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電力問題がクローズアップされている。

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ネットなどをみていると、計画停電が続く中、どうすれば、電力が賄えるのかの話題が見られる。やはり脱・原発にして自然エネルギーを推進すべきだ、とか。やはり原発は必要だ、とかいろいろな議論が行われている。

菅首相も29日の参院予算委員会で、「日本は太陽(光)やバイオマスなどクリーンエネルギーにもかなり力を入れてきた。それらも合わせてどうエネルギー政策をとるか、改めて議論が必要だ」とクリーンエネルギーの推進を検討する考えを話していた。

当ブログでも、いくつか自然エネルギーについてのエントリーをしたのだけれど、もともと、夏場の不足電力の補完方法として、記事にしたという前提があり、原発全部を自然エネルギーに置き換えることは想定していない。

というのも、自然エネルギーは、やはり、一基あたりの発電量が少ないという欠点があって、日本最大の水力発電である、奥多々良木発電所でも6基で193万2千Kw、一基あたり32.2万Kw。発電所全体の面積は約440万�u。

また、日本最大級の火力発電所である、東新潟火力発電所でも、総出力こそ460万kWだけれど、発電機としては、港1,2号機(35万Kw/基)、1,2号機(60万Kw/基)、3号系列(109万Kw/2基)、4号機系列(161万Kw/2基)と1基あたりの出力でみると、35~80万Kwクラス。

それに対して、日本で一番古い型もある福島第一原発でも、1号機が46万Kw、2~5号機が78.4万Kw、6号機が110万Kwと1基あたりの発電量はずば抜けている

だから、原発の代わりに自然エネルギーで代替をしようとしても、現実問題として、原子炉1基分くらいはなんとかなったとしても、日本全国にある50基以上の原発の肩代わりは難しい。

とすると、現在以上の電力を消費するとするならば、原発の継続はやむを得ないということになるのだけれど、今の福島第一原発のあの惨状では二の足を踏む。

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だけど、もし、メルトダウンを起こさない原子炉というのがあれば、そちらに切り替えるということは検討されてもいい。

そんな、都合のいい原子炉なんてあるのかというと、ないわけじゃない。溶融塩炉とよばれる原子炉がそれ。

溶融塩炉というのは、従来の軽水炉のように燃料棒といった個体の核燃料を使うのではなくて、核燃料を塩に溶かした状態、すなわち、液体燃料として使うという大きな違いがある。

塩も高温にすれば融けて液体になる。だけど、その温度は、超高温というわけではなく、融点は凡そ800℃で、燃料棒が融ける温度から比べれば全然低く、実際には核反応物質その他を溶かしこむことで、更に融点は低くなって、500℃くらいになる。

軽水炉のような既存の原発は、燃料棒の熱によって水を沸騰させて、タービンを回すけれど、溶融塩炉は、発生した熱を、熱交換器によって、別系統の水に伝え、それを沸騰させてタービンを回す。

溶融塩液体燃料の温度は、通常使用時では約700℃くらいなのだけれど、圧力が高くならないという特徴があって、700℃になっても、圧力は大気圧のまま。

炉心圧力が大気圧のままということは、炉心の耐圧対策が楽になるし、福島原発のように圧力異常で、緊急に蒸気を外に逃がすなどの措置は要らなくなる。

それに、燃料がもともとメルトの状態、すなわち液体状態で、運転温度が700℃程度で、軽水炉の臨界温度である、1700度から2400度と比べれば十分低い。だから、この温度に十分耐える炉心であれば、炉心溶融は起こらない。

ただ、それでもやはり、核燃料は核燃料だから、ウラン燃料からプルトニウムだとか危険な物質が生成されるのではないか、という懸念があるのだけれど、プルトニウムが出来にくい燃料であれば、その心配も減る。

そんな核燃料として、注目を集めるのがトリウム。

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トリウム(Th)は天然に存在する放射性物質で、北欧神話の雷神トールに因んで名づけられた。

トリウムは自然界ではトリウム232(100.00%)として存在し、アルファ粒子を放出しながらゆっくり崩壊する。半減期は140.5億年。ウランの3~4倍の埋蔵量があるとみられている。

トリウム232はそれ自身核分裂はしないのだけれど、中性子を1個吸収するとトリウム233となり、これがβ崩壊してウラン233になる。このウラン233が事実上の核燃料になる。

軽水炉などの従来型原子炉につかう核燃料は、約3%に濃縮したウラン235と、核分裂しにくい、いわゆる燃料にならないウラン238からなっているのだけれど、ウラン235の核分裂によって放射される中性子をウラン238が捕獲すると、ウラン239になり、それがβ崩壊してネプツニウム239になり、更にそれがβ崩壊してプルトニウム239になる。その割合は約1%。

福島第一原発の3号機に使われている、MOX燃料と呼ばれているものは、この使用済み核燃料中に含まれるプルトニウムを再処理して取り出し、二酸化プルトニウム(PuO2)と二酸化ウラン(UO2)とを混ぜてプルトニウム濃度を4~9%に高めたもの。それを軽水炉のウラン燃料の代替として再利用している。

だけど、トリウムは、ウラン233を核燃料としているから、それより重い原子であるプルトニウム239はできにくい。なぜなら、自分より重い原子をつくるには核融合しなければならないけれど、原子炉は核分裂反応を起こすためのもので、核融合するためには出来ていないから。

このトリウム原子炉では、プルトニウムが出来にくいという特性は、同時に、プルトニウムを利用した核兵器への転用が難しいという理由から、トリウム原子炉の開発は等閑にされてきたという面があり、また、更に、トリウムやウラン233は、それが発するガンマ線が非常に強いという欠点があるということで、この問題を解決する課題が残されている。



ただ、従来の原発は、ウラン235の核分裂で発生する中性子を別のウラン235にぶつけて、それを連続的に行う、いわゆる臨界状態で発電する仕組みなのに対して、トリウム原子炉は、トリウム232に中性子を吸収させることで、核分裂反応を起こさせるものだから、ウラン235のように中性子の生成をウラン任せにしなくていい。

つまり、トリウム原子炉は、中性子を外部の加速器か何かで与えてやっても核分裂反応を起こせるから、燃料をいわゆる「臨界状態」にしなくてもいい。核燃料が臨界ではないということは、外部加速器のスイッチを切れば、そこで核分裂反応が止まるので、従来型の原子炉のように燃料が再臨界してコントロールできなくなるといった心配もなくなる。

インドはトリウムの埋蔵量が多いということもあって、将来的にトリウムによる原子炉を採用する方針を取っていて、アメリカもそれに協力する動きを見せているという。

日本も、京都大学の原子炉実験所で、2009年3月に世界ではじめて100MeVの陽子加速器と小型の燃料集合体を組み合わせた加速器駆動未臨界炉の実験的研究が始め、2010年3月にはトリウムを使う実験も始めている。

政府としても、自然エネルギーの研究推進も結構だけれど、発電量の問題を考えると、こうしたトリウム原子炉といった次世代型の原子炉推進も同時に進めておくべきではないかと思う。

このトリウム溶融塩炉については、脱原発派である河野太郎議員も知っているほどのものなのだけれど、前参議院議員の平野貞夫氏によれば、自称「原子力に物凄く詳しい」我が国の宰相殿は、トリウム溶融塩炉なんて知らないらしい。そんな宰相殿が進めるエネルギー政策とは一体何なのだろうか。






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画像2009年8月5日 ウランからトリウムへ―世界の核燃料戦略を読む

原子力発電の燃料としてトリウムに注目する動きが静かに広がっている。トリウムは軍事転用が難しく、かつては原発など原子力の平和利用の本命と見なされていた元素なのだ。温暖化ガスを出さないエネルギーとして原発の増設機運が世界的に高まっている今日、トリウムをどう位置づけていくか。核拡散防止やエネルギー安全保障、資源を巡る地政学などの観点を絡めて、各国の原子力戦略が問われ始めている。

核拡散防止と放射性廃棄物削減
 トリウムはウランの従兄弟のようなもので、天然に産する放射性元素である。そのトリウムを原子力燃料としてウランの代わりに利用しようとする動きが世界で静かに広がり始めた。

 背景には地球温暖化対策として世界的に原子力発電増設の気運が高まっていることがある。その場合の大きな懸念は、核兵器の拡散と放射性廃棄物である。トリウムは核兵器の拡散防止に役立つうえに、プルトニウムを含む有害な放射性廃棄物がほとんど発生しない。

 そんな良いことずくめの技術なのに、なぜ今まで実用化されなかったのだろうか。一言でいえば、理由は第2次大戦後の冷戦構造と核兵器開発競争にある。原子力の民生利用としての原発も、軍事利用と無関係に展開されてきたわけではなかったのである。

 核兵器には原料としてウランを使うタイプと、天然にはほとんど存在しないプルトニウムを使うタイプがあるが、プルトニウム型の方が圧倒的につくりやすい。プルトニウムはウランが核分裂反応を起こして燃えるときに生成されるが、トリウムを燃やしてもプルトニウムはほとんど発生しない。したがって、トリウムを原発の燃料とすると、核兵器を効率的につくれなくなる。そのため、政治的に日の目を見ることはなかったわけだ。

 米国では1950年代から70年代にかけて、トリウム溶融塩炉と呼ばれる原子炉の技術開発を進めていた時期がある。1965年から69年までの4年間、無事故で運転した実績を持ち、基本技術は確立している。トリウムの燃料利用を想定していたこの原子炉は、核の平和利用の本命であった。

 トリウム溶融塩炉の利点は、小型化に適し、経済性が高いということだ。そして、軽水炉の使用済み燃料や解体核兵器に含まれるプルトニウムを、トリウムとともに燃やして処理ができるという点も都合がいい。トリウムそのものは核分裂しないので「火種」としてプルトニウムが使えるからだ。

 米国にはトリウム・パワー(Thorium Power Ltd)という核燃料企業もあり、日本など世界で広く使用されている軽水炉でのトリウム利用を推進している。各国では、溶融塩炉だけでなく、さまざまなタイプの原子炉でトリウムを使えるようにする研究開発が行われている。

 オバマ大統領はグリーン・ニューディ-ルを打ち出し、そして核廃絶を世界に訴えている。4月5日にはチェコ共和国の首都プラハでEU首脳との会談に先立ち、「米国は核廃絶に向けて行動する道義的責任を有する」と演説した(4月6日付け『産経新聞』)。そして、核なき世界を目指して、4年以内に兵器用核物質の拡散を防ぐ体制を構築する方針を表明した。

 そのチェコ共和国は「トリウム溶融塩炉の技術開発で世界をリードしている国の一つだ。だとすると、オバマ大統領の演説との関係は偶然の符合とは考えにくい」と原子力工学が専門の京都大学助教、亀井敬史博士は言う。

オバマとトリウム
 すなわち、米国がトリウム原子力によって、地球温暖化対策と核廃絶のために世界のリーダシップをとるとともに、グリーン・ニューディ-ル政策の推進にも役立てようとしているのではないかと読みたくなるわけだ。ブッシュ前大統領の原子力回帰政策をオバマ大統領は踏襲しなかったが、トリウム原子力で大きな違いが出せるというものだ。亀井博士によると、今年6月には米下院で、7月には上院で通過した国防予算法案の中に、海軍においてトリウム溶融塩炉の研究を進めることが入っており、2011年2月1日までに国防委員会に報告せよとなっているそうだ。

 米国の三大ニュース誌の一つに「US.News&World Report」 という雑誌がある。 2009年4月号は、GREEN Economyの特集号だ。その中でトリウム原子力を紹介している。

 米国、チェコ共和国のほかに、トリウム溶融塩炉の技術開発に向けて動き出した国としてはカナダ、ノルウェー、オーストラリアながである。インドは60年にわたって独自に開発を進めてきた。そして、忘れてはいけないのが中国の台頭だ。

 残念ながら日本では封印された状態である。これまで、ごく少数の技術者が溶融塩炉の実用化の必要性を声高に訴えていたが、全く無視されている。何しろ、東芝、三菱重工、日立製作所といった大企業が軽水炉型の発電所ビジネスでフランスのアレバ社とともに世界にその存在感を示しているわけだから、大型タンカーのように簡単には国策の舵はきれないだろう。しかし、世界の空気を読めないでいると、日本は世界から取り残される恐れも否定できない。

 注目すべきは、中国、インドである。両国ともウラン資源が乏しいので埋蔵量世界一を誇るオーストラリア頼みである。中国は、2006年4月、温家宝首相がオーストラリアを訪問してハワード首相と会談を行った際、2010年からウランの中国向け輸出開始で合意した。

 オーストラリアはウランの輸出先に核拡散防止条約(NPT)加盟を義務づけている。中国はNPT加盟国ではあるが、軍事利用の心配があるとして、オーストラリアはそれまで中国への輸出には消極的であった。今回の輸出解禁に際し、中国はオーストラリアに対してウランを平和目的以外に利用しないという保証協定を結び、輸入したウランに関連して国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れて、オーストラリアに対して公開する義務を負った。

 原子力発電に積極的なインドもオーストラリアにウラン輸出を要請し続けていたが、NPT非加盟国であることからこれまで見送られてきた。しかし、2007年8月になって、インドへの輸出も容認することを決めた。中国と同じ条件で協定を結ぶことになった。これは、核拡散防止条約未加盟国にもかかわらず、インドが米国と原子力に関する二国間協定で合意したことを受けた例外措置だそうだ。

 米国やオーストラリアなどが原子力を軸にインドと中国に急速に接近している。ウラン資源は乏しいインドと中国だが、逆にある資源については両国とも豊富という共通点がある。モナズ石などのレアアース(希土類)を多く含む鉱物資源である。

日本に戦略はあるか
 レアアースはエレクトロニクス、IT機器、電気自動車など先端技術産業には欠かせないもので、いま、わが国の産業界でもレアメタルとともに関心が非常に高まっている重要な資源である。

 そのモナズ石の中にトリウムが含まれているのだ。とくにインドのモナズ石はトリウム含有量が約8%と非常に高い。一方、中国はレアアース(希土類)では世界の97%の生産量と31%の埋蔵量を誇る。

 現在、モナズ石などの鉱物からレアアースを抽出する際には、放射性物質であるトリウムは厄介な不純物として除去しなければならない。ただ、中国のモナズ石などの中に入っているトリウムの含有量は0.3%以下とインドに比べてはるかに少なく、レアアースを取り出すには邪魔ものが少なくて好都合と言える。

 とはいえ、なにしろレアアースの生産量世界一の国である。廃棄物としてトリウム資源が少なからず蓄積されている。これを、中国政府は将来の重要なエネルギー資源と見なしているはずだ。最近、清華大学が中心になってトリウム利用推進を訴え、IAEAと共催でトリウムに関する国際会議も開いている。

 中国では最近、国営企業2社がオーストラリアの有力なレアアース、レアメタルの探鉱・開発会社の支配権を握った。オーストラリアのモナズ石は、6%のトリウムを含んでいる。

世界の主なトリウム資源保有国の確認埋蔵量
単位:t(トリウム換算)オ-ストラリア 300,000
インド 290,000
ノルウェー 170,000
USA 160,000
カナダ 100,000
南アフリカ 35,000
ブラジル 16,000
その他 90,000

(出所:US地質調査所 2007)
世界のウラン資源の確認埋蔵量
単位:t(ウラン換算)オーストラリア 700,000
カザフスタン 510,000
カナダ 350,000
USA 350,000
南アフリカ 270,000
ナミビア 200,000
ニジェール 200,000
ブラジル 170,000
ロシア 130,000
その他 220,000

(出所:2006 IAEA Red Book)
 2007年12月20日。「立命館大学で、日・中・印の温暖化専門家会議が開かれ、その声明文の中で先進的な原子力としてトリウム利用を検討すべきだとの文言が盛り込まれた。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のパチャウリ議長も強く推奨した」(2008年2月28日付け『日経産業新聞』、亀井敬史博士寄稿文より)

 いまや世界の資源、エネルギー、環境政策は一連の環を形成している。その環をつなぐ両端にトリウムとレアアースがある。このことを、わが国の国家戦略を考え、政策を担う人たちがどのように受け止めているのか知りたいものだ。

 政局と内政に明け暮れ、世界の空気を読めないでいるとこの国の将来は危うい。

 唯一の核兵器使用国アメリカと唯一の核被爆国日本、いまこそ手を組んでトリウムによる核廃絶を目指す絶好のチャンスと言えないだろうか。

URL:http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20090805/101975/



画像中国が独占意欲「トリウム原発」とは 米国はしたたかに“潜行”、日本の出遅れ感は大きい 谷口 正次 【プロフィール】
 
 去る1月25日、中国科学院(the Chinese Academy of Science=CAS)がショッキングな公式発表を行った。

 中国の“戦略的・先導的科学技術特別プロジェクト”としてトリウム溶融塩原子炉の開発プログラムを実施するということだ。(文新伝媒の報道による)

ウラン原子炉は燃焼効率の悪い“石炭ストーブ”

 このプロジェクトの責任者、中国科学院、上海応用物理研究所の徐洪傑がWenhui Newsの許埼敏記者に語ったことを翻訳すると次のようになる(一部要約)。

*   *   *

 化石エネルギーはいずれ枯渇する。再生可能エネルギーは柱になり得ない。中国の更なる発展のためには膨大なエネルギーが必要。一方で、温暖化ガスは減らさなければならない。これは“馬を速く走らせるが、草を食べさせない”ことと同じだ。しかし、30~40年後の将来、エネルギーの柱をトリウム原子力発電にすればそれが可能になる。(1トンのトリウムは200トンのウランあるいは350万トンの石炭と同じエネルギーを発生させる:ノーベル物理学賞受賞者、カーロ・ルビア博士、筆者注)

 現在の原子力エネルギーシステムはウラン-235 を燃料としている。その埋蔵量は少なく、石油・石炭など化石燃料と同時期に枯渇が懸念されている。

 わが国はトリウム資源大国。1000年にわたって枯渇の心配がない。(世界のトリウム資源はウラン資源の約4倍:USGS、筆者注)

 トリウムを燃料としてどのような原子炉を作るのか。

 現在、世界で常用しているウラン原子炉は燃焼効率の悪い“石炭ストーブ”のようなものだ。わずかな最上質の燃料を燃やしただけで大量の‘石炭の燃え滓’(核廃棄物)を残す。

 それに対して中国は、トリウムを核燃料としながら、これまでの原子炉から出る核廃棄物を再利用もできる原子炉を研究・開発しようというわけだ。それには幾つかの選択肢があるが、中国は溶融塩炉という方式を選んだ。


長期連続運転が可能で、燃料の“雑食性”が強い

 この方式は、核燃料(トリウム-232)をフッ化物にして、フッ化物塩からできている溶融塩に溶解した状態で燃やす。地殻の中のマグマに少し似ていて、“ストーブ”の中で燃え続け、絶えず巨大なエネルギーを出す。液体燃料の原子炉ということがほかの原子炉と違うところだ。

 その特徴は構造が簡単で、長期連続運転が可能で、燃料の“雑食性”が強いなどの利点がある。しかも、小型かつ精巧に作ることができ、一定量の核燃料を装入すれば数十年の安定運転ができる。さらに、理論的に、核廃棄物は現在の技術による原子炉の1000分の1しか発生しない。次世代原子炉は世界で研究開発中であるが、我が国がトリウム溶融塩炉の研究を今始めれば、おそらくすべての知的所有権を獲得することになる。

 これまで人々は、“核”に言及すると顔色が変わる。広島・長崎の原爆、チェルノブイリ原発事故など悪夢のように人類の歴史に刻まれている。しかし、トリウム原子力は平和の象徴で、人類を新しい紀元へと導いてくれる。伝統的な原子炉で発生した核廃棄物の中には核兵器に使われるプルトニウム-239が多く含まれるため、核拡散のリスクにつながる。“新しいストーブ”でトリウム-232を燃やすと核燃料としてのウラン-233を出すと同時に不純物としてウラン-232 も出るが核兵器には利用できない。

URL:http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110225/218599/