日比野庵 新館

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――神は彼らを祝福して言われた。「生めよ、増えよ、地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを支配せよ」(創世記1章28 節)――

西洋、特にキリスト教文明圏では、神と人と動植物がはっきりと区別されている。創世記では、神は人にすべての生き物を支配せよ、と命じている。

従来のキリスト教の伝統的自然観では、自然を支配すべき対象と見なして、自然からある意味搾取するのを当然としてきた。近年、環境問題が深刻になるにつれて、解釈のみなおしが行われるようになった。

カリフォルニア大学の歴史学教授であったリン・ホワイトは、キリスト教は、人と自然の二元論を打ち立てただけでなく、人が自分のために自然を搾取することが神の意思であると主張したことで、自然に対するとてつもない罪の重荷を負っていると主張して論争を巻き起こした。

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この論争を切っ掛けとして、聖書解釈の見直しが行われ、エコロジー神学が発生してきたという。

エコロジー神学とは、主にエコロジカルな視点から聖書などを再解釈し、創世記だけに注目するのではなく、他の箇所に、とりわけこれまで見過ごされがちであった詩編や文学にある自然描写の多様性に目を向けることで新たな解釈をする学問のこと。

たとえば、創世記の続きでは、傲慢になった人間達に対して、神は洪水をおこして地上のすべてを滅ぼす。そして生き残ったノアと神と契約を結ぶのだけど、その時には「従わせよ」の言葉はなかったりする。

エコロジー神学では、創世記の創造物語をエコロジー的にいかに理解するかということ、創世記1章28節の「従わせる」「支配する」をどのように解釈するかということがそのの中心となっているらしい。

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ドイツのゲルハルト・リートケは、ここで「従わせる」「支配する」と翻訳されている語には「暴力的意味合いがあると見るべきではない」と述べて、自然と人類の共生を開くエコロジー的なキリスト教として、創造物語の再解釈を行っている。

こうした流れの中で、スチュワードシップという考えが生まれてきた。

スチュワードシップとは、従来の自然を人間が支配するのではなくて、能力のある人間が他の弱い被造物の立場に下りて最高レベルの世話(救済・管理)をするというもの。

要するに人間は自然の「支配者」ではなくて「管理者」だとする考え。

この考えが環境保護や動物保護に転化されると、いったん何かの動物を保護対象だと決めるとすると、それを乱獲することはもとより、一匹でも獲るような行動は悪魔の所業と映るはず。

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コメント

 コメント一覧 (2)

    • 1. hibiki
    • 2008年02月20日 12:00
    • キリスト教が異端者狩りで1神教化してきたことが
      西洋人を無能へと落としこめてきたのだと思います。
      キリスト教とローマにおける国教を争ったミトラなんかは日本の宗教観に近いですね。
      ローマからの現代までの西洋の流れは”いかに人間の視野を狭くするか”
      大局で見るとなんだかんだ言ってもそういう結論にしか達さないですね。
      ”進化してきた”みたいに西洋人は語りますけど、明らかに退化ですね。
      進化論自体も全くの間違いですし(笑)
    • 2. 日比野
    • 2008年02月20日 23:40
    • こんばんは。
      >ローマからの現代までの西洋の流れは”いかに人間の視野を狭くするか”
      なるほど、そういう見方も確かにいえるかもしれません。
      中世から近代にかけての人間理性の解放による科学技術の進歩などは確かに人間生活を豊かにしましたが、心の部分では停滞もしくは退化しているのかもしれませんね。
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