日比野庵 新館

日比野庵旧館から変更しました。

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更に、昨日の補足エントリーを極々々簡単に…。

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先の安倍総理の上下院総会の演説に対する反応をみると、誰が敵で誰が味方なのか、そしてその黒幕は誰なのかが、かなり明確に見えてくるように思います。

くだんの安倍総理の演説に対して、アメリカ側の反応は概ね好意的に受け止められたのですけれども、批判する議員もいました。まぁ、民主主義の国ですから、報道・表現の自由は認められていますし、そういう意見もあっても別におかしいわけではありません。

けれども、何故そういう発言をするに至ったのかという点は見逃してはならないと思います。なぜなら、その議員が本心でそう発言しているのか、それとも別の事情で発言せざるをえないかという違いがある可能性があり、その場合は、それぞれに取るべきアプローチが異なるからです。

前者の場合は、対象となる議員本人に誤解を解くべくアプローチをしなければなりませんし、後者であれば、その事情を把握した上でしかるべき対策を取らなくてはなりません。

もう既に報道されていますけれども、今回の安倍総理の演説に反発している議員は選挙区に韓国系の住民を抱えていることや、彼らは声は大きいけれども少数派などと暴露されています。

これらから予想されるのは、後者であり、その事情とはおそらく選挙対策だと思われます。

安倍総理を批判した議員の一人であるマイク・ホンダ議員については、もう広く知られていますけれども、韓国系のロビー活動を強く受けている議員です。この日も韓国から来た元慰安婦の李容洙氏を帯同し、会場入りしたそうですけれども、満場のスタンディングオベーションをどう聞いたのでしょうね。

また、同じく安倍総理の演説に対し、下院のエド・ロイス外交委員長「性奴隷の侮辱に苦しんだ女性たちに謝罪するべきだった」と非難声明を出していますけれども、このロイス氏はかつて、靖国神社を参拝した安倍総理を非難したことで知られ、2007年の下院での慰安婦決議に賛成した議員の一人とも言われています。また、グレンデールの慰安婦像に顕花したりするなど、一部からはホンダ議員よりも、親韓なのではないかという声もあるほどです。

彼は、韓国系住民が多い、カルフォルニア選出の議員ですけれども、こちらのブログでは、彼の言動は票目当てのパフォーマンスだけでなく、キム・ヤングという彼の韓国系秘書が長年傍で囁き続けたと述べています。

これが本当であれば、エド・ロイス議員は後者の選挙対策だけでなく、哀れにも、前者の本心からそう思っている可能性があります。

ところが、彼は、安倍総理の肝心の演説を聞きもしないで、非難声明を出していたらしく、あのネルソン・レポートから痛切に批判されています。

ネルソン・レポートは、ロイス氏がカリフォルニア州での義父の葬儀に出るため首相演説を直接聞いていなかったとして、「外交委員長が直接聞いてもいない演説を声明で厳しく批判した。家族は最優先されるべきだが、これほど重要な演説の場に出席できないのなら、せめて演説原稿を注意深く読んでしかるべきだ。…自分の思い通りのことを言わなかったからといって、米国にとり最も重要なアジアの同盟国の首相に不当な言いがかりをつけることが外交委員長の仕事なのだろうか」とバッサリ。

アメリカはアンフェアな態度を嫌う国柄ですから、今回のロイス氏の言動は失点になったといっていいでしょうね。

これ以外にも、慰安婦問題については、大きく流れが変わりつつあります。

昨年末、日本政府が、アメリカの出版社「マグロウヒル・エデュケーション」の発行する教科書の慰安婦に関する記述などに問題があるとして、是正を要請して拒絶されたことがありました。これについて、ピッツバーグ大学のパトリック・マニング教授やコネチカット州立大学のアレクシス・ダデン教授ら19人の歴史学者が、「私たちは最近、日本政府が第二次世界大戦当時、日本帝国主義による性的な搾取の野蛮なシステムの下で苦痛を経験した日本軍慰安婦について、日本およびその他の国の歴史教科書の記述を抑圧しようとする最近の試みに驚愕を禁じ得ない。…国や特定の利益団体が政治目的のために、出版社や歴史学者に研究結果を変えるように圧迫することに反対する」と、日本政府の抗議を批判する声明を出していました。

けれども、この非難声明を非難する意見がアメリカから出てきました。

この反論を出したのは、ウィスコンシン大学のジェイソン・モーガン氏で、現在、フルブライト奨学金学者として早稲田大学で日本の法制史を研究している人物です。

彼は、その反論をアメリカ歴史学会の月刊機関誌4月号に寄稿したそうなのですけれども、その骨子は次のとおりです。
・19人の声明は慰安婦に関する日本政府の事実提起の主張を言論弾圧と非難するが、非難の根拠となる事実を明示していない。

・声明は吉見義明氏の研究を「20万強制連行説」などのほぼ唯一の論拠とするが、同氏も強制連行の証拠はないことを認めている。

・声明は米国の研究者も依拠したことが明白な朝日新聞の誤報や吉田清治氏の虚言を一切無視することで、歴史研究者の基本倫理に違反している。

・声明は日本側で慰安婦問題の事実を提起する側を「右翼」「保守」「修正主義」などという侮蔑的なレッテル言葉で片づけ、真剣な議論を拒んでいる。

・声明は日本政府の動きを中国などの独裁国家の言論弾圧と同等に扱い、自分たちが日本政府機関からの資金で研究をしてきた実績を無視している。
このように、真正面からの直球で反論しています。まぁ、大学の教授達が首を揃えて出した声明に、新進気鋭の一学者が噛みついたことが、どこまで、まともに受け取られ、話題になるか分かりませんけれども、こうした動きをみるにつけ、やはり慰安婦問題の主戦場はアメリカに渡ったのだ、と思わずに居られません。

既に、日米両政府間では、慰安婦問題は人身売買だったで、合意が済んでいるものと思われますけれども、事実を検証することなく、レッテル貼って糾弾することで弾圧するやり方は、「アンフェア」以外の何物でもないでしょう。

願わくば、こちらでも真剣な議論が行われ、間違いが正されることを期待しています。

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1.沖縄振興予算

12月26日、沖縄県の翁長知事は山口沖縄担当大臣と会談した。

翁長知事は会談で2015年度の沖縄振興予算について、2015年度の沖縄振興予算の概算要求を満額計上するよう求めたのに対し、山口大臣は「予算確保に全力で取り組みたい。沖縄側も支えるものを作ってほしい」と答えたという。

尤も、山口大臣は会談に先立つ記者会見で「消費増税を先送りし、財政的に厳しい」と予算減額可能性を口にしている。

元々、翁長知事は、安倍総理や菅官房長官、外務・防衛大臣との面談を要請していたのだけれど、菅官房長官が26日の会見で「年内にお会いするつもりはありません」と述べるなど実現せず、山口担当大臣以外に会えたのは、防衛省の西正典事務次官と外務省の冨田浩司・北米局長だった。

翁長知事は、山口大臣との会談では、沖縄の米軍基地問題について「過重な負担がある」と述べるにとどまり、普天間の県内移設反対に関する発言はなかったとのことだけれど、外務省の富田北米局長などとの面会では、普天間基地の辺野古移設に反対する考えを伝えたようだ。

この沖縄振興予算の削減については。翁長知事が、辺野古移設の阻止を主張していることに対する牽制だという見方が専ら。既に政府は、「大幅削減」、「小幅削減」、「小幅削減と執行停止の組み合わせ」の3案を検討していると伝えられているけれど、大幅削減となった場合は、概算要求額から1割程度減らす可能性があるようだ。

政府は沖縄の歴史的、地理的、社会的な特殊事情を考慮し、沖縄振興策を実施していて、昭和47年の本土復帰以来、10年おきに策定する沖縄振興計画に基づき沖縄振興策を進めている。

現行の計画は平成24年に策定された「改正沖縄振興特別措置法」に基づくもので、平成23年度には約2300億円だった振興予算は、平成26年度には3500億円にまで増額。平成27年度の概算要求では3794億円となっている。

平成27年度の概算要求の内容の詳細については分からないけれど、平成26年度の振興予算については、首相官邸のサイトで公開されている。その予算項目部分のみ抜粋すると次のとおり。
沖縄振興一括交付金 1759億円
那覇空港滑走路増設事業 330億円
沖縄科学技術大学院大学 198億円
公共事業関係費等 1423億円(那覇空港滑走路増設事業含)
北部振興事業 51億円
鉄軌道等導入課題検討基礎調査 2億円
駐留軍用地跡地利用の推進  記載無し
先日行われた沖縄知事選挙で、翁長氏は、辺野古移設反対を訴えて当選したのだけれど、辺野古移設に関する予算は、平成26年度予算では、おそらく公共事業関係費等の中に含まれているものと思われる。

だから、もし平成27年度振興予算が大幅削減で一割減るとすれば、この公共事業関係費等から300~400億くらい削減されるのだろう。因みに、公共事業関係費等は、平成25年度予算で1144億だったのが平成26年度予算で1423億と279億増額されている。そこから推測すると、たとえ平成27年度の概算要求3794億から300~400億くらい削減されたとしても、平成25年度かそこら程度の規模になると予想される。それを考えるとそれほど無茶な削減とも思えない。

菅官房長官は記者会見で「振興費が具体的にどう使われているのかチェックした上で、査定する」と述べているところを見ると、政府は翁長知事の辺野古移設反対がどこまで本気なのか予算をつかって駆け引きするものと思われる。

その意味では、今回の山口大臣と翁長知事の会見は、翁長知事の辺野古移設反対の程度を探るという意味合いもあるといえるのだけれど、会見で翁長知事は「県外移設とかあるいは辺野古に反対とかは、いま沖縄担当大臣には申し上げませんでした」と口にせず、米軍基地が負担だとだけジャブを入れ、山口大臣は「沖縄側も支えるものを作ってほしい」と軽くカウンターを返した。

だけど、山口大臣は事前の記者会見で予算減額を示唆する発言をし、翁長知事は事務方には反対の意思を伝えているからリング外でやり合っている形。どちらも相手の腹の探り合いをしている。

去年1月、「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会実行委員会」なる団体から、オスプレイ配備反対の建白書が政府に提出されているけれど、その作成時、石垣市の中山義隆市長と実行委員会事務局長の玉城義和氏との間で確認書が交わされているのだけれど、その場に当時那覇市長だった翁長氏が立会人として参加していて、その確認書に署名・捺印していることが明らかになっている。

それを考えると、翁長知事がどこまで本気で辺野古移設に反対しているかちょっと分からない。いずれにせよ、27年度の予算編成はしなくちゃいけないから、そこまでには決着がつく。沖縄振興予算のゆくえに注目したい。


2.中国の軍事拡張

12月21日、中国軍が沖縄の尖閣諸島から約300キロ北西にある浙江省・南キ列島で軍事拠点の整備に着手したことが明らかになった。既に最新鋭レーダーが設置されており、現在はヘリポートを整備している。

これは、日米との有事を想定して危機対応能力を高めると同時に、東シナ海上空に設定した防空識別圏の監視を強化する狙いがあると見られている。

ただ、南キ列島は、浙江省からわずか約56キロの位置にあって、尖閣に近いというより、大陸にずっと近い位置にある。

南キ列島は、大小52の島からなる列島なのだけれど、列島最大の島である南キ島は、別名を『海山』とも言い、美しい景色と種類豊富な海洋生物で有名な観光島。海岸線は総延長75km、陸地面積は11.13平方キロメートルで、島の周りには暗礁が多い。また、南キ列島全体も中国・国務院の基準によって制定された中国五大海洋国家自然保護区の一つとなっている。

この南キ島に今年秋、軍事拠点整備のため、数百人の軍関係者が上陸し、軍が利用するための超高速インターネット通信網の敷設も始まったと伝えられている。

一部には、南キ列島に軍用機の滑走路建設計画も浮上しているようなのだけれど、浙江省東部沿岸地域の中国軍関係者によると、列島が非常に陸地に近いことと、山ばかりで離発着できるのはヘリコプターに限られることなどから、南キ列島にはレーダー拠点を整備することは可能だが、固定翼の飛行機が離発着できる滑走路の建設は不可能だ、と指摘しているという。

南キ島には広さ800平方メートル、延長600メートルの貝殻でできた砂浜があるそうなのだけれど、延長600メートルでは軍滑走路としては短すぎて使えない。ただ、中国は南シナ海のファイアリークロス礁に大規模埋め立て工事を施して人工島をつくるくらいの国だから、その気になれば埋め立てでも何でもして滑走路くらいいくらでも作るだろうと思われる。

この南キ列島への軍事拠点整備について、12月22日、菅官房長官は記者会見で「中国は東シナ海をはじめとする周辺の海空域などで活動を急速に拡大し、活発化している。政府として引き続き動向を注視していく。…中国軍の動向には重大な関心を持ち、平素から情報収集と分析に努めているが、具体的な情報内容についてはコメントを控える」と述べている。

いくら大陸に近いとはいえ、軍事拠点の建設である上に、尖閣までの距離は、沖縄本島よりも100キロ近い。ゆえに日本として、その動向を注視するのは当然だといえる。

菅官房長官の指摘のとおり、中国は東シナ海をはじめとする周辺の海空域などでの活動を活発化させている。だから、中国が尖閣だけを狙っていると考えるのは甘い考えだと思う。

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3.屋良覚書

日本の外交問題を研究する米国人学者ライアン・スコバイル氏は、尖閣諸島や台湾に近く、戦略的に重要な位置にある八重山列島が将来ホットスポットになり、日中両国の摩擦を招く可能性があると指摘している。

確か去年から今年に掛けて、石垣島に陸自を配備するとかしないとかいう話があったように記憶しているのだけれど、今はどうなっているのか。

或は、陸自だけでなく、空自も配備できるように、尖閣まで190キロに位置する下地島の空港を利用できるようにするといった議論も、活発化してしかるべきだと思う。

下地島空港の使用に関しては、1971年に当時の琉球政府の屋良朝苗行政主席と第3次佐藤内閣の丹羽喬四郎運輸相との間で、「屋良覚書」といわれる文書を交わしている。次に引用する。
通海第702号 1971年8月13日

運輸大臣 丹羽喬四郎殿  
  琉球政府行政主席 屋良朝苗

下地島パイロット訓練飛行場の建設促進について

 下地島パイロット訓練飛行場の建設については、格別の御配慮を賜っておりますが同飛行場の建設を進めるにあたり、下記事項についての確認が必要でありますので、貴職の御見解を承りたくお願い申し上げます。

1 下地島パイロット訓練飛行場は、琉球政府(復帰後は沖縄県)が所有し、及び管理するものである。従つて、同訓練飛行場の使用方法は、管理者である琉球政府(復帰後は沖縄県)が決定することである。

2 運輸省としては、同訓練飛行場を民間航空訓練及び民間航空以外の目的に使用させる意思はなく、また民間航空訓練及び民間航空以外の目的に使用させることを管理者である琉球政府(復帰後は沖縄県)に命令する法令上の根拠を有しない。
この覚書に対し、政府は同年8月17日に依存のない旨を回答している。この「屋良覚書」について、2013年1月30日に、社民党の照屋議員より、「屋良覚書は現在も有効なのか」という趣旨の質問主意書が提出され、政府は、下地島空港の利用の調整権限は管理者である沖縄県が有すると回答している。

従って、空自が下地島空港を使えるかどうかは、現沖縄県知事である翁長氏の手に委ねられている。だけど、普天間を辺野古ではなく、県外にと主張して当選した翁長知事が下地島の空自利用について判を押すとは思えない。その分、八重山諸島の守りが遅れてしまう可能性が出てくる。

逆に、中国からみれば、日本を押し込んでいくチャンスだともいえるわけで、今後、どんどん基地を建設してはプレッシャーを掛けてくることも考えられる。

やはり、沖縄の動向には注意せざるを得ないし、今後数年、十数年の中国の動きから目を離せなくなるだろう。

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1.韓国のダブスタ

12月19日、米軍元慰安婦の初公判がソウル地裁で開かれた。

これは、今年6月に、当時の米軍基地村で売春に従事していた122人の女性(洋行主)が、「国が米軍相手の慰安婦制度を作った。…「私たちは外貨を稼ぐために夜通し働かされた。韓国政府はこうしたシステムを作ったことを認め、賠償してほしい」として、韓国政府を相手に1人につき1万ドル(約118万円)の損害賠償を求める訴えを起こした裁判。

裁判で政府側の弁護人は、「国家賠償の成立には、122人それぞれが、個別公務員担当者の具体的な行為などを立証する必要がある」と述べたのに対し、被害者側の弁護人は、「政府が管理して組織的に運用したものであることは明らかだ。その違法性を問うための訴訟であるため、個人の具体的な不法行為を立証する必要はない」と反論した。

訴訟を起こした米軍元慰安婦の女性達は声明書のなかで「国家が旧日本軍の慰安婦制度をまねて『米軍慰安婦制度』をつくり、徹底的に管理してきた」と述べているのだけれど、去年11月に韓国の国会で野党議員が、朴正煕元大統領の決裁署名入りの文書記録を示し、政府の管理下で「基地村」と呼ばれた慰安所が62カ所あり、 米軍慰安婦が9935人いたと指摘している。当時の韓国政府が関与していたことは疑いない。

奇しくも、この初公判と同じ日に朴槿恵大統領は、アメリカ下院議員のマイケル・ホンダ氏らと会談し、慰安婦問題などについて意見交換を行っているのだけれど、その席で朴大統領は「慰安婦問題は過去ではなく、現在と未来の問題だ」と述べ、ホンダ氏は「日本が責任を認め、元慰安婦に対する最善の正義が実現されることを願う」と答えている。

だけど、当時の韓国政府が、旧日本軍の慰安婦制度を真似て、米軍元慰安婦制度を作ったものであり、そして、今現在において「慰安婦問題が過去の問題ではない」という立場をとるのなら、韓国政府はホンダ氏の言に従って、「責任を認め、元慰安婦に対する最善の正義」を実現する必要があることになる。

今回の裁判で、韓国政府側の主張全てが分からないから何ともいえないけれど、報道を見る限り、韓国政府はその責任問題には触れずに「慰安婦だった証拠がなければ賠償は成立しない」というスタンスを取っている。

韓国政府は、日本の慰安婦問題について「本人の証言が全てだ」と散々に非難している以上、米軍慰安婦についても、本人の証言を全てとして、賠償に応じなければ筋が通らない。なのに自国の慰安婦に対しては証拠を立証しろという。一見しただけで、ダブルスタンダードなのは明らかだけれど、そのロジックを探ると、日本に対しては、「慰安婦=性奴隷」として"道義的責任"を問う一方で、自国に対しては「慰安婦=売春婦」として単なる"契約関係"に矮小化して逃げようとしているように思われる。

言葉を変えれば、韓国政府は、日本に対して「誠意を見せろ」と迫り、米軍慰安婦に対しては「契約した証拠を出せ」という態度。そうしたダブルスタンダードで押し切ろうとしている。

この「誠意を見せろ」と脅して金をふんだくるやり方は、巷のユスリ・タカリと同じ。

流石にここに来て、韓国のユスリ・タカリについて世界も気づき始めた。

アメリカ・ハドソン研究所シニアフェローのジョン・リー氏は、フォーブス誌への寄稿で「朴槿惠大統領は就任時より、明確な要求のないまま、慰安婦問題などで日本の歴史認識を批判し、さらなる関係悪化を招いている。ニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙は、安倍首相の歴史認識を批判する。しかし、アメリカが日本に歩み寄りを求め、韓国の国粋主義的な誇張を助長することは、問題の根本的な解決にならない。…韓国が日本の歴史認識問題を政治的に利用することは、自国の為にもならず、正義に基づいた行動ではない。…韓国は今後、歴史を政治利用せず将来に暗雲を残さないアジア諸国の姿勢を見習うべきだ。アメリカもこれを後押しすべき」と述べている。

また、日本の慰安婦の強制連行は作り話であり、慰安婦問題での日本糾弾は特定の政治勢力の日本叩きだ、と明言している、アメリカのジャーナリストのマイケル・ヨン氏は、次のように述べている。
私が旅してきた国で、日本を嫌っているのはたった二つの国だけだ。中国 - 永遠の情動マシーンそしてどんどん巨大化するグローバルな圧制者.二つ目は非常に理性のない大韓民国だ。

韓国の日本嫌いは度を超している。彼らはにこやかな日本人よりも核兵器を携えた北朝鮮を受け入れるだろう。

私は北朝鮮には行ったことがないが、北朝鮮というのは無力で、国としては全く正気では無い。

メディアのリポートを読むと、まるで日本が近隣諸国から嫌われているかのように書かれているが、実際の所、中国や韓国以外とはうまくやっている。

≪中略≫

アジアは日本に嫌っていると書いてある記事を見かけたら、それは現地の雰囲気を何も知らずに、また正確な情報を持っていないジャーナリストの記事という印だ。アジアの中で日本人は非常に尊敬されていて歓迎されている。
Michael Yon JP「日本を嫌っているのはだれか?」December 24, 2014 より
マイケル・ヨン氏は「韓国の日本嫌いは度を超している」と述べているけれど、慰安婦について韓国の虚構が世界にバレるに従って、こうした認識はどんどん世界に広まっていくように思う。もしかしたら、韓国は自身の反日で身動きが取れなくなっているのかもしれないけれど、それは身から出た錆であり、自分自身で解決しなければならない問題という他ない。


2.アメリカ大使館前に「米軍慰安婦像」が建つ日

12月25日、韓国の行政自治部国家記録院は「挺身隊ハルモニに寄り添う市民の会」と、チャ医科大のキム・ソンヒョン教授が所蔵する旧日本軍の慰安婦関連資料1065点を国指定記録物に指定したと明らかにした。

「挺身隊ハルモニに寄り添う市民の会」とは慶尚北道地域の元慰安婦を支援する目的で1997年に設立された団体で、日本政府に真相究明や公式謝罪、法的賠償などを求める活動および元慰安婦に対して福祉支援などを行っている。

今回、指定した記録というのは、証言記録集、看病日誌、活動報告書など文書類70点と、元慰安婦の被害証言と行事・記者会見の録音・映像記録208点、元慰安婦の遺品と園芸療法で制作した押し花など662点。

数こそあるものの、慰安婦の証言ばかりで、ものの見事に"強制連行"並びに"性奴隷"を示す物的証拠がない。元慰安婦の生活記録、活動記録というのなら兎も角、一体、元慰安婦が製作した押し花が何の記録になるのか。

韓国の国家記録院は保存価値がある民間記録物を国指定記録物に指定して、その保存・管理を支援しているけれど、それが、これらの資料を国指定記録物として指定したということは、元慰安婦に関連するものであれば何でもよいということなのだろう。

であれば、元米軍慰安婦関連の資料も同様に指定してしかるべきなのだけれど、その辺りはどうなのか。

また、国家記録院は来年に韓国挺身隊問題対策協議会などと協議し、慰安婦関連記録物を総合的に保存・管理できるよう支援していくとしているけれど、この「韓国挺身隊問題対策協議会(略称:挺対協)」なるものが名うての反日団体。

挺対協は、1990年に韓国教会女性連合会、韓国女性団体連合会等16団体が参加して結成された団体で、1992年に、朝鮮日本軍性的奴隷及び強制連行被害者補償対策委員会(略称:朝対委)と合流し、「慰安婦」を「性奴隷」と位置づける政治宣伝工作に着手。現在では、元日本軍慰安婦の調査、日韓両政府への意見表明、世界各国で日本軍慰安婦は強制動員された「従軍慰安婦」であるとして日本政府に謝罪を要求する運動を行っている

この朝対委は、1992年8月に組織された北朝鮮の団体で、北朝鮮工作機関の傘下にあることから、親北朝鮮団体であるとも見られていて、韓国治安当局は「北朝鮮工作機関と連携し、北朝鮮の利益を代弁する親北団体」として監視しているという。

国家賠償を求める挺対協は、元慰安婦に一時金を渡すアジア女性基金に反対の立場を取り、1996年、アジア女性基金に対抗して、「強制連行された日本軍『慰安婦』問題解決のための市民連帯」を設立。大衆募金活動を展開して五億五千万ウォンを集めている。だけど、その募金はアジア女性基金を受け取った元慰安婦7人には配分せず、差別待遇をしている。

なんでも、ある日本人ジャーナリストが、挺対協幹部にインタビューしたことがあったのだけれど、インタビュー終了後にその幹部が「慰安婦なんてどうでもいいんだ。反日が目的なんだ」と言い放ったという。実際、アジア女性基金の元理事だった下村満子氏は、次のように述べている。

「挺対協のメンバーと来日した慰安婦のおばあさんが、『宿泊所に閉じ込められ、外に出るなと言われて嫌になる』と電話をかけてきたこともあります。おばあさんたちは、内心で挺対協を恨んでいました。挺対協が怖いから、公の場に出てこいと言われれば出て行き、デモをしろと言われればデモをした。気の毒な弱者でした。…挺対協の人たちは、200年戦争だ、とも言っていた。彼らが反日運動をやるのは自由だけど、おばあさんたちがどんどん死んで、仮に国家賠償が20年、30年後に取れたとしても何なのですか、みんな死んでいるでしょうと、いくらいっても、おばあさんたちが死のうが生きようが、我々には関係ないと言っていた。おばあさんたちに償い金をもらわれてしまったら、彼らの運動は終わってしまうから、人権とか尊厳とかは口先だけでおばあさんのことを反日運動の看板として利用しているだけだ」

やはり、挺対協は反日目的の政治団体と捉えるべきだろう。

ただ、挺対協が韓国または北朝鮮の意を汲んだ政治団体だとすれば、彼らの政治的意図が変われば、それに合わせてその活動も変わってくる可能性がある。

独立総合研究所の青山繁晴氏によると、先日初公判が行われた、元米軍慰安婦の集団提訴は、朴政権に打撃を与えるための北朝鮮の工作だと指摘している。

だとすると、挺対協は、今回の元米軍慰安婦の訴訟についてもサポートを行うことが予想されるし、韓国政府が証拠を出せ、と突っぱねたとしても、今度はアメリカを提訴して泥沼に引きずりこもうと工作することだってあり得る。

これについては、例のアメリカの有名ジャーナリストであるマイケル・ヨン氏も同じ指摘をしている。次に引用する。
米国への警告

我々のなかで,ほんの少数の者だけが慰安婦問題(Comfort Women Issue (CWI) )に注意を向け,より巨大な陰謀と沢山の小さな策略に気づいている.実際の所,他にはだれもそれらの策略に気がついていない.知っている範囲でもメディアの人間は何が現在進行しているのか気がついていない.

ほとんどの人間は,人権とか売春を心配しているんだとかいう類の「生き餌」のついた釣り針を何のためらいも無く飲み込んでいる.

普通,韓国人だろうが誰であろうがテレビで売春婦が抱かれていても見向きもしないものだ.それが突然,開花した慰安婦産業(CWI産業)の花形となった.大金と地理的・政治的要因のためだ.

韓国政府は,日本から金を出させ,日本に罪悪感を抱かせるために,CWI産業を作り上げることを助成してきた.韓国は,これまでずっと長い間,世界で最も精力的に売春婦を輸出してきた国の一つであるにもかかわらずにだ.多くの人は韓国というとキムチと売春婦を連想するだろう.

売春が韓国の主要産業の一つであるときに,売春婦についてのこのような批判を日本に浴びせるのは,まったく厚かましい話である.しかし,これは主要な問題では無い.

ポイントは,韓国政府,特に朴大統領が日本を責め続けるのは,韓国は一つの大きな売春婦ともいうべきものであり日本のお金が欲しいということだ.

韓国が作り上げたモンスターは,今,後ろを振り返って今度は韓国自身を訴えている.

テロリストにターゲットにされるためのベストな方法はテロリストをサポートすることだ.同様に売春婦に訴えられるための近道は,売春婦が誰かを訴えるときに最初にサポートすることだ.

米国は,アメリカ合衆国下院121号決議の成立と,ヒラリークリントンやバラクオバマの声明によって,韓国の売春婦(政府と売春婦の両方)をサポートした.日本をバッシングしていたのでサポートしたのだ.

アメリカにいて日本をバッシングすることはいくつかの面で安全である.米国において中国人と韓国人は日本よりも大きな政治的力を持つ.日本をバッシングすることでより多くの票と献金を集めることができる.もしも票とお金が欲しいなら,日本をバッシングするとよい.中国人と韓国人の両方から票とお金を安全にもらえる.

しかし今,娼婦達は娼婦(whore)(韓国政府)を訴えている.次のターゲットが誰なのか注意を払っているものはいない.彼女らが韓国政府に勝つならば,次のステップはアメリカ合衆国下院121号決議と米国政府の声明を携えて後ろを振り返り,韓国人の売春婦を「使用」したことに対して米国政府を訴えることだろう.

結局,彼女らは売春婦だ.これは人権と言ったたぐいの問題では無い.いくら払うかだ.
このまま推移すれば、テキサス親父殿がいつぞや発言したようにアメリカ大使館前に「米軍慰安婦像」が建たないとも限らない。

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1.焦るニューヨークタイムズ

12月17日、NYタイムズは、草賀純男ニューヨーク総領事の「Japan's Wartime Record」と題した反論文を掲載した。

これは、12月3日にNYタイムズが「日本の歴史のごまかし(Whitewashing History in Japan)」と題した社説に対する反論文。

NYタイムズは、この社説の冒頭から「日本では右翼政治勢力が安倍政権に後押しされて、第2次大戦中に日本軍が何万人もの女性に売春奉仕を強制した恥辱の歴史の一章を否定する威嚇的な運動を実行している」と批判。慰安婦の強制連行は多くの学者が"歴史の事実"として立証したものだとした上で、「この強制連行を、戦争で敵だった側が捏造した大ウソだとして否定する政治的努力は勢いを増している。歴史修正主義者たちは河野談話での謝罪をも撤回させようと努めている」と述べた。

そして更に、「ナショナリスト的熱狂を煽ることを意図する安倍政権は、日本が女性たちを性的奴隷へと強制徴用したことについての1996年の国連人権報告の修正を求めたが、拒否された。…朝日新聞が1980年代と90年代に出した記事の一部を撤回したことに乗じて、日本の右翼が朝日新聞を攻撃し続けている。…」とし、「日本は朝鮮半島やその他の地域で何万もの女性を強制連行して性的奴隷にしたことを認めた経緯もある。それが歴史的な真実なのだ」と述べている。

日本の右翼勢力が朝日新聞を攻撃し、強制連行を塗り隠そう(Writewashing)としていると述べている。朝日が撤回した記事の重大さに触れることなく、右翼から攻撃されている、などと"被害者擁護"な記事を書く辺り、どこかの国の論調を彷彿させなくもないけれど、いよいよ、慰安婦問題の真実が明らかになりつつあることに焦りを感じているのだろうか。

これに対する草加総領事の反論は、「日本政府は報道の自由や、国民による開かれた建設的な議論を支持している。こうした価値観に対するいかなる脅しは断じて許さない。…安倍首相はこれまで何度も、歴史と真摯に向き合うと述べ、慰安婦として苦痛を味わった女性たちに深い反省の意を繰り返し表明している」と、言論への圧力を否定し、慰安婦に対して反省の意を示してきたと述べている。

筆者としては、「強制連行などなかったのだ」とハッキリ言わないこの反論に、もどかしいものを感じないではないけれど、相手が安倍政権を「歴史修正主義」だと決めつけて掛かっているだけに、下手に強制連行を否定する言葉を口にしようものなら、ほら見たことか、と大騒ぎすることは目に見えている。

従って、政府としては、民主的にオープンな議論を行い、その評価は学者の判断に委ねるという立場をとるしかないのかもしれない。実にもどかしい。

ただ、そのオープンな議論について、昨今変化が出てきている。これまで何度も取り上げているけれど、テキサス親父氏や、マイケル・ヨン氏の言論といった、アメリカ国内から慰安婦強制連行説に対して疑問の声があがるようになったこと。

特に、マイケル・ヨン氏による「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)米国議会あて最終報告」の調査結果は内外に衝撃を与えた。何せナチと日本の戦争犯罪を暴くために行った調査報告で、強制連行の証拠が何ひとつ見つからなかったことが公となった。

そして重要な証拠とされた「吉田証言」までもが、間違いだと撤回されたのだから、NYタイムズは学者が認めたから事実なんだなんていう暇があるのなら、ほんの少しのジャーナリスト精神を発揮して、その学者たちの立証が本当に正しかったのか検証してみたらどうか。

実際、マイケル・ヨン氏はフェイスブックで、NYタイムズが一次情報源に当たってないことを指摘した上で、アメリカ軍の慰安婦(洋行主)であった韓国の女性グループが、韓国政府を訴えた事例を取り上げ、アメリカのメディアが、即座に彼女らは「売春婦」だ、として報道したのにもかかわらず、同じメディアが、日本軍の慰安婦の場合は「セックス奴隷」と言い続けている、ダブルスタンダードぶりを批判している。

マイケル・ヨン氏は、真実の報道を行うことで名声を得たジャーナリスト。NYタイムズが自分が信じてきたストーリーが崩されるのに耐えかねて悲鳴を上げる気持ちは分からなくもないけれど、一次情報にあたり、検証と調査を積み上げて結果得た結論に対しては、それなりの証拠と論理がなくては太刀打ちできない。少なくとも"慰安婦の証言"だけでは、最早苦しい。

このままいくと、NYタイムズはマイケル・ヨン氏の名声を高める踏み台の役目を果たすことになるだろう。


2.ニューヨークタイムズの不当なレッテル貼り

そんな、ニューヨーク・タイムズの報道は「不当なレッテル貼りの偏向」だとする報告が、米国のニュースメディア研究機関「メディア調査センター(MRC)」から発表された。

産経のワシントン駐在客員特派員である古森義久氏の記事によると、これは、ニューヨーク・タイムズ12月3日付の「日本の右翼が戦史を書き換え、新聞を攻撃する(Rewriting the War, Japanese Right Attacks a Newspaper)」というマーティン・ファクラー東京特派員の記事を主題としたもの。

「メディア調査センター(MRC)」によると、ニューヨーク・タイムズのレッテル貼りの偏向はグローバルに広がり、欧州もアジアも危険で不快な右翼どもに満ち満ちている、という。そして、更に「ファクラー記者は自分たちが悪者とみなす日本側の相手は『超国粋主義者』という偏向の呼称では不十分とみなし、『右翼』というレッテル言葉を記事中のすべての段落で使っていた」としている。

まぁ、どこまでを段落としているか分からないけれど、筆者が件の記事を確認した限り"right"という単語は、表題合わせて10回使われていた。

この「メディア調査センター(MRC)」は、1987年に設立された民間の保守系とされる独立調査機関。その活動目的の一つは「米国の伝統的な価値観を崩す主要メディアのリベラル的偏向を科学的な調査で証明し指摘する」ことで、「ニュースメディアと大衆文化における左翼バイアスを中和する」のが使命だと自ら述べている。

彼らは、「毎日のすべての主要な全国放送のテレビや印刷ニュース放送を監視する専門ニュースアナリストのチームを採用し、都度、"左翼バイアスを中和する"ためのレポートを公開している。

実際、「メディア調査センター(MRC)」のサイトをみると、街頭の記事には"BiasAlerts"というタグがついていて、もう、あからさまに敵視しているというか、リベラルに対抗する意思を明確にしている。これらのレポートのうち、いくつかの確認できたものをみる限り、ターゲットとなる記事、あるいは動画を掲載した上で、どういう報道に何分何秒費やしたとか、この表現にはこういう問題があるとか、一々チェックを掛けるという具合。

筆者の印象では、日本でいえば、BPOというより、ネットユーザーがアップされた動画に対して、事細かにツッコミを入れるというような感じ。無論、「メディア調査センター(MRC)」のそれは、リベラルバイアスを中和するという目的が明確な分、より精緻かつツッコミの方向が揃ってはいる。

「メディア調査センター(MRC)」のやり玉に挙がった記事を書いたマーティン・ファクラー氏は、ニューヨーク・タイムズの東京支局長を務める人物で、かつては、ブルームバーグの東京駐在員だった経験もあり、日本駐在歴は長い。彼は日本社会について、市民意識に欠けると指摘する。

去年の11月、ファクラー氏は、公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)のインタビューに対し、次のように答えている。一部引用する。
―なぜ記者になろうと思ったのですか。

何かを調べて発見することが好きで、記者か大学の先生になろうと思っていた。外界から隔たれたキャンパスで過ごすより、現実の世界でリアルタイムに活動できるジャーナリストに魅力を感じた。ある問題に対してどう考え、どんな視点で構成するか。調べ始める段階では全体像が見えないこともある。まったく新しい何かを生み出すのは大変だが面白い。

―日本が直面する課題は。

民主主義国家ではあるが、市民社会という意識は極めて低い。社会の問題を議論し、自らを批判的に分析していない。大きな政治的対立がないのがその一因では。数十年前には共産主義や社会党が力を持っており、まったく違う視点が社会に併存していた。議論をして自らを分析していたはずだ。今、左翼は死に絶え、民主党は脱官僚など一部を実現しようとしたものの現実に国を動かすことはなかった。それでも鳩山政権、菅政権の頃にはもう少し自国と向き合い、語る空気があったように思う。自民党に戻り、ある種の一党支配の体制の下で、日本の現状についてのディベートは生まれていない。社会の仕組みや問題、どう変えていくか、自らを振り返って語ろうとしないことが問題だ。
ファクラー氏は日本に対して、「市民社会という意識は極めて低い。社会の問題を議論し、自らを批判的に分析していない。大きな政治的対立がないのがその一因では」と述べているけれど、筆者は逆に、今の世論こそが大きな政治的対立の最中にあると見る。

朝日を始めとするマスコミで主流を占めていた論調が、"サヨク"であったことが、誰の目にも明らかになり、それに対抗する形で、ネットの普及と共に"声なき声"が可視化され、それに産経など一部マスコミが同調して、世論に保守対サヨクの構図が出来上がってきたのが今現在。

それまでは、朝日"サヨク"論調がマスコミの殆どを支配していたため、それが"サヨク"であったなどと、国民の大部分は気づきもしなかった。それが漸くにして、彼らの正体に気づき、"保守市民"が声を上げはじめた。そうした段階にあると見る。

だから、ネットなどをみれば明らかだけれど、日本人の間でも、社会の問題は活発に議論されているし、市民社会の意識が低いとは思わない。ファクラー氏が日本のネットを見ているかどうか知らないけれど、何年も日本に住んでいる割にそこに気づかないのは多少残念ではある。

件の記事で、ファクラー氏は、日本の"右翼"が朝日の植村記者を攻撃してることのみ取り上げ、植村記者が"被害者"であるかのように書いているけれど、肝心要の"慰安婦の強制連行の嘘"について「大部分の歴史家の主流意見は帝国軍隊は侵略した征服地の女性を慰安施設として知られる軍営の売春施設で働かせるためにかり集めたということで一致している。」とするだけで、自ら検証する姿勢を見せていない。

"何かを調べて発見することが好き"なのであれあれば、いっそのこと、慰安婦問題について徹底的に調べてみて、その"嘘"を発見してみることをお勧めしたい。

 
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1.千粒のバックドア

12月17日、アメリカの企業向けセキュリティ会社のパロアルトネットワークス社(Palo Alto Networks)が、中国大手スマートフォンメーカーである宇竜計算機通信科技が販売した数百万台の Android搭載スマートフォン「Coolpad」にバックドアが存在することを明らかにした。

バックドア(backdoor)とは、裏口、勝手口という意味の英単語で、ソフトウェアやシステムの一部として利用者に気付かれないよう仕込まれた裏の侵入経路。一般的に、バックドアはパスワードの不正使用などログイン操作をすることなく侵入できる仕掛けが施されていることが多く、2回目以降の侵入がより容易になるとされる。無論、侵入の痕跡を残すようなヘマはしない。

今回、「Coolpad」に仕掛けられたバックドアは「クールリーパー(CoolReaper)」と呼ばれるもので、パロアルトネットワークス社の脅威インテリジェンスチーム「Unit 42」が分析したところによると、「クールリーパー」は、「Coolpad」にプリインストールした状態で出荷され、デバイスのバックドアとして機能し、基本的なデータ収集の範疇を超えた動作を行っているという。その具体的な挙動は次のとおり。
・ユーザーの同意または通知なしにAndroidアプリケーションをダウンロードしてインストールする。そして、そのままアクティベート(有効)になる。
・ユーザーデータのクリアや既存アプリケーションのアンインストール、システムアプリケーションの無効化。
・デバイス更新を行わずに不要なアプリケーションをインストールできる。また、偽のOTA(over-the-air)アップデートをユーザーに通知する。
・スマートフォンに恣意的なSMSやMMSメッセージを送信または挿入する。
・恣意的な電話番号をダイヤルできる。
・デバイスに関する情報や場所、アプリケーション使用状況、電話、SMS履歴をCoolpadサーバーへアップロードする。
メーカーがAndroid端末に機能追加したり、AndroidのモバイルOSにソフトをインストールしたりするのは当たり前のことだし、ユーザー側も自分で好きなアプリをインストールすることも普通に行われたりするけれど、何のアプリがインストールされているかくらいは公開するものだし、ユーザーがアプリをインストールするときでも、本人の承諾が要る。

そこを「クールリーパー」は、同意も通知もなしでやってしまうというから相当悪質。パロアルトネットワークス社によると、「クールリーパー」がインストールされているスマートフォンは、ユーザーの端末をメーカー側で制御できるようになっているそうだ。しかも、御丁寧にもCoolpadでは、AndroidOSを変更して、アンチウイルスプログラムがバックドアを検出するのを困難にしているというオマケ付。

ここまでやるとからには、最初からスパイ目的で仕込んでいるのではないかとさえ。

前にも述べたと思うけれど、中国のスパイは「千粒の砂」を集める方針で、とにかくどんな些細な情報でも集めるだけ集めるという方法を取っていると言われている。

今回のバックドア以外にも、ちょっと普通では考えないようなところにまで盗聴器等を仕込んでいたりする。

例えば、2013年10月、ロシアのサンクトペテルブルクで、中国製のアイロンやケトルといった家電の中にチップが仕込まれていたことが明らかになっている。

このチップは、家電のコードが差し込まれると、半径200メートル以内にある、暗号鍵なしでWi-Fiに接続可能なコンピュータに、自動的に侵入し、ウイルスやスパムを拡散するというもの。ロシアの輸入仲介業者が、問題の家電が中国から出荷される前の時点で、書類上の重量と実際の貨物の重量に数グラムの差があることに気づいていた為、通関前に貨物を止めて製品を調べたことで発見された。

また、2014年11月には、ある会社の役員のPCがマルウェアに感染し、ウェブへのアクセスログなど調査いて、侵入経路を探したのだけれど、どうしても見つからなかったのだけれど、最終的に、役員がUSB経由でPCから充電して使っていた中国製の電子タバコの中に、PCに接続するとシステムに侵入するマルウェアが仕込まれていたことが分かった。

普通、ウイルス対策というと、専ら、外部やインターネットからの侵入を想定してセキュリティを組むものだけれど、家電とか、電子タバコとか、本人が内部に持ち込んでから接続するものに仕込む方法は、ある意味そうしたセキュリティの盲点をついたやり方かもしれない。

これでは、安いからといって、うっかり中国製のもの使うと後で痛い目を見る可能性がある。

もちろん中国のスパイ活動はそれだけに留まらない。昨今問題となっているサイバー攻撃も活発に行っている。

今年の7月、カリフォルニア州のサイバーインテリジェンスとセキュリティを取り扱うNorse社が、サイバー攻撃が起きている様子をリアルタイムで見ることができる地図を開発し公開した。

その地図はこちらでみられるのだけれど、リアルタイムで物凄い数の攻撃が行われている。しかも、攻撃元と攻撃先をみると、その殆どが中国からアメリカへの攻撃が行われていることが分かる。

Norse社によると、全てのサイバー攻撃を表示すると地図が見難くなるため、全体の1%程しか表示していないのだという。それでこの攻撃量。

確かにこれでは、アメリカが対サイバー攻撃について何度も口にするのも頷ける。サイバー世界での覇権争いはアメリカとそれに立ち向かう中国との間で行われている。

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2.米朝サイバー戦争

1月2日、オバマ大統領は、北朝鮮政府と朝鮮労働党に経済制裁を科す大統領令に署名した。

これは、ソニーが北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺を描くコメディー映画「The Interview」を製作し、その公開を巡って、謎のハッカー集団から脅迫を受けていたのだけれど、その犯人が北朝鮮だとのFBIの報告を受けての処置。

アメリカは、北朝鮮の情報・工作機関である偵察総局など3組織と10個人を制裁対象に追加指定し、アメリカ金融市場へのアクセスやアメリカ国民との商取引を禁止する。

昨年、12月19日にアメリカFBIが、「北朝鮮政府に責任があると判断するのに十分な情報を集めた」とソニーへのハッキング攻撃は北朝鮮によるものと断定。「SPEに対する北朝鮮の攻撃は、サイバー攻撃が米国の安全保障に対する最も重要な危機の一つであることを裏付けている。…北朝鮮の行動は米企業に深刻なダメージを与え、米国市民の表現の自由の権利を抑圧することが目的だった。このような脅迫は国家として許される行為の外にある」とコメントしていた。

北朝鮮の公式のインターネット主要回線は4本あるのだけれど、その全ては中国の中国連合網絡通信(チャイナ・ユニコム)を経由している。今回の攻撃もシンガポール、タイ、ボリビアに散る前に一度中国のサーバを通っていたようで、北朝鮮のサイバー部隊121局は中国の瀋陽市を拠点に持ち、フリーのハッカーも主に中国に在住していると言われている。

FBI筋によると今回のハッキングの実行犯は数ダースいて、うち1ダース近くは日本在住の脱北ハッカーとしている。

ホワイトハウスは対抗策の検討を始め、12月21日にケリー国務長官が、中国の王毅外相と電話で会談して協力を依頼。22日に国務省のハーフ副報道官が会見で「(対抗策をどうとるか)具体的には公表しない。…目に見えるものもあれば、見えないものもあるかもしれない」とあらゆる手段での報復を示唆していた。

ホワイトハウスの要請を受けた中国は22日、中国外務省の華春瑩報道官が「われわれは一切のサイバー攻撃とサイバーテロに反対する。いかなる、国、個人でも、ほかの国にある施設を利用して第3国にサイバー攻撃を仕掛けることに反対する」と強調した上で「結論を下すには十分な根拠が必要だ。…中国は事実に基づき関連の国際法と国内法に照らして処理する」と述べ、アメリカへの協力に含みを持たせている。

アメリカ国内のネットワーク監視会社ディン・リサーチによると、北朝鮮のインターネットは19日からつながりにくくなり、現地時間の23日未明に完全に遮断されたとのことで、専門家は、第三者によるサイバー攻撃と併せ、米国の協力要請を受けた中国がインターネットへの接続を遮断した可能性を指摘。更には、北朝鮮が外部からの攻撃を防ぐため回線を切断したとの見方も示している。

一方、同じく調査会社のダイン・リサーチは、北朝鮮のインターネットについて、不安定になることもあるが、約10時間ぶりに復旧したとレポート。同社のインターネット分析ディレクター、ダグ・マドーリー氏は、「北朝鮮に対するサイバー攻撃なのかどうかは分からないが、正常でないことは確かだ。北朝鮮では通常、接続は安定している。普通ではない状況だ。今までにこうした例は見たことがない」と述べていますけれども、即座に接続が切れた状況でないことから、北朝鮮の接続不能につおて、光ケーブルの切断によるものではないと分析。北朝鮮のルーターのソフトウエアのメルトダウンか、DoS攻撃が考えられるとしている。

また別の調査会社であるアーバー・ネットワークスのセキュリティー調査責任者、ダン・ホールデン氏は、北朝鮮が比較的単純なDoS攻撃を受けているようだと指摘しながらも「アメリカ政府が何らかの行動を起こすとしたら、見え透いたことはしないだろう。…映画を見ることができなくて腹を立てた米国内の誰かが起こした可能性もある」とアメリカ政府による攻撃には懐疑的な見方をしている。

ただ、大統領サイバーセキュリティ諮問委員会の委員を務め、現在トレンドマイクロ社のチーフサイバーセキュリティ責任者であるトム・ケラーマン氏は、 「『されたなりのことは返す』という大統領の言葉を額面通り実行するオプションもある」と述べ、北朝鮮のネットを「ハックバック」して北朝鮮の攻撃インフラを破壊し、攻撃者のコンピュータを起動不能にするシナリオを指摘している。

ただ、今回の件で北朝鮮が態度を硬化させ、拉致問題が行き詰るのではないかという観測もあり、日本が全くの無関係でもいられない。

サイバー攻撃に端を発するとはいえ、米朝対立の影響は結構大きく、かつ尾を引くことになるかもしれない。









 
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1.読売新聞の謝罪

11月28日、読売新聞は、自社発行の英字紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニューズ)」が1992年2月から2013年1月にかけて、「性奴隷(sex slave/servitude)」など不適切な表現を合計97本の記事で使用していたことを発表。29日のジャパン・ニューズに謝罪記事を掲載した。

その謝罪記事「Apology for inappropriate expressions used in comfort women articles」によると、慰安婦問題に関する読売新聞の翻訳やデイリー・ヨミウリの独自記事で、「性奴隷」にあたる単語を不適切に使用していたものは85本あったとし、その理由を、「慰安婦(comfort women)」という表現について関連知識のない外国人読者には理解困難だろうことから、デイリー・ヨミウリ側が、外国通信社の記事を参考に「性奴隷となることを強制された慰安婦」と、読売本紙にはない説明を誤った認識に基づき加えていたとしている。

また、「性奴隷」という言葉は用いていないものの、慰安婦を「日本軍によって売春を強要された女性たち」などと定義し、政府・軍による強制を客観的事実であるかのように記述した記事も、12本あったとし、これらの記事の一覧を公開している。

朝日が依然として自身の慰安婦誤報(捏造)について海外への配信と謝罪を殆ど行っていないのとは実に対照的な措置。この問題については積極的に朝日との差別化を図っているかのようにさえ見える。

この謝罪記事について、いくつかの米紙が早速取り上げた。28日、ワシントン・ポストは謝罪記事について「日本の戦争中の歴史を再評価しようという安倍晋三首相が主導する大きな動きがある中で起きた。…韓国や中国との関係を刺激するのは確実だ」と述べ、ニューヨーク・タイムズも今回の謝罪記事について伝え、朝日新聞の一部記事取り消しなどについても紹介したようだ。

ワシントン・ポストは、謝罪記事を安倍総理の主導で日本の戦争中の歴史を見直す(reassess)中で起きたとしているけれど、何か新しい事実が出てきたわけでも、別の要因が注目された訳でもない。

あるとすれば、これまで韓国が声高に主張してきた慰安婦問題の嘘がバレてきたことくらい。


2.連邦政府の調査結果

アメリカ政府は、クリントン、ブッシュ両政権下で、8年かけてドイツと日本の戦争犯罪の大規模再調査を行い、2007年4月に「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)米国議会あて最終報告(Nazi War Crimes & Japanese Imperial Government Records Interagency Working Group Final Report to the United States Congress April 2007)」を提出している。

これは、クリントン政権時代の「1998年ナチス戦争犯罪開示法」と「2000年日本帝国政府開示法」に基づき、第2次大戦での日本とドイツの戦争犯罪の情報開示を徹底させる目的で2000年から始まった調査で、国防総省、国務省、中央情報局、連邦捜査局などに未公開の公式文書を点検し戦争犯罪に関する資料の公開を指示したもの。

850万ページにも及ぶそれら文書について、アメリカ人ジャーナリストのマイケル・ヨン氏とその調査班および産経新聞が取材したのだけれど、日本の戦争犯罪にかかわる文書14万2千ページの中には、慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織的な奴隷化」の主張を裏づける文書は1点も発見されなかったことが明らかとなった。

IWGは日本に関する文書の点検基準の一つとして「日本軍統治地域女性の性的目的のための組織的奴隷化」に関する文書の発見と報告を指示されていたそうなのだけれど、日本の官憲による捕虜虐待や民間人殺傷の代表例が数十件列記されたものの慰安婦関連は皆無だった。何でも、戦時のアメリカ軍は慰安婦制度を日本国内の売春制度の延長とみていたのだそうだ。

マイケル・ヨン氏は「これだけの規模の調査で何も出てこないことは『20万人の女性を強制連行して性的奴隷にした』という主張が虚構であることを証明した。日本側は調査を材料に、米議会の対日非難決議や国連のクマラスワミ報告などの撤回を求めるべきだ」とコメントしているけれど、その通り。

マイケル・ヨン氏は、米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)出身のフリージャーナリスト。

2004年からイラクで米軍部隊への"埋め込み"従軍記者活動を行い、2005年5月に米軍将校が自動車爆弾で重傷を負ったイラク人の少女を抱きかかえる写真を撮影し、イラク戦争の悲劇を衝撃的に描いた作品として大きな話題となった。

また、2008年には「イラクの真実の時」と題する本を刊行し、全米でベストセラーを記録。その後アフガニスタンに拠点を移し、最前線からの報道にあたり、それらは大手紙やNBC、CNNなどのテレビでも頻繁に取り上げられた。

彼は、フリーのジャーナリストとして、ブログを通じて発信する迫真の報道が全米で評価を得ている有名人。

そんな彼が、最近、日本の慰安婦問題の調査に取り組み始め、アメリカ、日本、韓国、タイ、シンガポールなどでの取材を行っている。日本では慰安婦問題の研究や調査の関係者多数に会い、日本側の資料にもあたり、アメリカでも国立公文書館での資料調査やグレンデール市の慰安婦像設置の経過取材などを行っている。

ヨン氏は、アメリカ陸軍の1944年のビルマでの慰安婦尋問書や日本の新聞の慰安婦募集広告の検証の結果、日本軍が組織的に20万の女性を強制連行して性的奴隷にしたという事実は出ておらず、日本の慰安婦も大多数は普通の意味の売春婦だったのだろうとした上で、「それでもなお、『日本軍の強制連行による性的奴隷』と断じる主張は政治的意図のにじむ捏造であり、日本を同盟国の米国や韓国と離反させるための日本叩きだろう」と主張している。

ヨン氏は11月28日に「Japan-Korea: Were Korean Men Cowards during World War II? 」という記事を発表したそうで、それをケント・ギルバード氏が日本語に翻訳し自身のブログで公開している。

それによると、ヨン氏は、20万人もの女性を強制連行したのであれば、必ずその痕跡が残っている筈であり、戦時中の日本軍が貴重な資源を強制連行に費やす訳がないとして、「全部が嘘だったのだ。誰かがどれだけ日本を憎んでいようとも関係が無い。嘘は嘘であることに変わりはない。(It's all a lie, and no matter how much someone hates Japan, it will always be a lie.)」と述べている。

無論、当時の記録は、アメリカだけでなく、日本にも眠っている。

独協大学名誉教授であった故中村粲氏が主宰する昭和史研究所という私設研究機関があるのだけれど、昭和史研究所は、戦時を知る人たちが健在の間に貴重な証言をとる活動を行い、平成10年から16年にかけて元軍人、元警察官らから戦地での体験を記録している。

それらの証言は昭和史研究所が発行する「会報」に掲載されていたのだけれど、このほど「正論」12月号に再録されたという。

それによると、満州国奉天省海城県警察で慰安婦を扱った元経済保安股長の「殆ど朝鮮の人だったが、戸籍謄本と医者の健康診断書、それと親の承諾書、本人の写真、そして許可申請を一括して私の所に持って来る訳です。ですから、強制連行とか、さらって来たなんて云うものではない。何でさらわれて来た者に親の承諾書や戸籍謄本がついてるのか」という証言や、「十八歳の私のからだは、三百円、それに父の負債が八十円、合計三百八十円を私の前で『ゼゲン』は両親に手渡した」という悲しい顛末だった。彼女はその日の夕方、他の15人の女性たちと一緒に2人の「女衒」に連れられ、3日後に朝鮮人が経営する上海の慰安所に入った」と、第6師団工兵第6連隊の所属兵が朝鮮人女性から聞いたという身の上話などが綴られているそうだ。

先に紹介したマイケル・ヨン氏は「現在の日本ほど人道主義、民主主義、平和主義に徹した国は全世界でも珍しい。米国にとっても貴重な同盟国だ。であるのにアメリカ側が慰安婦問題で日本を叩くのは敵性勢力を強め、友邦を弱めることに等しい」と述べているけれど、アメリカ側からも、テキサス親父に続いて、慰安婦問題について韓国の主張に疑問の声が上がるようになってきた。

無論、一度定着してしまった「慰安婦=性奴隷」のイメージを覆すことは簡単じゃない。だけど、嘘は嘘であることに変わりはない。真実に光が当たれば、それを認めるものから認識を変えていく。慰安婦という"振り子"は長い年月を経て、ようやく反対側に振れ始めた。


3.マイケル・ヨンの反撃

慰安婦問題に関するマイケル・ヨン氏の主張がネットのあちこちで取り上げられている。今日辺りになって、昨日紹介したケント・ギルバード氏による翻訳文もぽつぽつ紹介されている。

どうやらこのマイケル・ヨン氏の主張は韓国側にも伝わったらしく、こちらでは、ヨン氏の主張に対する韓国のネットユーザーの反応を伝えている。その中のコメント見ると、不思議なことにヨン氏の主張の内容に対する反論は全くと言っていいほどなく、日本がロビー活動したせいだ、とか、あんなアメリカ人が増えているのが問題だ、とかそんなのばかり。ただ悪口を言われていると激昂するばかりで、その主張を冷静に受け止めて、反論するという様子が見られない。

折角ヨン氏がわざわざ「なかなか晴れない疑問(A vexing question)」と題して問い掛けているのに、それに全く答える気がないのでは、議論もなにも有ったものではない。

そんな中、外務省がアメリカの公立高校向けの世界史教科書に従軍慰安婦問題について誤った記述があるとして、出版社に訂正を申し入れていることが明らかになった。

問題の教科書は、アメリカ大手教育出版社「マグロウヒル」が出版し、現在、カリフォルニア州ロサンゼルス市と近隣の公立高等学校で使用されている『伝統と交流』。その中の、先の大戦を扱った章では「日本軍は14~20歳の約20万人の女性を慰安所で働かせるために強制的に募集、徴用した」とか「逃げようとして殺害された慰安婦もいた」などと、強制連行があったかのように記述されるのみならず「日本軍は慰安婦を天皇からの贈り物として軍隊にささげた」などと真っ赤な嘘まである。

この外務省による訂正申し入れは、11月3日に産経新聞が報じたことを受けたもので、外務省は、在米大使館、全総領事館を通じてアメリカ公立高での使用実態について調査を開始。7日に、在米公館を介して、マグロウヒル社に「慰安婦と日本海呼称問題で重大な事実誤認や日本政府の立場と相いれない記述がある」として記述内容是正の申し入れとなった。訂正申し入れについては、11月18日に岸田外相が記者会見で明らかにしている。

今のところ、出版社サイドは「日本政府の問題意識は共有した」として、責任者が17日以降に協議したいと回答してきたという。一部にはマグロウヒル社が教科書の訂正を拒否したという報道もあるようだけれど、筆者には確認が取り切れていないので、これについては保留しておく。

これに対する、韓国側の反応は「手のひらで天を隠そうとする国際孤立国、日本」とか「そんなことをして、事実が消えるのか?」とか「認めれば日本が滅びるのか?なぜ認められないんだ…」など、自分達の認識を正しいと信じて疑わない。

まぁ、外務省の要求とて、産経が報じたのを受けて慌てて対応する辺り、少し情けない感じがしないでもないけれど、抗議の声一つ上げないよりは全然マシ。

それでも、安倍政権は慰安婦問題についての汚名を晴らそうという意思は持っている。

11月27日、日本政府と韓国政府との間で、慰安婦問題などを話し合う為に設けられている第5回局長級協議で、日本政府は韓国政府に対し、ソウルの日本大使館前に設置されている慰安婦を象徴する「少女像」と米国の「慰安婦の碑」の撤去を求めていたことが明らかになった。

これは、慰安婦被害者が納得できる解決策を要求する韓国に対し、日本は、韓国も問題解決に向け努力する必要があるとの趣旨から要求したのだけれど、韓国側は少女像と慰安婦の碑は日本が慰安婦問題を解決していないため、民間が自主的に設置したものであり、政府が関与する問題ではないとの姿勢を示したという。

だけど、そのロジックでいうのなら、韓国との戦時中の問題は1965年の日韓請求権協定で完全に解決しているから、今更、保障だのなんだのは、政府が関与する問題ではないことになる。

実際、局長級会議で日本側は、過去の慰安婦問題関連措置を強調し、1965年の日韓請求権協定で法的に解決しているにも関わらず、道義的な観点からアジア女性基金を通じて償い金を支給し、首相の手紙を渡したことなどを指摘しているそうだ。まったく当たり前過ぎる指摘。いっそのこと、韓国側は慰安婦像の撤去に積極的な姿勢を見せないならば、協議自体を止めてもいいのではないかと思うくらい。

これについても、韓国人は「慰安婦強制連行の証拠をきちんと文書化して白書を作り、中国のように、日本の蛮行の調査団を作って向こうが何もいえないようにしなければならないのではないか?」、「交渉っていったい…犯罪者との交渉するのか?」、「撤去してほしいなら、安倍が慰安婦被害者たちの前で膝をついて祈って補償して、靖国神社を撤去して、竹島主張をやめろ。」という反応。尤も中には「なぜ他国の土地にあんな狂った物を作り大騒ぎしてるんですか?さっさと片付けて国の恥さらしをやめてほしい」と比較的冷静なコメントもあるようだ。

こうしてみると、マイケル・ヨン氏の主張にしても、教科書訂正要求にしても、慰安婦像撤去要求にしても、日韓双方の国民の認識の隔たりが余りにも大きく、現状では、まともに話し合いできるような状況ではないように思われる。勿論、これは日本が遅まきながら"正当"な主張をするようになったから、というのもあるとは思うけれど、それで向こうが反発するのなら、距離を置くしか方法がない。

幸か不幸か、慰安婦問題について、韓国は朴大統領を始めとして余りにも世界中で騒ぎ過ぎたため、却って注目を集めてしまった感がある。それでも日本がいままでどおり黙っていれば、まだなんとかなったのかもしれないけれど、少しづつではあるけれど反論するようになった。そして、テキサス親父やマイケル・ヨン氏のように、アメリカ側から、韓国の主張に疑いの声を挙げる人が出てくるようになった。

また、日本の慰安婦問題ではないけれど、最近、イギリスのBBCが韓国の米軍慰安婦訴訟を取り上げ、韓国でかつて在韓米軍基地周辺に基地村と呼ばれる売春街が存在し、それを当時の韓国政府が黙認し、さらに性病管理所で定期的な検査を実施するなど実質的な管理に携わっていた事実を報じている。もしかしたら、そのうち、ベトナムのライダイハンについても報じるようになるかもしれない。

ひと昔と比べると明らかに流れは変わっているし、これまで日韓でのローカルな問題であったのが、世界を巻き込む話にまでなりつつあるように感じている。これも、朴大統領の"告げ口"外交のお蔭かもしれない。

日本は韓国と距離をおきつつ、世界に向かって諦めることなく、着実に汚名を晴らす活動を粛々と続けていけばいい。


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1.在京テレビ局に選挙報道の中立を要請

11月27日、テレビ東京の高橋雄一社長が定例記者会見で、自民党から選挙報道の中立公正を求める文書が届いたことを明らかにした。

「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」と題したこの文書は、11月20日付で在京のテレビキー局に送付された。

文書は萩生田光一・筆頭副幹事長と、福井照・報道局長の連名で、次の要望を行っている。

・出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただきたいこと
・ゲスト出演者の選定についても公平中立、公正を期していただきたいこと
・テーマについて特定の立場から特定政党出演者への意見の集中などがないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと
・街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと

そして、「過去においては、具体名は差し控えますが、あるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事実として認めて誇り、大きな社会問題となった事例も現実にあったところです」との一文も添えられている。

放送の中立について、よく取り沙汰される放送法第四条には次のように定められている。
(国内放送等の放送番組の編集等)

第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一  公安及び善良な風俗を害しないこと。
二  政治的に公平であること。
三  報道は事実をまげないですること。
四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

2  放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送等の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。
このように、今回の要望文書の内容そのものは、ひたすら「公正中立」を求めるものであり、放送法と照らしても何らおかしいところはない。ただ、何度も「公正中立」を謳っている辺り、よほどテレビ局の選挙報道が「公正中立」ではない、と捉えていると思われるし、その具体的な方法にまで踏み込んでいるところを見ると、相当神経を尖らせていることが伺える。

ただ、この手の文章は、これまでの選挙でも、与野党問わず届いていたらしい。テレビ東京の高橋社長は先の記者会見で「公示前に届くのは珍しい。こうした要請はこれまでの選挙でもいろんな党から来ている。…これをもらったから改めて何かに気をつけろというものとは受け止めていない」と述べている。

マスコミ各紙の取材に対し、NHK以外の各民放は文書が届いたことを認め、公平中立な報道を心がけるとしている。

ある民放幹部は「ここまで細かい指示を受けた記憶はない」と漏らしたそうだけれど、ここまで細かい指示を受けてしまうくらい「公正中立」ではないと思われていることを少しは恥じたほうがいい。それだけ信用されてないということだから。

この文書が効いたのか、テレビ朝日系の討論番組「朝まで生テレビ!」で、 パネリストとして出演予定だった評論家の荻上チキさんが「質問が一つの党に偏り公平性を担保できなくなる恐れがある」などとしてテレ朝側から出演を取り消され、また、タレントの小島慶子さんの出演も取りやめになっており、パネリストは各党議員のみとなったようだ。

くだんの文書では「ゲスト出演者は公平中立、公正な選定」をするようにとしか書いていない。にも関わらず、ゲスト評論家そのものの出演を取りやめるのは、誰を出しても中立ではないとクレームされることを恐れたか、もっと穿った見方をすれば、最初から"偏った"人選をしていたところ、いきなり"中立"な人選をと、いわれて慌てて他の評論家の出演オファーをしようとしたものの都合がつかず、評論家の出演そのものを見送ることになったと考えることだってできる。

一部からは、この文書について「言論封殺」だとの声も上がっているようだけれど、この要望そのものは、あくまでも放送法に基づいたものであり、放送以外の一般紙については、何の要望もしていない。

今回の文書については、各紙が報道している。その見出しだけ列挙すると次のとおり。
J-CAST:民放キー局に選挙報道の中立公正を要請 自民党と野党
読売 :民放へ選挙報道の中立公正求める文書…与野党
朝日 :選挙報道「公正に」 自民、テレビ各社に要望文書
毎日 :衆院選:自民 テレビ局の選挙報道で細かく公平性要請
日刊ゲンダイ:選挙報道に露骨な注文…安倍自民党がテレビ局に“圧力文書”
テレビ東京の高橋社長は、放送に中立を求める文書は、自民からだけでなく他の野党からも来ていて、今回以前の選挙でも同じように要望されていたと述べているけれど、自民だけでなく野党も同様に要望していることを見出しで分かるようにしているのは、J-CASTと読売だけで、朝日、毎日、日刊ゲンダイは、自民としか書いてない。

だから、見出ししか見なければ、あたかも自民だけが「言論封殺」をしているかのように受け止められてしまう危険がある。これだって、偏向といえば偏向報道だろう。

だけど、一般紙に対して何も要求していないということは、あくまでも「放送法」の範囲内に基づいた要望であり、一線を越えたわけじゃない。

テレビ朝日は「朝まで生テレビ!」へのゲスト評論家の出演を取りやめたけれど、朝日新聞のほうは「自民、テレビ各社に要望文書」と見出しに"自民"しか出さなかった。

同じ朝日系列でも、テレビと新聞とで対応が違ってる。その意味では、朝日"新聞"は、何の圧力も感じていないということでもあるし、毎日やゲンダイのように自民を批判する自由も保障されている。

まぁ、出演者の選定から発言回数から時間から、ここまで細かく要望するのはちょっとどうかとも思うけれど、それだけ偏向していると思われているということ。

これに反論したいなら、単に「言論弾圧だ」と騒ぐのではなくて、きちんと人選を行ったうえで、誰もが唸るような"討論番組"を放送し、ぐうの音も出さないようにしてやればいいだけのこと。

視聴者だってバカじゃない。偏っているか中立かどうかくらい見抜く目は持っている。もしもテレビの番組制作側が「世論を誘導してやろう」なんて考えを持っているのなら、そうした考えを捨てて、「世論に判断を委ねる」というスタンスで番組製作するだけでも大分変ってくるだろう。


2.印象操作はダメよ~ダメダメ

12月1日、年末恒例の『2014 ユーキャン新語・流行語大賞』が発表された。これは、その年に軽妙に世相を表現したり、広く大衆の目や口、耳を賑わせた「言葉」の中から選出するもので、去年は「今でしょ!」、「じぇじぇじぇ」、「倍返し」、「お・も・て・な・し」の4つが選ばれていた。

今年2014年に年間大賞に選ばれたのは、お笑いコンビ・日本エレキテル連合の「ダメよ~ダメダメ」と、「集団的自衛権」の2語。「ダメよ~ダメダメ」は多くの人の口に上ったこと、「集団的自衛権」はその注目振りが決め手になったという。

今回の流行語大賞のトップテンとその順位は次のとおり。
1.ダメよ~ダメダメ
2.集団的自衛権
3.ありのままで
4.カープ女子
5.壁ドン
6.危険ドラッグ
7.ごきげんよう
8.マタハラ
9.妖怪ウォッチ
10.レジェンド
まぁ、筆者の個人的な見解では、「集団的自衛権」よりも、「ありのままで」の方が余程注目を浴びたような気がしないでもないけれど、他国ではごく当たり前の「集団的自衛権」が今頃流行語になる辺り、時代が変わったことを感じさせる。

だけど、時代が変わったことを今一つ理解していない、あるいは、それについていけない人達も居る。全部が全部とはいわないけれど、マスコミもその一つ。

12月1日、日本記者クラブ主催の党首討論会で、安倍総理が、毎日新聞の倉重篤郎氏から、先般テレビ局に対して公平・中立な報道を要望したことについて質問を受けた。

その時の様子がこちらのブログで紹介されているけれど、倉重氏が、「この要望というものは過去にもなかったし、諸外国でも聞かない話だ。政権政党が圧力を掛けるのはどうか」と問うたのに対し、安倍総理は、「アメリカのテレビにはフェアネスドクトリンはないが、日本には放送法でフェアネスドクトリンが定められている。そもそも公正中立にやっていればなんら問題ないことであるし、"椿事件"のような問題が起こってはならない」と切りかえしていた。

この記者クラブでの安倍総理の答えと"椿事件"のくだりについては、既に色んなブログで取り上げられているけれど、一言でいえば、1993年にテレビ朝日が放送法で禁止されている偏向報道を行った事件。

1993年の総選挙で、自民党が敗北して細川政権が出来たけれど、選挙後、民間放送連盟で開催された会合の中で、当時、テレビ朝日報道局長であった椿貞良氏が「はっきり言いまして『今度の選挙は、やっぱし梶山幹事長が率いる自民党を敗北させないとこれはいけませんな』ということを、本当に冗談なしで局内で話し合ったというのがあるんです。もちろんこういうことは編成局長には申し上げてはありません。これは放送の公正さを極めて逸脱する行為でございまして。…梶山幹事長と佐藤孝行総務会長が並んで座っていまして、何かヒソヒソと額を寄せて話しているとか薄笑いを浮かべている映像を見ていますと、あの時代劇の悪徳代官と、それを操っている腹黒い商人そのままなんですね。そういうものをやはりわれわれは家庭に送り出すことが出来たし、茶の間一般の受け取る視聴者はそれをはっきりと見てきたわけなんです。…『テレビのワンシーンは新聞の一万語に匹敵する」というのも私の信念です。そういう立場でこれからの政治報道をやっていきたいと思います。」と発言し、大問題となった。

当初、テレビ朝日は偏向報道はないとし、民放連も椿発言は証拠がないといっていたのだけれど、後日録音テープが見つかり、椿氏本人が証人喚問を受ける事態へと発展した。

その時の議事録がこちらにあるけれど、国会に呼び出された椿氏は、偏向報道はしていない、と再三再四言い訳している。この証人喚問では、自民党の谷垣貞一氏(現幹事長)が質問に立ち、ロジックを積み上げる隙のない質問をして、椿氏を追及しているのだけれど、一点、非常に注目すべき指摘があったので、少し引用してみたい。
谷垣委員「…の管理体制どうだったか、これはやっぱり相当問題にしなきゃいかぬと私は思うんです。それでまあ、私の時間も、まだまだ伺いたいことがあるんですが、私の時間も参りまして町村さんにお譲りしますが、私、最後に申し上げておきたいことは、今度のこのいろんな一連の議論の中でも報道の自由論争というのはたくさんありました。私は大変傾聴に値する議論、新聞紙上でもいろんなところでも伺ったわけです。

その中で、私、なるほどなと思う議論は、やっぱりこういうのは椿さんがどうお考えになったかということよりも、結果としてあらわれた放送が偏向しているかどうかということで判断すべきであるという御議論がございました。私、これ、非常に共感するところが多いんです。

まあそういう議論でいくといたしますと、私は、これはやっぱりテレビ朝日は相当な、中での実態解明の努力をされなきゃいけないと思います。

なぜかと申しますと、新聞や雑誌ですと、御発言の内容は後々まで我々調べて、こういうことを言ったじゃないかとか、これはおかしいよということが言えるわけであります。ところがテレビですと、今たまたま私がメモした例を申し上げましたけれども、電波は流れてしまう。ビデオを撮って監視している人なんて余りいないんですね。残念ながら、自由民主党、資料を探しましたがほとんどありません。自由民主党はそんな恐ろしい組織じゃありません。「ニュースステーション」の番組を逐一撮って後から問題にしよう、こんな組織は恐らく日本の国家組織にもないと思いますし、まあこういうことをやっている組織があったらこれは極めて私は恐ろしい組織だと思うんです。

それが本当の意味ででき切るのは、こういう問題があって、本当にテレビ朝日の報道が不偏不党である、公正であるということをきちっと立証できるのは、その番組をきちっとしているテレビ朝日しか私はないと思います。外から手を入れないで、内部でやろうと思ったら、それは私はテレビ朝日はきっちりやっていただかなきゃならないと思います。」
谷垣氏はこのように述べ、報道の公正さを保証するのは、報道する側自身しかない、と指摘していたのだけれど、当時から早や20年経って、マスコミは公正に報道するようになったのかといえば、残念ながらそうではないと言わざるをえない。そもそも公正に報道しているのであれば、与野党から公正に報道するようになんて要請がくる筈もない。

この谷垣氏の発言で筆者が特に注目したいのは、「『ニュースステーション』の番組を逐一撮って後から問題にしよう、こんな組織は恐らく日本の国家組織にもない」と述べていた点。当時の環境では、そんなテレビ放送の逐一チェックなんて不可能だと思われていたのだろうと思われる。

だけど、今やネット動画がそれを可能にした。勿論、国家組織なんかではないけれど、誰かが録画したテレビニュースが瞬く間にニコ動やyoutubeにアップされ、その偏向具合や間違いは指摘され、晒しあげられる。谷垣氏のいう"恐ろしい組織"の仕事を国民がやるようになった。

その意味では、テレビに対しても、きちんと検証が入るようになったとはいえる。だけどそれだけに、テレビの放送側で、きちんとした検証と公正な報道を行うことがなければ、今後益々エスカレートしていくだろう。




3.報道に「公平公正」は成立するか

また、更に遡れば、そもそも報道に「公平公正」というのが成立するのか、という観点がある。筆者は以前「明日、マスコミがいない」というエントリーで、この辺りについて述べたことがあるけれど、筆者は「公平公正」な報道は非常に難しいと考えている。

これについて、法政大学社会学部准教授でジャーナリストの藤代裕之氏は「人が関わる以上何らかの思惑や意思が混入してしまう。中立・公正に向けて不断の努力を行うことはできても、中立・公正なメディアはその瞬間は存在し得ない。あるテレビ番組が特定政党寄りに見えたり、新聞記事が記者個人の立場を色濃く反映したように読めたりすることは日常的にある。一方で、マスゴミ批判の多くは『自分たちが考える中立性(自分たちの考えに近かったり、都合が良かったりする言説)』でもある。」と指摘し、偏向報道が問題なら、メディアの中立・公正を禁止したらどうかと述べている。

先の記者クラブ主催の党首討論会で安倍総理も述べていたけれど、アメリカのテレビにはフェアネスドクトリンは定められていない。

かつては、アメリカのテレビにもフェアネスドクトリンは存在していた。1987年までアメリカでも、フェアネスドクトリンの名の下、テレビ放送などで、2大政党やその党の候補者にほぼ同じ時間を割いて報道させる、いわゆる「イコールタイム原則」などが運用され、連邦通信委員会がテレビでの政治報道がバランスを欠いていないかどうか、厳しく規制していた。

だけど、双方向が可能なケーブルテレビの普及し、多彩なチャンネルが生まれるのに伴って、フェアネス・ドクトリンは憲法で保障された言論の自由を侵害するとの声があがり、訴訟が起こされた。連邦最高裁判所は「フェアネス・ドクトリンはチャンネル数が少なかった時代のもので、多チャンネル時代にはそぐわない」と判決し、アメリカのフェアネス・ドクトリンは撤廃された

筆者も完全に中立な情報というものが存在し得ない以上、フェアネスドクトリンを撤廃して、自由に"偏った放送"の同士で切磋琢磨させる方がよいと考えているのだけれど、そのためには、その"偏った報道"を行うチャンネルが多彩かつ多数ある必要がある。多様な価値観を確保するためには、一定以上の数が必要になる。少なくとも、今の日本のように、その殆どが、反安倍、反自民党のテレビ局という状況では難しい。アメリカがフェアネス・ドクトリンを撤廃できたのもケーブルテレビが普及して、多チャンネル化が実現していたから。

実は日本でも10年前、フェアネス・ドクトリンの原則を撤廃しようと、自民党が放送法の法改正をしようとしたことがあった。だけどそれに対して反対の声を挙げたのが毎日新聞。少し長くなるけれど、その記事を次に引用する。
放送法:自民が改正を検討 政治的公平の削除狙う

 自民党が、メディアの政治的中立を定めた放送法を改正する方向で検討を始めた。同法の「政治的公平条項」を削除し、党の見解などをアピールする専用チャンネルを設けたり、特定の政治的立場にある放送局でも新規参入を認めることが狙い。8月中にも放送法改正案をまとめ、秋の臨時国会に議員立法での法案提出を目指す。公明党にも同調を呼びかける考えだ。

 自民党では昨年9月の総裁選や同11月の衆院選に対する報道への不満から、党幹部が特定のテレビ局に「出演拒否」した経緯がある。党内には今年初め、CS放送に独自のチャンネルを開設し、党の広報番組を24時間独占放送する構想も浮上した。しかし、放送法の「政治的に公平であること」(第3条の2)に違反する疑いがあり、具体化しなかった。

 しかし、参院選で獲得議席が民主党を下回ったことを受け、党内には「メディアの姿勢を批判するだけでは足りない。もっと党をPRする方法を考えるべきだ」(13日の総務会)などと、メディア戦略の見直しを求める意見が再燃。放送法自体の改正に向け、所管する総務省などと具体的な調整に入った。

 政治的公平条項がなくなれば、政治報道は各局の自由裁量になる。米国では87年、視聴者が多様な意見に接触する機会を確保するため、連邦通信委員会(FCC)の規則から「公正原則」(フェアネス・ドクトリン)を削除。各局は原則として政治的中立性にとらわれずに報道できるようになっている。

政党間で格差も 同条項を削除すれば、将来、各党が独自の広報チャンネルを開設することは可能だ。しかし、7月の参院選でも社民党が資金不足などから、テレビCMを制限しており、専門家の間では「日本で放送局を新設できるのは、大企業や大政党に限られてしまう」と、政党間格差が広がりかねないとの懸念が根強い。【中田卓二】

◇権力監視を果たせ

 放送問題に詳しいジャーナリスト、坂本衛氏の話 政権党がメディアに批判されるのは当然で、それに真摯(しんし)に対応する必要がある。自前のテレビ局を作りたいために放送法を改正するとしたら、本末転倒ではないか。ただ、法改正によって、いろいろな立場の放送局ができること自体は悪くない。テレビ局は、権力の監視という役割を果たすために、もっと政治的な主張をしていいと思う。

◇政権与党への監視弱まる

 自民党が検討を始めた放送法の「政治的公平条項」削除は、実現すれば政権与党に有利なメディア状況を作り出す懸念がある。

 放送行政は、政府から独立性の高い電波監理委員会が担当していた戦後の一時期を除き、一貫して総務省(旧郵政省)が放送免許の交付や更新などの権限を行使してきた。議院内閣制の下、トップの総務相は、国会で多数を占める政権与党の議員が就任している。このため、放送の自由を掲げる放送法の制約があるとはいえ、政府・与党と放送メディアはもともと微妙な関係にある。ある民放幹部は「政府や自民党との関係を日ごろから良好にしているから、5年ごとの放送免許の更新もスムーズにいく」と明かす。

 テレビ局の開設は利権が絡んできたこともあり、ローカル局では自民党関係者が役員となったり、株を所有したりするケースが少なくない。過去にはテレビ局側から自民党への政治献金も社会問題になった。

 現状のままで「政治的公平条項」を削除することは、公権力の監視を求められる放送メディアの機能を弱めることにつながりかねない。【臺宏士】
毎日新聞 2004年7月20日
先の日本記者クラブ主催の党首討論会で、毎日新聞の倉重氏が、与党がフェアネスドクトリンをテレビ局に要請するとは何事かと食って掛かるくせに、そのフェアネスドクトリンを撤廃するとなると、公権力が監視できなくなると反対する。傍目からは自分に都合の良いことを言っているだけにしか見えない。

筆者は将来的には、フェアネスドクトリンを撤廃する方向に持っていくべきだと思うけれど、其の為には、テレビ局の多チャンネル化が必要だし、今の日本のネット環境を考えると、ネットテレビを普及させることによる多チャンネル化は可能ではないかと思う。あとはそれを可能にする法改正と既得権益の打破がポイントになるだろう。

先に紹介したジャーナリストの藤代裕之氏は、情報を社会に発信している個人や企業を広く「情報発信者」として、個人はジャーナリストか一般かを選択し、団体は中立・公正かそうではないかを選択した上で、中立・公正を選択した団体は、第三者機関によるレビューを受け、中立・公正発信者を選ばない場合は、読者に運営や編集の方針を明確に示すようにする。そして更に、公共放送や、ある一定シェアを超えれば中立・公正発信者となるようにすれば、ある程度のシェアまでは「偏っている」メディアやサービス同士が自由競争し合い、シェアが一定を超えると中立・公正に努力する義務が課せられ、マスメディア集中排除の原則も維持できる、という折衷案を提示している。

やはり、そうした工夫というか改革が必要になってくるように思う。冒頭の流行語大賞にしても、それを放送したあるテレビ局は、そのテロップで、1位と2位の順位をわざと入れ替えたのではないかという指摘もある。

果たして、そんな意図があってそうしたのかどうかは分からないけれど、本当であれば実に姑息だし、それこそ、椿事件で椿氏が「梶山幹事長と佐藤孝行総務会長が並んで座っていまして、何かヒソヒソと額を寄せて話しているとか薄笑いを浮かべている映像を見ていますと、あの時代劇の悪徳代官と、それを操っている腹黒い商人そのままなんですね。そういうものをやはりわれわれは家庭に送り出すことが出来た」と語った、イメージによる印象操作を未だにやっていることになる。

時代は変わっている。国民がテレビ報道をネットで逐一監視する"恐ろしい組織"となった今、マスコミこそが一番の変革を求められているのだと思う。

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軍師官兵衛終わってしまいましたね。筆者はそれほど見る機会はなかったのですけれども、こちらを見ると評判はまずまずのようです。

戦国時代の武将は大なり小なり官兵衛のような軍師の他に子飼いの将や馬廻衆と呼ばれる護衛役となる武士を囲っていました。

馬廻衆は大名家毎に様々な呼び名があり、織田信長の馬廻衆の中でも精鋭は、母衣を纏い、黒母衣衆・赤母衣衆と呼ばれていました。

母衣とは、騎馬武者が、背につけている大きな球形の布のことで、源平合戦の平安時代末期から関ヶ原合戦ごろまで多くの武者に使用されていました。

母衣を纏った戦国騎馬武者の絵はいたるところで見かけますけれども、母衣が大きく膨らんでいるのは、竹や藤の枝などで球形の籠を作り、そこに布を被せているからです。

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母衣は、戦場で目立つ為、伝令や、特別の役職などの標識として使われ、その色は信長の赤黒以外にも黄、群青、萌黄といったほかの色や、太い線を横一文字に入れた一引、引両などの目立つ大きな文様などがありました。秀吉も後に、信長に倣い、黄色の母衣を纏った黄母衣衆を編成しています。

元々、母衣は後ろから飛んでくる矢を防ぐために考案されたもので、装飾の為だけのものではありませんでした。布とはいえ、中空構造にした母衣は矢に対してクッションの役目を果たし相当な防御効果があったようです。現に今でも、弓道場では外れ矢が場外に飛び出さないように、板(矢止め板)またはネット状の布(矢止めネット)を垂らしたものを使っています。

以下の動画は、何の番組なのかは分かりませんけれども、海外の番組で母衣がどこまで矢を防ぐのかを検証したもののようです。


この検証を見る限り、母衣に向かって放たれた矢は、布こそ貫通するものの、中空構造によってその威力が大きくそがれていることが分かります。確かに母衣を背負えば、後ろに目がない背中であっても、矢を受ける危険は格段に減ります。増してや実際の戦場で、馬に乗って駆け回っている母衣衆を射るのは相当困難であったに違いありません。

件の動画でも、馬に乗った母衣武者を後ろから射掛ける実験もしていますけれども、殆どまともに当たっていません。

昔の人の知恵は凄いものですね。



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12月22日、朝日新聞の従軍慰安婦報道を検証してきた第三者委員会が、その報告書を纏め公表した。

その文書はこちらで確認できるけれど、その内容を一言でいうならば、「読者の信頼を裏切るもので、ジャーナリズムの在り方として非難されるべきだ」というもの。

報告書の目次をみていただれば分かるとおり、第三者委員会は、朝日の一連の慰安婦報道について1980年代、1990~1997年、1997年の特集記事、1997~2014年、2014年の検証記事、と年代ごと、あるいは、特集・検証記事に分けて検証し評価を下している。

それによると、「韓国・済州島で慰安婦を強制連行した」とする故・吉田清治氏の証言について、「インタビュー以外に十分な裏付け調査が行われた事実はうかがえない」とした上で、1992年以降、吉田証言の真偽は不明であるとの認識が、 一定程度、社内の関係部署に共有されていたのに、裏付け取材もせず、吉田証言の記事を減らす消極的な対応に終始したと指摘。「新聞というメディアに対する読者の信頼を裏切るものであり、 ジャーナリズムのあり方として非難されるべきである」と批判している。

また、97年の特集記事についても、次のように断じている。
現時点から評価すれば、1997年特集が、その時点での慰安婦問題を総括してその後の議論の土台とする、という意図のもとに作成されたのであれば、吉田証言に依拠して、徴募の場面において日本軍などが物理的な強制力により直接強制連行をしたといういわゆる「狭義の強制性」があったことを前提に作成された記事について、訂正又は取消しをすべきであった。さらに、必要な謝罪もされるべきであった。1997年特集において、訂正・取消しをせず、謝罪もしなかったことは、致命的な誤りであった。

80年代以降、92年に吉田証言に対する信ぴょう性に疑問が呈されるまで、前記のような意味での「狭義の強制性」を大々的に、かつ率先して報道してきたのは、他ならぬ朝日新聞である。1997年の特集紙面が、「狭義の強制性」を大々的に報じてきたことについて認めることなく、「強制性」について「狭義の強制性」に限定する考え方を他人事のように批判し、河野談話に依拠して「広義の強制性」の存在を強調する論調は、 のちの批判にもあるとおり、「議論のすりかえ」である。
また、第三者委員会は、今年8月の検証記事についても次のように述べている。
吉田証言の取消しなど、過去の記事の誤りを認め謝罪することによって読者の信頼を失い支持を得られなくなることをおそれ、謝罪をしなかったのは、反対世論や朝日新聞に対する他紙の論調を意識する余り、これのみを相手とし、報道機関としての役割や一般読者に向かい合うという視点を欠いたもので、新聞のとるべきものではない。

また、「読者の疑問に答える」として掲げられた事項に対する回答も、個別の事実認定について誤りがあるとは言えないものの、慰安婦に対する賠償問題に関して朝日新聞がどのような立場で臨みその中で朝日新聞自身の主張方針に合致するよう記事の方 向付けを行ってきたのではないかとの指摘に対しては、明確に答えていない。

特に、吉田証言については、関連記事を全て取り消すという重大な決断をしたのであるから、取消し時期が初報から約32年を経た2014年となった理由を検証するとともに、そのことに対する朝日新聞の見解を示すことが読者に対する誠実な態度で あった。 総じて、この検証記事は、朝日新聞の自己弁護の姿勢が目立ち、謙虚な反省の態度 も示されず、何を言わんとするのか分かりにくいものとなったというべきである。
と、このように、吉田証言の取消しに対する朝日の態度は「新聞のとるべきものではない」と痛烈に批判している。

総じて、第三者委員会の報告は、朝日のが「社を守る」という大義によって、さまざまな編集現場の決定が覆されたことを指摘するもので、朝日上層部の責任が極めて重いことを示唆している。

そして、誤報が国際社会に与えた影響については、4委員の報告を併記するに留め、「影響は限定的だった」「韓国における過激な批判に弾みをつけ、過激化させた」などの意見を掲載しているのだけれど、その内、 岡本行夫氏、北岡伸一氏、波多野澄雄氏の3委員が、国際社会に影響を与えたのは吉田証言ではないと指摘していることは注目していいかもしれない。次に該当部分を引用する。
・岡本委員、北岡委員

…日本軍が、直接、集団的、暴力的、計画的に多くの女性を拉致し、暴行を加え、強制的に従軍慰安婦にした、というイメージが相当に定着している。このイメージの定着に、吉田証言が大きな役割を果たしたとは言えないだろうし、朝日新聞がこうしたイメージの形成に大きな影響を及ぼした証拠も決定的ではない。

しかし、韓国における慰安婦問題に対する過激な言説を、朝日新聞その他の日本メディアはいわばエンドース(裏書き)してきた。その中で指導的な位置にあったのが朝日新聞である。それは、韓国における過激な慰安婦問題批判に弾みをつけ、さらに過激化させた。

第三国からみれば、韓国におけるメディアが日本を批判し、日本の有力メディアがそれと同調していれば、日本が間違っていると思うのも無理はない。朝日新聞が慰安婦問題の誇張されたイメージ形成に力を持ったと考えるのは、その意味においてである。 海外が慰安婦問題について持っている誤ったイメージに対しては当然に反論すべきではある。

…しかし、いかに日本として対応するかは、必ずしも簡単ではない。日本側が反論すれば、多くの場合、いっそう火に油を注ぐ結果になるからだ。吉田証言を報じた記事の取消しにしても、吉田証言は問題のほんの一部に過ぎないと海外の有識者は反論し、海外の一般市民は「日本にはそのような制度があったのか」と改めて好奇心を示すという展開になる。


・波多野委員

…吉田氏はほんの一時期、日本のマスメディアにしばしば登場したが、むろん、加藤談話や河野談話を支える証拠として採用されたわけではない。では、このような認識がどのように形成されたのであろうか。それは、安倍氏自身が述べているように、問題が多いとされた従軍慰安婦の教科書記述について、「自民党議員だけで60 名近い議員が勉強会を重ねてきた」結果であったことは想像に難くない。

…そこでは、慰安婦の強制連行を告白した貴重な吉田証言は、河野談話の有力な根拠と認識され、談話は「強制連行」を認めたもの、というステレオタイプが形成されていたのであろう。
このように、国際社会に影響を与えたのは、吉田証言そのものではなく、それを大々的に報じた朝日の報道姿勢、またはそれについて何度も勉強した結果の刷り込みにあるとしている。

根拠薄弱な報道でも、繰り返すことであたかもそれが事実であったかのように刷り込まれてしまう。この恐ろしさについて、林香里委員が次のように述べている。
エ 報道した記事についての責任の自覚

報道した記事は、それ以降は既成事実となって社会に通用してゆく。報道機関が、虚偽である事実を真実として報道するとは思われないから、一般に、報道された事実は真実であるものとして、以降人の行動や社会の動きの前提となってゆく。記事を報道したということの重みはこのようなものである。

このように重い意味を持つものであるからこそ、報道された記事については、その記事内容の真否や、記事で扱った事象のその後の経過を継続的にフォローし、これらについて何か情報が得られれば、これを報道してゆくのが報道機関の責務である。しかし、朝日新聞社では、一人の記者が突出的な記事を書いた場合でも、その続報が引き続き長期間にわたってその記者に委ねられるということは少なく、今回取り上げたような記事については、引き継ぎの態勢もあいまいである。

こうして、社会的に重要なテーマであっても、継続的にその後の経過や記事の影響をフォローしてゆくような制度も存在しないから、その場限りの記事、あるいは過去の報道を吟味しないままこれを踏襲するような記事が罷り通るということになっている。
と、林氏は、報道機関において、言いっぱなし、やりっぱなしが如何に危険なものなのかを指摘している。

今回の報告を受けて、朝日がいかなる改革案を示すかどうか分からないけれど、報告書の指摘を読む限り、相当な大ナタを振るわないと解決には至らないのではないかと思えてならない。そしてこれは、他の新聞を含めたマスコミ全体の問題として捉えられるべきなのだろうと思う。

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12月20日、内閣府が20日に発表した「外交に関する世論調査」によると、中韓に対する悪感情が過去最高となっていることが明らかになった。

それによると、中国に「親しみを感じない」と答えた人は、 「どちらかというと感じない」との回答を含めると、前年比2.4ポイント増の83.1%。韓国に対しても前年比8.4ポイント増の66.4%で、中韓両国とも1978年の調査開始から最高となった。

一方、親近感を感じるとの回答は、「どちらかというと感じる」も含めて対中国で前年比3.3ポイント減の14.8%。 対韓国で前年比9.2ポイント減の31.5%と、こちらも過去最低。

まぁ、中韓が日本に対して、やらかしてきた数々を思えば、当然過ぎる反応だと思うけれど、中韓も日本の世論の変化が気になっているようで、先日の衆院選で、自民が圧勝したことについて「安倍をまた選択する日本国民が理解できない」だの「右傾化」だの反応している。

12月19日、中国の環球時報は、「日本の主婦がネット右翼に変身、中国や韓国を批判」と題した記事を掲載し、日本の30~40代主婦の一部は、空き時間で、領土問題や米軍基地問題で愛国情緒を扇動するような言動を繰り返し、中には日の丸を掲げてデモ運動に参加する「ネット右翼主婦」となっているとし、彼女らが増加傾向にあると報じている。

環球時報は、その理由に「日中・日韓関係の悪化」を挙げ、報道やネット掲示板で過激な言論が多くなっているために、暇な時間によくネットサーフィンする主婦がこれを目にし影響を受けたのだろう、と結んでいるけれど、言論による影響をいうのであれば、テレビや新聞・週刊誌でも同じこと。

彼らは、いかにもネットのせいだ、と言わんばかりの報じ方をしているけれど、寧ろ、何故彼女らが、暇なときに、テレビや新聞ではなく、ネットを見るようになったのかを考えたほうがいい。

ネットの登場で、情報源が新聞・テレビだけだった時代から様変わりした。国民が新聞・テレビ以外の選択肢を持てるようになり、その結果、暇つぶしでさえも、新聞・テレビを選ばなくなった。

新聞・テレビもそうだけれど、ネットとて、本体そのものは、ただのインフラであって、情報を伝達する媒体に過ぎない。多少、使い勝手の差はあるかもしれないけれど、重要なのは、そこに如何なる情報が乗せられるか。コンテンツの質と量。

仮に、ネットコンテンツが本当に下らないものであれば、自由競争である限り、やがて飽きられ、見捨てられる。今のところそうなっていないのは、ネットコンテンツに一定上の価値があると受け止められているからこそ。それはまた、朝日誤報を取り上げるまでもなく、新聞・テレビなどの既存メディアに対する信頼が低下していることの裏返しでもある。

その朝日はというと、12月20日、「(言論空間を考える)拡散する排外主義 東島誠さん、白井聡さん」という記事で、社会思想史家で文化学園大学助教の白井聡氏の言を借り、日本は退行し、中国や韓国は文句ばかりで生意気だからイヤ。米国も最近は冷たいからイヤ。批判する人はみんなイヤ。自分はなんにも悪くない、と「子ども」になった、と批判する。

白井氏は、日本が戦争責任に向き合えない根源には、対内的な責任を自分達の手で裁かなかった事実があり、その「一丁目一番地」の責任問題で誤魔化しをしたものだから、他の責任に向き合える訳がないと指摘する。そして、自己正当化ばかりしていると、軽蔑されるだけだとした上で、「子ども」を成熟に導くにはメディアの役割が重要であり、民主制にとって決定的に重要なのは公開性だとし、歪な「内輪」文化を変えるべきだと主張している。

この白井氏の主張には頷けるものがあると思うけれど、朝日はそれを世に問う前に、まず自ら自身が振り返ってみる必要がある。

慰安婦誤報(捏造)以来、朝日は世間からの批判を浴びるようになったけれど、朝日バッシングは異常だの、誤報は朝日ばかりじゃないだの、反論している。

だけど、自身の間違いについての責任も取らず、批判されるのがイヤだという態度は、白井氏のいう「子ども」と何が違うのか。

例えば、先の記事中の白井氏の言葉を朝日の慰安婦誤報問題に当てはめて、冷戦→吉田証言、日本→朝日、戦争→報道、国策→編集方針と置き換えて書き直すと次のとおり。
吉田証言(冷戦)が崩壊し、朝日の報道(日本の戦争)責任を問う声が高まると、朝日(日本)は被害者意識をこじらせていきます。悪いのは朝日(日本)だけじゃないのに、なぜ何度も謝らなければならないのかと。対外的な報道(戦争)責任に向き合えない根源には、対内的な責任、つまり、でたらめな編集方針(国策)を遂行した指導層の責任を、自分たちの手で裁かなかった事実があります。

責任問題の「一丁目一番地」でごまかしをやったのだから、他の責任に向き合えるわけがありません。

≪中略≫

ここまで来たら、やってみたらいかがですか。「内輪の論理」がどこまで通用するのか、試してみたらいい。
わずか4つの単語を置き換えるだけで、違和感なく意味が通ってしまう。朝日はまさに自分の記事のロジックで自身が批判されることをしている。

とすると、白井氏の言に従えば、朝日の問題の根元には「内輪の論理」があるということになる。

最近、ネットの一部で「リベラルの人の不寛容さ」を指摘したツイートが話題となっている。

これは、慰安婦問題の記事を書いた元朝日新聞記者の植村隆氏が勤める北星学園大に対する取材で感じたこととして、朝日の北海道報道センター記者である関根和弘氏の一連のツイート。

関根氏は取材で一連の問題にからみ、批判と同時に「間違いはどんな組織にもある。ひるまず頑張って」、「バッシングなんて気にすることないから。どんどん昔の朝日のように鋭く突っ込んでよ」などと"激励"してくれる方々がいるとしながらも、その多くが「朝日を批判している人たちは単なるバッシングでよくわかっていない人だから聞く耳を持たなくていい」という趣旨に聞こえ、それに「取り込まれる」ことに"怖さ"を感じたと述べている。

そして、植村氏本人にも会い、特集記事が出ても多くの批判、抗議、疑問が投げかけられている以上、朝日のしかるべき立場の人間同席で、植村氏自身の口で説明を尽くすのがいいと伝えたのだという。

何でも、秋以降、植村氏は小さな集会などに出て自ら説明したり、文藝春秋に手記を出したりしているけれど、集会に参加される方は基本的に、その多くが朝日「シンパ」の方々のようだとし、関根氏は「植村さんの言葉を本当に届けるべきは、そうしたインナーサークル的な人たちではなく、別の人たちではないか、と個人的には思っています。」と述べている。

これが本当であれば、植村氏の行動は、朝日シンパの集まりで話しては"激励"を受けて返ってくるという、正に「内輪の論理」そのものではないのか。

「内輪の論理」から脱するべきと述べた白井助教は、件の記事で「民主制にとって決定的に重要なのは公開性です。そのような常識を、日本の政治家は欠いているのではないか」と述べているけれど、朝日シンパの集まりで"激励"されて悦に入っているのなら、この指摘は、そのまま朝日にも当てはまる。

リベラルの不寛容さについてツイートした関根氏について、ネットでは「朝日にこんな人がいたとは」とか「潰されるなよ」とか驚きの声が上がっているようだけれど、こうした声が上がることそのものが、朝日という存在の本質を現しているように思えてならない。

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12月17日、アメリカのオバマ大統領は、「50年以上にわたる政策の最も重大な転換を行い、これまで失敗してきた時代遅れの手法を終わらせる。…新たな章の始まりだ。関与を通じてキューバ国民を支援し、われわれの価値を促進できると確信している」と述べ、キューバに対する政策を抜本的に転換する方針を表明した。

オバマ大統領はキューバのカストロ国家評議会議長と電話で会談したことを明らかにし、キューバ人の工作員3人を解放する一方、キューバで投獄されていたアメリカ人ら2人が釈放されたことを発表。アメリカ政府は、キューバとの間で国交正常化交渉を直ちに開始するほか、キューバの首都ハバナにアメリカ大使館を設置する方針を固め、キューバへの渡航や送金を緩和するとともに、原則として禁止してきたアメリカ製品の輸出を建築資材や携帯電話など一部について認めるとしている。

オバマ大統領が指摘するように、アメリカとキューバの関係悪化は50年以上昔に遡る。

当時のキューバは、第二次世界大戦後の1952年に軍事クーデターによって樹立したフルヘンシオ・バティスタ政権の支配下にあったのだけれど、バティスタは、親米政策をとり、アメリカからの援助をうけつつ独裁体制の強化を図っていた。だけど、キューバ国内では、共産主義の影響を受けた学生組織や左翼組織による反バティスタ運動が行われていた。

1959年、カストロとチェ・ゲバラ率いる革命軍は、首都ハバナを制圧して革命政府を樹立。いわゆるキューバ革命が起こるのだけれど、元々キューバ革命は社会主義革命を目指したものではなかった。首相になったカストロは、当初、アメリカとの友好関係を保持すると宣言。革命成功後直ぐにアメリカを訪問して、革命政権の承認を求めた。

だけど、当時のアイゼンハワー大統領はカストロ首相の革命政権を「社会主義的」「容共的」と警戒し、カストロ首相との会談を拒否し、代わりにリチャード・ニクソン副大統領がカストロ首相との短時間の会見を行うに留まった。因みに、カストロ首相と会談したリチャード・ニクソン副大統領はカストロのカリスマ性に感心し、アイゼンハワー大統領に「この男とはしっかりと付き合ってゆく必要がある」と進言したという逸話が残されている。

結局、アイゼンハワー大統領は、キューバに多くの利権を持っていたアメリカの大企業やマフィアからの圧力もあって、カストロ政権の承認を拒否したのだけれど、このアメリカの態度に反発したカストロ首相は、国内にあった大企業農園やカジノホテルなどのアメリカ企業資産の接収と国営化を開始すると共に、ソ連に接近することになる。

アイゼンハワー政権は対抗策としてキューバの最大の産業である砂糖の輸入停止措置を取る形で禁輸措置に踏み切り、1961年にキューバとの国交を断絶した。

今回のオバマ大統領のキューバとの国交正常化交渉開始宣言は、それ以来のことなのだけれど、アメリカ政府高官によると、オバマ大統領は、去年の春の段階で、キューバ政府と本格的に対話に乗り出すことを決めたそうだ。

去年6月には、カナダで初となる両政府高官同士の直接協議を開始。そして、今年10月、ローマ法王の仲介で、両国代表団の対話が実現。11月には国交正常化交渉を開始することで合意したという。

これについて、中南米研究を専門とするジョンズ・ホプキンス大学のリオダン・ロエット教授は「オバマ大統領は残る任期が2年となり、これ以上失うものはないという感覚がある。キューバとの国交正常化には少数のアメリカ人しか反対していないことも後押ししている」とオバマ大統領が任期中に外交政策で成果を残すために決断したという見方を示している。

ただ、アメリカ議会では、キューバ系の議員や野党・共和党の幹部など一部の議員から反発の声があがっている。ジェブ・ブッシュ・元フロリダ州知事が「悲惨な人権侵害国家の独裁者に報酬を与えた」と批判し、キューバ移民の息子であるマルコ・ルビオ上院議員お「北朝鮮やイラン、ベネズエラなどの独裁者を優位に立たせるだけだ」と述べ、キューバ大使が指名されても上院は承認せず、また大使館設置予算も認めない意向を示している。

こうしたことから、前述のロエット教授は、まずは、大使館の開設やテロ支援国家の指定解除など、大統領の権限でできることを中心に関係の正常化を進めていくだろうと指摘している。

また、キューバはキューバで、低迷する経済の回復の為に制裁の解除を望んでいると伝えられているのだけれど、ここ最近の原油安で、ロシアとベネズエラから格安で原油を提供されていたキューバ経済が破綻しかねないとの危機感と、更に、原油安と株安から経済的ダメージを受けているロシアが、キューバの後ろ盾として機能しなくなるかもしれないとの読みがあるとも言われている。

要するに、ロシアが潰れたときのために、アメリカと少し縁りを戻しておこうという"保険的"な動きだということ。

だけど、保険とはいえ、キューバのアメリカ接近は、これまで長年キューバとの関係を深めていたロシアや、近年急速に関係を強化してきた中国にとって、アメリカの「裏庭」に打ち込んでいた楔を抜かれることをも意味してる。

今回の国交正常化交渉について、中国は表向き歓迎の意思を表明しているけれど、ある共産党関係者は「裏切られた思いがある」と漏らしたという。だから、中国も内心面白くないと感じているものと思われる。

だけど、現在、キューバの国民1人あたりのGDPが300ドル程度。もしも国交正常化によって、アメリカ資本がキューバに殺到すれば、急激なインフレが発生すると予想される。だから、そうそう簡単に事が運ぶとは限らない。

今後の動向には注意する必要があるだろう。

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12月15日、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは、韓国政府が自分たちに不利な報道をするメディアを沈黙させる目的で名誉毀損罪を利用していると非難し、「報道の自由の弾圧」をやめるため法改正をせよと求める声明を発表した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局の局長代理であるフィル・ロバートソン氏は「名誉毀損罪は、表現の自由を萎縮させる力を持つ。政府関係者の違法行為について世間が語るのを封じ込め、公共の利益に反するものだ。…韓国関係当局は、国際基準に準じて、表現の自由に対する脅威を除くために、名誉毀損関連法規を速やかに改正すべきだ。…韓国のジャーナリストは政府の脅しを恐れながら仕事をする状況に置かれるべきではないし、政治的に繊細な問題やトピックを報道することで刑事訴追の可能性に直面すべきでもない。」と述べている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、1978年に設立された、人権NGO。ニューヨークに本部を置き、ロンドン、ブリュッセル、ワシントンDC、パリ、ヨハネスブルク、モスクワなど、世界各地に事務所を有し、約280名のスタッフが80ヵ国で活動している。彼らは、客観的かつ徹底した調査を行い、その結果を様々な言語・形式でマスコミやソーシャルメディアに発信し、戦略的なロビイングおよび政策提言を行うことで、人権侵害の解決に向けた行動を求める世論と圧力を作り出すことを目的としている。

彼らは、既に公判が行われている産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の報道の件や、先日、朴槿恵大統領の元側近で「影の実力者」とされるチョン・ユンフェ氏の動向に関する内部文書について報じた韓国紙を名誉毀損で告訴した件を取り上げ、批判している。

後者の韓国紙の告訴は、11月28日の韓国紙・世界日報の報道を発端とする。世界日報は、チョン・ユンフェ氏が、「昨年10月から、大統領府の秘書官らと定期的に会い、情勢報告を受けていた」、「金淇春秘書室長の辞任に向けた雰囲気作りを指示していた」などと、内部文書の写真付きで報じたのだけれど、翌29日には、他の韓国メディアが「メガトン級の衝撃」などと大々的に報道し、大騒ぎとなった。

韓国大統領府は、報道について事実無根として、世界日報社長と編集局長、社会部長、記者ら6人を名誉毀損容疑で告訴。8日には、金淇春秘書室長が自身の辞任に関する噂について調査を指示した後、調査結果を受け取ったにもかかわらず、何の措置も取らなかったため関心が集まったと報じた東亜日報を告訴している。

これら韓国当局の対応に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、個人の名誉と公共の秩序を維持する為には、民事法上で名誉毀損を禁ずること、及び刑事法で教唆・煽動行為を処罰すれば十分対応可能だとし、名誉毀損に関する刑事法を取るのは過剰かつ不必要だと主張。韓国の名誉毀損罪について「個人について言われたり、書かれたことが公共の利益にあたるか否かにのみ焦点を当てたもので、それらが真実か否かは関係がない」と指摘する。

とくに、「公共の利益になるかどうかのみ注視し、それが真実かどうかは関係がない」という指摘はかの国の本質を鋭く突いたものであり、いわゆる従軍慰安婦問題もこの線上にあるものだと思う。

韓国のこの"宿痾"は、産経の加藤氏に対する公判でも顔を覗かせている。

12月15日、産経の加藤氏に対する第2回の公判が行われ、その証言台に、前回の初公判の際に加藤氏が乗った車に卵を投げつけ、走行を妨害した朴・ワンソク氏と張・ギジョン氏の2人が立った。

朴氏、張氏の2名は産経や日本大使館前でのデモを主導している反日右翼団体の幹部だそうなのだけれど、朴氏は証人尋問で「産経新聞は偏った韓国報道をするメディアだ。そんな産経新聞が韓国大統領を誹謗する記事を載せた。韓国国民として不愉快に思う」と断言し、張氏も「産経新聞は日本の右翼、反韓国メディアだ。韓日関係を悪くすると思った。…産経新聞自体が韓国に批判的な新聞であり、加藤氏が書いた記事は問題があると思った」と述べた。

ところが、加藤氏の弁護側から「加藤前支局長のコラムのどの部分にそれが書いてあるのか」と質問されると途端に窮し、何一つ具体的に答えられなかったという。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが指摘するように、韓国の名誉毀損罪が、真実ではなく、利益になるかどうかをもとにしたものであり、大統領自らマスコミを刑事告訴する国であれば、産経が気に喰わないから、事実がなくても告訴するのも無理からぬことかもしれないけれど、それが世界では通用しないことは知っておくべきだろう。