July 13, 2004

P2P再考(4) 「分散 VS 集中」論争に意味は無い。(上)

 前回のエントリ(P2P再考(3) 「対等な通信」は「すべてを等しくつなぐ」という意味では無い)では、P2Pが行う「対等な通信」という意味は「すべてのデバイスを対等につなぐのでは無いのではないか?」という事を考えてみた。

 今回は「P2Pモデル=分散」「クライアント/サーバ(C/Sモデル)=集中」という事をもう一度考えてみようと思う。

 現在のところ、P2Pモデルを説明される時に「P2Pは分散モデル」と説明されており、その対比としてC/Sモデルを「集中」と説明されるケースが多いと思う。しかし、「サーバ=集中」という考え方は本当に正しいのだろうか?

 最近ではあまり聞かなくなってしまったが、「ホスト・コンピュータ」という概念がある。これは「パソコン通信のような中央集中処理型システムにおいて、端末装置やクライアントからの入力に対して、データの処理を行う中心的コンピュータ」のことである。(@IT情報マネジメント用語事典 より)この説明を読んでいただければ、おわかりの通り「ホスト・コンピュータ」は「集中」型のモデルと言って良いと思う。

 さて「ホスト・コンピュータ」に対して「クライアント/サーバ」は、どのような説明をされているかと言うと「分散系」と説明されている。

 当たり前だが、サーバには全ての処理をする「万能サーバ」という物は無い。DNSサーバ、Webサーバ、アプリケーションサーバ等の役割に応じた「サーバ」がある。インターネットやイントラネットを構築するのには、これらを組み合わさなければならない。

 このように各機能は、複数のサーバで「分散」しており、クライアントは各サーバの動作をまとめた「実質的に集中」されたサービスを受けている。このように考えると、クライアント/サーバは「集中」とは言い難い。

 もちろん、クライアント/サーバがP2P型のシステムよりも「集中型」であることは直感的にわかるような気がする。しかし、ホスト・コンピュータとサーバを比べるとわかる通り、クライアント/サーバが、P2Pの対比で言われているような「集中型」であるとは考えにくいと思う。

 つまり「クライアント/サーバ」モデルも、見方によっては「分散環境」である。そのため、私は「P2P VS クライアント/サーバ」=「分散 VS 集中」という議論は、それほど意味のある物とは思わないのだ。

(後半に続く)


・参考IT時代の経営者常識テスト


kozai22 at 22:24│Comments(0)TrackBack(0) P2P 

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