こんにちは、日比野です。こちらには先週の本館記事をベースにまとめたものをエントリーします。

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1.解散報道の裏に隠された官邸の戦略
 
11月9日、安倍総理は、羽田空港で、中国でのAPEC出席に先立ち、消費税率の引き上げ判断に絡んで、年内にも解散総選挙に打って出るのではと記者団に問われ「解散は全く考えていない」と否定した。

これは、安倍総理が消費税率10%への引き上げを見送り、その是非を国民に問うために、年内の解散総選挙に打って出るのではという憶測が与野党の間で出ていることを受けてのもの。

まぁ、永田町には、解散については嘘をついてもいいという慣例があるので、この発言はそれほどアテにはならない。

実際、安倍総理は11月7日のBSフジの番組で、衆院解散・総選挙について、「解散について首相に聞けば『考えていない』と言うのが決まりだ」と述べている。

そんな中、読売新聞が9日、増税先送りなら年内の解散総選挙の検討を始めたと報じている。まぁ、年内解散については、以前のエントリーでも述べたことがあるし、それほど驚くことではないと思うけれど、今回筆者が注目しているのは、この報道を"読売新聞"がしたこと。何故、朝日や毎日ではなく、読売がこのスクープを手に出来たのかという点。

これについて、筆者は、官邸からの意図的なリークと見ている。その狙いは、マスコミをコントロール下に置くこと。

もう既に周知のことだけれど、日本は、朝日を筆頭に、安倍政権を敵視するマスコミが多く、常に政権の足をひっぱってやろうと手薬煉を引いている。いわば敵だらけ。そのせいで安倍総理は未だに慎重な政権運営を余儀なくされている。

そんな時に、反安倍でない比較的"中立"な媒体だけに重要情報をリークするようになるとどうなるか。スクープはいつもその選ばれた媒体だけが手にすることになり、反安倍を掲げるマスコミは情報的に"干される"ことになる。いわば、官邸から、マスコミお得意の"報道しない自由"ならぬ、"重要情報を教えない自由"で仕返しされる形。

つまり官邸は、朝日などの反安倍マスコミを牽制する意味も含めて、読売だけに解散情報を流しているのではないかと見る。

実際、安倍政権は読売を特別扱いしているという指摘がある。ジャーナリストの須田慎一郎氏によると、ある内閣官房高官が「もう朝日新聞や毎日新聞は読む必要はありませんよ。新聞は、読売の一紙だけ読んでいれば十分。…情報のコントロールがこちらの思惑通りに進めば、メディア統制も可能になってくる。そしてメディア統制に成功すれば、世論形成もリードすることができるようになる」と語ったのだという。そして、アメリカ国務省の関係者も「ここ最近の読売は、いうなれば『日本版人民日報』と化している。政府の公式見解を知りたければ読売を読めばいい、というのが各国情報関係者の一致した見方となっている」と漏らしているのだそうだ。

これが事実だとすると、官邸は読売だけに正しい情報をリークすることで他紙を干し、反安倍の姿勢を牽制し、あわよくば緩めさせようとしているのではないか、と。

その意味では、先日一部で騒ぎとなった、飯島内閣官房参与の「12月2日に衆議院解散」発言もその一環である可能性がある。

これは、11月2日に放送された「たかじんのそこまで言って委員会」で発言されたもので、飯島氏は手元のメモを見ながら「補欠選挙をやった後に7月~9月の経済状況が明らかになる。11月17日くらいにはわかりますから、20日くらいに総理は消費税を10%に上げるかどうか決断する。…その後の12月2日にねえ、思い切って衆議院解散して、12月の14日に投開票。24日に内閣改造、予算は越年」との爆弾発言をした。

司会の辛坊治郎氏は、飯島氏からメモを取って、「お、すごい! もう日程決まってる!」と叫び、評論家の加藤清隆氏は「飯島さんが言うと、ちょっと影響力が大きいから…」と、スタジオは騒然となった。

無論、番組出演者からは、年内解散説に異論も出たのだけれど、飯島氏は「やる必要はないけど、やってもいい」と平然としていた。

ところが飯島氏は、翌日の3日、BSの「深層NEWS」に出演し、年内解散について「そんな余裕はない。一つの選択肢だが、国民生活が大事だ」と発言し、15年4月に予定されている統一地方選と同時に行う方がよいとした。

このように飯島氏は、解散についてはそれぞれ全く別の発言をしているのだけれど、番組の制作元をみると「たかじんのそこまで言って委員会」が読売テレビとBOY'Sが共同制作している番組であり、「深層NEWS」はBS日テレが放送している番組。

要するに、飯島氏は読売系列の「たかじん」で解散日程まで口にして、BS日テレでは「そんな余裕はない」と述べている。やはり読売を"優遇"することで、マスコミをコントロールしようとしているのではないかと思えてならない。

以前、筆者は「デタラメ記事と安倍FBの反撃」で、安倍総裁は、ネット上のライブチャンネルでこそ、普段マスコミに話さないようなコメントをすることで、情報格差をつけて、ネットの優位性を確立すべきだ。そうすることで、マスコミはネットの後追いをするようになる。と述べたことがある。

今回の読売の解散報道が官邸による意図的なリークだとすると、これは筆者の述べた「情報格差戦略」に非常に近い。

仮に、解散が読売の報道のとおり本当に行われるとしたら、政治報道における信頼度で、読売は他紙に圧倒的なアドバンテージを持つことが決定的になる。その意味では、官邸は中々やると思うし、逆に朝日や毎日など反安倍マスコミは心中穏やかではないだろう。

解散報道を巡って、水面下では官邸とマスコミとの攻防戦が繰り広げられている。



2.吹き荒ぶ解散風

11月11日、安倍総理は北京での内外記者会見で、衆院解散のタイミングについて問われ「何ら決めていない。…国内では憶測に基づく報道があると聞いている。それらに答えることはしないが、私自身、解散について言及したことは一度もない」と述べた。

ついこの間まで「全く考えていない」から「決めていない」へと、トーンダウン。少なくとも「解散を考えた」ことはあるにまで変わったことは間違いない。

既に、与野党は解散総選挙を念頭に準備を始めている。

自民党の二階俊博総務会長は記者会見で「解散の風が吹き始めることは間違いない。万全の態勢を整えていく」と語り、公明党の山口代表も党幹部会で、年内の衆院解散・総選挙に備えるよう指示。支持母体の創価学会も「12月14日投開票」を念頭に準備に入る方針を確認したという。

一方、野党も民主、維新両党の政調会長が国会内で会談し、選挙協力を視野に共通政策の策定を模索することを確認。維新、みんなの両党も幹事長・国対委員長会談で、選挙協力に向けた協議を進めていくことで一致した。

解散のタイミングについては、安倍総理が17日に、7~9月期の国内総生産速報値が発表され、18日には有識者らによる消費税点検会合が終わることから、これらを見た上で1年半程度の増税先送りを決断し、即座に解散に踏み切るのではないかと見られている。

選挙日程は「12月2日公示-同14日投開票」又は「12月9日公示-同21日投開票」の2通りが有力のようだけれど、先日の「たかじん」で飯島参与が発言した内容通りであれば、12月2日公示、14日投開票ということになる。

まぁ、日程はどうでもいいのだけれど、このタイミングでの選挙となると争点は「増税先送りの可否」になることはほぼ間違いない、というかそれ以外に争点らしきものが見当たらない。

この「増税先送り解散」について政治評論家の杉浦正章氏は「増税先送りまたは3党合意の解消が、解散の大義にはならないことだ。延期が有権者うけするというのは誤算である。残念ながら日本の有権者はそれほどレベルが低くない。むしろアベノミクス隠しと受け取るだろう」と反対している。

だけど、筆者はそう思わない。国民はもっと現実的。

今、国民が望んでいることは、日本の危機の回避であり、とにかく景気をよくしてくれという切実な願い。もっとぶっちゃけていえば、アベノミクスという方法論なんて眼中にない。あるのはただ、目の前の景気がよくなること。景気が良くなりさえすれば、アベノなんちゃらなんてどうでもいい。それくらい結果が全て。

現状で増税先送りが景気にプラスに作用することくらい誰だって分かるし、増税法案(社会保障と税の一体改革法案)には「景気条項」(附則18条)があるから、総理判断で先延ばしすることは可能になっている。※ただし、延期法案の成立が必要になる。

ゆえに、増税先送りが解散の大義名分としては弱いことは否めない。だけど、批判ばかりの野党(民主党方面)や足を引っ張ることばかり考えているマスコミに囲まれている現状とその打開を考えると、総選挙に踏み切ることも止むを得ないのかもしれない。

また、仮に増税先送り解散が行われるとすると、それは同時に民主党に対する踏絵となると思われる。

民主党が消費税の10%引き上げ反対、賛成のどちらを掲げて選挙を戦うのか分からないけれど、引き上げ賛成で選挙すると、議席を減らす公算が大きいことが予想される。また、逆に引き上げ反対に回った場合は、次の国会で引き上げ延期に賛成せざるを得なくなる。

安倍政権にとっては、どっちに転んでも増税先延ばししやすくなる。

既に市場は、増税先送りを織り込み始め上昇している。景気回復の為には増税するべきではない、とサインを送っている。

だけど、それもこれも、増税先送りが前提での話。だから解散総選挙をしても、与党が負けて過半数割れしてしまったら、その前提が崩れてしまう。

その意味では、この状況下での解散は一種の「賭け」だともいえる。果たして国民はどのような判断を下すのか。



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