今日は簡単に…。
今年の7月27日に開幕するロンドンオリンピックの警備をするイギリス軍が、「長距離音響発生装置」(LRAD:Long Range Acoustic Device)を投入することが分かった。
LRADについては、2009年5月23日のエントリー「音撃鏡LRAD」 でも紹介しているけれど、これは、「長距離超指向性スピーカー」の原理を応用している。
長距離超指向性スピーカー(パラメトリック・スピーカー)とは、超音波を使って、鋭い指向性を持たせたスピーカーのことで、大きく2つのタイプがある。
ひとつは、2種類の超音波の周波数のズレを利用する方法で、一定の周波数を持つ超音波と少し周波数を変えた超音波を同時に発生させて、それぞれの超音波同士が交差する空間に可聴域の音を再生する方法で、2つの超音波の周波数の差分の音が発生する。
もう一つは、超音波を更に振幅変調や角度変調を掛けて、強力な音圧で発射する方法。超音波が空気中を伝播するとき、その空間の空気分子は超音波によって圧縮されるのだけれど、空気分子は、圧縮されるときよりも、圧縮が元に戻るときのほうが時間がかかる。この時、超音波の音圧と周波数が高いと、圧縮された空気分子が元に戻りきらないうちに。後ろから次の空気分子が衝突して衝撃波が発生する。この衝撃波が可聴音となる。
LRADもこれら二つの原理を使用していて、周波数ズレを使用するモードは、20kHzと25kHzの二つの超音波を送信して、二つの超音波が交わる地点で、それらの差分の周波数である5kHzの音声を生じさせる。また、変調を利用するモードでは、23kHzの超音波と、23kHzの超音波をFM変調させたものを使うようだ。(人間の耳の可聴域は、おおよそ十数Hzから、20kHz程度)
LRADの効果は凄まじく、実験では、「耳栓をしたときでさえ、ほとんどの人間は、偏頭痛を訴えた」とか、「ある人間は、膝ががくがくして、動きがぎごちなくなった」と報告され、「LRADは、平衡感覚の喪失、吐き気、偏頭痛を引き起こすができる」とされている。
開発メーカは使用上の注意として、長時間人に照射しないように警告しているという。
既に、LRADはイラクやアフガンで使用され、敵を殺さずして遠ざけたり、アフリカ・ソマリア沖で海賊対策を行う日本の海上自衛隊の護衛艦にも搭載され、効果を上げている。
こういった、非殺傷兵器は紛争の前段階である、ちょっとした小競り合いに使うには非常に効果があると思う。是非、海自といわず、海上保安庁にも導入して、領海侵犯やなんども挑発を繰り返す、中国船対策にすればいい。
最上位ランクのLRADは、音波の最長伝送距離が9キロメートルにもなるというから、海上保安庁の船にこれを積んでおけば、先の尖閣沖衝突事件のように、中国船が体当たりしようと船を近づけてくる前に撃退できるのではないか。
LRADの販売元は、海上保安、沿岸警備等の用途で、官公庁向けに販売する予定だというから、海上保安庁も真剣に導入を検討いただきたい。


コメント
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中国船もLRADを装備した場合、数で勝る中国の方が有利になって、逆に海保が逃げ出すはめになりそうですが。