2009年07月16日

急性期化する緩和ケア病棟?

都内にある、有名な某ホスピスは、入院の際に
「当院のホスピスには2週間しか入院出来ません」
という説明を受け、承諾された方しか入院出来ない
そうです。もっと長い入院が出来ないのですか?と
尋ねると、「他に終生入院出来るホスピスがあります」
と他のホスピスを紹介されてしまうそうです。
困って私達のホスピスを訪れる方が何人かおられました。

良い事か悪い事か、皆さんがどう考えられるかは
分かりませんが、多くの方々の理解とは逆に、
ホスピスは最期までずっと入院する施設ではなくなって
来ています。即ち、基本は在宅。ホスピスは症状
のコントロールを行う施設であって、症状が落ち着けば
原則退院、という考え方に変わってきています。
もちろん、まだ長い期間入院出来る施設もありますが
「ホスピスの在院日数を見ればその施設の質が分かる」
と言われる時代です。少しずつ傾向は変わってくるでしょう。
(もともと、欧米のホスピスは平均在院日数は1週間
程度ですので、驚くには当たらないのかもしれませんが)

これはある意味仕方ない事かもしれません。
高額医療等の制度があるので、個室料金などを除けば
患者さまの負担自体は月数万円になりますが、
ホスピスでは実際、1日38000円程度、1人が1年間入院すれば
1400万円程度の医療費がかかっています。
これだけの医療費をかけているのですから、当然
ホスピスは、よりホスピスケアを必要としている人に
ベッドを提供すべきではないか、という考えが出て来ます。
がんはあるけれども苦痛はあまりなく、ただADLが低くて
在宅介護が難しいという方がずっと入院していて、
死が目前に迫り、痛みも呼吸苦も吐き気も緩和出来て
いない患者さまが入院出来ない、というのは確かにおかしな
話です。

すると、症状が軽くなった方は、重い方にベッドを譲って
退院して頂き、状態が悪くなったら、またその時に入院
して下さい、無理なら療養型病院に転院して下さい、
という事になります。しかし、これではある意味
「次の患者さんがお待ちですから早く退院か転院をして下さい」
という急性期病院とあまり変わらないではないですか。

冒頭で紹介したホスピスは、既にそのような考えを
推し進めているのだと思います。しかし、多くの患者さま
が困って他のホスピスを訪れているのも確かなので
複雑な心境です。
結局、制度が整う前に考えだけ先に行ってしまうので
取り残された患者さまは途方に暮れてしまうのです。
介護力がない患者さま、御家族も苦しまれているのですから
ホスピスに変わる救済方法を考えていかなければいけません。






kotaroworld at 16:40コメント(2)トラックバック(0)その他  

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コメント一覧

1. Posted by H i   2009年07月17日 18:07
5 こたろう先生、おひさしぶりです。
急性期化する緩和ケア病棟、在院日数2週間をイギリスのような在宅との連携・GP(かかりつけ医)のシステムの無い、日本でするにはきついきがします。
わたしの働いている緩和ケア病棟はまさに、急性期緩和ケア病棟で入退院が一日3・4件常にあります。ベットの回転率が高いと、スタッフにかかる負担も大きく、十分に行き届いたケアができていないような気がしてなりません。
より多くの患者さんに緩和ケアを提供するためにはベットの回転率を上げることが必要かもしれませんが、ケアの質とのバランスも大切にしたいですよね・・・。
2. Posted by こたろう   2009年07月17日 22:20
Hiさんお久し振りです!日本にいらっしゃるんですか?書き込み有難うございます。本当におっしゃる通りです。在宅医療の整備や訪問介護の充実なしにただ在院日数の短縮を目指せと言われても…結局苦しみを抱える患者さんよりも、医療経済を優先しているんですよね…。ケアの質とのバランス、これについても全く同感です。

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