民法4


 末っ子(1歳)が、BTS(防弾少年団)の楽曲のとりこになっていて、ずっと一緒に聴くはめになっている今日この頃です。

 たった今も、PC画面の右側では、BTSが華麗に踊っています。きれっきれです。

 画面の左側では、ブログの更新作業が行われています。

 そんな風に画面をシェアしながら、私がねめつけているのは、「共有物の使用」について定める民法249条です。まぁ、パソコンについて、末っ子に共有持分があるわけじゃないですが。

 さっそく、条文を引用してみます。

〔改正前民法〕
(共有物の使用)
第249条
 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
【改正後民法】
(共有物の使用)
第249条
1 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。

 2項・3項が追加されましたね。



<<解説>>

1.共有物の全部の使用


 「共有」というのは、ある一つの物(動産・不動産)を、複数の人がに所している状態のことです。

 共有の権利者は、それぞれ「共有者」と呼ばれます。

 共有の対象になっている物のことを、「共有物」といいます。

 ひとりひとりの共有者は、それぞれの持分(もちぶん)に応じて、共有物の全部を使えることになっています(改正後民法249条1項)。

 例えば、ある別荘(建物)について、その持分3分の1を有している人が居るとします。その人は、床面積の3分の1に相当する部分しか使用ができないというわけではありません。使用することができるのは、「全部」です。「持分に応じて」、という留保はあるものの。

 みんな所有者で、みんな全部を使用できる。

 でも、一人だけの物じゃないので、いろいろと制限もある。そんなお話ですね。


<<解説>>

2.対価の償還

(1)持分に応じた使用


 繰り返しますが、各共有者は、「共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」と定められています。この点は、法律の改正前からおんなじです。

 「全部」を使える、っていうのは、まあ分かるとして。

 「持分に応じた使用」っていうのは、ややイメージしにくいですよね。結局なんなん!?っていう。

 持分に応じて、時間を分けるってことなのか。代わりにお金を払うってことなのか。

 ここらへんの問題は、基本的には、共有者間の協議で決めるのが望ましいと思います。

 平日はあなたが使っていいから、土日は私が使うね!という感じで。

 そうした協議(改正後民法249条2項でいう「別段の合意」)がない場合に、「持分からすると使いすぎ」な人はどうなるのか、今までは、民法に定めがありませんでした。

※ こういう「使いすぎ」な人に対し、他の共有者は、共有物の引渡し・明渡しまでは求められないと考えられています(最高裁昭和41年5月19日判決・民集20巻5号947頁)。使いすぎだからといって、全面的に権利が奪われるのも酷ですからね。


(2)自己の持分を超える使用の対価


 もっぺん改正後の2項を貼り付けますね。

「共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。」


 お金で調整するアプローチですね。

 持分を超える使用に見合うだけの対価を支払いなさい!というルールが用意されています。

 今までの判例だと、持分を超えた使用をする人に対し、他の共有者は、賃料相当額の不当利得金ないし損害賠償金の支払を請求することができると説明されていました(最高裁平成12年4月7日第二小法廷判決・裁判集民198号1頁)。

 改正後の民法は、法定の対価償還義務を創設しています。

 他の共有者は、持分を超える使用があることさえ立証すれば、対価の償還を求めることができます。

 不法行為の要件(損害の発生とか、故意又は過失とか)や、不当利得の要件(法律上の原因のない利得とか)を立証する必要はありません。

 実務的に気になるのは、「対価」をどうやって認定するかです。多くの事案では、上記の判例を参考に、賃料相当額の立証をしていくことになるんでしょうかね。


<<解説>>

3.善良な管理者の注意


 共有物を使用するとき、共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしないといけません(改正後民法249条3項)。

 いわゆる「善管注意義務」を定めるものです。

 「善良な管理者の注意」という文言は、民法298条1項、民法400条、民法644条、民法1032条、民法1038条にも出てきます。・・・いま気づいたのですが、民法典で、「善良な管理者の注意」という文言を使う最初の規定が、民法249条になるんですね。


 

 


 共有者は、一般的・客観的に、「そういう立場の人なら普通はこう管理するよね」というレベルで、共有物を使用する義務があります。


※ものの本には、共有者が全員で共有物を使用する場合は、各人の負う注意義務の程度は自己物に対するのと同一の注意義務に軽減される旨が書かれているものがあります。が、そんなに明瞭に線引きできるのか疑問です。他にも権利者がいるという事実は、いつでも変わらないのですから、条文どおり、いつでも善管注意義務を負うと解釈するのが素直だと思います。


 以上、改正後民法249条について学びました。

 ちなみに、BTSの曲では、「ON」が一番かっちょいいと思います。