「篭もる」

 5 裏切り

 誰もいないみろく☆くらうんアジト地下室に、遥冬と子他が戦利品を持って帰還した。

 「なんとか無事帰ってこられましたね。」子他が疲れた表情で遥冬に言った。体は傷つき、立っているのもやっとな状態だ。自分の身を挺して遥冬をサポートした結果だろう。

 「サポートが遅すぎだ!私が死んだらどうする!」死闘後のテンションなのか、厳しい言葉を投げかける遥冬。しかし、今回はいつもと違った。

 「こいつさえいなければ・・・グリムリーパーのリングも遥冬の物だよ・・・」悪魔がささやく。リージュの世界で2つとない代物なのだ。

 遥冬の表情は、グリムリーパーが憑依したかのような表情に変わる。グリムリーパーの肉体は滅びてもなお、戦いは続いていたのだ。

 「このリングは誰にも渡さない・・・渡さない・・・渡したくない・・・」遥冬は、リアル旦那から強制的に奪い取った+7火属性カーツソードを手に取り、子他に襲い掛かっていた。

 一瞬の出来事だった・・・

 断末魔、床に倒れこむ子他。こうして、子他は遥冬の手によって殺されたのだ。


 みろく☆くらうんアジト地下室

 十把(じっぱー)が高速で回っている。いつ止まるのか誰にも分からない。

 「うぅぅぅ・・・回りすぎた・・・気分が悪い。」十把(じっぱー)が床に倒れこんだ。飛蛾(ぴか)さんが、すぐに駆け寄り心配そうに顔を踏みつける。日ごろの恨みだろうか2度踏みつけた。

 「君はそのまま寝てなさい。」白目を向いて動かない十把(じっぱー)に飛蛾(ぴか)さんは話を続けた。

 「犯人はこの中にいますね。みんなが持っている剣を見れば、犯人はすぐに分かるよ。今すぐ名乗りでなさい!」響き渡る声に、緊張がはしる。

 「私がやりました・・・」沙怜奈(セレナティス)は泣きながら言った。

 「私の剣を使って、沙怜奈(セレナティス)が襲ったんです・・・」遥冬は自分の罪を沙怜奈(セレナティス)に被らせたのだ。

 驚く沙怜奈(セレナティス)に、遥冬は微笑んだ。もう、遥冬の心は、グリムリーパーに乗っ取られていたのだ。

 こうして、遥冬の罪を被り子他殺害を認め、憲兵に連行される沙怜奈(セレナティス)。

 クラン員達は、信じられない表情で沙怜奈(セレナティス)の後姿を見送っていた。

 みろく☆くらうんアジト地下室には、悪意に満ちた何かが篭っていた。そして、遥冬の右手に、グリムリーパーのリングがはめられている事を誰も知らない・・・

(完)