高齢者の住まい(「高専賃」「サービス付き高齢者向け住宅」)をもっと知るための ~サ住協(高専協)通信(バックナンバー)~

私たち高専協(財団法人高齢者専用賃貸住宅協会)は、良質な住まい「高専賃(高齢者専用賃貸住宅)」の普及を通じて、高齢者のより良い暮らしを目指す団体です! ※高専協会長 橋本俊明による、会員用メールマガジンのバックナンバーをこのブログにてご紹介いたします。 内容についての詳しいお問い合わせは、高専協(http://kosenchin.jp/)までお願いします。

◆◆サ住協(高専協)通信 第71号◆◆

(メルマガ:サ住協(高専協)通信 71号 2011年12月21日より)

大阪を皮切りに、3ヶ月で6か所の説明会を終えることが出来ました。多数の会員の皆様の参加を頂きまして、大変ありがとうございました。非会員の皆さんも多数ご参加頂きましたので、サービス付き高齢者向け住宅の増加とともに、会員数の増加を期待しています。

講演会において、私の担当は、サービス付き高齢者向け住宅の運営についてのお話しでした。今回から、数回に分け、メール上にてサービス付き高齢者向け住宅の運営方法についてお話ししたいと思います。ご参考にして頂ければ幸いです。

まず、サービス付き高齢者向け住宅は、実質的に、従来の介護施設の代わりを期待されています。今までの介護施設では、入居者は自由がなく、外出や食事の内容、建物内の移動にさえ、制限を掛けられていました。サービス付き高齢者向け住宅では、出来るだけ自由な環境で、高齢者の自立を促し、持っている能力を発揮することが期待されています。サービス付き高齢者向け住宅では、同時に契約も高齢者自身との賃貸契約となっているので、契約の内容についてはっきりと説明できなければなりません。また、契約がご本人にとって、合意あるいは理解出来ない場合には、高齢者集合住宅への入居は出来ないと考えても結構です。

サービス付き高齢者向け住宅の運営は、今後の増加を考えると、幅広い対象者から募集出来る事が望ましいのです。従って、「自立している人のみ」とか、「要介護者のみ」など、対象を狭くするような手法は、今後サービス付き高齢者向け住宅が急速に増加する状態では、運営に支障を来たす、つまり、満室状態を維持できないと思われます。「自立から要介護5まで」の人を対象とすれば、幅広い対象を設定することが出来ます。もちろん、前述の通り、契約が出来ない場合には、入居の対象にはなりません。ちなみに、協会の調査では、要介護1以上の割合は、56%程度になっています。つまり、入居者の約半分が自立から要支援、半数が、要介護1以上の人たちのようです。

入居がうまくいくかどうかは、第一に家賃等の入居に必要な金額、第二に、立地場所、第三に営業活動の順になると思いますが、家賃と場所はすでに決まっている場合が多いこと、一括借り上げの場合は、選定することが難しいことなどから、第三の営業活動に努力しなければなりません。サービス付き高齢者向け住宅のマーケティングの特徴は、
 【1】対象者が限定され 
 【2】地域が限定されている ことが特徴です。

つまり、マス広告を行おうとしても、効率が悪いのです。従って、マス広告は限定的に行い、地域を選んだチラシなどで十分だと思います。

しかし、反対に、全くマス広告を行わない場合には、知名度がよほど高いか、場所がよほど良い以外は、苦戦を強いられますから、最低限のマス広告は行った方が良いと思います。

マス広告を補完するのは、個別営業です。対象は、居宅介護支援事業所、急性期病院、回復期リハ病院、老人保健施設などでしょう。地域を絞って、対象を最初大きく、反応によって次第に絞っていく必要があります。開設までには、30か所程度の対象事業所については、3回以上は訪問しなければなりません。

そして、この様な事業者の訪問時には、「知識」が必要です。対象となる、ケアマネージャーやソーシャルワーカー、看護部長などは、専門家ですから、「知識」がない人がいくら訪問しても、話相手にさえ、なってくれないでしょう。自分たちの知識や情報を相手と交換することが双方にとって利益を生むわけですから、十分な「知識」を基にして、営業活動を行って頂きたいと思います。

サービス付き高齢者向け住宅の運営に関してのメールは、今後数回続けていく予定ですが、今回で本年のメールマガジンは最後となります。本年も、当協会の活動にご協力頂きまして、有難うございました。来る年も、皆様にとって、実り多い年でありますようにお祈りいたします。

◆◆サ住協(高専協)通信 第70号◆◆

(メルマガ:サ住協(高専協)通信 70号 2011年12月7日より)


先日、サービス付き高齢者向け住宅の契約書について、国土交通省のモデル契約書が公表されました。しかし、事業者が実際に、運営を行う際には、細かい点で不便な為に、国土交通省のモデル契約書を基本にして、サ住協版の標準契約書を作成しています。サービス付き高齢者向け住宅は、賃貸契約とサービス契約とが一体となっている為に、契約書を一体とするか、それぞれ別のものとするかが問題ですが、今回は、一体型と別型とを用意しています。契約書を作成する際の参考としてください。

さて、高齢者ケアについて、今後の団塊の世代は、従来と異なり、主張が強くなるとよく言われています。今回はこの点について理論的に考えてみます。

人間世界と自然とを結ぶ、色々の現象は、自然科学が未成熟の時代では、山の神や海の神、その他色々の神々が行う仕業か(アミニズム的世界)、あるいは世界を支配する強力な神が行う仕業か(一神教的世界)と考えられていました。いずれにしても、自然が成すことは、運命であり、人間はそれを受け入れざるを得ないと考えていたのです。例えば、災害にあっても、病気にかかっても、基本的には運命として受け入れるしかなかったのです。また、人間相互の関係においても、自由がなく階層社会が固定していた時代には、理不尽な処遇や刑罰も、多くの災難を運命として受け入れざるを得なかったのです。

しかし、自然科学の発達と、社会での自由の獲得がなされると、人間の行動も大きく変わって来ます。自然の出来事を理解し、社会的自由を獲得した以上は、もはや運命に自分を委ねる理由がなくなり、人間の力が運命を切り開く可能性を考えるようになってきました。それが嵩じると、もはや災難は運命というには程遠く、人間がコントロール出来るものとして捉え始めたのです。最近の多くの問題にたいして、自然の災害を人災と考え、病気の治療の可能性を求め、地位の変化を他人の陰謀と考え、社会的問題を誰かの責任であると主張することは、この様な理由がその根本部分にあるのです。

高齢者はこれまで、老化に伴う住まいの移動や処遇の問題を、なかば運命と考えて受け入れていました。「老いては子に従え」 だったのです。しかし、自然をコントロールできる時代、あるいは完全な自由を獲得した時代に生きてきた世代では、人生の一時期を、苦痛を伴い、他人の意向に左右された、無意味な生活を送ることは耐えられなくなって来ています。そして次第に、 自宅から追い出され、住居の移動を強いられることを、運命とは考えず、残り少ない時間を自分の意思を持って、有意義に使いたい、あるいは、苦痛を伴った生活を拒否するようになります。高齢者は本来望む、自宅での生活、あるいは自宅に近い自由な生活を希望するようになるのです。従来の高齢者に対する処遇は、高齢者が自分自身の意思でなく、高齢者の周辺にいる家族や介護者あるいは介護職員の意向を基にしたものであると理解し始めたのです。

◆◆サ住協(高専協)通信 第69号◆◆

(メルマガ:サ住協(高専協)通信 69号 2011年11月22日より)

前回、デンマークの高齢者集合住宅の推移について述べましたが、日本の場合は、デンマークの軌跡を後追いし、さらに短期間で変化しています。デンマークの高齢者集合住宅(エルダボーリ)から、介護型集合住宅(プライエボーリ)への変化が8年かかったのに対して、日本では、高専賃に対する基準が確定して(2010年5月)、サービス付き高齢者向け住宅が制度化され(2011年10月)、この期間は、1年あまりです。

変化を急に行うことがどの様な意味を持つのかについて考えると、当然ながら功罪あり、良いものに向かって素早く変化すること、変化に皆が付いていけないことの双方が考えられます。

従って、サービス付き高齢者向け住宅に関する活発な議論が必要となります。そして、この議論は、制度に関する細かい事柄の議論でなく、これから高齢者住宅をどの様に運営するのか?
そして、高齢者住宅は、高齢者の生活にどの様な意味を持つのか? などについて、理解を深めるための議論を行い、さらにより良い形態を目指す必要があります。

サービス付き高齢者向け住宅は、言うまでもなく、生活支援サービスが賃貸住宅に付属するものですから、従来の高専賃よりより障害を持つ高齢者の受け皿になることを期待されるのは当然です。高齢者介護あるいは高齢者医療をも含んだ形態に移行するだろうと考えられるのです。

高専賃の場合は、自立の人のみを受け入れる選択肢もありましたが、サービス付き高齢者向け住宅については、自立の人のみを受け入れることは、もはや困難であろうと思われます。従って、今まで高専賃を運営していた事業者は、サービスを充実させ、障害を持つ高齢者を受け入れるような、サービス付き高齢者向け住宅に登録するのか、あるいは、サービスを行わず、賃貸住宅の運営のみを行うのかを判断することになります(サービスを多少なりとも付けると、サービス付き高齢者向け住宅の登録を行わない場合、有料老人ホームになります)。

サービス付き高齢者向け住宅に登録する場合、高齢者介護あるいは高齢者医療の経験がない賃貸事業者の皆さんは、高齢者介護事業者あるいは高齢者医療事業者との提携を考えるとよいと思います。賃貸事業者と高齢者介護(医療)事業者が、事業の提携を行うことは、合理的な選択であると思いますが、事業の提携に際しては、入居者の属性(介護度の程度)の選択、マーケティング費用の分担、あるいは、満室後の運営方法など、付き合わせるべき課題がありますが、この両者の提携は、良質のサービスの提供と、この分野の市場の拡大を目指す場合、非常に有意義な試みであろうと思います。

しかし、24時間継続するサービスは、介護施設では当たり前ですが、賃貸住宅に対して行われる、在宅サービスに対して、24時間の介護サービスを提供する場合には、ケアマネージメントと、巡回サービスの技術も必要となります。これらの技術が、不動産事業と連携できるとき、新しい業態が生まれるのではないかと考えられます。

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