2006年10月26日

戦前からあった「連勝力」の差
 日本シリーズは4戦を終えて日本ハムの3勝1敗。ここまで来て何となくわかってきたのだが、早い話が瞬発力の差が出たのだろう。シーズンを勝ち抜く持久力はあったが、ここぞという時の瞬発力に欠けていたのが今年の中日。ひどい連敗もしない安定した戦いぶりは見事だったが、一方で目を見張るような連勝もなかった。
 実際に調べてみると、リーグの勝率で中日は勝率こそ.617で日ハムの.603を上回ったものの、連勝の実績となると7月に7連勝が1度、8月に6連勝が1度あったぐらい。あとは5連勝止まりだった。2004年の優勝時もそんな戦いぶりだったように記憶している。むしろ今年は2位の阪神の方が9月に9連勝で猛追したりなど、爆発力は凄まじかった。
 かたや日ハムは6月から7月にまたがる破竹の11連勝を筆頭に、8月にも7連勝、さらに土壇場の9月になっても1敗をはさんで5連勝を2度続けた。「連勝力」という点では中日に大きく差をつけている。これにはムードメーカーの新庄や森本も大いに貢献してきたことだろう。残念ながら地味な職人集団の中日には雰囲気を作れるだけの選手もいない。

連勝力は中継ぎ投手の差
 この連勝力を支えるのが絶対的な中継ぎの存在だ。今年の武田久や岡島の安定感は素晴らしい。かたや中日は岡本が全盛期の勢いを失っている上に、絶対的な左のセットアッパーがいない。急造サイドスローの小林は制球が滅茶苦茶で左打者の尻によくぶつけるし、久本は制球難のため首脳陣から信用されておらず、接戦で登板することはほとんどなかった。
 負けん気という点でも武田久や岡島はたとえ負けていても闘志をむき出しにして野手の戦意を鼓舞する。中日にはそんなガッツのある中継ぎ投手がいないため、終盤で試合を動かすことができない。この点でも瞬発力に大きな差が出てくる。

連敗のA級戦犯は谷繁
 ともあれ日ハムに勢いをつけさせたのは3戦目の初回だった。無死一塁での谷繁の野選。森本の足を考えればまず間に合わない二塁へまさかの送球で余裕のセーフ。これで先発・朝倉は傷口を広げて致命的な3点を失う。その後の投球がかなり良かっただけに悔やまれる判断だった。
 この試合ではリードも最悪だった。8回にリリーフした中里が藤川球児ばりの剛速球でセギノールを三振に斬った直後、稲葉への初球に中途半端なカーブを投げさせてダメ押しの3ランを喰らったあのシーン。目先を変える球ならストライクゾーンに投げさせる必要はなかったし、セギノールのバットが5センチも下で空を切っていたあの日の中里のストレートならど真ん中でも討ち取れたと思う。一呼吸おこうなどという妙な狡猾さと投手の力を信じない傲慢さが命取りになった。

 短期決戦は勢いの勝負。こういう「連勝力」がものを言う。日ハムは中日にとって最も分の悪い相手だったといえるだろう。エースが背水の陣で登板する試合を残してこう言うのも何だが、もはや勝負はついている。竜党としてはしょせん日本シリーズなどオフシーズンのセパ優勝チーム対抗戦とでも割り切って静かに見守るほかない。
 札幌のみなさんには一足先におめでとうと言っておく。


(16:52)

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この記事へのコメント

1. Posted by kamu   2006年10月29日 17:01
このシリーズは初戦から、なんか谷繁さんも落合さんもおかしかったような気がしてならないんだなぁ。

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