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昨日のエントリーについて、今回の衝突事件は中国にとってはミスだったのではないか、というコメントを戴きましたので、そのお返事をかねて、追加エントリーいたします。
コメントの代表として、almanos様からのコメントを以下に引用いたします。
1.衝突事件という名の「威力偵察」
私は、今回の衝突事件は、中共による「威力偵察」ではないかと見ています。
威力偵察とは「小規模な攻撃を行なうことで、相手の出方や反応を探って敵情を知る」という偵察行動の一種のことです。
almanos様が指摘されるように、今回の事件は、確かに日本国民に、領土が危ない、とある程度の危機感を抱かせることにはなるでしょうけれども、それが「どのくらい」の危機として感じ、「どの程度」の世論となって反映されるか、それを、中国は偵察していると思うのです。
すなわち、「直ちに国土防衛の為の対策を打て」とか、「子供手当てなんか止めて、国防費を増額しろ」とか、果ては「核武装止む無し」とか、どこまで、日本のマスコミと世論が反応してくるのか。それを見ている。
沖縄県民が自分達が危ないと本当に思うのであれば、普天間問題でごちゃごちゃしている現状がどれほど危険な火遊びであることが分かるはずですし、また、日本の世論が本当に危機を感じているのであれば、今の民主党政権で大丈夫なのか、と疑問を抱くのが普通だと思われます。
まぁ、衝突した漁船の船長を逮捕したこと自体は、民主党としては評価できますけれども、事を荒立てないようにしたいなどと、仙谷官房長官に言わせて、批難の声ひとつ上がらないのが今の日本です。
これも、大人の対応といえば、大人の対応なのかもしれないですけれども、こと国防に関する日本の世論は、まだまだ「ぬるい」と思います。
おそらく、中国はそんな日本の世論の鈍い反応を見て、ほくそ笑んでいるのではないかと思われます。
ただ、強いて言うならば、日本側が船長の逮捕に踏み切るとまでは、思っていなかったかもしれません。
ですから、その意味において、中国の方も「悪いのは日本側だ」と抗議をしてはいますけれども、船長を早いうちに取り戻して、事を素早く治めたいと思っている可能性はあります。
そういう視点で言えば、人民レベルで、反対デモとか、逮捕された船長の祖母が心労で死んだ、などと報道することは、日本に対する揺さぶりの一環になるわけですね。
ですから、これで、船長をすぐ釈放するようであれば、中国は益々、日本をナメてかかってくるものと思われます。
とはいえ、日本の世論は、何をされても抗議しない、全くの腑抜けだという訳でもないのです。
もう2、3年の前の話になりますけれども、毒餃子事件では大騒ぎになりました。中国産冷凍食品は、一時期、国内市場から消えましたし、捕鯨問題もそうですね。
特に、3年ほど前でしたか、日本の調査捕鯨に対する妨害活動に業を煮やした人が、「オーストラリアも希少な野生動物を殺している。人種差別ではないのか。」と問題提起した動画をYOUTUBEにアップして、物議を醸しました。結果として、オーストラリアの外務大臣に「日豪関係には影響しない」と発言させる事態にまでなりました。
日本人でも、それくらいの抗議はできるのです。
このように、日本の世論は、食い物のこととなると、実に鋭敏な反応を示しますけれども、今回の衝突事件では、そんな反応を示していないのが現実です。
別に「船長を極刑に処せ」とか「中国に賠償を請求しろ」とかいう訳ではありませんけれども、テレビ報道があって、ネットの一部で取り上げられているものの、世論として、それ以上の動きが特にあるわけでもない、という今の現状は、少なくとも、世論が沸騰しているとは、とてもいえない状況だと思われます。
尤も、今の国民の関心は代表選に向けられていますし、そんなことをいうのは品格に欠けるだろうし、元々、法に基づいて粛々と処理すべき問題だから、と思っているだけなのかもしれません。
けれども、やはり、食べ物の話と較べてしまうと、日本の世論は、まだまだ国防に関する関心が薄いのだと思うのです。
昨日のエントリーの参照記事に「尖閣に中国船1日270隻 石垣市民、不安高まる」という沖縄タイムスの記事を載せていますけれども、散々、在日米軍は要らないとか、普天間は県外に移設だという論調を続けていた沖縄タイムスが、今になって、こんな記事を載せなければいけないところに事態の深刻さが伺えます。
今後もこうした領海侵犯や衝突事件が起こるのであれば、そのたびに、日本の首相は靖国神社に参拝すればいいと思いますね。
「日本の領海を易々と侵されてしまった。こんなことでは、命の掛けて祖国を護ってくださった英霊に申し訳が立たない」そういって詫びればよいのです。
そのこと自体が、中国への強烈な外交メッセージとなるでしょう。
件(くだん)の沖縄タイムスの記事では、「今年8月中旬には1日で最大270隻の中国漁船が確認され、そのうち日本の領海内に約70隻が侵入していた」と報道されていますけれども、このこと自体、どれだけの日本国民が知っていたか非常に心許ない。
それだけ、現実は報道されていないのです。今回のように衝突事件が起こってようやくマスコミに上るのが現実です。
であれば、そんな役立たずのマスコミに代わって、政治家が靖国参拝することで、また領海侵犯されました、と国民に知らせてやるほうがずっとよい。
何度もそんなことがあれば、さすがに国民もなんとかしろ、となってゆくでしょう。
まぁ、本当にそんなことをやれば、首相は、毎日靖国参拝する羽目になるかもしれませんけれども、そこまでやれば、鈍いにも程がある、菅首相にも国防意識が芽生えてくるかもしれません。
2.実行支配という盾
次に、アメリカの介入についてなのですけれども、日米関係が堅持されているうちは、almanos様が仰るように、介入してくると思います。
先日、アメリカのクローリー報道官も日米安保は尖閣諸島にも適用される旨の発言をしていました。
ところがそれは、あくまでも、アメリカが、曲りなりにも「尖閣諸島が日本の領土である」と認めているということが前提なのですね。
アメリカは、同盟国の領土紛争に巻き込まれることを避けるために、同盟国の領土紛争に介入しないという方針を採っています。
つまり、係争地はその限りではないのです。
そして、係争地には、どちらも自国の領土だと主張しているけれども、どちらが一方が実行支配している、という状態も含まれます。
私は、同盟国が「実行支配していない」係争地には、アメリカが介入してくる見込みは低いだろうと予想しています。
なぜなら、他国が実行支配している場所に同盟国と一緒に手を出してしまったら、それこそ、領土紛争に巻き込まれることになるからです。
自国や同盟国が実効支配している土地を護る分には、それだけで終わる可能性が残されていますけれども、相手が実行支配している土地を攻撃してしまったら、十中八九相手が取り返しにくることが予想されます。必然的に、領土紛争に巻き込まれてしまう可能性は極めて高くなってしまいます。
事実、国際的に係争地扱いになっている竹島には、アメリカは介入してきません。アメリカにとって竹島は、同盟国と準同盟国との間の係争地であり、準同盟国側が実行支配している島であるからです。
どっちに味方しても、領土紛争に巻き込まれるのみならず、同盟関係にヒビが入ります。そんな馬鹿な真似をする筈がありません。
ですから、係争地において、それを実行支配しているかしていないかというのは、アメリカの介入という意味においては、かなり重要な意味を持っているのではないかと思うのです。
逆に、中国にしてみれば、尖閣諸島、或いは沖縄もそうかもしれませんけれども、それらを日本領土ではなくて、係争地にしてしまえばよいと思っているはずです。
もし、事実上の係争地に対して、一方が領土主権の破棄を宣言して、更に、そこの実行支配力を失ってしまったら、あっという間に相手に取られてしまうことは、ほぼ間違いありません。
特に、今のように、尖閣諸島付近を中国の艦船がうようよしている現状は、尖閣諸島の実行支配力を、日本が事実上失いつつあることを示しています。
以前、鳩山さんが「尖閣諸島の所属、主権は日中で協議する」なんてバカな発言をしたように記憶していますけれども、これが如何にとんでもない発言なのか良くお分かりだと思います。
ですから、中国は、将来の係争地にしようと、沖縄や尖閣諸島は中国領土だと言い出してきているのだと思います。沖縄や尖閣諸島は、国際的にも係争地であると認めさせる。それを中国は狙っているものと思われます。
もしも、沖縄が係争地状態になってしまったとしたら、あとは沖縄の実行支配力の強さが領土主権を保持する力になります。他でもない、駐留米軍のことですね。
これが有る限り、中国は沖縄には手を出せません。けれども、逆にいえば、沖縄の米軍がいなくなれば、いくらでも手を出せるということにもなります。
ですから、去年の鳩山政権のように、日米関係がギクシャクしていたときは、中国はよだれを垂らして見ていたと思いますね。
できれば、海兵隊を沖縄から追い出してくれと願っていたはずです。勿論、沖縄から海兵隊がいなくなれば、台湾を獲りやすくなるからです。
週刊オブイェクト様が指摘しておられますけれども、中国が台湾を狙う戦略のひとつに「斬首戦略」というものがあります。これは、少人数の特殊部隊で敵陣に飛び込んで、大将首を取ってしまう戦略です。要するに、桶狭間で今川義元の首を獲った織田信長と同じです。
速攻で上陸して、政府中枢を麻痺させて、降伏させてしまえば、国は取れてしまうのです。民主国家では、軍事・警察組織は文民が統制しているからです。イラクのように民間の武装勢力がいるわけではありませんから、政府が降参してしまえば、それで終わりなのです。
ですから、沖縄というポジションに海兵隊が居ることは、東アジアや東南アジア全体の安全を護っているのだ、という見方は事実であろうと思います。
3.一国平和主義の危険性
最後に、almanos様の「尖閣諸島でメガフロートでの自衛隊基地の運用実験を行なえ」という意見についてですけれども、これは面白い意見だと思います。基本的に私も賛成したいと思います。
実は、日本政府は1979年に、尖閣諸島の魚釣島にへリポートを建設したことがあります。ところが今現在は、中国からの抗議によって撤去されています。
どういう抗議を受けて撤去に至ったかまでは分からないのですけれども、昨今の状況下を考えると、ヘリポートくらいあって当然だと思われます。
中国が、漁民の安全を護るためという名目で、海軍の改装艦であるパトロール船を派遣するのであれば、日本もなにか理屈をつけてヘリポートなり、メガフロートなりなんなりを建設すべきだと思います。
少なくとも、なんらかの経済活動なり、研究活動を行って、尖閣諸島に人が居る状態にもってゆく必要があると思われます。
人が住んでいれば、昔の文献を持ち出すまでもなく、国際的にも、日本の領土だと主張しやすいですし、何より、その人達の安全を確保しなければなりませんから、必然的に、実行支配力は格段に高まらざるを得ません。
尖閣諸島の商業利用及び研究利用については、以前、拙ブログにて、海洋温度差発電プラントを作って、発電した電気でラジコン無人偵察機を飛ばし、プラントの副産物である真水を中国に売ったらどうか、と述べたことがあります。
該当エントリーは下記を参照ください。
「戦略的海洋温度差発電プラント建設」
「無人哨戒システム」
「与那国島にOTECプラントを」
尖閣諸島で、電気と水を自前で供給できるとなれば、尖閣諸島に住める人が増えるということにもなりますから、ある程度の生産量があれば、陸自の部隊を駐屯させることだってできるわけです。
中国は、日本に色々とちょっかいを掛けてきていますけれども、中国が東アジアの地域覇権を狙っているとするならば、その一番の障害となるのが日米同盟の存在であることは間違いないと思われます。
かの吉田茂は日米安保での駐留米軍をして「番犬を飼っている」と言ったことがあると聞いていますけれども、今やその番犬は東アジアは元より東南アジアまで睨みを利かせる番犬にまで成長しています。
中国にとっては、この番犬が邪魔で邪魔で仕方が無い。けれども、この番犬と闘っても、とても勝てそうにない。であれば、飼い主に追い出してもらうか、餌を与えないようにして弱らせたほうが、よっぽどスマートです。
ですから、中国はちょっかいを出し続けることで、日本が一国平和主義になって、引きこもりにさせてしまうことを狙っているのではないかとも思うのです。
というのは、仮にもし、日米同盟を解消し、日本が独力で国を護れるくらいに国防を強化できたとしても、その力を日本を護るためだけにしか使わず、他国の紛争などには一切関与しないという「一国平和主義&引きこもり君」にまで押し込められたとしたら、中国は、日本をスルーして、東は、東南アジアから第2列島線辺りまで、西はアフリカあたりまでの覇権を意気揚々と狙ってくる可能性があります。
日本の領土そのものを攻めることなんかしなくても、シーレーンと東南アジアを支配下においてしまえば、日本を石油の面で締め上げることが可能になります。そうなったら、日本は、大西洋か北極経由で石油を持ってくる算段をつけるか、事実上の中国の経済属国になるしかありません。
つまり、日本の国防戦力は温存したまま、それを使わせることすらさせずに、日本そのものを戦略的に「死んだ石」にすることが出来るということです。
ですから、たとえ、独自外交だ、独自防衛だと意気込んで、そうしたとしても、戦略レベルでそれを無効にされてしまう危険があるわけですね。
無論、これは、中国が地域覇権を狙っているという前提での話ではありますけれども、日本が将来、国防に力を入れることになったとしても、そのメンタリティーが一国平和主義のままでは危ういと思うのです。
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昨日のエントリーについて、今回の衝突事件は中国にとってはミスだったのではないか、というコメントを戴きましたので、そのお返事をかねて、追加エントリーいたします。
コメントの代表として、almanos様からのコメントを以下に引用いたします。
中国政府は強かではあるが、同時に迂闊とも言える。今回の行動がうまくいけば、尖閣の次は沖縄だと沖縄県民に危機感を抱かせる。
後、アメリカは介入しないと見ているなら、その予測は外れる。アメリカは介入せざるを得ない。沖縄に基地をおいているからだ。沖縄を戦略上手放せない都合から予防戦略を取らざるを得なくなる。
日本国民云々というリップサービスはするかもしれないけど。よりによってアメリカが民主党政権の時にだ。戦争でどうにか経済をという誘惑に負けかねない今の状況で。
だが、これはチャンスでもある。景気回復の為の財政出動の一環と未来への投資として、尖閣諸島でメガフロートでの自衛隊基地の運用実験を行う大義名分となる。
領海内で移動させられる航空基地が実用上問題なく運用できるなら基地設置の前提が変わる。沖縄では浅瀬なので爆弾が仕掛けやすい上に周辺警戒に問題があるから無理があるが、尖閣諸島ならそこらへんはクリアできる。
almanos 2010/09/10 09:50
1.衝突事件という名の「威力偵察」
私は、今回の衝突事件は、中共による「威力偵察」ではないかと見ています。
威力偵察とは「小規模な攻撃を行なうことで、相手の出方や反応を探って敵情を知る」という偵察行動の一種のことです。
almanos様が指摘されるように、今回の事件は、確かに日本国民に、領土が危ない、とある程度の危機感を抱かせることにはなるでしょうけれども、それが「どのくらい」の危機として感じ、「どの程度」の世論となって反映されるか、それを、中国は偵察していると思うのです。
すなわち、「直ちに国土防衛の為の対策を打て」とか、「子供手当てなんか止めて、国防費を増額しろ」とか、果ては「核武装止む無し」とか、どこまで、日本のマスコミと世論が反応してくるのか。それを見ている。
沖縄県民が自分達が危ないと本当に思うのであれば、普天間問題でごちゃごちゃしている現状がどれほど危険な火遊びであることが分かるはずですし、また、日本の世論が本当に危機を感じているのであれば、今の民主党政権で大丈夫なのか、と疑問を抱くのが普通だと思われます。
まぁ、衝突した漁船の船長を逮捕したこと自体は、民主党としては評価できますけれども、事を荒立てないようにしたいなどと、仙谷官房長官に言わせて、批難の声ひとつ上がらないのが今の日本です。
これも、大人の対応といえば、大人の対応なのかもしれないですけれども、こと国防に関する日本の世論は、まだまだ「ぬるい」と思います。
おそらく、中国はそんな日本の世論の鈍い反応を見て、ほくそ笑んでいるのではないかと思われます。
ただ、強いて言うならば、日本側が船長の逮捕に踏み切るとまでは、思っていなかったかもしれません。
ですから、その意味において、中国の方も「悪いのは日本側だ」と抗議をしてはいますけれども、船長を早いうちに取り戻して、事を素早く治めたいと思っている可能性はあります。
そういう視点で言えば、人民レベルで、反対デモとか、逮捕された船長の祖母が心労で死んだ、などと報道することは、日本に対する揺さぶりの一環になるわけですね。
ですから、これで、船長をすぐ釈放するようであれば、中国は益々、日本をナメてかかってくるものと思われます。
とはいえ、日本の世論は、何をされても抗議しない、全くの腑抜けだという訳でもないのです。
もう2、3年の前の話になりますけれども、毒餃子事件では大騒ぎになりました。中国産冷凍食品は、一時期、国内市場から消えましたし、捕鯨問題もそうですね。
特に、3年ほど前でしたか、日本の調査捕鯨に対する妨害活動に業を煮やした人が、「オーストラリアも希少な野生動物を殺している。人種差別ではないのか。」と問題提起した動画をYOUTUBEにアップして、物議を醸しました。結果として、オーストラリアの外務大臣に「日豪関係には影響しない」と発言させる事態にまでなりました。
日本人でも、それくらいの抗議はできるのです。
このように、日本の世論は、食い物のこととなると、実に鋭敏な反応を示しますけれども、今回の衝突事件では、そんな反応を示していないのが現実です。
別に「船長を極刑に処せ」とか「中国に賠償を請求しろ」とかいう訳ではありませんけれども、テレビ報道があって、ネットの一部で取り上げられているものの、世論として、それ以上の動きが特にあるわけでもない、という今の現状は、少なくとも、世論が沸騰しているとは、とてもいえない状況だと思われます。
尤も、今の国民の関心は代表選に向けられていますし、そんなことをいうのは品格に欠けるだろうし、元々、法に基づいて粛々と処理すべき問題だから、と思っているだけなのかもしれません。
けれども、やはり、食べ物の話と較べてしまうと、日本の世論は、まだまだ国防に関する関心が薄いのだと思うのです。
昨日のエントリーの参照記事に「尖閣に中国船1日270隻 石垣市民、不安高まる」という沖縄タイムスの記事を載せていますけれども、散々、在日米軍は要らないとか、普天間は県外に移設だという論調を続けていた沖縄タイムスが、今になって、こんな記事を載せなければいけないところに事態の深刻さが伺えます。
今後もこうした領海侵犯や衝突事件が起こるのであれば、そのたびに、日本の首相は靖国神社に参拝すればいいと思いますね。
「日本の領海を易々と侵されてしまった。こんなことでは、命の掛けて祖国を護ってくださった英霊に申し訳が立たない」そういって詫びればよいのです。
そのこと自体が、中国への強烈な外交メッセージとなるでしょう。
件(くだん)の沖縄タイムスの記事では、「今年8月中旬には1日で最大270隻の中国漁船が確認され、そのうち日本の領海内に約70隻が侵入していた」と報道されていますけれども、このこと自体、どれだけの日本国民が知っていたか非常に心許ない。
それだけ、現実は報道されていないのです。今回のように衝突事件が起こってようやくマスコミに上るのが現実です。
であれば、そんな役立たずのマスコミに代わって、政治家が靖国参拝することで、また領海侵犯されました、と国民に知らせてやるほうがずっとよい。
何度もそんなことがあれば、さすがに国民もなんとかしろ、となってゆくでしょう。
まぁ、本当にそんなことをやれば、首相は、毎日靖国参拝する羽目になるかもしれませんけれども、そこまでやれば、鈍いにも程がある、菅首相にも国防意識が芽生えてくるかもしれません。
2.実行支配という盾
次に、アメリカの介入についてなのですけれども、日米関係が堅持されているうちは、almanos様が仰るように、介入してくると思います。
先日、アメリカのクローリー報道官も日米安保は尖閣諸島にも適用される旨の発言をしていました。
ところがそれは、あくまでも、アメリカが、曲りなりにも「尖閣諸島が日本の領土である」と認めているということが前提なのですね。
アメリカは、同盟国の領土紛争に巻き込まれることを避けるために、同盟国の領土紛争に介入しないという方針を採っています。
つまり、係争地はその限りではないのです。
そして、係争地には、どちらも自国の領土だと主張しているけれども、どちらが一方が実行支配している、という状態も含まれます。
私は、同盟国が「実行支配していない」係争地には、アメリカが介入してくる見込みは低いだろうと予想しています。
なぜなら、他国が実行支配している場所に同盟国と一緒に手を出してしまったら、それこそ、領土紛争に巻き込まれることになるからです。
自国や同盟国が実効支配している土地を護る分には、それだけで終わる可能性が残されていますけれども、相手が実行支配している土地を攻撃してしまったら、十中八九相手が取り返しにくることが予想されます。必然的に、領土紛争に巻き込まれてしまう可能性は極めて高くなってしまいます。
事実、国際的に係争地扱いになっている竹島には、アメリカは介入してきません。アメリカにとって竹島は、同盟国と準同盟国との間の係争地であり、準同盟国側が実行支配している島であるからです。
どっちに味方しても、領土紛争に巻き込まれるのみならず、同盟関係にヒビが入ります。そんな馬鹿な真似をする筈がありません。
ですから、係争地において、それを実行支配しているかしていないかというのは、アメリカの介入という意味においては、かなり重要な意味を持っているのではないかと思うのです。
逆に、中国にしてみれば、尖閣諸島、或いは沖縄もそうかもしれませんけれども、それらを日本領土ではなくて、係争地にしてしまえばよいと思っているはずです。
もし、事実上の係争地に対して、一方が領土主権の破棄を宣言して、更に、そこの実行支配力を失ってしまったら、あっという間に相手に取られてしまうことは、ほぼ間違いありません。
特に、今のように、尖閣諸島付近を中国の艦船がうようよしている現状は、尖閣諸島の実行支配力を、日本が事実上失いつつあることを示しています。
以前、鳩山さんが「尖閣諸島の所属、主権は日中で協議する」なんてバカな発言をしたように記憶していますけれども、これが如何にとんでもない発言なのか良くお分かりだと思います。
ですから、中国は、将来の係争地にしようと、沖縄や尖閣諸島は中国領土だと言い出してきているのだと思います。沖縄や尖閣諸島は、国際的にも係争地であると認めさせる。それを中国は狙っているものと思われます。
もしも、沖縄が係争地状態になってしまったとしたら、あとは沖縄の実行支配力の強さが領土主権を保持する力になります。他でもない、駐留米軍のことですね。
これが有る限り、中国は沖縄には手を出せません。けれども、逆にいえば、沖縄の米軍がいなくなれば、いくらでも手を出せるということにもなります。
ですから、去年の鳩山政権のように、日米関係がギクシャクしていたときは、中国はよだれを垂らして見ていたと思いますね。
できれば、海兵隊を沖縄から追い出してくれと願っていたはずです。勿論、沖縄から海兵隊がいなくなれば、台湾を獲りやすくなるからです。
週刊オブイェクト様が指摘しておられますけれども、中国が台湾を狙う戦略のひとつに「斬首戦略」というものがあります。これは、少人数の特殊部隊で敵陣に飛び込んで、大将首を取ってしまう戦略です。要するに、桶狭間で今川義元の首を獲った織田信長と同じです。
速攻で上陸して、政府中枢を麻痺させて、降伏させてしまえば、国は取れてしまうのです。民主国家では、軍事・警察組織は文民が統制しているからです。イラクのように民間の武装勢力がいるわけではありませんから、政府が降参してしまえば、それで終わりなのです。
ですから、沖縄というポジションに海兵隊が居ることは、東アジアや東南アジア全体の安全を護っているのだ、という見方は事実であろうと思います。
3.一国平和主義の危険性
最後に、almanos様の「尖閣諸島でメガフロートでの自衛隊基地の運用実験を行なえ」という意見についてですけれども、これは面白い意見だと思います。基本的に私も賛成したいと思います。
実は、日本政府は1979年に、尖閣諸島の魚釣島にへリポートを建設したことがあります。ところが今現在は、中国からの抗議によって撤去されています。
どういう抗議を受けて撤去に至ったかまでは分からないのですけれども、昨今の状況下を考えると、ヘリポートくらいあって当然だと思われます。
中国が、漁民の安全を護るためという名目で、海軍の改装艦であるパトロール船を派遣するのであれば、日本もなにか理屈をつけてヘリポートなり、メガフロートなりなんなりを建設すべきだと思います。
少なくとも、なんらかの経済活動なり、研究活動を行って、尖閣諸島に人が居る状態にもってゆく必要があると思われます。
人が住んでいれば、昔の文献を持ち出すまでもなく、国際的にも、日本の領土だと主張しやすいですし、何より、その人達の安全を確保しなければなりませんから、必然的に、実行支配力は格段に高まらざるを得ません。
尖閣諸島の商業利用及び研究利用については、以前、拙ブログにて、海洋温度差発電プラントを作って、発電した電気でラジコン無人偵察機を飛ばし、プラントの副産物である真水を中国に売ったらどうか、と述べたことがあります。
該当エントリーは下記を参照ください。
「戦略的海洋温度差発電プラント建設」
「無人哨戒システム」
「与那国島にOTECプラントを」
尖閣諸島で、電気と水を自前で供給できるとなれば、尖閣諸島に住める人が増えるということにもなりますから、ある程度の生産量があれば、陸自の部隊を駐屯させることだってできるわけです。
中国は、日本に色々とちょっかいを掛けてきていますけれども、中国が東アジアの地域覇権を狙っているとするならば、その一番の障害となるのが日米同盟の存在であることは間違いないと思われます。
かの吉田茂は日米安保での駐留米軍をして「番犬を飼っている」と言ったことがあると聞いていますけれども、今やその番犬は東アジアは元より東南アジアまで睨みを利かせる番犬にまで成長しています。
中国にとっては、この番犬が邪魔で邪魔で仕方が無い。けれども、この番犬と闘っても、とても勝てそうにない。であれば、飼い主に追い出してもらうか、餌を与えないようにして弱らせたほうが、よっぽどスマートです。
ですから、中国はちょっかいを出し続けることで、日本が一国平和主義になって、引きこもりにさせてしまうことを狙っているのではないかとも思うのです。
というのは、仮にもし、日米同盟を解消し、日本が独力で国を護れるくらいに国防を強化できたとしても、その力を日本を護るためだけにしか使わず、他国の紛争などには一切関与しないという「一国平和主義&引きこもり君」にまで押し込められたとしたら、中国は、日本をスルーして、東は、東南アジアから第2列島線辺りまで、西はアフリカあたりまでの覇権を意気揚々と狙ってくる可能性があります。
日本の領土そのものを攻めることなんかしなくても、シーレーンと東南アジアを支配下においてしまえば、日本を石油の面で締め上げることが可能になります。そうなったら、日本は、大西洋か北極経由で石油を持ってくる算段をつけるか、事実上の中国の経済属国になるしかありません。
つまり、日本の国防戦力は温存したまま、それを使わせることすらさせずに、日本そのものを戦略的に「死んだ石」にすることが出来るということです。
ですから、たとえ、独自外交だ、独自防衛だと意気込んで、そうしたとしても、戦略レベルでそれを無効にされてしまう危険があるわけですね。
無論、これは、中国が地域覇権を狙っているという前提での話ではありますけれども、日本が将来、国防に力を入れることになったとしても、そのメンタリティーが一国平和主義のままでは危ういと思うのです。
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コメント
コメント一覧 (4)
だからこそ今回の事件は支那政権にとって不本意なのでは.
菅氏, 小沢氏もコメントを出さざるを得なかったし,
沖縄タイムズも記事を出さざるを得なかった.
そして, 本ブログでも本事件が問題になった.
外の反応だけでは社会に与えた影響を計れないと思う.
もっとも, もし日比野庵殿のお考えのように,
支那政府が意図的にやったのだとすれば, 今回の支那
バブルにおける支那政府の間抜けさと平仄は合います.
「ミサイルで対処も」と警告=尖閣問題で中国系香港紙
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010091100254
福建省に「地対艦」ミサイルをいくら配備しても、日本への軍事的圧力とはなりえません。IRBMにしても、対日本で考えるならもっと北に置かないと。
今回の件、中共側もここまでエスカレートさせるつもりはなかったのではないか?。せいぜい「尖閣諸島の海域に侵入して海保につかまる前に離脱する」つもりでいたのが海保の巡視船にあっさり捕捉され進路上に回りこまれて自棄になって突っ込んだ、というのもありえるかなと思っています。
ただ、これを口実に例のガス田交渉の場からトンズラこいてますから計画的犯行の臭いもしますね。
今までニュースで見聞きしていた断片的な情報が、こちらのページでは見事に一連の線につながる解説をなさっているのを見て、目から鱗でした。
大変勉強になります。
威力偵察説も、今日報道されたアーミテージ氏の見解と同様だったので、さすがだと思いました。
多くの日本人が、正しい現状認識の上、冷静に危機意識を持ってくれることを切に願います。