2016年06月30日

 臭い。空気がそこはかとなく生臭いのである。
 梅雨の中休み。雲間に青空は覗いているけれど、まるで目に見えないほどのミストが降り注いでいるかのように、街の空気はたっぷり湿気を帯びている。
 その空気が臭い。昨日までとはどこか違う、何かの生き物の息吹を感じさせるような生臭さだ。
 これはたぶん夏の死臭なのだろう。梅雨の雲に遮られて地上まで降りられなかった、少しせっかちな夏の死骸から漂う腐臭。
 それはそれでどこか懐かしい匂いだ。30年前の夏を思い出す。今よりもっと精神が自由だったあの頃の夏を。

kotani_plus at 21:07コメント(0)トラックバック(0)250字 

2016年06月29日

 僕にだってうぶな時代はあった。一人の美少女に恋をして、その人を徹底的に美化した。彼女は排泄もしないし、まして男と性を交えるなどということはあってはならないことだった。
 それでも時おりどこからともなく湧き上がる情動に、彼女のあられもない姿を想像したものだ。そんなとき、僕は自分の穢れた心ををひどく責めた。自分への罰として真冬に冷水をかぶったこともある。
 幼い恋はそんなふうにして辛うじて清らかさを保った。おかげで僕の記憶の中にあるかつて恋した女の子たちは、みなどこか中性的な印象を残している。

kotani_plus at 23:17コメント(0)トラックバック(0)250字 

2016年06月28日

 最近では男性でも若作りに必死な中年がけっこういる。そういう男性を見ると何か助平な魂胆を感じてしまうのはオヤジ風情の僻みだろうか。
 男にとって若作りは出世にも悪影響することがある。若い=貫禄がないと見るのが普通の感覚であって、見た目でかえって損をする可能性が高い。もちろん仕事の出来不出来こそが人事評価になるのだろうけど、年功序列の風習が今も根強い日本社会では他が同じ条件なら年長に見える方を上に立てる。
 そういう意味で、サラリーマン社会の男はせめて歳相応の風情でいるのが最も無難だと思う。

kotani_plus at 22:25コメント(0)トラックバック(0)250字 

2016年06月27日

 英国では国民投票をやり直せという声が挙がっている。声の主は勝ったはずのEU離脱派。勢いで離脱に逃避したものの、離脱の影響をまったくわかっていなくて、いざ離脱派が勝ったことを受けた報道に触れて初めてその深刻さに気づいたというのである。
 愚民もここに極まれり。だからこういう国家の大事は政府が腹をくくるべきなのだ。およそ知性の欠片もない大衆にその採否を委ねるなど、無責任を通り越して単なる自殺行為に他ならないのだから。
 何でもいいから英国は早く事態を収拾してくれ。世界が落ち着きを取り戻すために。

kotani_plus at 22:01コメント(0)トラックバック(0)250字 

2016年06月26日

 さすがにこの歳になると、いろんなことに対して寛容になる。いや正確に言うと、寛容なふりができる。本心では気に入らないことでも、納得したような素振りができる。だから物事の是非を論じる場面で無駄に人と対立することはない。
 けれどあくまで素振りだけ。気持ちは納得していないことがほとんど。そこをとやかく言われても仕方ない。嫌なものは嫌だし、それを曲げることは自分のアイデンティティを壊すことにもなる。
 僕は自分を曲げない。しかしそんな本心は決して口にしない。黙って墓場まで持っていく。

kotani_plus at 22:31コメント(0)トラックバック(0)250字 

2016年06月25日

 一夫一妻で子供を育てるという家族の形はとても新しいもので、日本では明治維新後に一般化した。結果として人口は増え、生産力は向上した。しかしこの形も制度疲労を起こしているような気がする。
 この制度は男が働いて女が家庭を守るという武家社会的な前提で作られている。しかし男の収入が不安定で、かつ女も働くことが当たり前の世の中にはそもそも適合していないのではないか。
 滅多なことは言えないけれど、おそらく新たな家族の形が必要なのだと思う。極論すれば江戸の長屋のように犬猫なみの雑婚をさせるとか。

kotani_plus at 23:23コメント(0)トラックバック(0)250字 

2016年06月24日

 EU残留か離脱かを決める英国の国民投票で離脱派が大勢を占めた。経済が大混乱するという予測から為替も大変動し、世界中で同時株安に見舞われている。
 英国のEU離脱による経済へのダメージは現時点ではみな憶測であり、確たる裏付けはない。だいいち離脱までに2年はかかるのであって、ただちに何かが変わるわけではないのである。実は何も変わらないのでは、という声もある。
 恐れ慌てると書いて「恐慌」。まさに今がその状態だ。今後起こりうる実際の混乱よりも、様々な憶測が生み出す混乱の方が遥かに大きいのかもしれない。

kotani_plus at 22:13コメント(0)トラックバック(0)250字 

2016年06月23日

 今や本家のトヨタさえ「カイゼン」を超えた先に行っているというのに、なおもトヨタOBの書いた思い出語りの本に触発されてカイゼンカイゼンと叫んでいる会社が少なくない。それはそれで精神としては結構なのだけれど、そういう会社に限ってカイゼンの最も重要な前提を無視している。
 カイゼン運動でいちばん大切なことは聖域を作らないこと。仕事をカイゼンしようとする前に、その仕事がそもそも必要なのか考える頭が必要なのである。
 トヨタはそもそも車を作る必要があるのかという所まで遡ってカイゼンを進めてきたのだから。

kotani_plus at 23:45コメント(0)トラックバック(0)250字 

2016年06月22日

 参院選の火蓋が切られた。今回はアベノミクスやら憲法やら争点には事欠かないし、選挙権の年齢が18歳に引き下げられた最初の選挙ということで盛り上がると想像したのだけれど、世の中は思いのほか静かだ。
 無風と言ったら野党にはいささか失礼か。しかし2009年のように与野党の勢力を変えてしまいそうな風は今のところまったく吹いていない。
 もちろんこれは政府与党によるメディアへの圧力の成果でもある。しかしそれ以前に、与党への不満の受け皿になり得ていない野党は自らの不甲斐なさを恥じるべきだろう。

kotani_plus at 22:59コメント(0)トラックバック(0)250字 

2016年06月21日

 今は1億2千万人が住む我が国も平安時代の人口は今の20分の1だった。江戸時代初期でようやく1千万人を超え、大平の世でその3倍にまで増えた。さらに明治維新後は爆発的に増え、2006年に1億2千万人でピークアウトした。
 ここから先は下りのジェットコースター、そして超高齢化社会の幕開け。ピーク時に人口の5分の1だった高齢者はたった20年で4分の1まで増え、2050年には3分の1になるというのが国交省の試算だ。
 という人口の推移を知っている人がほとんどいないことがこの国の最大の問題かもしれない。

kotani_plus at 23:52コメント(0)トラックバック(0)250字 

2016年06月20日

 ろくなことがない日は気分がすぐれない。気分がすぐれないとさらにろくなことが訪れない。その悪循環に入ると抜け出すのに一苦労する。
 ろくなことがないのが原因なのか、気分がすぐれないのが原因なのか。たぶん後者だと思う。
 そういうときはともかくも90秒ばかり微笑んでみる。密室に籠ってもいいし、独り窓に向かってやるのもいい。どんなつまらないことでもいいので、何かに心から感謝しながら微笑んでみるのだ。
 人は楽しいから笑うのではなく笑うから楽しいのである。この方法で消せないネガティヴ感情はない。

kotani_plus at 22:14コメント(0)トラックバック(0)250字 

2016年06月19日

 医学の進歩が国を滅ぼすという趣旨の記事があった。百歳寝たきり社会というヘッドラインには身震いさえおぼえる。
 人の寿命は確実に延びている。しかしそれは働けない口を増やすだけで、働ける世代の負担はどんどん大きくなっていく。
 西暦2300年の未来を描いた映画では、30歳になると掌に寿命のランプが点灯し、観衆の前で爆殺されていた。それはSFの話だけれど、現在でも80歳を過ぎると人工透析の公的給付が打ち切られる国もある。
 もしかしたら余生などというものはあってはならないのかもしれない。

kotani_plus at 18:44コメント(0)トラックバック(0)250字 
livedoor プロフィール
Categories
記事検索
Archives
livedoor × FLO:Q
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ