7月14日、FNNは、防衛省が2020年代半ば以降にF35Bを艦載機として導入する検討していると報じた。
尤も、この報道については、小野寺防衛相が7月16日の会見で、「現在、F-35の導入については、予算措置をさせていただいておりますが、F-35Bについては、まだ検討している事実はありません。」と述べているから、オフィシャルでは、検討していないという形。だけど、こうした軍備に関する情報はきっちり管理されているのが普通。いくら取材されたからとて、軍事機密がホイホイと報道されたら堪らない。国の安全保障に関わってしまう。
したがって、このタイミングで、このような報道が出るということは、意図的なリークの線が強いと思う。所謂、日本が空母を持つことについての観測気球。アドバルーン。
では実際、どの護衛艦がそのF35Bを乗せる対象になり得るかというと、おそらくは、現在建造中の護衛艦、22DDHになるのではないかと思う。
22DDHについては、2年程前のエントリー「軽空母『22DDH』」で取り上げたことがあるのだけれど、実は、当時から、22DDHで艦載機運用をするのではないか、という話があった。その意味では、今回の報道は真実であれば、それを裏付ける形となる。
22DDHは、全長248m、基準排水量19500トンで、「ひゅうが」、「いせ」より二回りほど大きく、イタリアの軽空母「カヴール」、スペインの軽空母「ファン・カルロス一世」並みのサイズ。だけど、この大きさでも、それほどF35Bが積めるわけじゃない。搭載可能機数は8機から12機程度と言われている。
まぁ、これは、他国の軽空母も似たり寄ったりで、「カヴール」はハリアー�U、F35Bが12機、ヘリが8機の計20機。「ファン・カルロス一世」もハリヤー�U10機にヘリ12機の計22機。22DDHも詰めれば、F35B12機にヘリ6機くらいは積めるのではないかと思われる。
ただ、「軽空母『22DDH』」のエントリーでも指摘しているけれど、F35Bのような垂直離着陸機は、着艦の際、ジェットノズルを下に向けてゆっくりと降りてくる。当然、艦載機のジェット噴射は、空母甲板を直撃するわけで、甲板はその高熱に耐えるものでなければならない。22DDHがF35Bの運用まで視野に入れているのであれば、甲板は、耐熱仕様になっている筈なのだけれど、どうなのか。
それを傍証するのが、先月、アメリカ西海岸で行われたドーンブリッツ2013演習での一コマ。この演習には、自衛隊も参加し、海自は輸送艦「しもきた」とヘリコプター護衛艦「ひゅうが」を派遣していた。演習ではこれら両護衛艦にアメリカ海兵隊のオスプレイが着艦したのだけれど、軍事ブロガーのJSF氏は、「ひゅうが」への着艦の際、オスプレイの排気孔の下に移動式耐熱板を敷かずそのまま着艦したことから、「ひゅうが」の飛行甲板は耐熱処理が施されていると指摘している。
16DDH「ひゅうが」で甲板の耐熱処理が施されているのなら、それより後に建造された22DDHにも同じ処理が施されていると考えるのが自然。だから22DDHは艦載機運用もやろうと思えば可能だと思う。
だけど、問題は、艦載機10機かそこらで、どういう運用ができるのか、またはするのかということ。
例えば、イージス艦部隊を守るといった直掩機的な運用であれば、それなりに意味はあるとは思うけれど、それは同時に、敵航空機部隊から攻撃を受けるという事態を想定していることになる。確かに、敵地攻撃時にはそうしたことも有り得るけれど、その場合相手は、地上航空基地からいくらでも戦闘機を出してくるから、いくらF35Bとはいえ、10機やそこらではちと苦しい。たとえ、純粋な格闘戦では負けなかったとしても、何度も波状攻撃されたら、パイロットの疲労や補給が追い付かなくなって、実質上の戦力にはならなくなってしまう。
となると、次に考えられるのは、敵空母艦載機からの攻撃を受けた場合の直掩になるのだけれど、今現在、海自のDDHを航空攻撃する可能性があるのは、中国の空母、「遼寧」くらい。
「遼寧」はJ-15戦闘機を24機艦載可能なのだけれど、この24機を10機のF35Bで迎え撃てるかどうかということになる。これについては、中国メディア自身がカナダの軍事誌の記事を紹介する形で「8機のF-35Bの総合戦闘力は、24機のJ-15と比べて遜色がない」と分析している。この分析が当たっているのなら、「遼寧」に対して、22DDHとF35Bの艦載で、なんとか軍事バランスが取れることになる。
現時点において、日中間で一番考えられる紛争は、なんといっても尖閣を巡る紛争になるだろうということは容易に想像できるけれど、例えば、沖縄の航空基地をミサイルで潰されると同時に、「遼寧」に率いられた大規模揚陸部隊が尖閣上陸を試みるというような事態を想定すると、沖縄の基地以外にも、速やかに尖閣周辺に戦闘機を送りだせるような手立てはあったほうがいい。
或いは、沖縄以外の、例えば宮古島や下地島に航空基地を整備するなんかはその答えなのかもしないけれど、艦載機を搭載した空母部隊を持つというのも選択肢の一つにはなるかもしれない。もちろん、膨大な空母の運用コストを考えれば、それに見合うだけの効果的な運用が必須であることはいうまでもない。
その22DDHは、いよいよ来月、8月6日に進水式を迎える。
進水式では22DDHの艦名も公表されるという。例えば、艦名が「あかぎ」とか「かが」だったりしたら、それはもう空母として運用する積りなのだろうと思われるのだけれど、噂では22DDHは「いずも」と命名されるようだ。
「いずも」の艦名は、旧帝国海軍の装甲巡洋艦「出雲」を受け継いだものと思われるけれど、「出雲」は、日露戦争、日本海海戦でも活躍した名艦。日中戦争では第三艦隊の旗艦として上海に派遣されている。
「あかぎ」「かが」「ながと」辺りの名はまだまだ取っておくようだ。
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綿津見が国津神になってから2600年以上経過しました。天子族(海神、賀茂氏、海部氏、葛城氏など)は国津神になり縄文時代後期から弥生前期に渡来して九州北部の肥前松浦(長崎県北部、佐賀県北部)辺りに上陸し佐賀県唐津市呼子の大友遺跡の住人になり、北部九州一帯と山口県から出雲、京都北部の日本海の住人となり海人族になったと思われる。後からやってきた天孫族(竹内氏、蘇我氏など)は天津神になり、物部(海人族)と蘇我(天孫族)の二大勢力となり、大化の改新で蘇我が追放され、壬申の乱(672年)「大化の改新」から20年以上の間、権力を欲しいままにしてきた天智天皇は病に倒れ、天智天皇の太子・大友皇子と天智天皇の弟大海人皇子(後の天武天皇)が争い、海人族を従える大海人皇子が天武天皇となり国津神(天子族)の元の世の中に戻り、それ以降の皇室は藤原を除き海人族の血縁になる。皇后陛下方が海人族であったが、そこに壬申の乱で負けた藤原氏が入り込んだのは、藤原系の皇后であった天智天皇の娘であり、後の持統天皇が政治を官僚に任せそこに藤原を復活させたのが原因である。そして、この「めぐり」が日本の不幸の始まりで江戸時代までゴタゴタするのである。そして、先の戦争で日本を滅ぼしかけたのが近衛文麿で藤原氏の末裔である。これまでの日本の「めぐり:業」を無くすまで修正される。
必要だと騒いでましたな. 問題は F35Bが
予定通り完成するか?
不明機に警告に行く艦載機が有ってもいいかもしれない。