日比野庵 新館

デザインを更新しました。

 
更に昨日のエントリーの続きです。



駐日アメリカ大使館のFacebookが炎上している。先日アメリカ大使館が、安倍総理の靖国参拝を受けて、「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している」との声明を出したことに対し、ネットで抗議の声があがっていて、その一部がアメリカ大使館のFacebookに書き込まれている。

件のアメリカ大使館のFacebook記事はこちらにあるのだけれど、その殆どが非難一色。

「日本国民を無視した一方的な意見を押し付けないで欲しい」とか、「日本はもう我慢の限界なんです!日本ばかり責めるのはおかしいです!」とか、「イミョンバクが竹島に上陸したときにはあんたたちは何か声明でもだしたか?大人しく物分かりが良い日本だけに我慢させるな」とか。

まぁ、ざっくり行ってしまえば、「アメリカ大使館の「失望」声明に失望した」ということになると思うのだけれど、やはりというか、コメントの中で、大東亜戦争時の東京大空襲や原爆投下について非難するコメントも散見されること。昨日のエントリーで、今回の問題は当時の行為をアメリカに問い直すことになると指摘したけれど、予想通り、そういう声が上がってきている。

日本人は"潔さ"は高く評価する反面、卑怯者には厳しい。「李明博の竹島上陸の時はスルーしたくせに」というアメリカ大使館のFBに書き込まれたコメントには、そうしたダブルスタンダードな部分、卑怯な部分に対する怒りが現れている。



もちろん、今回の駐日アメリカ大使館の声明については、いろんな解釈がなされている。例えば、ジョージタウン大学のケビン・ドーク教授は、「失望している」と表明したのは、中国、韓国が、感情を害する事態を、避けようとしただけだ、という見方を述べている。また、その一方では、中韓のロビー活動によって、アメリカの政界は国務省がコントロールできないほどに、親中親韓になっている可能性があると懸念する声もある。

だけど、どちらの解釈が正しいのかどうか関わりなく、既にアメリカ大使館のFacebookは炎上している。たとえ、それが誤解に基づくものであったとしても、普段中々、思っている事を言わない日本人が、ここまで書き込みをすること自体、臨界が近いと思われる。それ故に、駐日大使館は、これらのコメントを真剣に受け取って欲しいと思う。

もしも、今後、アメリカが声明を追加ないし修正するなり、日米首脳(電話)会談なりで、その辺りのフォローがあれば、収まっていくとは思うけれど、そうしたことをせずに、放置して、日本国民を説得することをしなければ、日本人の気持ちは、アメリカから離れ、憲法改正、核武装への道へと繋がっていくように思う。

果たして、安倍総理がそこまで見越しての靖国参拝だったのかどうかは分からない。だけど、日本人のアメリカに対する気持ちに少し醒めた感があるように見えなくもない。

更に、筆者の個人的感想をいえば、オバマ政権になってから、アメリカは「理」によって物事を判断する国から、「利」によって判断を下す国へと"チェンジ"したかのように見えて仕方がない。

これまでの、アメリカは他国からは押し付けとも見られる嫌いがあったにせよ、自由とか民主主義といった大義、「理」を掲げ、時には、経済的に苦しくなるなど、自らが不利になると分かっていても、「理」を優先して動くところがあったように思うのだけれど、オバマ政権はそうした「理」より、経済的利益を中心とする「利」を優先し、「理」は二の次三の次に回しているように見える。そうでなければ、「アメリカは世界の警察官ではない」という言葉なんて出てくる筈もない。

今回の声明にしても、国の為に亡くなられた方を弔うという、何処の国でも当たり前な「理」よりも、アジアで揉め事を起こしてほしくないという「利」を優先した、と日本人に見透かされているのではないか。それが失望を呼んでいるように思う。



まぁ、それがリアリズムの国際社会といえば、それまでなのだけれど、リアリズムを追及するのであれば、尚更、国民感情に配慮しないと上手くいくものもいかなくなる。これまでは中韓の国民感情ばかりに配慮し、日本の国民感情は蔑ろにしてきた。そう思われてしまってる。それが「日本だけに我慢させるな」というコメントとなって現れている。

もしも、この事態を収拾するポイントがあるとすれば、筆者は、ケネディ駐日大使になるのではないかと思う。

キャロライン・ケネディ駐日大使については、以前「ロビー活動する安倍総理とケネディ次期駐日大使」のエントリーで取り上げたことがあるけれど、元々、大使経験もなく、外交の専門家でもないケネディ氏を、大使として日本に送ることは、日米関係を強化したい思惑の表れでもあり、その象徴となっている面は否定できない。

果たして、ケネディ大使が日本について、どこまで深く知っているかは分からない。けれども、今回の靖国参拝と駐日アメリカ大使館の「失望」声明に対する、日本人の生の反応を知ることは、ケネディ大使にとって、靖国が日本人にとって、如何なる存在であるのか、そして、日本人が先の戦争について本音の部分でどう思っているのかを知る絶好の機会になると思われる。

人権活動家でオバマ大統領へのホットラインを持つケネディ大使なればこそ、オバマ大統領の「利」に対して、英霊を弔い、不戦の誓いを立てた日本の「理」を伝える存在になり得ると思う。

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コメント

 コメント一覧 (17)

    • 1. Munakata
    • 2013年12月29日 01:58
    • それほど心配はないようですよ。
       http://t.co/zi9I1r4ayh
       このサイトを是非ご覧になるといいですよ
       少し安心しました、これもマスコミの誤誘導かもしれません
    • 2. とおる
    • 2013年12月29日 07:10
    • 靖国神社は、米国の政治権力者にとって、足を踏み入れる事が出来ない領域。
      特に、日本と戦争を始め、都市への無差別殺戮(東京大空襲・原爆投下)を行った米国民主党の末裔にとって、未だ清算できずに、頬かむりして忘却されてしまうのを待っている状態。
      正々堂々と戦った相手を、戦いが終わった後には潔く対処できないのは、文化的に劣っているのか、「利」を追求してきているがために、やましさかの現れなのか。
      靖国に眠っている人達は、既に力はなくても、死してもなお米国の不正義と戦っている。
      この事は、日本人の心だけでなく、米国の理不尽な不正義に対する怒りを抱く諸国民の心にとっての聖地として価値を高めていく事にもなります。
    • 3. とおる
    • 2013年12月29日 07:22
    • 米国の理不尽な不正義に対する怒りを抱く諸国民だけでなく、中国によって侵略されてきている諸国民にとっての聖地にもなりうる。
    • 4. 白なまず
    • 2013年12月29日 09:19
    • 個人主義の俗物が米国、支那朝鮮の価値観。1000年恨むと言っておきながら利益の為に発言を変える輩。全ては自分の人生の時間の期間でのみ有利になるような生き方。多くの日本人は先祖代々の価値観を守る生き方。田舎の人間関係が嫌で都会に出て生活し、親戚付き合いもせず、墓参りもしない根無し草は少数派。米国移民、在日などは生まれ故郷を捨てて生活しやすい都会に集まる同じ価値観の輩。日本人は1000年恨むとは決して口にしないけれど、実際は2000年以上に及ぶ先祖代々の歴史や恨みを受け継ぎ、事あらば天下分け目の戦いですら、この価値観で敵味方に分かれ戦うと言う事が理解出来ていない俗物どもは自分さえ良ければ良い短い時間限定の吾よしの心。
    • 5. 白なまず
    • 2013年12月29日 09:19
    • 霊界、冥界と言う死後の世界は魂のレベルによって交流できる類が友を呼ぶ世界で、仙人の様な魂は仙人同士で、畜生、餓鬼の様な人は同類しかコミュニケーションする事は出来ない。そして、娑婆世界と言う現実界には仙人も居れば、餓鬼、畜生、俗物も存在し、お互いがその気になれば話す事も出来る何でもありの世界で、魂のレベルの違いを超えて交流できる場所であり、それ故、恨みを祓したり、慈悲を学んだり、協力共感による心の交流による自分の役割、存在理由、自信、自尊心などを再発見する場でもある。即ち、魂のレベルの違いからくる価値観の違いが夫々の正義が違いを生じ、価値観のぶつかり合いが地獄を産めば、天国も生む。現実界とはそう云う所。だから、本当はもっと本音を相手にぶつけて相手の違いを顕にする事が魂の選別を行い、上のレベルに行く魂の歩留まりを決めている。餓鬼、畜生、俗物などは、やり直しの45.4億年が待っている。一方、お互いの価値観を認め、共感し、合体する事で56億7千万年分の魂に分霊していた魂が、一つになり、如来になる事で、次の宇宙の魂の根源になり、生命の循環の源になる。弥勒の世を創る弥勒菩薩が無数に顕れ如来にになる日は近い。
    • 6. almanos
    • 2013年12月29日 09:52
    • ケネディ大使がどう対応するかでうまく収められるかの分かれ道になりそうですね。レームダック化しつつあるオバマ大統領にとって「アジア太平洋地域におけるプレゼンスを圧倒的に低下させた愚かな大統領」等という評価は避けたいでしょうから。一番良いのはケネディ大使に日本語で意図的な誤訳をさせない通訳をつけた上で「日本の一部報道機関が不適当な訳をした結果、無用の誤解が広がっている」とした上でアメリカ大使館の通訳が誤解も誘導もできない文面で伝えて、或いは広告面を交って出せば良い。まあ、朝日は死んでもそんな広告出したがらないだろうが。まあ、ケネディ大使にNHKで生放送でのコメントを出して頂いてとすれば、あっという間に静まるかもしれないけれど。というか、安倍首相はそこら辺を狙っているかもしれないかもしれませんね。と、同時に日本でもこうなるという事実が「宗教絡みに手を突っ込むとえらい事になる」というのを民主党のインテリに実例で刻む込む事になるでしょう。アジア政策に関しては今回の一件で対処を誤って炎上しかねなかったから「事情が分かる国防総省の線で行く」というコンセンサスになったりして。
    • 7. nana
    • 2013年12月29日 11:10
    • アメリカ大使館の声明文、dissapointed「失望した」で「安倍政権がアメリカの意向に逆らった」ことを強調しているにもかかわらず、それに続いてhope「望む」という弱い表現で「それについて咎めるつもりはない」というメッセージを出しています。 これを合わせると「オイオイ、
      アベのやろう、このアメリカ様にたてつきやがったぜw オレの相棒はなかなかガッツがあるだろう?w」と強い同盟国日本をアピールしていると、私は解釈してます。
      FBに突撃されて「腹芸が通じないとは、日本人には失望した」と向こうは思ってるのかもしれません。
    • 8. ちび・むぎ・みみ・はな
    • 2013年12月29日 12:57
    • > 外交の専門家でもないケネディ氏を、大使として日本に送ることは、
      オバマ大統領には手駒がないというだけだろう.
      この難しい時期に素人娘を送り出すのだから,
      オバマが「素人」政治家であるということだろう.
      一般に女性は理詰めより直観的に考える面がある.
      だから, FBの炎上はケネディ氏には大きなショック
      であったと思うし, 日本に対する印象はかなり悪く
      なったことは間違いない. 後は安倍首相がどれだけ
      フォローするかと言う点にかかると思う. フォローが
      なければ, ケネディ大使には今後の期待はできない
      のではなかろうか.
    • 9. おやぢ
    • 2013年12月29日 18:04
    • Japan is a valued ally and friend. Nevertheless, the
      United States is disappointed that Japan's leadership
      has taken an action that will exacerbate tensions with
      Japan's neighbors.
      <泉の和訳>
      日本は大切な同盟国であり友好国である。しかしながら、
      日本の指導部が日本の近隣国との緊張を悪化させる行動を
      とったことは、米国として残念に思う。
       重ねて言うが、米国の駐日大使が外務省に来て抗議したわけ
      ではない。
       外交上の申し入れではなく、マスコミ向けの広報発表である。
    • 10. George
    • 2013年12月29日 20:46
    • ご意見に賛同いたします。合衆国はもともと対応においてダブルスタンダードを使いますし、オバマ政権では国益という名の利益を追求しがちであると考えておりました。市場として旨みのある中華に軸足を置き、あの声明となったことと思います。申し訳ないが駐日大使の関与で何とかなるという主権国家への内政干渉の幕引きはあり得ず、ケリー国務長官の声明を戴くよう誠意を見せてほしいと考えます。
    • 11. ほい
    • 2013年12月29日 21:07
    • どう擁護しようが、どう訳そうが、アレは靖国で日本
      避難したことに変わりはないし、ど素人か、広報だろうが
      載せてしまったことには変わりはない。
      フォローなしなら、少なくてもオペレーション友達
      云々も無かった事にされるね。日本人からみたら
    • 12. きゃべつ
    • 2013年12月29日 21:26
    • 好意的に受け取るのは結構だけど、我が国首相の靖国参拝に対する他国からの干渉などいりません。いちいち他国がコメントなど出さなくて結構なのです。
    • 13. ちょぼいち
    • 2013年12月29日 22:20
    • 在日米軍も日本を守るより日本を封じ込めていることを分かっているけど飲んであげている。経済的にもこの20年アメリカを上回らないようデフレを飲んであげた。とにかくアングロサクソンより優れないよう配慮してきた。しかしもう我慢も限界だ。
    • 14. 隆弘
    • 2013年12月29日 23:05
    • 素晴らしい考察です。微力ながら拡散させて下さい。
    • 15. ななし
    • 2013年12月31日 00:36
    • TPPで日本をアメリカの植民地にしようとしており、
      事前協議で既に多くの利益を貢いでおり、
      郵便局はアフラックに半分売り渡した状態にした。
      そして靖国参拝の影で、普天間基地の辺野古移転を強行決定。
      そんな安倍政権がアメリカに逆らうとは到底考えられません。
      仮に逆らったところで、TPP参加で終了です。全てを奪われます。
      逆らうのも演技・芝居でしかありません。
    • 16. 保守速の奈々氏
    • 2013年12月31日 17:30
    • アメリカ製遺憾の意未満と云う事です。
      過激な発言で煽る中韓の似非愛国者工作が沸いてでるのは、日米離間工作の為でしょう
    • 17. 乱視フクロウ
    • 2014年01月05日 03:53
    • 管見ながら、遅れて来た保守と自認する小生としては、その原因はあまりの無知故だと愚察する次第。靖国神社の意味や価値については、この日本という国の成り立ちや、あの大東亜戦争についての史実などの全てのことに関わってくる。それを教えない、語らない、たとえ語ったとしても恐ろしく偏った知見からしか語らない。圧倒的に、それについて語られる言語量が少なく、偏っていたのだと思われる。
      その全てを学校教育の所為にしてしまうことは容易いが、学校の先生方も既になにを教えるべきか、なにを語るべきかを知らないところまで来てしまっている。そもそも靖国について、疑問をもったり、何かを知りたいとすらい意識しなかったかつての自分を思い出すと、この国には歴史と国家の連続性にぽっかりと空虚が、断絶があったのではないかと思わざるを得ない。いや、いまも在るのではないか、と。靖国を否定することは、それを批難することではない。その存在すら思い出せない程に、徹底的に忘れ去ること、そんなものが最初からなかったのだということにしてしまうことが、靖国とそれに纏わる様々なものに対する、最終的な否定になる。そうして靖国は語られなくなった、伝えられなくなった、かのように見えた。
      しかし、いまその空虚、エアポケットを潜り抜け、また靖国とこの国の歴史が語られようとしている。なぜそうなったのか、一言には尽くしがたいが、しかし靖国に宿るこの国を繋いできた歴史と文化の連綿とした命脈が、圧倒的な空虚の時代を秘かに、したたかに息を殺して潜り抜け、力強く再び自ら語り始めようとしている、その息吹を感じる昨今である。
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