日比野庵 新館

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今日はこの話題です。



このほど、中学と高校の教科書で集団的自衛権について記述している11の出版社のうち8社が記述を見直す必要があるとして、文部科学省への訂正申請を検討していることが明らかになった。

勿論、これは、今回の集団的自衛権行使容認の閣議決定を受けてのもので、文科省によると、中学校の「公民」で3社、高校では「現代社会」や「政治・経済」を発行している8社全てが集団的自衛権について記述している。

訂正を検討している8社は、訂正申請は誤植や客観的な事実の変化があった場合、4年に一度の教科書検定を待たずに記述の修正を申し出ることができる「訂正申請」制度を活用しての訂正を考えていて、来年度の教科書の記述を見直すとしている。

確かに、国が集団的自衛権行使容認の方針を出した以上、国公立で使われる教科書がそれに倣うのは当然のこと。やはり、国がきちんと方針を出すことが如何に大切なのかがよく分かる。

それにしても、今回の閣議決定で、日本人の安保に対する考え方というか、雰囲気が変わった感がある。何か、大きなところでポイントが切り替わったとような感覚を覚える。

だから、今後、教科書だけではなくて、日本の社会全体が、集団的自衛権行使など当たり前という前提で、色んな仕組みが変わってくるのではないかという気がしている。



集団的自衛権行使容認について、相変わらず、サヨクな市民団体とマスコミが反対反対と騒いでいる。だけど、哀しいかな、もう世間はついてこない。

閣議決定当日、官邸前で反対の抗議活動を行い、2000人の人が集まったとNHKが報じていたけれど、その映像がどうみても2000人いるわけないとネットでは話題になっていた。

そして、御丁寧にも人数を数えてみる奇特な方も登場し、その数わずか160人であることも判明した。数えた方曰く「たぶん木の下と画面外にあと1840人いる」そうだ。(爆)

昨日のエントリーでも述べたけれど、特亜以外の世界は、日本の集団的自衛権行使容認を支持している。

7月2日、ドイツのウィルツ報道官代理は定例記者会見で「国連の平和維持活動に積極的に参加できるようになり、ドイツ政府は歓迎する」と評価。オーストラリアも外務貿易省も「国際平和や安定への貢献拡大が可能になる」と歓迎のコメントを発表している。

確か、集団的自衛権行使容認で、戦争だか、テロだかが起こるとか言っていた大作家先生がいたような気がするのだけれど、ほんとにそんな危険があるのなら、真っ先に人や金が海外へ逃げ出すだろう。とりわけ、国外への逃避が簡単な、金なんかは、そうした危機に敏感で、動き出しが速い。

実際の日本の市場はというと、閣議決定翌日の7月2日になっても市場は無反応。外国人投資家からの問い合わせもなく、特に話題にもなっていないそうだ。全く静かなもの。だから、多くの投資家の目には、日本が安全保障面で危険になるとは思っていない。

寧ろ、海外投資家の注目は、消費増税の影響と新成長戦略の具体化に集まっているという。

大きかった増税後の消費の落ち込み」のエントリーで述べたけれど、足下の景気はじわじわと悪化しつつある。

7月3日、日銀が6月の「生活意識に関するアンケート調査」と発表したのだけれど、それによると、景気が「良くなった」との回答から「悪くなった」との回答を引いた景況感DIがマイナス10となり、前回3月の調査から悪化している。

また、暮らしに「ゆとりがなくなってきた」などの回答が38.1%から43.7%と5ポイント増加している。つまり、増税後、色んなものが値上げしたのに対して、給与の上昇がそれに追いついていないということなのだろう。いくら給料が上がっても、それ以上に物価が上がってしまえば、ゆとりが無くなるのは当たり前。

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筆者はこうした景気の鈍化に対する特効薬は減税だとこれまで何度も述べてきたけれど、そうした手段が取れないのなら、何か別の方法で、家計の負担を減らす算段をしなくちゃいけない。

目下、安倍政権は、内需の拡大を志向して、いくつかの成長戦略を策定したりしているけれど、肝心の家計から消費の余力が失われてしまったら、内需もクソもない。

勿論、法人減税という手段があり、政府はそれを検討しているけれど、去年10月のエントリー「安倍総理が消費増税8%を決断」で述べたように、広く遍く、全ての消費者に対して行われる消費増税に対して、法人減税による賃上げは、黒字の会社から行われれるであろうが故に、効果が出るには時間が掛かる。消費増税というブレーキは、賃上げというアクセルより、ずっと"効き"が良い。

だから、政府は、消費マインドを冷え切らす前に何らかの手立てが必要だと思う。先にも述べたとおり、家計から"ゆとり"が無くなっているのだから、家計の負担を減らす方策を取らなくてはいけない。しかも、即効性を考えるのであれば、それは、消費増税と同じ様に広く遍く行われるものでなくちゃいけない。

そんな上手い手が果たしてあるのか。

現状で、一つ考えられる手があるとすれば、それは、原発再稼働になるのではないかと思う。

原発稼働が停止してからというもの、電気代は高止まりしている。つい先日の5月には、平均8~9%もの電気代値上げが行われている。その理由はもちろん、代替燃料費が嵩むから。

原発停止が回りまわって、家計を直撃している。だから、原発を再稼働させて、電気代を安くするという手がある。電気は広く遍く、誰でも、何処ででも使うもの。だから、電気を安くすることは、ある種、減税と同じような効果を齎す。また、原発が再稼働すすれば、今まで火力発電に喰われていた燃料は、トラックなどの運搬用に回せるようになる。結果として物流コストをも低下させる。これも景気にはプラスになる。

現状のまま手を拱いていれば、じわじわと景気は鈍化する。一刻も早く原発を再稼働さえて、景気の下支えをすべきだと思う。




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コメント

 コメント一覧 (4)

    • 1. mony
    • 2014年07月04日 09:33
    • 問題なのは総理は別に国民の懐なんぞどうでもいいわけで、
      外国のグローバル資本様に儲かって頂ければOKなのだと。
      今すぐではないにせよ、1対99の世界に向かいつつ
      あるのだなあと実感してます。
      ・・・まともな野党もいないし・・・
    • 2. ちび・むぎ・みみ・はな
    • 2014年07月04日 12:44
    • > 安倍政権は、内需の拡大を志向して、
      > いくつかの成長戦略を策定したりしているけれど
      平蔵さんには嬉しくて,
      一般国民には迷惑なレントシーキング政策.
      あの良く考えられた外交をする安倍政権が何で
      愚策ばかりを提案するのか理解の範囲外だが,
      愛国者でありながらグローバリスト(反愛国者)
      であるという矛盾のなせる技だろう.
      外交は確かに重要であるが, デフレからの回復を
      目指さなければならない日本にとっては内政こそが
      最重要課題である筈.
      原発稼働促進は, 本来は政権が進めるべき事なのに,
      痺れを切らした自民党が言いだした.
      安倍政権の打ち出した「成長」戦略に対し,
      自民党や国民が別の政策を突き付けるのも
      時間の問題であろう.
    • 3. opera
    • 2014年07月04日 18:02
    •  消費税を増税すればこうなることは、この問題を真剣に考えていた人々にとっては明らかなことでした。私も増税前は非常に危機感を持っていましたが、事ここに至っては、消費税増税は失敗だった、消費税増税では財政再建はできない、デフレの脱却は困難になるし景気の後退によりむしろ税収減になる、消費税増税のマイナス面は金融緩和や小手先の経済対策では相殺することができない(成長戦略は所詮産業政策、成功率は3・4割程度)、という結果をきちんと出すことの方が重要ではないか、と思うようになっています。
       少し引いて考えれば、グローバリズムを前提にした構造改革や規制緩和、財政均衡主義等のネオリベラリズム(新自由主義)的政策を是正しようとすると、今回の集団的自衛権容認問題以上に敵が多いことが分かります。これは集団的自衛権問題では反対と容認に分裂した大手新聞社が、消費税増税やTPP交渉参加では一致して賛成だったことも一例ですし、経済団体はもとより官僚組織内部にも浸食していることは周知の通りです。また、国民にも、グローバリズムは必然、規制緩和や消費税増税は無条件に必要と考える人がまだまだ多いのではないでしょうか。さらに、この問題は国内に留まらず、国際的にも同様の構図があります。
       たとえば、日本の対中政策を変えていくために、アメリカの対中ビジネス重視・G2戦略の国務省及びウォール街に対して、国防総省及び軍産複合体を引きずり出すことで、アメリカの対中政策の変化させていった手練手管も、この問題解決の参考になるかもしれません。
    • 4. opera
    • 2014年07月04日 18:04
    •  現時点での即効性のある経済対策のひとつとして、日比野さんの仰る原発再稼働は極めて有望だと思います。が、これにも背後関係があります。とにかく反原発を感情的に叫ぶ国内左翼や環境団体とオイルメジャーや資源国の利害が一致している点です。両者を連携させない配慮が必要になります。結局のところ、日本の原子力政策を是正するには、火力発電所の稼働限界による大停電や、南シナ海の事実上の封鎖によるオイル(ガス)・ショック等の危機の発生がキッカケになるかもしれません。
       原子力関連でもプルサーマル・再処理計画の継続や、国土強靭化の実施・国土のグランドデザインの策定・入札制度の是正等々の明るい兆しもないわけではありません。また、この秋には、(国際的にはナショナリストと見なされている)インドのナディ新首相やプーチン大統領の日本訪問が予定されています。
       こうしたいくつかの布石がどう結びつくのか、国内の政権支持率を睨みながら、暫くは混沌とした状況が続くような気がします。
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