2015年6月21日(月) メインテナンス2015年6月24日(水) メインテナンス

2015年06月23日

2015年6月23日(火) 後楽園ホール「JPBA・JBC医事講習会」

 14時前に、後楽園ホールにやってきました。5階展示会場で、日本ボクシング協会(JBC)主催の「医事講習会」が開かれるという予定です。
 姫路木下ジムのマネージャーで、小学校から高校までの同級生、石津純一郎氏から、この講習会の連絡が入ったのが、6月10日でした。火曜日の開催というのが、助かります。速攻で、出席すると返事をしました。普段は接することのない、他科の情報が得られるのは、ありがたい機会です。
jbc-iji-koshukai-20150623
 「ボクシングにおける網膜剥離および眼窩底骨折について」と題された、日本大学病院アイセンター教授の島田宏之先生の講演、「KK選手のリング事故報告」と題された、東京女子医科大学病院脳神経外科コミッションドクターの大村佳大先生の講演、「救急・応急手当指導(AED講習)」と題された、小石川消防署職員による実技指導という、3つのテーマでの講習がありました。
 一昨年、網膜剥離に関する規定が改正されたのだそうです。それまでは、「網膜剥離と分かった時点で引退勧告」でしたが、「網膜剥離になっても、完治し、日本ボクシング協会指定眼科医の検査をクリアしたものは復帰できる」ということになったのだそうです。
 ちなみに、私がセコンドライセンスをもらった、姫路木下ジムの選手も昨年に手術を受け、今年2月に指定眼科医の検査をパスして、7月にカムバック戦を行うとのことでした。
 規定の改正については、「医療技術が飛躍的に向上した」というのが、一つの理由だそうですが、はたしてそうなのでしょうか。世界チャンピオンだった、辰吉丈一郎選手が、網膜剥離を起こして、引退勧告を受けたものの、海外で試合を続けていたのは、1990年代の始めの頃と記憶しています。ここ20年の間に、当時は駄目で、現在は復帰可能になったという理由になるほど、画期的な技術革新があったのか、友人の眼科医に聞いてみました。
 「網膜剥離」、ボクサーなどの外傷によるものは、正確には、「裂孔原性網膜剥離」というそうです。眼球に加わった外力により、網膜に孔が開き、そこから眼球内の液体が侵入することにより、網膜の「視細胞」と「網膜色素上皮」との間が、剥がれていくものです。
 術式には、「バックリング法」、「硝子体手術」、大まかに2種類の方法があるそうです。
 「バックリング法」とは、従来から行われている方法で、眼球の外側からシリコンスポンジを縫い付け、剥がれた網膜と、眼球の内壁とを近付けて、そこにマイナス70度の金属棒を押しつけて、凍傷を起こさせて、剥がれた網膜と眼球とを、再度、付着させるものです。
 「硝子体手術」は、眼球の外側に小さな穴を開けて、網膜の下に入り込んだ液体を排出しつつ、別の穴から、眼内灌流液または特殊なガス、難治性の場合はシリコンオイルを注入して、浮き上がった網膜を元に戻すものです。しかしながら、この術式だと、その後の白内障の発症がほぼ必発だとのことで、若年者には向かない術式だとのことでした。
 友人によると、後者の「硝子体手術」には、この間の進歩はあるものの、「バックリング法」については、すでに確立された方法であり、20年前と、それほどの違いはないないのだそうです。専門家の目から見ると、どうもこの変化は、術式の変化というよりも、考え方の変化によるもののようです。
 確かに、「網膜剥離を隠したまま試合を続けていた選手が減るだろう」ということは、いいことだと思います。目の異常を隠したまま試合を続けて、ほぼ失明した選手もいるそうです。
 しかし、検査を受けて復帰した選手の中にも何人か、再度剥離を起こしていて、完全に予防ができないことも、事実のようです。これも、手術をした眼と、手術をしていない眼との間に、発症率に差があるかというと、微妙なところのようです。映画の「ロッキー2」で、右目を負傷した主人公が、サウスポースタイルからオーソドックススタイルに換えたという話を思い出しますが、戦術を変えないで、同じように打ち合っていたら、再発するのも当然です。
 また、ほとんどの諸外国では「網膜剥離が完治したら復帰可能」としているので、それに足並みを合わせたというのもあるだろうとのことでした。異変を隠して試合をしていた選手がいることなど、多くの人は分かっていたはずです。諸外国との足並みを合わせたにしては、ずいぶんと遅い対応でした。
 一度、駄目だとしたことをすぐに訂正することで、面子を潰されるのを、日本ボクシング協会が嫌って、先延ばししただけではないかというのが、多くの関係者が感じることではないのでしょうか。
jbc-iji-koshukai-shuryosho-20150623
 日本ボクシング協会が指定する眼科医は、公表されてはいません。「手術をして復帰の検査を受けたい」と申請すると、要綱を書いた用紙が送られてきて、そこに書いてあるのだそうです。ということで、ここでは公表しませんが、この施設は大学病院ばかりで、全国でたったの5ケ所でした。取り立てて、「網膜剥離」で名高いというわけでもなさそうで、どういう基準での選択なのかも分かりません。
 また、その施設も、関東地区に1施設、関西地区に2施設、あとは中京地区に1施設、九州地区に1施設でした。ボクシングジムの分布や、ボクシング選手の人口密度とも、乖離がありそうです。

koyamaclinic at 23:13│Comments(2)TrackBack(0) スポーツ | 医療

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by 郷   2015年06月25日 12:50
ロジカルな検証で勉強になります!
2. Posted by 小山郁   2015年06月25日 15:31
 郷様、コメント、ありがとうございます。
 いろいろと、私も勉強させていただきましたが、他科のことですので、微妙なニュアンスは違っているかもしれません。何かありましたら、ご指摘ください。
 今後とも、よろしくお願いいたします。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
2015年6月21日(月) メインテナンス2015年6月24日(水) メインテナンス