覇王の家〈上〉 (新潮文庫)
覇王の家〈下〉 (新潮文庫)

司馬遼太郎による,徳川家康の勃興,台頭,そして没するまでを描いた長編です.家康の生涯を描くと同時に,日本人の民族性が徳川家の三河人のそれ,忠誠心,団結力と閉鎖性,陰湿さなどと,どう関係しているか,ということもテーマの一つとなっています.家康以降,270年続く徳川政権により,その後の日本の歴史および,民族性がどのような影響を受けているのか,ということを徳川政権のルーツとなる,家康の生涯を追いながら明らかにしていきます.

司馬氏の戦国時代の著作は,以前「国盗り物語」を読んだぐらいで,もともと戦国時代に明るい人間でもないので,本作は新鮮に楽しむことができました.司馬氏の特徴である,膨大なデータを基にした客観的な描写が主になっているので,小説というよりも歴史の解説書に近い雰囲気を受けました.それでも最後まで一気に読ませる文章の魅力はさすが司馬作品であります.また上述した三河人(徳川家)の気質が日本人に与えた影響についても,頷かされる部分が多く,さすが司馬遼太郎と思わされました.

本作品では,秀吉との小牧・長久手の戦い以降の描写はなく,関が原や大阪の陣は省かれています.このあたりは,司馬氏のほかの著作である,「関ヶ原」,「城塞」でフォローされているようです.今後読んでみたいと思います.

司馬遼太郎の膨大なデータや資料で語る語り口が好きな人におすすめです.それにしても戦国時代は面白い.今後とも関連の書籍を読んで行きます.

当ブログで紹介した司馬遼太郎作品








にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

ranking