重なる自然災害との関係で、重要な改正がいくつかあります。

 賃借物というのは、お金を払って借りているもの(賃貸借契約の目的物)のことです。

 賃借物の一部が滅失その他の事由によって使用・収益できなくなった場合、原則として、賃借人が減額請求をするまでもなく、賃料が当然に減額されることになりました(民法611条)。賃借人に帰責事由がなければ、ですが。

 賃借物の全部が滅失その他の事由により使用・収益できなくなった場合には、賃貸借は当然に終了します(民法616条の2)。解除するまでもなく、自動的に幕が下りるのです。こちらは、賃借人に帰責事由があっても、必ず契約が終わります。

 賃借人が減額請求や解除などのアクションを起こすまで、賃料が発生し続けるのは気の毒ですものね。

(第264回)★★★
289民法611条(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)
(第267回)★★
292民法616条の2(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了)

 災害という観点だと、ほかに、民法161条、民法658条あたりも重要だと思います。

(第36回)★★
48民法161条(天災等による時効の完成猶予)
(第291回)★★★
311民法658条(寄託物の使用及び第三者による保管)


(11)その他の変更点


 他にも、重要な変更点はいっぱいあります。

 今回、「10選」に入れるかどうか悩んだのは、以下のトピックスです。

 無効な行為(取り消された行為)と「原状回復請求」。

(第22回)★★★
33-2民法121条の2(原状回復の義務)

 要物契約の諾成契約化。

(第242回)★★★
262民法587条の2(書面でする消費貸借等)
(第247回)★★★
267民法593条(使用貸借)
(第289回)★★★
309民法657条(寄託)

 「債務引受」の受肉。

(第136回)★★★
150民法470条(併存的債務引受の要件及び効果)
(第138回)★★★
152民法472条(免責的債務引受の要件及び効果)


<<解説>>

2.おまけ:民法改正にまつわる雑学・小ネタ


 ついでに、債権法改正の勉強が二倍おもしろくなるかもしれない小ネタを紹介します。


(1)「すべて」と「全て」


 冒頭で、平仮名が漢字になっただけの条文があると述べましたが、なんのことかというと、「すべて」を「全て」に修正した条文のことです。

 今回の大改正で、「すべて」が「全て」に変わった条文としては、以下のものがあります。


 もしかして、民法全体で、「全て」という表記に統一することにしたのかな?とも思ったのですが、違いました。というか、平仮名の「すべて」のままになっている条文のほうがいっぱいありました。

 以下のとおりです。

・民法18条(補助開始の審判等の取消し)
・民法86条2項(不動産及び動産)
・民法269条の2第2項(地下又は空間を目的とする地上権)
・民法307条2項(共益費用の先取特権)
・民法315条(不動産賃貸の先取特権の被担保債権の範囲)
・民法329条(一般の先取特権の順位)
・民法383条(抵当権消滅請求の手続)
・民法386条(抵当権消滅請求の効果)
・民法387条(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)
・民法398条の17(共同根抵当の変更等)
・民法447条(保証債務の範囲)
・民法927条(相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告)
・民法957条(相続債権者及び受遺者に対する弁済)

 ・・・な ぜ だ。

 とくに、民法86条なんて、3項を削除するついでに、2項も「全て」に変えればよかったんじゃ・・・。


(2)「預金」「貯金」「預貯金」


 意外かもしれませんが、債権法改正に伴って、はじめて、民法に「預金」、「貯金」、「預貯金」という用語が導入されました。

(第131回)★★
145民法466条の5(預金債権又は貯金債権に係る譲渡制限の意思表示の効力)
(第146回)★★★
民法477条民法477条(預金又は貯金の口座に対する払込みによる弁済)
(第298回)★★
145-3民法666条(消費寄託)

 相続法改正でも、この新しい単語を取り入れた条文があります。

(第8回)
民法909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)


(3)幻に終わった条文


 「債権法改正」の後、正式なお披露目をしてもらえないうちに、「相続法改正」によってさらに姿を変えた、幻の条文が二つあります。

 民法1012条と、民法1016条です。

(第286回)★★
306民法1012条(遺言執行者の権利義務)
(第287回)★★★
307民法1016条(遺言執行者の復任権)


 「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」では、「民法の一部を改正する法律」も改正の対象になっているのです。


(4)「社会通念」


 改正後民法には、今まで使われていなかった「社会通念」という用語が登場します。

 該当する条文としては、①民法95条、②民法400条、③民412条の2、④民法415条、⑤民法478条、⑥民法483条、⑦民法504条、⑧民法541条、⑨民法548条の2の九つがあります。

(第6回)★★★
016民法95条(錯誤)
(第52回)★
64民法400条(特定物の引渡し)
(第56回)★★★
68民法412条の2(履行不能)
(第60回)★★★
72民法415条(債務不履行による損害賠償)
(第147回)★★
160民法478条(受領権者としての外観を有する者に対する弁済)
(第152回)★
165民法483条(特定物の現状による引渡し)
(第167回)★
183民法504条(債権者による担保の喪失等)
(第214回)★★★
233民法541条(催告による解除)
(第219回)★★★
238-2民法548条の2(定型約款の合意)


(5)「電磁的記録」


 これまで、「電磁的記録」といえば民法446条でした。

 今回の改正で、「電磁的記録」フレンズがいっぱい増えました。

 悲しいかな、民法446条は、「電磁的記録」の定義規定、というポストを奪われてしまいました。

(第32回)★★
43民法151条(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)
(第106回)★
120民法446条(保証人の責任等)
(第141回)★★
155民法472条の4(免責的債務引受による担保の移転)
(第220回)★
239民法548条の3(定型約款の内容の表示)
(第242回)★★★
262民法587条の2(書面でする消費貸借等)


(6)「インターネット」


 伝統ある民法典に、「インターネット」という現代語が組み込まれたのは、隔世の感があります。というか、片仮名外来語を使うこと自体、民法にとっては初体験じゃないでしょうか。

(第221回)★
236民法548条の4(定型約款の変更)


※ 当初、片仮名を使うのは初体験じゃないか、と書いていましたが、むしろ、昔は片仮名だらけでしたね。失礼しました。


(7)破産法53条3項はこのままでいいのか問題


 現行の破産法53条3項では、「民法・・・第六百四十二条第一項前段」という文言が使われています。

 しかし、引用されている民法642条1項は、今回の改正により、前段/後段の形式から、本文/ただし書の形式に変わっています。破産法53条3項の「前段」という表現がマッチしなくなっているわけです。

(第281回)★
305民法642条(注文者についての破産手続の開始による解除)


 なので、破産法53条3項も改正されているはずなのですが、対応する改正法が見つけられません。誰か教えて。



傘

 以上、民法(債権法)改正勉強ノートの卒業式でした。