高齢者の住まい(「サービス付き高齢者向け住宅」)をもっと知るための ~サ住協通信(バックナンバー)~

私たちサ住協(一般財団法人サービス付き高齢者向け住宅協会)は、良質な住まい「サービス付き高齢者向け住宅」の普及を通じて、高齢者のより良い暮らしを目指す団体です! ※サ住協会長 橋本俊明による、会員用メールマガジンのバックナンバーをこのブログにてご紹介いたします。 内容についての詳しいお問い合わせは、サ住協(http://kosenchin.jp/)までお願いします。

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サ住協会長 橋本俊明ブログ 「愚者一得(ぐしゃいっとく)」 

◆◆サ住協通信 第87号◆◆

(メルマガ:サ住協通信 87号 2012年9月12日より)

認知症の高齢者300万人越えについて

認知症の高齢者が今年の時点で300万人を超え、平成14年時点の149万人から10年間で2倍に増加していると、8月24日厚労省の発表がありました。

この集計によると、65歳以上の10人に1人が認知症を患っている計算になります。

認知症は、過去の推計を大幅に上回るペースで増加しており、厚労省は近くまとめる認知症対策の計画に推計を反映していく方針であるとのことです。

今回の集計は、2002年の認知症推計と同じような方法です。2010年1年間で、要介護認定を受けた人のデータを基に「日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意すれば自立できる状態(日常 生活自立度Ⅱ)」以上の「認知症高齢者」を算出したものです。

2010年時点で、日常生活自立度Ⅱ以上の高齢者は、280万人であり、2012年では300万人を超えている推計です。従って、認知症対策が早急に必要であると述べています。今回の発表以降、ほとんどのメディアが、この発表を基にして報道を行っています。

認知症対策の重要性については、今さら述べる必要もありませんが、認知症の実態についての、2002年統計の、問題点については、本年5月25日のブログで指摘した通りです。
 (※5/25ブログ http://drhashimoto.blog97.fc2.com/blog-date-201205.html )

要介護認定を用いた全体調査は、認知症と推定されるものを、日常自立度Ⅱ以上としていますが、はたして、要介護認定上での、日常生活自立度Ⅱ以上の人が全員「認知症」なのでしょうか?日常自立度Ⅱ以上の判定を誰が行っているのでしょうか? 

認知症は、アルツハイマー病やレビー小体病などの疾患を総称した、疾患群であり、認知症と診断する基礎には、それぞれの疾患の診断が必要になるはずですが、その事は認識されているのでしょうか?これは、10年前の調査と同様の問題点を示しています。

ガンの統計が、医療的に診断された症例のみをカウントするのは、当然であり、同様に「認知症」をいう疾患群が、医療的に診断されたもののみをカウントする事も当然でしょう。しかし、なぜか「認知症」の調査においては、医療的に診断したものでなく、誰が判定しなのか、あるいは、診断基準は何か、などがあいまいなまま、数だけが踊っているのです。

「認知症」は、血液や画像にての確定診断を行うことが未だに困難であり、専門医の総合診断に頼っています。

一般医にとっても、認知症の診断は、難しいのが現状です。しかし実際には、認知症は「診断」に値するものではなさそうです。

コミュニケーションに障害があり、周囲の人を困らせ、時に意味不明な行動をするような、「高齢者」は、すべて「認知症」とひと括りにされ、「自己決定」を行えない人たちと決めつけられ、社会から疎外されているようです。

言うまでもなく、「認知症」に良く似た疾患は、うつ病、脳卒中等から起こる高次脳機能障害、不安神経症や心気症などの神経症、正常圧水頭症、脳腫瘍など、いろいろの疾患があります。

また、多くの高齢者に頻発する「せん妄」は、一時的に「認知症」と全く同じような症状を示すものです。それ以上に問題は、社会的トラブルに対処できない場合(家庭内のトラブルなど)、強制的な住まいの移動(施設への拘束)、身体的疾患のための医療機関への入院によって起こる一時的なせん妄、見当識障害など、高齢者が対処できない境遇に対しての抵抗や権利の主張などが、「認知症」として取り扱われ、まともに話し合いの対象とならない現状があります。

「認知症」と安易に決めつけられ、スティグマ(烙印)とされない為にも「正確な診断に基づく認知症の統計」を示すべきだと思います。

◆◆サ住協通信 第86号◆◆

(メルマガ:サ住協通信 86号 2012年8月15日より)

制度は、一時期の停滞あるいは後退を経る事はあっても、長期的に見ると、社会の安定期には、進化することが普通です。そして、社会的変化は、国の枠に関係なく、進化の過程として起こって来ることを見る事が出来ます。

高齢者施設の整理統合も、この文脈で考えると、保護施設(養老院など)⇒高齢者施設(特別養護老人ホームなど)⇒高齢者住宅(サ付き住宅など)に進化する必然性が高いと考えられます。

この進化を阻害する要因として、「入居一時金」がありました。入居一時金は、将来の為に(不測の事態が起こったときの為に)積み立てておくという名目上の趣旨ですが、実際には、運転資金や利益の計上として使われて来たのが実態です。

入居一時金は、日本だけの現象ではなく、いわゆる公的施設以外の、「有料老人ホーム」的施設では、北米でも一般的に見られた現象です。特にアメリカ合衆国では、1970年代にいわゆるナーシングホーム全盛時代となり、そこでの処遇の劣悪さが問題となり、大幅な規制が導入されました。

その後、1980年代になると、施設からより住宅に近い形態へと変化し(アシステッド・リビング)同時に、運営事業者は、入居時に高額な一時金を徴収するようになりました。

日本と同様に、入居一時金は、利用者に返還される事が少なく(ノンリファンダブル)、大きな問題となり、その後、預かり金形式(リファンダブル方式)や、一部を家賃に充当する方式が一般的となりました。この場合、一時償却は一切なく、入居者は一時金を月額入居料やその他の費用に転用するだけとなっていました。

さらに2000年代になると、一時金自体が縮小し、大部分の施設においては、月額費用のみとなっています。

この様な先行事例から考えると、自由な市場においては、制度の変化が、1国に独特なものでなく、一般的現象として、多くの国で起こることがわかります。
一時金のような不透明な制度は、早晩なくなる運命になるのです。

先日、入居一時金の問題に対して、日本弁護士連合会から「有料老人ホーム及びサービス付き高齢者向け住宅における入居一時金の想定居住期間内の初期償却に関する意見書」が厚生労働省、国土交通省宛に提出されました。

初期償却(以前は、入居一時金の30%程度を償却していた)を、「長生きリスク」として、認める国の方針に対して、この様な償却は、不適当であるとの意見書です。
 
幸い、サービス付き高齢者向け住宅を運営している事業者の皆さんは、前払い金をとっているのは登録1873件のうち52件(7/24時点)うち前払い金の初期償却があるのは、1件だけでした。

これからは、すべての有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、月額利用料の表示を基本として、入居一時金を預かった場合でも、「長生きリスク」 などの名目での、一時償却は困難となるでしょう。

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