「社員の給料を正しく決める本」は平成5年の改訂新版を含めて5万5千部の発行となった。出版社にとって人事労務関連の書籍では金字塔らしい。特に改訂新版は前版とは内容を変え、中小企業での導入を意識した名南オリジナルの内容にした。今も私の賃金コンサルのベースとしている「資格給体系」はこのときに記されている。なぜかこの本は社労士ではなく税理士業界で評判になり、問い合わせが相次いだ。当時、税理士業界は経営コンサルティングに活路を見出しており、その一環に人事コンサルが位置していたのである。平成6年、早速、業界に対して影響力が大きい名南経営のネームバリューを利用し、全国の税理士事務所へ「人事コンサルタント養成講座」を案内したところ、続々と全国の事務所から参加があった。それも大手税理士事務所の労務サービス担当者がほとんど。月1回の名古屋詣でをしていただき、2年間の講座とした。参加者の方々はご苦労であったと思う。2クールほど実施した後、社労士に対してもこの講座を開催できないか、という打診があった。平成10年からある団体の中で講座を受け持つ形で始まったのだが、これが今も伝説となっている「人事あすなろ塾」だ。12回コースで東京を中心に、大阪や岡山でも開催。中小企業の人事制度構築の「今」を徹底して提供した。10年以上かけて16期続けたこの講座には新進気鋭の若手社労士のべ200名以上が参加された。当時の写真を見ると、今や皆さん業界でも有名な事務所の所長さんの面々である。懐かしい日々。「労務ドットコム」とこの「人事あすなろ塾」のおかげで、私とO君と名南経営は社労士業界でも名が知られるようになった。

 また平成6年には、大手企業の人事部の企画で、全国拠点都市にある15の関係販社の人事制度を共通化する、という大プロジェクトも始まった。販社の人事制度は全て異なっていたため、その人事制度を共通化するというとんでもないプランを現実するためには何をすべきか、相当考えた。何度も大阪本社に足を運び、打ち合わせを重ね、集合研修+個別指導という形式で実施することになった。各社にPCを揃えてもらい、人事制度講座から給与制度改定の実務までを教える。Lotus1-2-3の操作指導会になったこともあった。そして全国の販社へ飛んで個別指導。2年がかりの大仕事であった。前述の税理士事務所向けの養成講座と個別指導も重なり、膨大な仕事量になった。しかし一方で、社労士部門の経営は完全にお留守になってしまっていた・・・