2012年06月16日
WebのNative化に対する標準化が始まる?
昨日、一昨日と幕張で開催されたW3CのWorkshopに参加しました。内容は、Web技術をデジタルサイネージにも適用していこうというもので、僕のほうからは「WebIntentsなどのAPIを利用して、サイネージとスマフォとかを連携すると面白いんじゃない?」といった提案をさせてもらいました(毎度のことながら、自分の英語力の無さに反省しきりなわけですが・・・)。
で、このWorkshopの際、W3C の Michael Smithさんに興味深い動きを教えていただいたので、今日はその紹介をします。
System Applications Working Group
最近、System Applications という Working Group が立ち上がったそうで、そのcharterページ後半に取り扱おうとしているAPIが書いてあるのですが、これが凄い!!
一部ピックアップすると
- Power Management API
- 電源周りを管理する。screeのオンオフとか、CPUをスリープモードにするとか
- Raw Sockets API
- TCPとかUDPなどの生のSocketコーディングを可能にする
- Browser API
- ブラウザを作るのに必要な機能を提供するAPI
WebのNative化に対する標準化という感じかな?
とは言え、これらのAPIは通常のブラウザで動かすことを想定したものでは無いようです。言葉が適切か微妙ですが「WebのNative化に対する標準化」と言えるんじゃないかな?という気がします。
WG Charterの Goal として以下を述べています。
つまり、OSのネイティブ機能を使ったアプリ開発をWebプラットフォームで可能にしようと。The System Applications Working Group aims to produce a runtime environment and a set of APIs that let applications integrate closely with the operating system's functionality using nothing but the Web platform. Creating the ability to produce applications relying solely on the web platform extends the reach of the Web to new places and opens the door to greater cooperation between the Web and the operating system.
〜System Application WGではWebプラットフォームのみを用いOSの機能を利用したアプリケーション開発を行えるランタイム環境とAPI群を提供することを目的としています。Webプラットフォームによるアプリケーション開発に対し、WebとOSとの連携に対する扉を開くことで、Webは新たな領域へと踏み出していきます。〜 (上手く直訳できなかったので、少し意訳を入れています)
さらにそれ以降の節を見ると、WGの目的がよりクリアとなっていきます。
- 「通常のブラウザから使うことを目的としていない」
- 「Boot2GeckoやTizenを議論を始めるにあたっての参照点としている」
- 「メインの言語はJavascriptをターゲットとしているが、他の言語利用も考慮に入れる」
ここからは、あくまで僕の私見なのですが、現在「Boot2Gecko」「Tizen」「ChromeOS (NaCl)」「Windows8(MetroUI)」といったWebとOSとの融合を図る製品が次々と発表されています。これらは、いわゆる「HTML + CSS + Javascript」でネイティブアプリ開発を可能にしようというもの(だと僕は理解しています)で、通常のブラウザからでは利用できないOS機能にもアクセス可能です。
これは大変素晴らしいことなのですが、一点懸念されるのは「OS固有機能へのAPIがベンダー独自になってしまわないか?」という点。こうなると、そこでfragmentationが起きてしまい、Webの利点・基本思想がどんどん失われていってしまいます。
このような動きに対して、このWGはそれらの機能に対しても標準化をすすめることで、ベンダーごとのfragmentationを避けようとしているんじゃないかな・・・と。それにより、Webのさらなる進化を加速していこうとしているんじゃないかなと僕には写りました。あと、多分こういった動きって、PhoneGapのような開発フレームワークにも反映されていくんじゃないかなと勝手に想像しています。
ネイティブ開発に対しても、Webのマルチプラットフォーム性が適用されていく。それってホントに素晴らしいことですよね。こうなってくると
「WebアプリとNativeアプリどっちがいいのか?」
という議論もいずれはなくなってしまうのかもしれません。(と、自分で書いててなんですが、そこは微妙かも)
まとめ
今日は、W3Cで新たに作られた System Applications Working Groupについて紹介しました。様々なOS固有機能を用いたアプリケーション開発をターゲットにしたもので、NativeアプリをWeb技術を使って開発する際の標準化と位置づけられます。
Webの進化は、ホント止まりませんね!!いったい、どこまでいくのやら :)

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「通常のブラウザから使うことを目的としていない」
「Boot2GeckoやTizenを議論を始めるにあたっての参照点としている」
「メインの言語はJavascriptをターゲットとしているが、他の言語利用も考慮に入れる」

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