東京オリンピック招致決定の効果は凄いですね。



9月9日、週明けの東京株式市場は、2020年東京オリンピック招致を好感し、ご祝儀相場となった。アベノミクスの起爆剤になるとの期待から、インフラ投資の活発化や経済波及効果に期待する買いが入り、日経平均は300円を超える上昇で終値は1万4205円23銭。約1カ月ぶりに1万4000円台を回復した。また、円相場も株高を好感し、朝方は一時1ドル100円台に乗せた。

また、同じく9日に、内閣府が発表した4~6月期のGDP改定値は、物価変動の影響を除いた実質で、前期比0.9%増、年率換算で3.8%増と、速報値から大幅に上方修正、名目GDPも前期比0.9%増、年率3.7%増となった。どうやら、速報値でマイナスだった設備投資がプラスに転じたことが原因のようだ。

GDPの上方修正について、小渕優子財務副大臣は記者会見で、「設備投資が非常に良くなっている。心強い。…景気の自律的回復に向けた動きが見られることを確認するものだ」と「思ったより良い数字」と評価した上で、消費増税の最終判断について「2次速報も含めて、種々の経済指標、経済状況を総合的に勘案して、安倍内閣で判断する」とコメントしている。

甘利経済再生担当相も、東京都内の講演で、GDP改定値について「いい数字になっている。経済政策の効果が出てきている」と評価。東京オリンピック招致についても「極めて明るいニュース」として、増税の是非については安倍総理が「10月1日に判断する」と述べた。

こうした発言を聞くと、何やら、もう増税が決まったかのような感じを受けなくもないのだけれど、もちろんそれを否定する発言もある。

本田悦朗内閣官房参与は、ロイターのインタビューで、GDPの上方修正はアベノミクスの政策効果が効いている証拠とした上で、「デフレ脱却プロセスにあるが、脱却はしておらず、経済の自律的回復過程にも入ってはいない。…来年4月の3%増税は『金の卵』を壊すようなもの…アベノミクスのカギは、日銀の大胆な金融緩和や思い切った補正予算などによるレジームチェンジ。3%増税を行えば、レジームチェンジに対する信認が壊れかねない」と強く警戒。オリンピック招致についても、「五輪誘致がデフレマインド払拭に役立つのは事実だが、消費税のようなマクロ政策とは無関係」と述べている。

また、菅官房長官も「デフレ脱却を最優先すると同時に財政再建もやりとげる内閣だという観点から首相が判断する」と踏込むことを避けたのだけれど、デフレ脱却に"最優先"と枕詞をつけるあたり、菅官房長官は、予定通りの増税にはまだ疑問を持っていると思われる。

安倍総理自身、8日のフジテレビの番組で、オリンピック東京開催について「景気、経済成長に大きな追い風になると期待している」としながらも、消費税率引き上げの関係ない旨を発言していて、態度を明らかにしていない。

ただ、そのヒントになるかどうか分からないけれど、主要国内マスコミによる増税既定路線報道に対して、海外は経済成長重視に転換している。



先日行われた、サンクトペテルブルクでのG20で、主要各国は、財政再建に向けた行動計画を纏めたのだけれど、日本は財政再建に必須な消費増税を盛り込まない中期財政計画を提出している。この段階において、消費増税を織り込まない中期計画を出すということは、本音では、増税する意思がないか、或いは、本当にまだ増税するかしないかで迷っているかのどちらか。

ところが、そんな計画を出したにも関わらず、他国から表立った批判はなかったという。2日目の会合に代理として出席した麻生副総理は「総じて言っていたのは経済成長。財政緊縮に向かう発言は減っている。…緊縮をやってみたが、各国が同じような問題を抱えた。経済成長・財政再建の両立を考えないといけない。この半年間で流れが変わりつつある」と述べた。既に、G20各国は、成長に比重を置き、日本の経済・財政政策に、強い期待を寄せるようになっている。

それに対して、国内では、増税賛成の論陣を張る一部マスコミや、増税賛成派の識者たちは、予定通りの増税をしないと、海外からの信認が失われるなんて力説しているけれど、先のG20の話が本当であれば、彼ら賛成派の主張は間違っていることになる。

となると、先の集中点検会合で、多数を占めた増税賛成派の最大の根拠が崩れることになるのだけれど、この集中点検会合は、財務省に対して、官邸が不信感を抱いた結果だとも言われている。

今年7月に、安倍政権は、中期財政計画の策定したのだけれど、財務省は、2014年4月の消費税3%上げ、15年2%上げを前提に作業を進めていた。

ところが、このとき経産省から、官邸に消費増税後の2014年4-6月期実質GDP成長率の予測値の報告があったのだけれど、それによると、前期比・年率でマイナス5%から8%という民間の予測値を遥かに超えて落ち込むという衝撃の予測値だったという。

このデータを見て、官邸には、消費増税を「既定路線」化する財務省に対する不信感が広がった。中期財政計画は、消費税引き上げを「決め打ちしない」趣旨の表現に変更され、水面下で集中点検会合の準備が始まった。

人選については、安倍総理から幅広く、賛否のバランスも取るようにとの指示が下りていたらしいのだけれど、既に産業界は引き上げを前提に動いていて、逆に増税反対者を集めるほうが難しい状況になっていたのだという。

増税判断直前の土壇場で、こういった動きがあったのであれば、消費税増税について、安倍総理や官邸は、いまだに本気で迷っているのかもしれない。

世界が経済成長を志向し、日本の経済政策に期待を寄せている今、増税して、景気を腰折れさせてしまったら、世界に対する責任も果たせなくなる。

増税してなお、経済成長するためには、増税によるGDPの落ち込みを補って、更にお釣りがくるくらいの成長戦略が必要になる。それは、安倍政権が今出している成長戦略で事足りるとは思えないし、安倍総理が第4の矢と名付けた「東京オリンピック開催」にしても、7年も先の話。これだけで、デフレ脱却とするには、ちょっと厳しい。

みんながひっくりかえって吃驚するくらいの特大な経済成長戦略が出せないのなら、まずは、現状での経済成長を最優先して景気回復に努めること。「日本の命運を握るアベノミクス」のエントリーでも述べたように、アベノミクスの失敗は安倍政権の命取りになる。安倍政権は、徹頭徹尾、景気回復に尽力して、税収増を目指すべきだろう。




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