山形から単線に乗って約30分。いかにも盆地的な田園風景の中に寒河江市はあります。その市庁舎が実は設計黒川紀章、竣工1967年の、DOCOMOMO100にも選定されているモダニズム建築。以前写真を見たときから一度来てみたかったので、念願の来訪でした。



はじめは超巨大なオブジェが田園の中に屹立しているような想像をしていましたが、メインストリートからこのようにかなりの引きをとって配置されており、街の中での存在感は皆無に等しいです。大きさも想像より大分小さい印象。



裏側から。それでも宙に浮いたボックスや4本のシャフトは異様な力強さに満ちています。


裏側スロープ。スロープの見かけ上の断面積を増やす側壁がいかにもといった風情。わかりにくいですが、浮いている天井の外側にぽつぽつとある金具は、屋上のメガ屋根からフロアを吊るための吊り材です。藤村さんのビルディングKのように細い材で床を吊ることで、細いマリオンが連続する水平開口が実現しています。またこの金具をメカニカルに露出させるのが黒川さんらしさ。


駐車場から一段上がってスロープでアクセスし、手前には池が配されています。雨だれも京都国際会議場を彷彿とさせるごついデザイン。「ものものしい」ですね。


岡本太郎デザインのてすり。この日は土曜日なので普通は入れないのでしょうが、運良く期日前投票のために解放されていたので、見学させていただきました。



水平に広がるイメージの外観に対し、内部は強い垂直性を持った空間になっています。天井も開口率が低く、洞窟の底のよう。


とはいえロビーレベルは四周に開口があり、ほどよい反射光が入っています。


アトリウム見下ろし。床のパターンがいいですね。サッシュなどが大分古くさい印象ですが、DPGとかで大判ガラスに入れ替えれば面白そう。



岡本太郎の彫刻「生誕(光る彫刻)」。行政と建築家と芸術家が仲良かった古くよき時代が偲ばれます。今後公共事業費はどんどん削減されるでしょうし、人口を増やして内需を拡大しない限り建設業界に未来はないように思います。海外といっても、中国に手を出してリーマンショックで痛い目を見たところも多かったですからね。


あと、モダニズム建築の造形は見ていて爽快だし、問答無用で「いいなぁ」と思うのですが、どうもそれって「カワイイパラダイム」とか、岡田斗司夫が言うところの第3世代オタクが萌えアニメを見て動物的に「萌え!!」と言ってるのとさして変わりがないようにも思えてきます。なんとか論理的な再評価が出来ない物でしょうか・・・

そんなことをふと考えたりもしましたが、ともかく宙に浮くハコは格好いい。