「柏崎刈羽原発の直下に活断層がある」と言う指摘は過去何度もされています。
その度に「把握していない」「問題になるような断層でない」と説明してきた東京電力。

こんな世界中が驚くような、センセーショナルなニュースに地元が過敏に反応しないのはズバリ「金でがんじがらめ」にされているから・・・

例えば東電原発のお膝元の柏崎市や刈羽村は何十億円という単位で交付金を受け取っていますし、同じように自主財源の乏しい周辺市町村の財源にもなっています。

また、住民に対しても「迷惑料」の名目でバラマキが実施されていますし、出入り業者なども見ていけば、地元経済にどれほど深く組み込まれているかよく解ります。

今の厳しい地域間競争の時代に産業育成をするというのは、相当ハードルが高い。
だからといって単純に「原発を誘致すればいい」と言う道理はあまりに単純です。
過疎対策の切り札として核施設の誘致に手を挙げた、高知県の東洋町の騒ぎを見ていても根は同じで、そこには経済的に疲弊する地方の深刻な実情があります。

都会に住む人は「人の居ないところに作ればいいじゃないか」と考えるでしょう。
新潟だって福島だって、高知県だって例え人口が少なくても人は住んでいます。もちろん、その一つ一つの小さな営みによって山野は保全されて、食糧自給に貢献し、水資源などの保険の意味も大きいのです。

柏崎刈羽原発は直ぐには再開できないかも知れません。ただしこれは選挙を控えたパフォーマンスでもあり、最終的には「復興資金の拠出」等のウルトラCで結局はカネで世論さえも封じ込めてしまうんでしょう。

原発で働く人や、出入り業者なども含めれば、停止状態が長引けば地元で損をする人が確実に増えます。しかし広域な見方をすれば、今回の原発問題のクローズアップで、風評被害は大きいものがあると思います。

ただでさえ「地震多発地帯」として不名誉な地位を確立してしまった新潟県は、観光客の入り込み減は避けられないことでしょう。これから書き入れ時となる海水浴客だって津波に対する漠然とした不安や、原発の放射能を帯びた水が例え微量でも海に放出された事実・・・

国民は電力会社の発表は鵜呑みにはしていません。「どうせ隠して居るんだろう!」と冷ややかな目で見ています。今回の汚染水の海への流失だって「実は発表値の千倍が本当でした」等と忘れた頃に発表するか、隠し通するんじゃ無いかと疑っています。

そんな危険な薫りのする所にわざわざお客様が来ると思いますか?バブルの後遺症やスキー産業の低迷に喘ぎ、中越地震で観光入り込み数の激減を味わい、その低迷から抜け出せずにいた新潟経済。

今後は風評被害によって主力の農業もじわりとダメージを受けてくることが予想されます。スクープと視聴率欲しさに被災地を徘徊するマスコミもそう言った「震災後」の経済復興の部分にも、もっと光を当てて欲しいと思います。

東京の夏の電力安定供給が危ういとの報道がなされていますが、東京の電力はどこで作られているのか、また、東京の労働力はどこから提供されているのか、山手線の電力はどこから来ているのか・・・この機会に空前の好景気に沸く都会人はエネルギーの提供源や、疲弊した地方経済の実態をもっと見つめる必要があるでしょう。