私が入社したのが昭和57年だから、名南の創業から16年が経過している。当時、毎朝8時30分から4階研修室(30人も入れば満杯になる。)で朝礼が行われており、今と同じように「所訓」と行動指針である「改善の前提」が大きな声で(声が小さいと怒鳴られる。)が唱和されていた。全員が当然のように暗譜しており、忘れるなどというのは論外であり、途中で詰まったりすれば最初からやり直しだ。
 その所訓には、往時の会計事務所業界の精神的支柱でもあった飯塚毅氏の説かれた「自利利他」が入っている。「私たちは 自利利他の精神に基づき お客様の明日への発展のために 今日一日を価値あるものとします。」創業者の佐藤が熱田伝馬町を本拠と定めたときからの理念である。「自利利他~自利とは利他をいふ」(最澄の言葉)とは、利他(世のため人のために尽くす)を実践すればいつかは自分の利益になるということではなく、利他の実践がそのまま己の魂の幸せなのだ、という教えである。この理念はこの50年、ずっと名南の
DNAとして受け継がれていると思う。もちろんこの理解は人によって深浅はあるが、間違いなく根底には流れている。今現在のお客様だけでなく、これからのお客様、さらには「お客様=世の中全体」と捉え、それに対してサービスを考える土壌がある。特定の団体や企業のみに与しない、地域経済に徒に競合関係を持ち込まない、お客様に対して目前の小益より中長期の大益を考えて提案する、利益と常識(道徳とも云える)をバランスよく保つ、事に真摯にあたる、などなど。これらはごく当たり前のことではあるが、名南が多少なりとも発展させていただくことが出来たのは、この価値観の総和が他より少しだけ大きく、お客様対応や事業展開がこれに副って行われてきたことにあると思う。
 なお、私はこの所訓の最後のくだり、「今日一日を価値あるものとします。」が好きだ。「価値」の考え方は、常に昨日より今日、今日より明日と、より良いサービスを生み出そうとする日々の過ごし方だと思う。無為または忙しさに感(かま)けたりし勝ちではあるが、この「今」に満足しないという言葉はこれからも忘れないようにしたい。