古書ドリスのブログ 「書物の魔」

異色の古本屋、古書ドリスが綴る刺激的でブルージーな日記。買取した本の紹介と、偏愛する映画や音楽やアートの話。

台湾の書店とブックカフェについて聞いたこと

台湾で古本屋を営む胡蝶書坊さんとTwitterで会話しました。

台湾では誠品書店という有名店の影響で、書店は目的の本を購入するだけでなく、リラックス空間として楽しむ場所として利用されているそうです。

ブックカフェも増えているそうですが、SPAやカフェの会社が経営する店が多く、内装も贅沢。日本でも誠品書店を参考にした蔦谷書店がオープンしてますし、今後こういう書店が増えていきそうです。個人経営のブックカフェなど、もしかしたら日本が世界一多いんじゃないでしょうか?

お洒落で居心地のいい書店が増えるのはいいんですが、それを遥かに上回るスピードで、通販や電子書籍が便利になっていきます。書店に限らず、全ての販売店はAmazonのショーウィンドウと化す未来も予想されています・・・。それじゃあ、一時の人気店にはなれても、継続するのは難しい。

こういう状況では、居心地の良さと本の売上が比例するとは限りません。スパやカフェなど本業を引き立たせる事業として書店が注目されているのかなと思いました。

古本屋が本業の僕としては、全世界的な新しい流れに期待と不安があり複雑な気持ちです。ボンヤリしてられないですね。

誠品書店の店内はこんな感じ。高級感あります。有名な日本のあの書店やこの書店にかなり似てます。本屋の勉強と観光を兼ねて台湾に行ってみたいです。


元書店員の人達には叶わない、のか?

あけましておめでとうございます。今年も古書ドリスをよろしくお願い申し上げます。

世界的に昨年以上の混迷が予想される2012年最初のブログにふさわしく、不安と期待の入り混じったことを書こうと思います。

ずっと前から言われていることですが、新聞業界、出版業界、放送業界など、今後の発展が厳しい業界にいた人々が、インターネットの仕事に活路を見出し、続々と転職しているそうです。特にアメリカではその傾向が強く、今後優秀な人材がインターネット事業に集中する現象が世界的に拡大していくということです。

この仕事をやっていると、色々なきっかけで本の出版に携わる人たちと話す機会があります。

最近は東京で某大手出版社の社員の方とお話しすることができ、またつい先日は写真集専門レーベルを運営するメンバーの方と、写真集づくりについて興味深いお話を聞けました。写真集に関して言えば「未来ちゃん」みたいなヒット作もあれば、佐内正史や野村佐紀子の小部数限定本、さらにZINEなど個人でつくるアートブックもあり、出版業界と言っても規模や方針は様々です。

出版業界とは切り離せない関係の書店業界も、同じように様々なスタイルの書店があります。

昨年12月、新しくオープンした代官山蔦屋書店に行ってきました。

「プレミアエイジ」と呼ばれる団塊世代前後の人達と若者をターゲットとした大型書店で、文学、アート、デザイン、建築、車、料理、旅行など趣味的な本が並んでいます。それぞれの分野の専門書も多く、若年層から深い知識を持つ人方々までも満足させる面白い書店です。映像フロア、音楽フロアもマニアックな品揃えで、ラウンジも素晴らしい空間でした。

代官山蔦屋書店の売りのひとつであり、個人的にも品揃え以上に興味があったのが「コンシェルジュ」について。各ジャンルのスペシャリストや知識の深い方々36人が、お客さんのニーズに合わせて接客し、求める本や映像や音楽に案内するそうです。

ご縁があって、コンシェルジュとして働く方数人と店頭で自己紹介とお話をさせていただき、また一人の方から書店員としてのお話を深く聞かせていただきました。 

私のような個人経営の古本屋なら、コンシェルジュという言葉は知らなくても、お客さんに本を勧めるという行為は普通に行っている事ではあります。でも、新刊書店で、その道のスペシャリストとして接客することを売りにする書店は、私の知っている限りでは珍しいと思います。とある雑誌の編集に関わっていた方が専門ジャンルを担当したり、世界100カ国以上を旅行した経験のある元ライターの方が書店員として品揃えを考え、旅行者にふさわしい本を案内したりと、他の書店にはいないタイプの個性的なコンシェルジュが常駐しており、人材選びからもTSUTAYAの本気度が伝わってきます。

そして、ふと思ったのが、いずれこういった優秀な書店員の方々が、独立して面白い書店を作り出すのではないかな、ということ。

最近、私の周りでは様々な業界で仕事をしていた人たちが会社を辞めて、独立して店を始めることが増えました。古本屋さんも最近続々と増えています。世相も関係しているのかもしれませんが、いま、あえて個人で店を持ち自己実現することを肯定するムードがあるように思います。衰退中の業界からインターネットの仕事に転身する人が増えている一方で、ものを直接売ることにこだわる店が増えて、別の視点から注目されているのは、面白い現象だと思います。

青山ブックセンターを退社後に清澄白河で古本屋をはじめられた「しまぶっく」さんとお話しさせていただいたことがあるのですが、書店員時代に培われたと思われる知識、経験、センスが凝縮されている素敵なお店で、私にはおそらく真似できない書棚づくりをされているなーと思いました。青山ブックセンターは個人的にも一番好きな書店だったので、そのエッセンスも品揃えに感じられて、つい嬉しくなってしまいました。

しまぶっくの店長さんも仰っていましたが、今、書店業界は非常に厳しい状況だということです。

出版業界が冬の時代であるならば、書店業界に影響が及ばないわけはありません。そんな中、現在代官山蔦屋書店で働いている書店員のように何かのスペシャリストであったり、深い知識と人脈を持つカリスマ書店員が、本当に自分の思い通りにできる場として独立し、何か新しい試みを始め出すかもしれません。また、独自のセンスと取次との人脈を持っている人なら、自分の店舗と在庫を持たずに、他の書店や、雑貨、ファッション、イベントスペースなどに本を並べるブックディレクションの仕事に転身することも考えられます。

もし今の書店業界で働いている方々が一斉に独立して、他の書店には真似できない試みを始めたなら、そして古書業界にも参入してきたら・・・と想像すると、刺激的で面白そうだなあという期待もありますが、本の知識もビジネスの知識も自分を遥かに上回る元書店員たちが凌ぎを削る業界に自分の居場所があるだろうか、という不安も感じます。偶然の重なりで何とか生きている私は、今でもどこか古本業界の末端のほうでマイペースに細々と営業している状態ですから・・・。

ただ、異業種からの転身や、会社からの独立という形であっても、参入する人がいる業界にはまだまだ可能性が残されていて、新刊書店も古本屋も誰もやりたがらない状況よりは良いのかもしれません。

目的買いをするなら書店に出向いたり近所の本屋に注文するよりも、アマゾンで買うほうが遥かに便利な時代です。店舗としての書店の在り方は、必然的に変わらざるを得ないのだと思います。 

大型書店の未来は私にはよくわかりませんが、小さな書店や個人経営の古本屋は、少し先の未来には今よりもっと面白くなっていると思っています。新しい時代に、小さなことでいいので自分も何か面白い試みができる環境にいられるよう、まだまだ小さな古本屋を続けていこうと思います。

私が体験できなかった80年代文化と、セゾンのカルチャー・クロニクル

古本屋になったことで、自分の生まれるより前の時代に発行された本をお客様から譲り受け、読むことが日常になりました。

1960年代、70年代、80年代と、自分の知らない時代のサブカルチャーの空気に、本を通して触れる毎日です。店を持っていることで年の離れたお客様とのお付き合いも増え、当時を知る方のお話をお聞きして、刺激を受けることも多々あります。寺山修司の天井桟敷の公演に行って逮捕されそうになったとか、羨ましい思い出をお持ちの方のお話も聞いたことあります。

年配のお客様が懐かしみ、20代くらいの若い方は新鮮さを感じているジャンルとして、60年代~70年代の文化は今も人気があります。例えば寺山修司の本、植草甚一の本、小林信彦の本、ビートニク関係の本、ジャズの本など。ヴィレッジ・ヴァンガードや西荻窪あたりの古本屋さんの棚を見ると、そういった本が多く揃えられている印象を受けます。目立つ所に置かれているので、よく売れるのでしょうね。

ヒッピー、スウィンギン・ロンドン、アメリカン・ニューシネマ、ポップ・アートなど、様々な分野で新しいムーブメントが生まれ、表現者たちのコミュニティがあった熱い時代。マーケティングなどせず、利益を度外視して情熱だけで本を作れた、お金はなくとも恵まれた環境。だから当時作られた本は造本も内容も濃密でパワーがあり、今読んでも全く色あせない素晴らしいものが多いです。

スティーヴ・ジョブスにとってのバイブルが1968年から1972年までの間に発行されたペーパーバック誌「The Whole Earth Catalogue(全地球カタログ)」であることは有名ですが、今の時代にあらゆる分野で強い影響力を持つ人物が60~70年代に青春時代を過ごしていることも、この時代が注目されている理由のひとつかもしれません。

そんな時代の後に訪れる80年代。日本では、1985年のプラザ合意を引き金としてバブル景気が始まります。

 私は1981年生まれの田舎育ちなので、日本中がバブル景気に沸いて調子コキまくっていた時期の派手な文化は、TVの向こうの出来事としてしか記憶していません。ジャパン・アズ・ナンバーワンとまで言われ、東京23区の地価がアメリカ合衆国全土を上回ったのは、たった二十数年前のこと。 ジュリアナ東京とかギルガメッシュナイトとか・・・子供にしては刺激の強い映像をTVで見て「狂ってるな」と股間をほんの少し膨らませつつ思っていました。当時商売でおいしい経験をした方の思い出話しをたまに聞かされますが、今の私の金銭感覚や幸福感とは違いすぎて、逆に羨ましい気持ちさえ湧いてきません。ただただ、不思議な時代だなあ、と。

そんな80年代の文化は、スタジオボイスの特集などによって一部再評価もありましたが、古本屋の現状に限って言えば60年代や70年代の本ほど人気を博しているとはいえないと思います。 

まさにバブルという言葉通り泡沫のように消えた流行が多かったことも原因でしょうか?80年代はスカだった・・・などというネガティブな文句や、「70年代の夢が企業グループの金儲けによって壊された時代」という批判も聞いたことあります。「あの時代のニューアカとかパルコとか六本木WAVEとかのスカした雰囲気は大っ嫌いなんだよ!」とある方が言っていて、私はその方のことは大変尊敬しているのですが、お話しするときにその辺のキーワードは一切出さないにしようと誓ったのでした。漫画雑誌「ガロ」の話題でいえば日野日出志や水木しげるであって「ペンギンごはん」はスルーするとか、ミュージック・マガジンの話はしてもロッキング・オンの話はしないとか・・・。

ただし、私にとって80年代は夢の中にあるようなものであり、前から少なからず興味もありました。能天気な流行もあれば、恐ろしく過激な表現もあり、極端な時代だなあと思っていました。

当店のお客様には、80年代の東京で青春時代を過ごした方がかなり多いのです。エピステーメーや遊やアール・ヴィヴァンやMUSIC TODAYやRock magazineやフールズメイトやzyappuを読み、シネ・ヴィヴァンやリブロやセゾン現代美術館に通い詰めた方々です。

西荻窪や中目黒のお洒落な古本屋では売れ筋らしい植草甚一や小林信彦は、当店が扱ってもあまり売れず、その代わり上記のような雑誌バックナンバーや、阿木譲の本、工作舎の本を求める方が多いです。実は個人的趣味としても、その時代の本や音楽のほうが、ヒッピー文化華やかなりし頃より興味深かったりします。例えばジャック・ケルアックの小説にはあまりピンとこないのですが、年老いてからのバロウズの作品とその佇まいは凄く好きです。最初の頃は古本屋の流行に合わせて本を仕入れていた面もあるのですが、自分の好みに伴って、品揃えや集まるお客さんが、いつの間にか他店とは少し違ってきたのかもしれません。

セゾングループの光芒は、そんな80年代の日本を「文化事業」によって牽引した現象として、私にとってとても興味のあることでした。

様々な価値観と企業と人材を生んだ末に、やがて崩壊したセゾン文化。その時代のカルチャー・クロニクルとして、評論家の永井朗が書いた本を読みました。

セゾン文化は何を夢みたセゾン文化は何を夢みた
永江 朗

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永江朗は20代の頃、セゾングループの一員でもありました。その経験と人脈を生かして書きあげられた、他の人物ではできない、かなりの労作だと思います。

セゾン文化財団理事長の堤清二を筆頭に、西武百貨店文化事業部長の紀国憲一、リブロポート設立に参加した後にジュンク堂に入社した西武ブックセンターの中村文隆、無印良品立ち上げに参加した小池一子、元アール・ヴィヴァン社長で現在はナディッフ店主の芦田公昭など・・・当時のセゾン文化を作った人々の証言を集め、再検証する大変面白い本でした。

セゾングループの簡単な歴史については、以下の動画がおすすめです。もちろん、実際は数分で説明できるような歴史ではないと思いますが・・・。





いち企業が、現代美術や現代音楽など当時の日本に馴染みのなかった文化を底上げしたという事実。それは周囲の無理解や批判との闘いでもありました。今では東京都現代美術館や金沢21世紀美術館、そして瀬戸内国際芸術祭など若者が気軽にアートに触れるのも当たり前の世の中ですが、当時は西武百貨店で開催されたマルセル・デュシャン展でレプリカを展示したところ「本物の作品じゃないではないか!」というクレームがあったそうです。日本人のアートへの理解が当時どれほど遅れていたか伺えるエピソードです(プロダクト・デザインの展示に関しても同様のクレームが相次いだという話)。

「文化事業がセゾングループを崩壊させた」と言われるくらい、文化への投資が無駄なことだと思われていたこと、様々な法律の壁、そしてロシア・アヴァンギャルド展や故宮博物院展の開催にあたって交渉したソ連や中国との外交上の問題など、壮大な文化事業の裏側のエピソードは苦労のスケールも大きく、非常にスリリングでした。 

永江朗は「セゾングループは文化事業のためにつくられた」「セゾングループの目的は大衆を啓蒙することだった」という最初に立てた仮説を本の中で否定しています。そして取材の末に得たひとつの仮説は、大変興味深いものでした。文化革命や啓蒙活動などという、何やら威勢がいい政治家が掲げるような目的では、真の意味で多くの人々に影響を与えるような事業はできやしないんだなと、それが私の個人的感想です。そう思うと、なんとなく大阪の橋下市長にこの本を読んでもらいたい・・・。ただセゾングループの挑戦は敗北の連続でもあるので、これを橋下さんが読んだとしたら、受け取り方によっては大阪の文化的な人にとって悪影響になるかもしれませんが。

私はアール・ヴィヴァンにもセゾン美術館にも行くことができませんでした。そのかわりナディッフ原宿店には毎月のように通っていました。WAVEは今年自己破産しましたが、私のTwitterのタイムライン上では「まだあったんだ?」的な意見が大多数で、HMV渋谷店のように音楽ファンに特に惜しまれることもなく、自然の流れでもあるように消え去ってしまいました。

私が古本屋を始めたとき、品揃えのコンセプトのひとつとして、リブロポートとペヨトル工房の本はできるだけ多く集めようと決めていました。リブロポートが西武に関係していることはなんとなく知っていましたが、それがどういう会社で、なぜ消えてしまったか、特に興味を持つことはありませんでした。ただトレヴィルの本は個人的に趣味に合うものが多いなあと思っていて、雑誌アール・ヴィヴァンやMUSIC TODAYもマニアックな評論が載っていて面白いと思って、集めていただけでした。その品揃えが当時セゾン文化に触れたお客様の琴線に触れて、売買を繰り返すうちに無意識のままセゾン文化の空気を本から吸収していたことに気付きました。この気づきは、自分の今後の品揃え方針にとって、大きな影響と悩みの種になりそうです。

セゾン文化が席巻した当時の日本と、様々な価値観が崩壊しかけている現在日本では、文化に対する考え方もかなり変わっていると思います。私の店の品揃えが万人に好まれるものであるとは思いませんが、当時セゾン文化に浸った人達にも好まれるような店にできれば、非常にうれしい事だと思います。


ちなみに、この年代の文化に強い古本屋さんで当店よりもおススメなのが、中野に最近オープンしました「東京図鑑」というお店です。

当時のデザイン、思想、サブカルチャーに関する雑誌が多く取りそろえられています。東京図鑑のオーナーさんは、まだまだ若造の私と違って、おそらく当時の文化にリアルタイムで触れて強い思い入れを持っていらっしゃると思います。特にデザインに関して、この時代の文化をもっと深く掘り下げるため、私も東京図鑑を参考にしたいと思います。

INAXギャラリー(伊奈ギャラリー)企画作成のシリーズ「INAX BOOKLET」



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INAXギャラリー(伊奈ギャラリー)企画作成のシリーズ「INAX BOOKLET」シリーズをサイトにアップしました。
「道具」「厠」「ボール」「建築」「鬼瓦」「階段」「中国のタイル」「テレビ」など様々なもののデザインを写真豊富に特集する充実した内容です。

「ウェブサイトはお店のヴァーチャル版」ではないのです。

つい先日、Amazonマーケットプレイスとヤフオクの二つの販路のみで古本を販売している方と話をしていて、私が「僕は自社サイトに一番力を入れてるなあ」と言ったら、心底ビックリした感じで「それって普通誰も見ないですよね。楽天とかに出してるんですか??」と聞かれました。

「自分でウェブサイト作って、本をアップして売るのを4年くらいやってるよ」と言うと、さらに理解しがたいといった表情。Amazonやヤフオクという巨大で便利な販路のある中で、わざわざ自分の店のウェブショップを一から作って、手間をかけて管理しお客さんを呼び込む意味を聞かれましたが、まあ自分でも論理的な説明が難しく、一言二言で答えられるものではありません。

もし彼に「儲かってるんですか?」と直球の質問をされたなら、「僕にはやる意味があるからやってるだけで、少なくとも君のほうが僕より儲かってると思うよ」と答えたかもしれません。

今の時代にウェブサイトに労力を注いでいることについて、最初から否定的な意味で聞いてくる人には「好きでやってるから儲からなくてもいいっす」と言えば苦笑いしてそれ以上聞いてこないので問題ないんですが、最近よく出会う自分より年下のネット専門の方々は、商売に偏見を一切持っていません。古本を売るのに熱心で、自分と違う考え方の人に興味津津。だから誠実に答えたいと思ったんですが、きちんと説明するのは難しかったです。最近東京で色々なタイプの古本屋さんとも出会ったんですが、自分以外の古本屋さんは全て異業種だといってもいいくらい、本当に皆さんそれぞれのやり方があって、人間的にも魅力的な方が多く、すごく面白い業界だなあと思います。

「ホームページは実店舗のヴァーチャル空間だ」といった意見も昔の雑誌にはよく載ってました。

私の場合に限ってですが、それは違うと思っています。

私が一番やりたかったことは魅力的な古本のウェブショップをつくること。

私の前に色々な非プロの方がやっていたように、インターネットだからできることに興味があったのです。だから、PC画面を見ながらお店にいるような雰囲気が味わえる、といった考えは最初からありませんでした。むしろウェブショップの運営のために実店舗を役立てようと思っているので、地域密着型の店をやりながらサイト運営は外部に委託している多くの商店主の方々とは真逆のやり方・・・。時代とも逆行してはいないかと不安になり、自問自答の日々でございます・・・。

もちろん魅力的な店舗作りも重要であると思っています。ただし、やっぱり私の仕事の根幹はウェブショップであって、それは仕事の一部ではなく、中心です。 自分のウェブサイトとTwitterアカウントが消えなければ、もし店を東京やチェンマイやモスクワやピョンヤンに移転したとしても、何とかやっていけるんじゃないかという気がしています。

今はTwitterもFacebookもブログもやっていますが、あまり宣伝を意識しすぎず、気紛れに書き込んだり更新したりしている状況です。書き込みは店でも自宅でも旅行先でもiPadからできますが、どこにいてもウェブサイト内から発信しているという意識があります。ウェブサイト「古書ドリス」から根が生えて、他の場所での活動をコントロールしているような・・・。自分は今ここに存在して書き込んでいるのに、なんだか変な話ですが。PCに向かいすぎた結果、私の意識の一部分はクラウドの中に入ってしまっているのでしょうか?オソロシヤ。

なんだか年末にとりとめもない話を書いてしまいましたが、昨日みたスティーブ・ジョブスのドキュメンタリーが面白くて、従来の物事にとらわれない感覚って大事だなあ、と思ってたら、色々な思いが湧いてきて、何か書きたくなってしまいました。まあでも私はあんな仕事は絶対にできないので、自分にできることを考えていきたいと思います。

あ、私はクラウドに片足を突っ込んでいるかもしれませんが、ジョブスの魂はクラウドの中をユラユラとたゆたっていることでしょう。

「人びとの意識はつながり 広がってひとつになり 一方 機械は人間の神経を かりて感じ 頭脳をかりて 意識をもつにいたりました 

 イオの全住人と機械の完全な共同体・・・一個の巨大な 新しい生物が 
 誕生したのです」 

(諸星大二郎「生物都市」より)
古書ドリスのプロフィール
古書ドリス
現代アートや幻想文学など、カルトな本の買取販売。好奇心を刺激する異色の古本屋。
哀しみのトリスターナ(1970) 【ベスト・ライブラリー 1500円:第2弾】 [DVD]

絞殺魔 [DVD]

映画の魔

幻の下宿人 (河出文庫)

善人はなかなかいない―フラナリー・オコナー作品集
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