今日も、極超簡単に…



4月9日、公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、新興国債券への投資拡大を検討すると発表した。これまで先進国の国債や社債を中心に運用してきたものを投資対象を広げることで、利回り向上を目指すとしている。

厚生労働省が所管するGPIFは、厚生年金と国民年金の積立金約130兆円を有する世界一の公的年金資金運用機関。GPIFは、5年に1度の公的年金の財政検証に合わせ、資産構成割合の見直しなど運用改革を進めているのだけれど、手始めに高収益の日本株を組み込んだファンドへの投資を開始。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントなど数社に2000億から4000億規模の年金資金運用を委託する見込み。

GPIFの運用委員長を務める米沢康博氏は、日本株、外国債、外国株式への配分比率をそれぞれ5ポイント引き上げる見直し案を提示していて。秋にも、株式と外国債の資産配分比率の引き上げを発表するのではないかと見られている。

引き上げる株式配分比率は、わずか5ポイントにしか過ぎないけれど、約130兆円もの資金を持つGPIFの5ポイントともなれば馬鹿にならない。一気に数兆円もの資金が市場に流れ込むことになる。

安倍総理は、2012年の就任以来、公的年金に対して、これまでの保守的な運用戦略を再考するよう強く求め、アベノミクスの一貫として「GPIF改革」、「法人税実効税率引き下げ」、「日銀の追加金融緩和」の実現を目指していると言われているけれど、GPIFのポートフォリオ見直しだけでも、市場にとっては十分なインパクトがある。

筆者は去年の10月のエントリー「安倍総理の本心の見抜き方とアベノロイドミクス」で、2014年4月の消費増税後の景気後退に備えて、年金の買い上げによる株価押し上げオペレーションを仕掛けるかもしれないと述べたけれど、やはりそのような流れになりつつあるようだ。

6月第1週現在で、年金資金を運用する信託銀行は8000億円を投じ、6週連続の買い越し。市場では、早くも「官製相場」との思惑さえ呼んでいるという。

そして、日銀の追加緩和はないと踏んで空売りしていた海外ファンドは、追いつめられて買い戻しに走り東証の空売り比率は急減。何でも、ニューヨーク拠点のヘッジファンドの間では「アベには逆らうな」とまで囁かれているという。

来年の消費税再増税を考えると、その判断をする年内一杯までは、株価は高い方が遣りやすい。その意味では、GPIFの株式と外国債の資産配分比率の引き上げや、日銀の追加金融緩和といった材料を秋から年末にかけて発表するように、今から仕込みを始めている可能性だってある。

そうした人工的な「誘い水」によって、本当の真水が湧いてくればいいのだけれど、それにはやはり、政府の成長戦略でどれだけ有効なものが打ち出せるかに掛かっている。

生半可な戦略にならないことを望む。




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