離婚の準備
(2015年11月24日公開開始)
(2020年11月10日最終更新)



 暴力に悩んだ末、「離婚したい」と決めた人。

 離婚を要求されているけれど、「やり直したい」と思っている人。

 配偶者の浮気を知ったものの、将来のことを考え、離婚するかどうか決めかねている人。

 色んな人が、「離婚」というトラブルに直面しています。

 このブログの「やさしい離婚」という特集は、①離婚の話し合いをするときのポイントや、②離婚に至るまでの手続の流れなどについて、やさしい解説をすることを目指しています。

 一応、離婚について平易な説明をする、という意味で「やさしい離婚」というタイトルを付けています。

※ 本音を言うと、当事者であるご夫婦や、お子さん、ご親族、その他の周囲の方々が、やさしさに包まれた解決にたどりつけるよう、心に平穏がおとずれるよう、少しでもお役に立ちたい、という厚かましい願いも込めています。ダブルミーニングです。


 この記事は、「やさしい離婚」シリーズの目次のような、ダイジェスト版のような位置付けです。

 詳しくは、リンク先の個別の記事で説明させてもらっています。


<<解説>>

1.離婚-何から考えればいい?


 はじめから離婚しようと思って結婚する人なんて、普通は居ません。

 離婚という予想外の問題が自分の身にふりかかったとき、何から考えればいいのか、分からなくなることも多いと思います。そもそも、何も考えたくない、ということもあるでしょう。

 何も考えず、立ち止まってみるというのも一つの選択肢だと思いますが、相手が待ってくれるとは限りません。

 そこで、離婚が問題になったときに、何を決めるのが通常か、どんなテーマについて話し合えばいいのか、下にまとめてみました。

 頭の整理や心の準備をするために、ご活用ください。

離婚、何を決める

 上の表の項目に沿って、チェックシート も作ってみました。


<<解説>>

2.離婚に関連する用語の説明


 離婚に関連する用語の意味を、以下でおおまかに説明します。

(1)離婚


 ご存じのとおり、離婚とは、婚姻関係を解消することです。

 離婚には、夫婦の話し合いで離婚をする「協議上の離婚」(協議離婚)と、裁判所を利用して離婚をする「裁判上の離婚」(裁判離婚)があります。

 裁判上の離婚には、①調停離婚、②審判離婚、③判決離婚などの種類があります。

離婚の方法

 協議、調停、審判、判決について、詳しくは以下の記事で解説しています。

 

 

 

 





(2)婚姻費用


 婚姻費用とは、夫婦やその子ども達が、社会の中で暮らすために必要な生活費です。

 協議や裁判のために別居をしている場合でも、法的に夫婦である限り、婚姻費用を分担する義務が発生するのが原則です(民法760条)。

 ☑ 収入の多いほう→少ないほう
 ☑ 子どもの面倒をみていない親(非監護親)→面倒をみている親(監護親)

というふうに支払をすることが多いです。

 離婚後に支払われる養育費は子どもの生活費ですが、婚姻費用には、配偶者の生活費も含まれます。

 

離婚前後の生活費




(3)親権


 親権とは、子どもの監護・教育・財産管理をする親の権利義務です。

 離婚をするときは、必ず親権者が決められなければいけません(民法819条)。

 「親権については保留のまま、とりあえず離婚する」ということはできません。

 


 なお、離婚後、親権者の変更や、親権の停止・喪失が問題になることもあります。

 

 


(4)養育費


 養育費とは、文字どおり、子どもを養い育てていくのに必要な費用です。

 離婚をして、「親権者」ではなくなった人も、「親」ではあるので、子どもの生活を守るために、子の監護に要する費用の分担(民法766条)をする義務があります。

 


 離婚後、減収や再婚、養子縁組などの事情の変更によって、養育費を増やしたり、減らしたりすることもあります。

 


(5)面会交流


 面会交流とは、子どもを監護していない親と、子どもとが、顔を合わせるなどして交流することです。

 直接面会することのほかに、電話・電子メール・ビデオ通話等でやりとりしたり、写真・贈り物を交換したりすることも想定できます。

 離婚後だけでなく、離婚の協議や裁判のために別居している期間も、面会交流について話し合いをしたり、裁判所の処分を求めたりすることができます。

 


(6)財産分与


 財産分与とは、婚姻中に夫婦で築いた財産を分けることです(民法768条)。

 ①清算、②扶養、③慰謝という3つの要素があるといわれています。

 とくに問題になるのは、退職金、住宅ローンのある不動産などをどう取り扱うかです。

 


 財産分与とは別に、共有物分割という手続が問題になることも時々あります。

 


(7)慰謝料


 離婚の場面で問題になる「慰謝料」は、離婚の原因を作ったほうが、他方の配偶者の受けた精神的苦痛をやわらげるために支払うお金です。

 このお金は、不法行為に基づく損害賠償として支払われます(民法709条、710条)。

 離婚するときに必ずどちらかが支払うわけではありません。

 夫だから支払うとか、お金があるほうが支払うとか、離婚を言い出したほうが支払うとかいうルールがあるわけでもありません。

 


 とくに、一方の配偶者が不貞行為(不倫)をしていた場合には、不倫相手への慰謝料請求も問題になります。

 


(8)年金分割


 年金分割とは、婚姻中に支払った厚生年金の保険料の納付記録を、最大2分の1まで分ける仕組みです。

 2階建て~3階建ての年金のうち、主に2階部分を分けるものです。

 離婚後に、一人で年金事務所で手続をすれば済む人も居ますが、合意ないし裁判をしないと年金分割ができない人も居ます。

 「合意」をする場合にも、一定の公的な手続が必要になるので、注意が必要です。

 


(9)離婚と氏


 結婚するときに氏を変えていた人は、離婚した後、氏を元に戻さないという選択をすることが可能です。

 それと、離婚時には、子どもの氏のことも問題になります。離婚をして親権者を定めても、当然に子どもの氏が変わったり、親権者の戸籍に入ったりするわけではありません。

 

 


(10)離縁-養子縁組の解消


 結婚に伴って、配偶者の親や、配偶者の連れ子と、養子縁組をしていることがあります。

 離婚する際に、この養子縁組の解消-離縁の手続をする人もいます。


 


(11)嫡出否認・親子関係不存在


 離婚トラブルに関連して、子どもの戸籍上の親が誰になるのかが問題になることがあります。

 子どもが「嫡出子」になるのはどんな場合か、親子関係を否定する方法としてどんなものがあるか等については、以下の記事でまとめています。

 

 

 


(12)有責配偶者


 浮気をしたり、暴力をふるったりと、離婚の原因を作ったほうの配偶者からの離婚請求が、
「信義誠実の原則」によって、認められなくなることがあります。