2005年05月07日

 「不倫は文化だ」は石田純一の名文句として人々に記憶されている。しかし実のところ彼はそんなことを一度たりとも言っていない。芸能人ゴルフコンペについて回った報道陣から女優・長谷川理恵との不義理について問われたとき、実際に彼が答えた内容は「不倫とか何とか言いますけどもね、文化的な背景だとかね、いろいろあるわけで・・・」であって、これが転じてなぜか「不倫は文化だ」という一つのキャッチコピーになり、そしてそれが独り歩きしてその後の彼の代名詞になった。報道する側は本来、事実をありのままに書くという姿勢であってほしいものだが、やはり売らんかなの精神が入るとバッファーがかかる。「石田純一は不倫を自己弁護する」という前提に彼の発言を乗せた結果があれだ。もっとも芸能人にとってこうしたスキャンダルは仕事のタネになる。じっさい彼は俳優業そっちのけでバラエティ番組で女性関係をいじられる役回りを確立した。
 しかしプロ野球の監督に「野球は暴力だ」などというレッテルが貼られたらへたをすると職を失う事態にもなりかねない。ましてセ・リーグの首位を独走するチームの監督となれば風当たりは必要以上に強くなる。
 以下、活字報道からの抜粋である。

「乱闘騒ぎが起こるのも野球だし、暴力行為が起こるのも野球。命をかけてやっているんだ」(スポーツ報知)
「乱闘や暴力行為があるのも野球なんじゃないか」(日刊スポーツ)
「野球には乱闘や暴力事件はつきものだ。命がけでやってるんだから。それが野球だ」(サンケイスポーツ)
「乱闘が起こるのも野球。暴力行為が起こるのも野球」(共同通信)

 どうも「落合監督は暴力を容認した」という報道側の暗黙の前提が匂う。贔屓の落合監督だから一方的に擁護するわけではないが、対マスコミ広報の仕事に長く携わった者として報道の字面だけをそのまま鵜呑みにして判断するわけにもいかない。
 故・佐藤栄作元首相はあるとき会見の席から活字の記者をすべて追い払い、テレビカメラに向かって独り淡々と話し始めた。紙記者は自分の真意を曲げるから、という理由だ。確かに新聞は自社の論調に都合のいいように発言をつまみ、時には作文さえする。名のある全国紙でさえ行間に追いやられた部分を読み取らないととんでもない誤解を植えつけられてしまう。
 僕自身も企業広報の立場で会社のトップへの取材に同席することがあって、その場での発言が翌朝の一面にでかでかとしかも捻じ曲げられて載って痛い思いをしたことが何度もある。
「業績好調ですね。株主へのリターンなどは何か考えてますか」との記者の振りに対しトップが「あなたならどうする?」と。「僕なら増配ですね」と記者。「それも一つの手ではあるよね」とトップ。記者はその場でノートに大きく「増配」と書いた。僕は心配になって取材後にその記者に「あくまであれは一つの選択肢ということですから」と念を押した。「わかってますよ」と記者。
 しかしなんと翌朝の朝刊の一面に「増配」の記事が。ビジネスマン必携の経済紙といわれる新聞にしてこのありさまだ。ちなみに会社は増配をしなかった。ゆえに誤報となった。
 さて物議をかもした落合発言、テレビカメラは回っていなかったのだろうか。幸い今のところはまだマスコミもあまり騒ぎ立ててはいないが、もういちど落合監督の言動を冷静に検証しておく必要があると思う。マスコミの記事をそのまま受け取って批判してしまったら我々はマスコミにいいように翻弄される哀しいカモになってしまう。
 今は経営コンサルタントになった友人の言葉をあらためて思い出す。
「新聞はそこに何が書かれているかというより、その記事が世の中にどういう影響を及ぼすかという観点で読むものだ」
 ブロガーにとってみればさらに突っ込んでその記事をどう利用するかということにつながるだろう。まあここは私論の場でもあるし、背景がどうの真意がどうのというよりもいかに自分の書きたいことと結びつけるかの方が重要なのかもしれない。
 ただその場合も背景を自分なりに深読みしてマスコミを見透かした上で、のことであってほしい。バッファーのかかった新聞のカッコ書きの発言にいちいち目くじらを立てていてはいささか大人げなくないだろうか。
 かく言う僕も昨年のナベツネ関連報道では新聞の語句をひっぱってずいぶん派手に祭りを演出してきた。もちろんナベツネの真意は活字にはないだろうと理解したうえでのことだが(笑)。

●個人的な深読み

 ここからは想像の域である。
 落合監督は感情だけでものを言う人ではないとある記者も言っていた。自分がこう発言したらマスコミがどう騒ぐかぐらい想定できるはずだ。だから確信犯でウッズを擁護する発言をした可能性はある。
 暴力は絶対に悪だ。自分が怪我するのはいやで相手が怪我するのはいいのか。そんな馬鹿な話はない。しかしそんな暴力という悪を是認する不本意な立場にたってでも部下を守るボスがいる。いかなることがあっても絶対に部下の批判を外に向けない。仮にそれが悪であるなら自分も悪となって部下と同じ立場にたつ。優等生発言をしてウッズを突き放すのは簡単だ。しかし間違っているとわかっていながら部下と一緒に汚れるこの人は本当に軸のぶれない人だと感じた。勝手な想像ではあるが僕はますます落合監督を好きになってきた。

●殿中でござる!

 とはいえ蛮行は蛮行。藤井を殴ったことは僕も目の当たりにした現実である。言い訳無用。どんな背景があろうとも許しがたいことだ。ウッズへの10試合出場停止および罰金50万円は手緩いとさえ思う。かつてガルベスは審判団にボールを投げつけてシーズン出場停止になったのだ。今回の件は世間なら刑事事件になってもおかしくない事態であり、企業なら懲戒免職になってもおかしくない。
 しかし喧嘩両成敗であってほしいというのが正直な感想だ。ウッズが詰め寄ったとき藤井投手はなぜ両手を広げて「なんで?」のようなポーズをしてみせたのか。あれは挑発と受け取られても仕方ない。ぶつけたわけではないから帽子を取って謝るほどのことではないが、ちょっと手刀を切って「ごめん」ぐらいの仕草をしてみせてもよかった。あるいは無視してもよかった。それがあのポーズではおそらく僕がウッズの立場にあったらやはり突進していっただろう。自分の性格からして。
 挑発した吉良公にお咎めなしで浅野公は即日切腹。なんだか赤穂の藩士のようなやりきれない気分である。このうえは名古屋浪士たちよ、いざ討ち入り。今度は拳ではなくバットで藤井をマウンドに沈めてくれ。バットで殴るということではないぞ。

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(12:47)

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この記事へのコメント

1. Posted by 切磋琢磨   2005年05月07日 22:35
いつにも増して読み応えありました!
これからも楽しみにしています
(恥ずかしながら拙文もTBさせていただきました)
2. Posted by coro   2005年05月09日 11:57
いたく共感いたしました^^

これからも頑張ってください。

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