11月7日、表参道駅・渋谷駅からも近い石山記念ホールにて、第1回 城山三郎経済小説大賞の贈呈式が行われました。

経済小説の草分けとして活躍された城山三郎先生の名を冠したこの賞は、経済小説ジャンルの発展と書き手の発掘を目的に、ダイヤモンド社によって創設された賞です。

第1回の大賞は『ロロ・ジョングランの歌声』(松村美香さん)
城山三郎経済小説大賞

公募ガイド11月号(10月9日発売)をお持ちの方は、見覚えのある題名・お名前ではないでしょうか。
11月号の23ページ、『賞と顔』でも城山三郎経済小説大賞を取り上げさせていただいていました。

今回は贈呈式とのことで、賞状・副賞の授与と、選考委員の方々の選評がありました。各先生方の選評は以下の通り。

安土敏先生:最終候補3作はどれも良い作品であったが、大賞作品は特に著者の想いのようなものが一番強かった。NGO、またアジアに関してはいままであまり描かれることのなかった分野。

幸田真音先生:すがすがしい読後感があり、描写がこなれている。著者の将来性に期待できる。アメリカから始まった恐慌の今、経済小説は求められている。

佐高信先生:受賞は当然だった。ロマンがある作品。小説(しょうせつ)より大切(たいせつ)、というところがある作品。受賞者が女性というのも第1回の受賞作としてぴったり。

高杉良先生:本当にすばらしい作品。題名に関しては色々意見もでたのだが、これでいいのではないか。エンターテイメントとしても高いレベルの作品。
受賞者の松村さんは、青年海外協力隊を体験し、その後ODA業務を行う開発コンサルタントのお仕事をされています。
その関係もあり、会場にはJICA国際協力機構の関係の方や、青年海外協力隊時代のご友人、大学関係者など、多くの方が祝福にかけつけていました。
ご友人は第1読者として、原稿に赤ペンを入れたりと、作品作りの協力もしてくれたのだとか。

贈呈式の後は会場内で自由に関係者の方とお話できる懇談会があり、松村さんとも少しお話させていただいたのですが、礼儀正しい、笑顔の素敵な方でした。

経済小説というと、ちょっと敷居が高いような、難しそうなイメージをもってしまうのですが、逆に複雑でわかりにくい「仕組みとしての経済・企業」を、人間ドラマ(小説)として伝えることのできるものなんだそうです。
エンターテイメントとして楽しめて、かつ世界(経済)を知ることのできるものなんですね。
勉強と自分の楽しみのためにも、もうちょっと経済小説に手を伸ばしてみようかなぁと思えた一日でした。

第2回城山三郎経済小説大賞は、現在作品を募集中です。
締め切りは2009年1月31日(当日消印有効)。
詳細は先日発売された月刊公募ガイド12月号にも掲載しておりますので、興味のある方はぜひご覧下さい。(石)