2007年05月09日

夏草や兵どもが夢の跡

627b91b5.gif事程左様に、歴史とは
勝者が残した記録である。
しかし彼女は忘れはしないだろう。
この哀しい戦いの記憶を。


詳しい経緯は誰も知らないのだ。
小梅が夕方のオサンポをさぼるのは、
よくあることだったから。

小梅がはぐはぐと夜ゴハンを食べている間、
母は洗濯物をとりこんでいた。
終わってシャッターを閉めるや否や、カラスがベランダに
集まってきて、ハンガーをイタズラして遊びはじめた。
いつものことなので放置した。

ベランダの下には、小梅のサークルがある。
小梅は戯れるカラスを見上げていた。

いつもならしばらくして「中に入れて!」と鳴き出す小梅が
どうも静かなので、不審に思った母が庭へ見に行った。
小梅は、自分のサークルから最も離れた
和室の縁台の下にもぐりこんでいた。
呼んでも出てこないので放置した。

やがて父が帰宅。
小梅は喜んで出て来て走り回った。
母も庭に出てみた。そして発見した。
小梅のサークル入口前に倒れていた瀕死のハチを。
父と母に見守られながら、ハチをツンツンする小梅。
ハチはそのうち力を取り戻し、飛び去って行った。
気づいたら、小梅のシッポがすっかり下がっていた。

辺りのニオイを念入りにかぎまわる小梅。
かゆいのか、自分の全身をカプカプとチェックする小梅。
また縁台の下にもぐってしまった。
呼んでも、オヤツを見せても出てこない。
仕方がないので放置した。

もう外は暗い。私が帰宅した。
今度は小梅はまったく出てこない。
呼ぶと鼻だけ出して、反応はするものの出てこない。

もぐっている縁台は道路にいちばん近い部屋にある。
外を人が歩く度に、小梅は吠えた。
さすがにウルサイので止めさせるため庭に出る私と母。
声をかけると落ち着いて吠えるのはやめるけれど
呼んでも出てはこない小梅。

数時間が過ぎた。
小梅は縁台の上に上がってきた。やや好転。
しかしその部屋の前から動こうとしない。
家の中には入りたがっている。要は、自分のサークルへ行きたくないのだ。

なぜ小梅は動こうとしないのか?議論を重ねる私たち。
きっと夕方、カラスがベランダから脅かしたに違いない。
彼らは黒くて大きいから、小梅は怖くなったのだ。
カラスにいじめられて柴犬はヒキコモリになったのだ。
イジメ、かっこわるい。
暫定的に至った結論であった。

吠える→声をかける→反応するけど動こうとしない、
という流れが何度も繰り返された。とはいえ、
小梅はだんだん落ち着いて自分を取り戻しているようだった。
ちょっと動いて、トイレの場所までは行けるようになった。
でも自分の部屋には近寄らない。

夜、12時をまわった。
また吠えた。ダメモトで呼びに行く母。
オヤツでもやろうか?と小梅の部屋の前で話す私たち。
そこへ…ひょっこり小梅が現れた!
勇気をふりしぼって、迂回経路を通ってやってきたらしい。

自分のサークルには入らなかったが、別のサッシから
小梅を部屋にいれた。無事に家に入れて大喜びの小梅。
しばらくヨシヨシして、室内ケージに小梅は収まった。

みんな安心して眠りについた。もちろん小梅は爆睡だった。

朝、またしても自分のサークル前をかぎまわる小梅。
寝不足の小梅を私が散歩に連れて行っている間、
母がサークル内のタオルを替えて、土を掘り返して
いろいろニオイを変えてみた。
帰ってきた小梅は、今度はすんなりサークルに入りよく眠った。

すべての流れをふまえて、再度議論を重ねる私たち。
今回の事件の原因は、カラスではなくハチである!という結論に至った。

小梅はおそらく、ハチと戦ったのだ。
コメパンチをくりだして、ハチを瀕死に追い込んだ小梅は
ちょっと敵をくわえてみたのだ。食べはしない、くわえてみただけだ。
ところがハチに口内を刺されてしまったのだ。
小梅はビックリした。かゆいのか痛いのかわからないけど
とりあえず全身をチェックした。治らない。口の中だからだ。
ダメージは大きくないけど、どうも気になる。小梅はへこんだ。

サークル前は、小梅とハチとの戦いの場であった。
結果的にハチに敗北した小梅は、哀しみに満ちた戦場に
近寄ることをかたくなに拒んでいたのであろう。
一夜にして、忌まわしい記憶を克服し、
第一線に復帰した小さな柴犬の勇気を私は称えたい。

でもハチに負けるイヌってどうなんだろう。

koume_0720 at 15:40│Comments(4)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by ikki   2007年05月09日 20:23
こうめたん、頑張れ!!
口の中ならすぐ治るはず。

そういえば、昔、ばぁばの手にハチが止まったんだって。
じぃじに助けを求めたところ、じぃじはハチを上からバチン!
針がグサッ!!
…ばぁばもへこんだんだろうな。

ハチは強いよね。しょうがない。
2. Posted by うめきち   2007年05月10日 12:54
ikkiくん、ありがとう!
こうめはゴハンもオヤツももりもり食べてるから、ほとんど痛くないみたい。だから大丈夫よ。
きっとikkiくんのばぁばとこうめは、哀しみを分かち合えるね…!
実は、うめきちもハチに刺されたことがあるの。子供のとき、瀕死のハチが落ちてたから、助けようと拾ったら刺されたの。ショックだったわ。
ハチって怖いわね…
3. Posted by よこた   2007年05月12日 10:04
小梅もうめきちも共にハチに負けましたか。。
仮に小梅がハチに勝ってたら、小梅>うめきちの図式が(以下自粛
4. Posted by うめきち   2007年05月12日 18:14
きっとハチが強すぎるのです…。
我らが弱いのではないはずなのです。

小梅>うめきち
↑頼もしいじゃないか!ビバ番犬

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